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■夏の日の想い出・ボクたち女の子(3)
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なお、映画の出演者を一般客と同じ棟に泊めると、一般客からサインを求められたりなどの面倒が発生するので、若葉は、話があった7/12からわずか半月で、出演者・スタッフなど、最大80人ほどが泊まれる4階建てのホテル棟を1軒建ててしまった!(元々増築を想定して基礎工事をしていた場所)
ドイツ組は
「2週間でホテル1個作るって、日本の技術は凄いね」
などと言っていた。
それで7/23(金)に郷愁村に集められた出演者たちはこのホテル新館“赤城”に入って、台本を渡され、監督や制作者の説明を聞いたのである。
但し、アクアと葉月、ドイツ組の俳優4人は各々コテージ“桜”に泊めている。他に“桜”に泊まったのは、出演者では王様役の村里泰蔵さんと、王妃役の雨梨美貴子さんのみであった。
7711 アクア・葉月・和城理紗
7712 ドイツ組4人
7713 村里泰蔵
7714 雨梨美貴子+女性マネージャー
ただし村里さんは規律違反で首になったので退去し、後任の王様役の水川さんは“桜”を辞退したので、赤城の特別室に入れた(ここは昭和と同じ仕様なのでレトロにあふれている。水川さんはインベーダーゲームにハマったらしい)。
また監督、制作者もコテージを使った。
7715 河村監督・美高助監督・リニュス川口(脚本)・矢本かえで(第2撮影者)・田崎潤也(第3撮影者)
7710 大曽根・ジールマン+男性の通訳兼秘書[アクアたちの隣!]
美高さんは、ΛΛテレビの昔話シリーズの撮影をやっていたのだが、こちらに借り出された!それでこの映画の制作とぶつかる↓3つの作品は美高さんに代わって、このシリーズの助監督をしている沢口富恵さんが監督を務めた。
ブーツを履いた猫(新里耕児主演)
銀河鉄道の夜(UFO主演)
ヘンゼルとグレーテル(WADO主演)
美高さんは作業の都合上河村と同じ棟で過ごすが、部屋は別だし、制作中はセックス禁止らしい!(桜は居間は共通だが、寝室(5個)は個室で鍵も掛かる)
「だってみんなに外出禁止を言い渡してるのに監督が奥さんと一緒で毎晩セックスしてたら、示しがつかないでしょ」
と彼女はみんなが聞いている所で言っていた。ちなみに河村もテンガをもらっていた!!
脚本家と撮影技師たちも一緒に泊まり込んでいるから、実際問題としてイチャイチャもできないだろう。
アクアたちには最初桜木ワルツ(天月和紗)を付けるつもりが、彼女が体調が悪そうだった(実は妊娠していた!)ので、理紗に頼んだ。ワルツが体調悪いなら、自分が付こうかとアクアのメインマネージャー・山村が言ったのだが「女の子の部屋に男子は禁止」と言われて理紗になった。
「私、建前上は女なのに」
などと文句言っていたが、彼はあまり女には見えない(でもいつも女の服を着ているから、女と思い込んでいる人たちも多い)。山村は赤城に泊まった。
実際には彼を追い出したのは2人のアクアを見せないためである!
山村はいまだにアクアが2人に戻ったことに気付いていない。本当に勘の悪い人であるようだ。ちなみに葉月が男の子に戻ったことにも気付いていない!
(だからアクアは「女の子の部屋」と言ったが、実際にはアクアF・アクアM・葉月・理紗が泊まっていて、本当は男2女2である。但しMも葉月も睾丸が無い)
7/23は、最初に監督が出演者・スタッフが泊まっている部屋に設置されているモニター・スピーカーを通して、この映画のコンセプトや時代背景などについて説明した。監督は『白雪姫』の原型になったと思われるシェイクスピアの劇『シンベリン』についても説明したが、この作品は知らない人が多かったようだ。
そして主な出演者がひとりひとり紹介されて、各々短い挨拶をする。これは各自の部屋に設置されているカメラ・マイクを通して全員に中継される。これはテレビ会議などと同様のシステムを使用している。
その後、監督から今回の映画の制作体制が説明される。基本的に週7日の内の2日間は休みとすると言われて、日本人の出演者は「嘘みたい」と声を挙げたが、ドイツ組はなぜ驚く?という表情である!
できるだけ土日を休みにしたいが、作業の都合上、どうしても変更する場合もある。しかし、それでも“平均して”週に2日は休みにすると説明された。制作日程が7/23-8/27の36日間(約5週間)なので、その間に10日間の休日を設定する。これは下記を休日として予定している。
7/24-25(Sat,Sun)
7/31-8/1(Sat,Sun)
8/5-6(Thu,Fri)
8/13-14(Fri,Sat)
8/21-22(Sat,Sun)
7/23から制作を開始してすぐ土日が休みだが、これは23日に台本をもらって土日にゆっくりと台本を読みたいという希望が多かったからである。だから7/23は台本を渡して説明を受けただけで、実質的な制作は7/26の月曜日から始まっている。
8/5-6日が土日ではないが、これは実は、この映画の話が急に決まったことから予定の入っていた出演者も多く、色々調整した結果、どうしても平日の撮影休みが欲しいということになり、この2日間を空けることにしたためである。
8/13-14が休みで8/15(日)が稼働日となったのは、ここを土日にすると8/7-13と7日間連続稼働になってしまう問題があったのと、製作スケジュールを考えると、8/15から演技撮影(後述)に入りたいので、音声録音を8/12までに完了させ、2日間の休みを置いて、8/15からは撮影に入ろうという計画になったからである。
8/16はアクアはライブがあるが、この日は実はアクアの出番が無い!のでジェット機で小浜まで往復してくる。8/20にもアクアは誕生日の記者会見があるが、現在の予定では8/20もアクアの出番が無いので、この日はアクアは休みとなる。結果的にアクアは8/20-22が三連休となるが、むろんゆっくり休むことなどできず、テレビの番組撮影などが詰まっている!
各々の出番の予定表が渡され、各自の録音・撮影の出番が無い日は個別の仕事を入れてもよいし、連続した休日には自宅に戻ってもよいことにした。ただし録音・撮影の時間帯は後にずれることがあるので、録音・撮影がある日はその前にも後にも予定を入れないで欲しいと要請された。
録音・撮影は予定通りに行かずに遅くなる場合もある。時間が早くなることはないが、別の仕事を入れていて、そちらの予定がずれ込んだりすると困る。
制作休日については、実際には、とても多忙なアクア、結構仕事のある松田理史、七浜宇菜、など少数の出演者以外は、多くの出演者が休みの日は各自の部屋でゲームをしたり、CS放送で古い映画を見たりしていたようである。
制作日程と休日に関する説明のあと、コロナ感染対策のため、基本的には演技と声を別録りにするという説明がある。『ロミオとジュリエット』にも出た人たちは頷いているが、それ以外の人たちは戸惑っているようである。
ただ『ロミオとジュリエット』では先に演技の撮影をしてその後、声のアフレコをしたら合わなくなってしまった!という反省から今回は逆に音声を先に録音して、それが全部完成した所で演技の撮影をすると説明された。日程的にはこのようになる。
7/26-8/12 録音
8/15-8/27 撮影
つまり制作日程の前半は朗読劇のような作り方をする。演技撮影ではその声を聞きながら、それに合わせて口を動かすが声は出さずに撮影する。
映画の台本だが、基本的には日本語台本で録音は行われている。
ドイツ組は実は、フライフォーゲル以外は元々日本語のできる俳優さんが選ばれている。フライフォーゲルも2週間の日本語の訓練を受けてから来日し、成田での隔離期間中にもずっと日本語の先生とリモート接続でつなぎ、日本語の練習をしていた。
ただ、元々日本語ができた人でも、漢字を読むのは苦手っぽかったので、台本は全てローマ字で“ルビ”を振ったもの(+ドイツ語訳並記)を渡している。
これは、自動読み上げソフトのバリエーションで、漢字かな混じりの文章を自動でオールかな文字に変換するソフト(を・は・へ等は、お・わ・えと書く。また“馬”は“んま”に変換する)に掛けて、その段階で大和映像のスタッフがチェック修正し、最後にかな文字原稿を“ドイツ語っぽい!”ローマ字に自動変換してから、大本の漢字かな混じり原稿、それにドイツ語訳、と並べて印刷したものである。
(たとえば「し」は"schi"などに変換している。“白雪”は"Schila-Juki")
台本は結構途中で変わったので、こういうソフトが無かったら困難な作業だった。この変換担当者は、制作中は昼間は寝ていて毎日夜間に作業している。また、ドイツ語訳の執筆者も毎日夜間にドイツ語訳を調整している。どちらもお疲れ様である。
またドイツ組の録音作業の前には、日本人の朗読者(∞∞プロの30代の男性俳優さんたち:実は城の警備兵役の人たち)がそのセリフを発音するのを聞かせ、更に本人に発音させておかしな所を修正する作業を経て、本番録音に臨んでいる。だから、実際の録音ではごく普通に聞こえる日本語で発音するので、日本人の出演者たちが感心していた。
なお、王子のガードを演じたドイツ人留学生たちや、マラス大公妃役のエリザさんなどは、日本語を流暢に話すので日本人俳優と同じ扱いで特に配慮はしていない。王子たちの子供時代を演じたドイツ人子役さんたちも日本で育っているので、日本語はふつうの日本人の子供並みに話せる。レオポルド役のゲオルク君など白雪やまとをナンパしてた!(やまとが男の子だということに気付いてない!)
一方で若葉は、7/12から“撮影”が始まる8/15までの約1ヶ月で、郷愁村の『ヒカルの碁』の撮影セット跡地に、白雪姫のお城を建ててしまった。また、郷愁村と郷愁飛行場の間の森林部分に、七人の鉱山技師の小屋と、狩人の家を建てた。
今回の作業は、播磨工務店の3つのチームが分担して行った。若葉は千里がオリンピックで多忙なのをいいことに、播磨工務店に直接指令を出して動かしている。若葉はいつの間にか、南田社長と青池の携帯番号をゲットしていた。
・録音スタジオ:青組(ラピス隔離中に臨時スタジオを作ったチーム)
・ホテルの新館:黄組(クレール女子寮を作ったチーム)
・白雪姫の城:赤組(鏡迷宮を作ったチーム)
青組はスタジオを完成させた後、七人の鉱山技師の小屋・狩人の家を建てた。
映画の録音スタジオには、普通のスタジオにあるような“フロア”が存在しない。特別棟1つと3つの一般棟、それに録音技師や監督達のいる管理棟があり、特別棟に8個、一般棟には各10個の個室がある。個室は外部から直接入る仕様になっている。それで各々単独で部屋に入って台本を読んでいくのである。部屋にはトイレも付いている。トイレを共同にしないのも感染防止のためである。
部屋は安全のため、内部からロックできるので中に入ったらロックするように出演者たちには言ったが、椅子に座るとドアは自動的にロックされるようになっているので、ロック忘れにも安心である。念のため非常ブザーがあり、それが鳴れば(マスターキーを持つ)警備員が急行する。作業中は管理棟に警備員が2人常駐したが、幸いにもその手のトラブルは無かった(初日はロックの外し方が分からないと言った出演者に数回対応した!)。
個室は使用の度に消毒されるが、女性用の個室と男性用の個室は別になっており、女性の俳優さんが使った後の個室を男性の俳優さんが使うことはない。なお、アクア、雨梨美貴子、フライフォーゲル、七浜宇菜、坂出モナ、松田理史、岩本卓也、今井葉月の8人は特別棟に専用個室が用意されており、彼女たちの個室は他の人は使用しない。(モナなど結構私物を置いていた)
なおアクアの部屋には、他の出演者には内緒だが、椅子が2つあり、MとFが並んで座れるようになっている。マイクは1つである。マイクを2つ置くと、各々の声をもう一方のマイクも拾ってしまうからである。
でも狭い!
ついでにFがMに本番中に!“悪戯”するので、Mは我慢するのに苦労した!
(理史君には絶対知られてはならない)
お城の外観は、実は鏡迷宮のプティ・シャトウの設計を流用している。ただし、内部にはプティシャトウにもある王妃の部屋(鏡がある)の他に、広い玄関ホール、パーティー・成人式や結婚式の撮影をするメインホール、曲がりながら100mも続く廊下、白雪姫が落とされるテラス、水で満たされる地下室、王妃が魔獣を呼び出したりカンドラと密会する地下室、最後に白雪と王妃が闘う部屋、などが造り込まれた。この設計は播磨工務店の青池がミューズセンターの技師と一緒にスーパーコンピュータ Muse-4 を使用して3日で造り上げたものである。Muse-4の使用料金が7000万円!かかっている。なおお城の建設費は10億円だがむろん映画制作委員会が全額出している。(ホテル新館の建設費はムーランの負担で、制作委員会は宿泊料4000万円のみを払っている)
ヒカルの碁の映画で日本棋院を建てた場所に建設したので基礎もしっかりしている。
大曽根さんは、ハリボテの城とかを作って何とかしようと考えていたようだが、播磨工務店がわずか1ヶ月でちゃんと中身まであるお城を作ってしまったのに、驚いていた。念のため他の工務店に検査させて強度などは問題無いと確認してもらっている。
「このお城は震度7の地震がきても平気ですよ」
と検査した技師はむしろ感心していた。
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