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■夏の日の想い出・辞める時(14)

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2月12-13日には新曲『愛のデュエット』の2つのバージョンのPVが続けて撮影された。12日は、よみうりランドで撮影を行ったが、これに出演したのはハイライトセブンスターズのヒロシ(男役)とRainbow Flute Bandsのフェイ(女役)である。
 
わざわざ↑で「男役」「女役」と書いたのは、どちらが男役・女役をしてもいい感じだったからである。ふたりともそもそも性別が曖昧な雰囲気の私服で撮影現場に来ていた。
 
むろん元々ヒロシが男役、フェイが女役ということで依頼していたのだが、ふたりを見て監督さんは
 
「どちらが女役をしたい?」
と訊いた。
 
しかしヒロシの事務所の人が
「済みません。ヒロシの女装はあまり露出させたくないので」
と言い、
 
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「フェイは男装・女装どちらでもいいですよ〜」
とフェイの事務所の人が言うので、当初の予定通り、ヒロシが男役、フェイが女役と確定した。
 
「ぼく、けっこう女装も好きなんだけどね〜」
とヒロシは言うので、フェイが
「じゃ後で衣装交換してみようよ」
と言っていた。
 
このビデオではふたりが遊園地の中で偶然出会い、一緒に様々な楽器を演奏する。ピアノの連弾に始まり、リコーダー、フルート、クラリネット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロ、ギター、と合奏して、最後は1つのドラムスセットを2人で一緒に叩いている映像で終わる。
 
この撮影では2人はマジでこの全ての楽器をちゃんと演奏し、ひじょうに器用な所を見せた。ほとんどの楽器の演奏が1発OKで、難しい「2人ドラムス」も1回リテイクしただけで、美事に演奏してくれた。そもそも2人は自前のリコーダー・フルート・クラリネットを持って来ていたので、撮影にもそれを使用した。リコーダーは2人とも全音、フルートはサンキョウ、クラリネットはビュッフェ・クランポンの製品で見た目にも違和感が無かったので、監督も「そのままでいいですね」とゴーサインを出した。
 
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「だいたい2人とも用意していた楽器より高そうな楽器持って来てるし」
と★★レコードのスタッフが言う。
 
「じゃその用意した楽器はそのまま明日の撮影に」
と監督さん。
 
「でも3つともフェイちゃんの楽器のほうが僕のより高い」
とヒロシは言っていた。
 
撮影が終わった後で、本当にお互いの衣装を交換してみたら、それでもちゃんとフェイが男の子、ヒロシが女の子に見えるというので、スタッフは感心していたらしい。監督はそのバージョンでも撮影したがっていたが、ヒロシの事務所のマネージャーが「勘弁してください」と言ったので、撮影は行われなかった。絶対に公開しないという条件で、ヒロシとフェイの個人のスマホでだけ記念写真を撮っていた。
 
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仕事が終わった後、着換えるのに2人は「おしゃべりしながら着換えたいから」と言って一緒の更衣室に入った。双方の事務所の人が一瞬心配そうな顔をしたが「大丈夫。ぼくは同性愛じゃないから」と双方言ったので、どちらの事務所の人も悩むような顔をしていた。結局、ふたりの暴走?を心配して、フェイの女性マネージャー河原さんが同席した。セクマイバンドのマネージャーをするだけあって、実は河原さん自身もレスビアンである。
 
「でもフェイちゃん、本当は男の子なの?女の子なの?ここだけの話」
とヒロシが訊くとフェイは
「ぼくは男の子だよ〜」
などと言っている。
 
フェイは女性下着姿をさらしているが、実はヒロシも女物のパンティを穿いている。ふたりともパンティに盛り上がりのようなものは見当たらない。もっともヒロシのは普通のビキニショーツだが、フェイのはかなりのハイレグで、もし付いているなら、隠すのはかなり難しいぞとヒロシは思った。
 
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「ほんとに〜?だっておっぱいあるじゃん?」
とヒロシは言う。
 
フェイはブラジャー姿をさらしているが、見た感じはCカップ程度のバストがあるように見える。ただヒロシは彼女(?)がブレストフォームを使っている可能性もあるよなと思った。
 
「これ今日はたぶん女役だろうと思って付けてきたフェイクだし、おちんちんもあるよ〜。見せたら河原さんに叱られるからやめとくけど」
とフェイは実際答える。
 
「それは嘘だ。だいたいフェイちゃんの手を触った感触は女の子の手だもん」
「ヒロシちゃんの手もかなり女の子っぽい」
「化粧水とかハンドクリームでよくメンテしてるからだと思う」
「じゃぼくの手も」
 
「それともフェイちゃん、男の子だけど女性ホルモン飲んでるの?」
「女性ホルモンは飲んでるよ。ぼくの卵巣は弱いから。お医者さんから処方されているんだよ」
「やはり卵巣があるんだ?」
 
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「じゃ、ヒロシちゃんにだけ内緒で教えてあげる」
 
と言ってフェイはヒロシの耳に口を付けて囁いた。ヒロシは驚いた顔をして
 
「凄いことを知ってしまった」
と言っていた。
 
「一度セックスしてみる?恋愛抜き・後腐れ無しで。どちらが女役でもいいよ。ぼくどちらもできるし」
とフェイは誘惑(?)したが
 
「やめとこうよ。河原さんが恐い顔してるよ」
とヒロシは答えた。
 

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翌日13日には西武遊園地で、私とマリが出演したバージョンを撮影した。
 
ヒロシとフェイの出演したビデオは販促用としてショートバージョンを公開するとともに、ロングバージョンはDVD付きのCDに収録する。私とマリのバージョンはライブで流す用途である。ヒロシとフェイは本当に全ての楽器を演奏したのだが、私とマリのバージョンでは本当に演奏しているのは、ピアノ、リコーダー、ヴァイオリン、ドラムスだけで、他は演奏しているふりだけである。マリはフルート・クラリネット・トロンボーンの音が出せなかったし、チェロは音程がうまく取れないようだった。ギターも左手の押さえが曖昧で、まともな音が出なかった。
 
「なんでケイはそんなに全部音が出るの〜?」
「クラリネットは中学の時に吹奏楽部で吹いてたもん」
「トロンボーンも?」
「それはホラ貝の応用」
「そういえば夏にホラ貝吹いてたね!」
「青葉に習ったんだよ」
 
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なお、使用した楽器は★★レコードさんが用意してくれたお揃いのもので、ほとんどがヤマハの製品である。
 
ドラムスは打つふりだけにしてもタイミングなどを合わせなければいけないので、事前に1日掛かりで練習していたものの、実際の撮影にはわずか15秒分の撮影に2時間掛かった。
 
「お疲れ様〜」
「済みませーん。こんなに時間掛けてしまって」
 
「しかしヒロシとフェイのバージョンは彼らが実際に演奏した音を使ったバージョンも公開可能だけど、こちらは無理だな」
と監督さんが言っていた。
 
「この2人凄いですね〜」
と私も前日に撮ったビデオを見せてもらいながら言った。
 

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3月1日(土)。青葉が高岡から千葉まで出てきて、秋頃から建設していた神社の鎮座祭を、千葉市内L神社の宮司さんにしてもらった。この鎮座祭には、青葉と彪志だけが出席した。
 
もっとも宮司さんは、その場で神様を降ろすつもりで来たものの、実際には既に神様は祠の中に入っていた。
 
「これ、神様、入っているじゃないですか!」
と宮司さん。
「ええ。入ってます」
と青葉。
 
「どなたが入れたんですか?」
「本人が勝手に入っていきました」
「何か凄く神格が高い気がするんですが」
「それで素人が勝手に扱うべきではないと思ってL神社さんにお願いしたんですよ」
 
それで宮司さんは、青葉から聞いて『玉依姫神社』という銘を書き、これを額に納めて祝詞をあげて帰って行った。
 
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その晩はむろん彪志のアパートに泊まったものの、翌2日は市内に住んでいる桃香・千里のアパートを訪ねる。
 
「何か荷物が正月に来た時より随分増えてない?」
と青葉が言うと
 
「千里の友人が1月上旬から、ついこないだまで同居していて、その子の荷物がまだかなり残っているんだよ」
と桃香が言っていた。
 
「ち〜姉の恋人?」
「ただの友だちだよぉ」
と言って、千里は言っていた。
 
「気をつけていたが、千里とセックスとかした形跡は無かった」
と桃香。
「私が女の子に興味ある訳無いじゃん」
と千里は笑って言っていた。
 
彪志が首をひねっていたものの、その日は青葉と千里で協力してお昼御飯を作り、4人で一緒に食べた。青葉はその日の夕方の新幹線で高岡に帰還した。
 
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千里は、青葉を東京駅で見送って千葉駅で彪志君と別れ帰宅した後、桃香が求めるので応じた。そのあとそのまま眠っていたら携帯(千里はスマホではなくガラケー派である)の着信音で目を覚ます。
 
見ると鹿島信子である。
 
時刻を見ると午前1時だ。
 
こんな時間に掛けてくるというのはよほどの緊急事態なのだろう。
 
携帯を開いて返事をする。
 
「はい」
「夜分済みません、千里さん。実は緊急事態で」
という信子の声はこわばっている。
 
「どうしたの?」
と優しく訊く。
 
「電話ではどう説明したらいいのやら。夜分本当に申し訳ないのですが、こちらに来て頂く訳にはいかないでしょうか?」
 
「いいよ」
と千里は答えた。
 
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桃香は熟睡しているようなので「ちょっと出てくるね。朝までに戻らなかったら冷凍牛丼の具でもチンして食べておいて。御飯は5時に炊きあがるから」とメモを残して出かける。
 
これは車が必要かもと思ったので《こうちゃん》に駐車場まで乗せてってもらおうと思ったら返事が無い。居ない??それで《りくちゃん》に江戸川区の駐車場まで運んでもらった。そこからインプを運転して葛飾区の信子の所まで10分ほどで到達する。コインパークに車を駐めてマンションに行ってみると、信子は心ここにあらずのようにさえ見えた。
 
「どうしたの?」
と言って千里は信子をハグした。
 
「どうしよう?千里さん。私、男に戻っちゃった」
「え〜〜〜〜!?」
 
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それで信子が見せるので、彼女の股間を見ると、立派な物がくっついている。
 
「今までタックとかで誤魔化してたんじゃないよね?」
と千里は確認しておく。
 
「私、実は男の人とセックスもしたんです。ですから女の子の身体になっていたのは間違い無いです。それに病院の先生の診察も受けたし」
 
「だよね!」
と言ってから千里は腕を組んで考えた。
 

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コクッと信子が眠ってしまった。
 
《とうちゃん》に頼んで眠らせたのである。《りくちゃん》に頼んで彼女を布団に寝せて掛け布団も掛けてあげる。
 
『こうちゃん、出ておいで』
と千里は厳しい顔で言った。
 
《こうちゃん》はバツが悪そうな顔で出てきた。
 
『どういうことか説明しなさい』
『いやちょっとした親切で女の子にしてあげたんだけど、美鳳さんに叱られて』
『それで男に戻しちっゃたの?』
『勝手に性別を変えるのは混乱の元と叱られた』
『だからって、今戻すのは収拾がつかないほど混乱するじゃん』
『じゃそれ美鳳さんに言って』
 
『くうちゃん、緊急事態なの。私を美鳳さんとこに運んで』
『うん』
 

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■夏の日の想い出・辞める時(14)

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