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■夏の日の想い出・ボクたち女の子(6)

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『白雪姫』の録音・撮影が全て完了した8月27日、アクアFと松田理史は山村に送ってもらって(AquaのAQUA #11使用)八王子のアクアの家に帰宅。アクアMと葉月は和城理紗に送ってもらって(AquaのAQUA #3使用)、代々木と用賀の自宅に帰宅した。
 
そしてここで葉月は和紗から
「私、できちゃったみたいなの」
と言われて、仰天することになる!(結婚したんだから子供ができても不思議ではない)
 
代々木に帰ったアクアMは8/20以来なので、彩佳から「不在にしていた1週間分」愛されることになる!(翌日は昼まで起ききれなかった)
 

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八王子に一緒に帰ったアクアFと理史であるが・・・
 
その帰る途中の車の中、居るのが山村だけなので、理史も構わないだろうと思い“その件”を話した。
 
「あ、そうそう。僕、龍が主演する『ピーターパン』にも出ることになったから」
「そうなんだ?」
 
「今回の『白雪姫』の演技で、美高さんから合格をもらったから、じゃもひとつ出てよと言われて」
「『いちご日記』の撮影に出るんじゃなかったの?」
「あれは更に延期された」
「嘘!?」
「やはり1ヶ月延期されたら、予定されてた人がみんな都合つかなくてさ」
「だよねー」
「だいたい、主演の木田いなほちゃんからして調整付かなかった。相手役の広河敏也君も調整つかなかった」
「広河君忙しいもん!さとしもだけどさ」
 
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「それでまだ調整中だけど、ひょっとしたら、撮影は春休みまで延期されるかも」
「それだけ延期されると、もうキャストが相当変わる気がする」
「気がする」
 
「まあそれで僕は9月中旬がわりと空いたから、美高さんから『ピーターパン』に出てと言われた。制作期間中ずっと空いてる訳じゃ無いけど、僕の出番はあまり多くないから、都合が付くんだよ」
 
「ふーん。何の役するの?」
「ジョージ・ダーリン」
 
アクアFが咳き込んだ。
 

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「どうしたの?」
と理史が訊く。
「ボク、その奥さんのメアリー・ダーリンを演じるんだけど」
とアクア。
 
「嘘!?龍はウェンディじゃなかったの!?」
 
「ウェンディ兼フック船長」
「それにメアリー・ダーリンまでやるの?」
 
「最近のピーターパンのお芝居では、だいたいジョージ・ダーリンとフック船長を同じ役者さんが演じるでしょ?」
 
「うん。でも今回はフックを龍が演じるから、ウェンディのパパは別の人が演じることになったんだろうと思ってた」
 
「同じ人が演じるというのは、心理学的には実は同じ人物ということだよね」
「うん」
「息子が父を倒すというのは、金枝篇でも言われているように、男の子の成長物語なんだよ」
「だいたいそういうシンボリズムだよね」
「だから、ピーターが父を倒したら、ピーターは大人にならなきゃいけない」
「それは変かも」
 
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「ところがピーターパンのお芝居で、初期の頃はフック船長はウェンディのママの女優さんが演じていた」
「え〜?そうなの?」
 
「それならウェンディはネバーランドに留まるのではなく現実社会に戻る決心をした。だから母を倒して、おとなにならなきゃいけなかった」
「その方がスッキリする」
 

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「元々のフックって、あまり凶暴ではなくて、子供たちがおうちに帰ろうと決めた時、それを邪魔する役でしかなかった」
「へー」
 
「だからフックはお母さん役の人が兼任したんだと思うよ。お母さんは子供はいつまでも子供だと思ってるの」
「そういうお母さん、結構多いよね」
と言いつつ、龍虎はその母の愛を知らないんだよなと理史は思う。生まれて2ヶ月で里子に出され、実母は2歳の時に亡くなった。
 
「今回はそのオリジナルの路線に戻ろうよという話でさ。だからボクがフックとメアリーの両方を演じる。だいたい母娘を同じ人が演じるのもよくあること」
「白雪姫でもやったね!」
「でしょ?」
 
「ということは・・・」
「ボクたち夫婦を演じることになるね」
 
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理史は急に不安になった。
「僕、ちゃんとできるかな?」
 
「何なら去勢する?」
「やだ」
 
ふたりの会話を聞いて、運転している山村がちょっとバツの悪そうな顔をしたことに、アクアも理史も気付かなかった。それバレたら、龍虎からおしおきくらうぞ・・・と山村は思った。
 

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美高鏡子さんは、8月いっぱい『白雪姫』の助監督(兼第1撮影者)をしていたのだが、撮影が8/27で終わったので、その後、後片付けもそこそこに、編集作業は監督と第2撮影者の矢本さんに任せ、ΛΛテレビの昔話シリーズに復帰した。
 
9/3-11に、恋珠ルビー・水森ビーナの事実上のW主演で『青い鳥』を撮影。この時、美高は撮影を進めていて、首をひねった。それで本人を監督室に呼んで訊いてみた。
 
「ね。変なこと訊くけど、ビーナちゃんってひょっとして男の子ということはないよね?」
「ボク、男の子なんですけど、みんな女の子だと思い込んじゃうみたいなんです」
 
「やはり男の子だったんだ!」
 
つまりこのドラマでは、男の子のチルチルを女子の石川ポルカが演じ、女の子のミチルを男子の水森ビーナが演じていることになる!
 
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「でも放送局に入る時、女子制服着てなかった?」
「それ学校でも誤解につぐ誤解で、ボクは男子制服で通いたかったのに、女子制服で通いたいんでしょ?女子制服で通っていいからね、とか言われて、結局女子制服で通学せざるをえないことになっちゃって」
 
「それは大変ね。でも君、女の子と一緒に着替えてても何も感じないでしょ?」
「何か感じるものなんですか?」
 
「いや、ごめん。君のことだいたい分かった」
と美高さんは楽しそうだった。
 

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アルバム制作・ライブと忙しい日々を送った常滑真音は9月頭に“ガラスの家”のCM撮影をした後、新しい写真集の撮影を始めた。実は“舞音ちゃんタロット”という企画で、舞音をモデルにタロットを作ってしまおうという魂胆なのである。
 
実はこの企画があったので、先日弓曳き童子を見に行った時に大牟田のタロット博物館に寄ったのである。
 
今回の企画の監修は金沢ドイルさんである!!
 
最初は電話連絡でやっていたのだが、やはり微妙な所が伝わらない。それで「私そちらに行きます」と言うことになり、ホンダジェットで迎えに行かせた。それで青葉が直接指導する中で構図や背景が決められて、写真は撮影されていった。青葉は約1ヶ月、浦和に泊まり込み、ほぼ毎日女子寮にやってきて、女子寮内のスタジオで撮影を進めた。
 
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結構、小道具・大道具を製作しなければならないので、絵のうまい夕波もえこに手伝ってもらうことにする。青葉の指示でもえこがおおまかなデッサンを描くので、それを参考に制作する道具を計画し、発注する。中には制作に結構な時間と費用の掛かるものもあった。むろん舞音のプロジェクトなので予算はふんだんにある。
 

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最初に、青葉・千里・丸山アイ!の三巨頭会談が行われ、いくつかの基本的な方針が決められた。
 
・88枚のフルデッキにする。
 
・女性の手に馴染むサイズのカードとする。
 
・小アルカナは全て絵カードとする。
 
・カード全体を写真にするのではなく、フレームの中に写真は納め、フレームにカード名を入れる。
 
・カード名は日本語ではなく英語とする。
 
・コートカードは、Page,Knight,Queen,Kingではなく Prince,Princess,Queen,Kingの方式とする。
 
・スートの名前は Cup, Sword, Wand, Pentacle.
 
・8正義と11力は入れ替えない。古典的な順序で行く。
 
・愚者は無番号とする。0という数字は入れない。
 
・スートと四元素の対応は、次のようにする。
聖杯:水:青
棒:火:赤
剣:風:緑
金貨:地:黄
 
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実はこの対応が実に様々諸説あるのである。解説していたら、それだけで多分20-30ページを要する。丸山アイは若干不満だったようだが(彼は剣が火で棒が風だと思うと言った)、青葉は↑の対応がしっくりくると言うので、青葉の感性で進めることにした。色との対応についても多分5-6種類の説がある。
 
スートの色は基本的にカードの背景色として使用する。実際にはその色のカーテンの前にセットを組んで撮影している。野外で撮影したものは画像加工した。
 

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作業はあまり道具立ての必要ないものから始めた。
 
ということで制作は小アルカナ、コートカードから始める。
 
各々のカードはモデルを設定している。
 
聖杯の王女:白鳥の湖のオデット
棒の王女:シンデレラ
剣の王女:白雪姫
金貨の王女:眠り姫
 
聖杯の王子:マーリン
棒の王子:ジークフリート
剣の王子:ヤマトタケル
金貨の王子:ギルガメッシュ
 
聖杯の王:アーサー王
棒の王:ナポレオン
剣の王:アレクサンダー大王
金貨の王:ユリウス・カエサル
 
聖杯の女王:エリザベス1世
棒の女王:卑弥呼
剣の女王:ジャンヌ・ダルク
金貨の女王:クレオパトラ
 
各々のキャラが持つスートシンボルは下記のように制作した。いづれも先に使う物を早めに納入してもらっている。
 
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聖杯:トロフィーを制作している会社に依頼して大杯1個と小杯10個を制作してもらった。
 
棒:あけぼのテレビの小道具係さんに頼み、大きな棒10本とリレーのバトンのようなものを10本、更に10cm程度の小さな棒も10本作ってもらった。他に王笏の類いも作ってもらっている。
 
剣:これも小道具係さんに、バスタードみたいなアルミ製の剣を10本、ステンレス製の短剣を5本作ってもらった。また柄(つか)だけのを10個用意してもらった。
 
金貨:道具係さんに頼み、30cmサイズの金貨を10個、60cmサイズの金貨1個(コートカード用)、作ってもらった。中身はアルミで金色のシートを貼り、五芒星を描いている。その他にも少し作ってもらった(後述)。
 
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小アルカナのピップカードは、聖杯から始めた。
 
A:水車の前でカップ入りの水を飲む舞音
2:湖の畔でカップを手に語り合うカップル(舞音と夢夜)
3:カップを持ち乾杯する、舞音と水谷姉妹
4:カップを4個立てたそばでダンスをする舞音
5:倒れた5個のカップと落ち込む舞音
6:カップを6個並べ母(演:春風アルト)と語り合う舞音
7:怪しい液体の入ったカップ7個を並べて妄想する舞音
8:倒れた8個のカップの向こうで泣いている真似
9:カップが9個ならぶ所でイチャイチャするカップル(舞音と夢夜)
10:カップが9個並び、1個カップを持つ男性(篠原)を導く舞音
 
7でカップに入っている液体はただの水に食用の着色剤で着色したものである。でも妄想する舞音の表情が危ないと言われ、警察から問い合わせがあった!!
 
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男の子役はだいたい夢夜が演じてくれているのだが、発売後
「男の子役はほとんどが女性タレントの男装なんだね」
「あそこ女の子専門のプロダクションだし」
「ちょっとレスビアンっぽいカードだね」
などと言われた!海外でもレスビアン色のあるデッキと紹介されていた!!実際このデッキはAmazonを通して海外でもかなり売れた(でも猫好きさんにも売れた雰囲気)。
 

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続いて棒に行く。
 
A:棒を咥えた龍の前に立つ舞音(撮影方法は秘密!)
2:2本の棒を平行に立てて持つ舞音
3:棒を1本ずつ持ち、阿修羅像のように背中合わせに△に立つ舞音と水谷姉妹
4:長い棒を4本立てて、上に布を貼り家のようにしても中でくつろぐ舞音と夢夜
5:各々棒を持ち闘っている、舞音・水谷姉妹・夢夜・もえこ。
6:6本の棒を立てた所を馬(本物)に乗って歩く舞音。
7:7本の小さな棒をお手玉する舞音
8:棒が8本、空中を飛んで行くのを眺める舞音
9:棒を9本立て、九字を切る舞音
10:大きな棒を10本抱えてよろめく舞音
 
Aのカードは龍はCGかと思った人が多かったようである。大アルカナならまだしもピップカードにわざわざ数千万円かかりそうな龍の模型は作らない。舞音本人は
「私美味しくないからね」
などと言いながら撮影されていた!
 
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でもこの棒を咥えた龍は「禰豆子ちゃんみたい」というコメントも多数出ていた!
 
馬については1日乗馬クラブに行って訓練を受けてきた。撮影にはごくおとなしい馬を貸してもらった。
 

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そして剣に行く
 
A:宇宙服を着てライトセーバーを持つ舞音
2:目隠しをして椅子に座り、2本のバスタードをクロスに持つ舞音
3:柄だけの剣が胸の所に3本刺さって苦しそうにしている舞音
4:剣を3本壁に横に並べ、その下のベッドに寝ている舞音。ベッドの側面にもう1本の剣がある。
5:木の上に縛り付けられている舞音。木には5本の短剣が刺さっている。
6:船に乗ってどこかへこぎ出す舞音。船には水谷姉妹・セレンとクロム・夢夜が乗っている。また船にはバスタードが6本、下向きに刺さっている。
7:バスタードを七芒星の形に並べ、その前に舞音が座っている
8:剣が地面に8本刺さっていて、馬に乗り、うなだれる舞音
9:9人の剣を持った女性に取り囲まれる舞音。9人は水谷姉妹、甲斐姉妹、セレン&クロム、もえこ、夢夜、薬王みなみ。
10:舞音は倒れていて、10本の柄だけの剣が刺さっている
 
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Aで使ったライトセーバーは丸山アイの趣味の工作だが、電力の関係で有線である。でも、本当に物が切れるので、舞音が楽しそうに棒や板を切っていた。
 
(ライトセーバーを自作してみました、などというのはよく動画投稿サイトにもあるが、丸山アイの作ったものは、本当に実用化できるのではと思う優秀さだった。原理的に“汚れる”ということがないので、舞音は木や板を切った後で、ようかんを切って、水谷姉妹たちと一緒に食べていた)
 

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最後に金貨に行った。
 
A:160cmの金貨を立て、その前で舞音が大の字のポーズを取る。
2:直径20cmくらいで白と黒の円盤(道具係さんの作品)を舞音が両手に持ち、その間に8の字にベルトを掛けた。
3:30cmサイズの金貨を∴の形に並べて高い所に架け、その下で舞音と水谷姉妹がお仕事をしている
4:小さなおうちの四隅に30cmくらいの金貨が掲げられていて、舞音はそのそばに立っている。
5:30cmサイズの金貨が5枚填まった窓の外に、ボロを着て疲れた表情の舞音と水谷姉妹。
6:金貨が6枚並んでいる所で、舞音がゆりこ副社長から施しを受けている
7:金貨が7枚上の方に並んでいる。舞音は倒れている!
8:金貨が8枚上の方にあり、舞音は千里から何か習っている。
9:金貨が9枚、木の実のように生っている。舞音は妊娠していて、白象(大道具さんの力作)に乗っている。
10:金貨が10枚家の壁に填め込まれている。舞音はウェディングドレスを着て、タキシード姿の夢夜と手を組み、その家の中に入っていく。
 
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Aの撮影に使用した巨大金貨は道具係さんの力作:円形の枠に金色シートを貼っただけで中身が無い。中身を入れたらこんな巨大なのか万一にも倒れてきたら生命の危険がある。4のおうちは大道具係さんが2時間で作ってくれた。5番の撮影は、今回の撮影の中でいちばん面白がっていた。白象は制作費が100万掛かったが、たぶんまた何かで使うという千里の声で、本当に制作することにした。
 

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夏の日の想い出・ボクたち女の子(6)

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