広告:メイプル戦記 (第1巻) (白泉社文庫)
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■Shinkon(12)

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「先代神様がいちばん心配してたのはね、今の神様が主神でいる間に、村の不作が続いて、みんな農業を諦めちゃって、村に人がいなくなり、この村が消滅しちゃうこと。だから、何かの事業を興して欲しかったのよね」
と星はある時言った。
 
「最初から桃がいいと思ってたの?」
「ああ、あれは僕の思いつき。先代の神様は美味しい米を作ることを考えてたみたい。それが桃という話になってたんで、あれ?と思ったみたいね」
「へー」
 
僕と理彩は理彩が大阪市内の病院に勤めている間はずっとあのまま吹田市内の家に住んでいて、僕は朝晩のお勤めを欠かさなかった。朝、日出と同時にお勤めをして、車で高速をひた走り地元の村に戻って、午後2時か3時には辞して、また車で走って大阪に戻り、夕方のお勤めをした。最初は毎日自分で運転していたが、さすがに体力がもたないので、僕はドライバーを雇った。
 
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しかし3年後、理彩がうちの県の県庁所在地の病院に移ったので、神職さんにお願いして、分社も新しい家に引っ越させてもらった。安全な引越をしているかどうかは、そばにもう9歳になった星が付いているので問題あれば指摘してくれる筈で、心配する必要もない。その市内からだと村まで車で1時間で行けるので、僕の通勤もとても楽になった。
 
これは、県会議員さんに陳情して、道路を整備してもらったのも大きかった。それまで村に通じる道は1.5車線のぐねぐねした道路1本だったのが、2車線のまっすぐ通ったバイパス道路をわずか2年で通してくれた。
 
僕が陳情に行った時、県会議員さんも、ニコニコ顔で対処しますよと言ってくれた。あるいは裏金を出さなきゃいけないかなとも思って資金の準備はしていたのだが、特にそれは要求されなかった。向こうも僕のような若手事業家を味方につけておいた方が、何かの時に便利と思ってくれたのかも知れない。
 
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こちらに引っ越して2年後、僕たちは3人目の子供を作った。理彩は分娩の前日まで仕事をし、出産後一週間で職場に復帰するなどという、超人的なことをやって、師長さんから「大丈夫ですか?私だって出産後1ヶ月休んだのに」
などと心配されていたが「ああ、平気平気」と豪快に笑っていたという。
 
生まれたのは女の子であった。僕と理彩が初めて正常にセックスして作った子供である。生まれたのは2月14日。その年の祈年祭の日であった。名前は「光(ひかり)」にした。星が1月生、月が3月生、光が2月生で、全員早生まれということになった。星とはちょうどひとまわり違い、月とも10歳違いになる。月が「私、妹が欲しかったの」などと言って、とても可愛がってくれたし、星も「めんどくせー」などと言いながらも、おしめを替えたり、哺乳瓶でミルクを飲ませてくれたりしていた。
 
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そうそう。僕の男性能力なのだが、星への授乳が終わる頃に回復するのかなと思ったら、その頃に月が生まれたので、「ねえねえ、月に僕も授乳していい?」
と理彩に訊いたら「出るならどうぞ」というので、自分のおっぱいを月の口にふくませてみたら、ぐいぐい吸われて、どんどん出る。
 
「もしかして、私よりおっぱいの出が良くない?」
「そしたらいいね」
 
ということで、月には僕と理彩のふたりで授乳することになったのであった。月は3歳の時におっぱいを卒業した。そこで僕の授乳は5年続いたのであった。
 
「お母ちゃん、お疲れ様。じゃ、プロラクチンとオキシトシンの分泌を停めるね。それから停止させていたアンドロゲンの分泌を再開させるから」
と星が言った。
 
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「ねえ、星。アンドロゲンの分泌が始まったら、おっぱいも小さくなっちゃうの?」
「そりゃ、体内におっぱいを発達させるホルモンが無くなっちゃったら縮むよ」
「おちんちんの機能は復活させたいけど、おっぱいも大きいままにしておきたいんだけど、ダメ?」
「めんどくさいこと言うなあ。まあできるよ。おちんちんとたまたまの周辺だけ男に戻して、それ以外の部分は女のままにしておけばいいから」
「わあい、やってやって」
「しょうがないなあ。お母ちゃんの頼みなら聞いてあげないと」
 
と5歳の星はめんどくさそうな顔をしながら、僕の身体のホルモンを調整してくれた。その結果、僕のおっぱいは授乳していた時よりは少し縮んだものの、その後ずっとCカップを維持してている。
 
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理彩の「浮気」は僕が男性能力を回復するまで続いた。「浮気」とはいうものの、僕はだいたい気付いていたし、理彩もどうせバレるしという感じで隠そうともしていなかった。理彩の母が何度か心配して「あんたには言いにくいけど・・・・あの子・・・・」などと言ってきたことがあったが、「ああ、僕も公認しているから大丈夫です」と僕は明るく答えた。
 
「でも万一妊娠しちゃったら」
「絶対に生ではやらない。必ず避妊することというのだけ条件にしています。でも、それでも何かの間違いで出来ちゃった時は、僕の子供として産んで欲しいと言っています。それが彼女の浮気を認める条件です」
と僕は言った。
 
「他の人のタネでもいいの?あんた」
「誰が父親かなんて、信仰みたいなもんですよ」
「確かにね!」
 
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でも僕が男性能力を回復したことを言うと、理彩はもう浮気はしないと僕に誓った。
「寂しくない?」
「ううん。この6年間、十分楽しんだしね。そろそろ私も落ち着くべき時かなあという気もしていたし。これからは命(めい)のおちんちんで遊べるから」
「これまでも毎晩遊んでた癖に!」
 
「ふふふ。いいじゃないか。さあ、お嬢ちゃん、お股を開きな」と理彩。
「僕が開くの?」
「今日は私が男役だよ。さあ、あそこに入れちゃうから覚悟して」
「昨日も入れたじゃん! それにぼくのおちんちん使ってよ。やっと立つようになったんだから」
「じゃ、見ておいてあげるから、ここで出しちゃいなさい」
「えーん」
「私が見ててあげるから、命(めい)は見る必要無いね」
「は?」
 
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理彩は取り敢えず僕をいじめるのが楽しいようであった。その日は結局、目隠しされて自慰させられた。翌日は今度は手足を縛られた上で彼女の手でされた。しかもその後、朝まで放置された! 翌朝の朝のお勤めは僕を放置したまま理彩が代行したが、お母ちゃん何やってんの?って星から不思議な目で見られた。若き神様にはSMプレイというのはまだ理解できないらしい。
 
そして僕たちがふつうのセックスを再開したのは僕の男性能力回復から3日目のことだった。むろん理彩はコンちゃんを付けることを要求し、僕も承諾した。
 

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もちろん僕はずっと女装を続けていた。大学も大学院もずっと女装のまま通したし、農協さんとの交渉も地主さんたちとの交渉も、社員を雇う時の面接も女装でやっていた。僕は女声を使っていたので、そもそもこちらが男と気付かない人も多かったようである。
 
しかし「女装の事業家がいる」というのは結構話題としても取り上げられ、早い時期から僕はよく週刊誌などに取材された。それが結果的には事業の宣伝にもなったし、何度も取材されて雑誌社やテレビともつながりができていたことが、いざ事業が本格化してからも、ブランド桃や後に始めたブランド稲の宣伝に、そういうメディアに協力してもらえる元となったのであった。
 
星は高校を出ると神職さんの推薦で皇學館大学に入り、修士課程まで6年間の勉強をして明階(大きな神社の宮司にもなれる資格)を取って帰村し、神社の宮司となった。それまでの宮司さんは禰宜(ねぎ)として、星を支えてくれた。また、星は自分は人間と普通には結婚できないので、跡取りはそちらで何とかして欲しいと元宮司さんに言ったので、三女夫婦を説得して、その夫婦の子供を将来、皇學館大学に通わせることにした。
 
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祈年祭の踊りは毎年1時間も行かずに終了していたが、最初の年のように10分で終わるということもなく、だいたい30〜40分続いていたようである。その時期になると、毎年、星が「全くもう・・・」などと呟いていたので、いつも神様を説得するのに苦労しているのだろう。
 
「僕も滝行でもしようか?」
「ああ、それよりも桃を去年の倍、奉納して。あの人、結構桃が好きみたい」
「そのくらいお安い御用だよ」
 
そんなことを言ったのは星がこの神社の宮司になって2年目だった。
 
「だけど、お母ちゃんって人前では私と言っても家族の前ではいつも僕だよね」
「えー?だって意識として自分は男だもん」
「嘘つくのは良くないなあ。お母ちゃんは最初から魂は女だったよ。身体も女に変えてあげてから10年以上たつし、そろそろ私って言わない?」
「やだ。ねえ、星、僕の身体をそろそろ男に戻してよ」
「やだ。お母ちゃんが男って僕にとっては不自然だもん」
「それは先代神様に文句言ってよ」
 
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あれは光が生まれて1年ほどした時のことだった。日曜日だが理彩は気になる患者がいるからと病院に出ていた。僕はお昼を子供たちと食べたが、月が友だちと遊んでくると言って出かけて、光も寝てしまって、結局星とあれこれおしゃべりしていた時のこと。
 
「ね、星。こないだふと思ったんだけど、神様って、今の神様がその任期最後の年に人間の女の子とセックスして新しい神様を作るわけじゃない」
「うん」
「ということは、3世代の神様のうち、前の神様と次の神様が親子であって、今の神様は血縁は無いんだね」
「そうだよ。だから、この村の神様は2種類の血統が引き継がれてるんだ。どちらも那智をルーツにする水の龍だけどね。とっても仲が良かったから、一緒にこの村を守ることにしたんだよ」
「そうか。神社の社紋は絡み合う2匹の龍だもんね。二重螺旋っぽい。それなのに神様は三柱というのが不思議だなと昔から思ってたよ」
 
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「あの社紋は300年くらい前に、やはり神の子で神職を務めた人が定めたんだよ。江戸時代で神社受難の時代だったけどね。神紋は1匹だけ描いた水龍紋だからね。それもその人が定めたんだけど」
「あ、そうか。3つの御神輿の各々には1匹だけの龍の紋があるけど、それが神紋か」
「そうそう。神紋というのは祀られているそれぞれの神様のもの。社紋は神社のものだから複数の神様が祀られているとしばしば神紋の合成になる」
 
「引退した神様は那智に戻るの?」
「うん。180年も神様やってるとさすがに力も衰えるから、那智で余生をのんびりすごす。今那智にはここを引退した神様、何人かいるよ。でも本当に大変な時は村に戻って現役の3人を助けてくれることもある。他の村を助けに行くこともある」
 
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「そうだったのか。神様の寿命ってどのくらい?」
「さあ、どうなんだろうね。みんな途中で自分の年を数えるの忘れちゃうっていうから」
「あはは。でもどこの神社の神様も世代交代するの?」
 
「それもよく分からないんだけどね。うちみたいに世代交代する所は多いけど少なくとも1000年以上代替わりしてない所もあるよ。どこかというのは言えないけど」
「それはまた凄い神様だね」
「うん。あの人は凄いよ。それと世代交代で人と交わるって所はさすがに少ないと思う」
「そんなところばかりだったら、日本中で神婚が大量発生するだろうね」
 
「でもお母ちゃんは、ずっと女の格好のままだね」
「うん。こういう格好が気に入ってるから」
「いっそ、お母ちゃんを女に変えてあげようかとも思ったことあるけど、それだとお父ちゃんが困りそうだね」
「うん。僕と理彩は人間同士の夜の営みしてるから」
「そのあたりが僕はまだ不勉強でよく理解できないところだなあ」
「まあ、人の生き方は様々だし、愛のあり方も様々なんだよ」
「うーん。頑張って勉強してみよう」
 
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「星も人間の女の子と恋愛とかしてみる? 星も中学生だもん。恋愛くらい経験しときなよ」
「あ。それはダメ。ふつうの形でセックスするのは禁止されてるから」
「中学生だもん。まだセックスしなくていいと思うよ」
「そっかー。じゃ、恋人作ってみようかなあ」
「そういえば星は、自慰もしてないみたいだよね?」
「うん。自慰も禁止」
「我慢できるの?」
「我慢するよ。だって僕、神様だから、人間とは忍耐力が違うよ」
「お。さすが」
 
「やっぱり今夜にでも、お父ちゃんに、お母ちゃんを女に変えちゃダメかって、聞いてみよう」
「え?」
 

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15時頃戻って来た理彩は、星が「お母ちゃんを女に変えたらだめ?」と聞いたのに対して「賛成。今すぐにも変えてあげて」と言った。僕は「待って。それならせめてもの武士の情けで、あと1回セックスさせて」と言った。
 
僕たちは人間のセックスを見学したいなどという星が見ている中、居間で裸で生でセックスした。
「終わった?」
「うん」
「じゃ変えちゃうね」
と星が言うと、僕のおちんちんとたまたまは一瞬で消えて、割れ目ちゃんができていた。
 
「おお、すごい。女の子になった」と理彩が異様に喜ぶ。
「触らせて触らせて」などと言って楽しそうに触っている。
「ちょっとやらせて〜」などと興奮したように言うので「好きにして」と言ったら、理彩は僕を後ろから抱いて、乱れ牡丹の体位で僕を逝かせた。女として逝ったのは星を妊娠した時以来だ。
 
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「へー。女同士でも夜の営みできるみたいね?」
などとそばでじっと見ていた星が言う。
「できるよ」
「じゃ、このままで問題無いね?」
「問題無し」と理彩。
「えーん」と僕は泣いてみせたが無視された。
 
そういう訳で僕はもう12年ほど女の身体(生理付き)で生きているが、理彩とは円満である。浮気中止宣言以降も時々(本人的に)こっそりしていた浮気も止んだ。なお、この最後のセックスでは子供ができた。男の子で「海」という名前にした。男の子なのだけど、星のいたづらでしばしば女の子に変えられていた。しかも本人は女の子の状態が好きみたいで、喜んで光のスカートを穿いたり、女の子水着で友だちとプールに行ったりしている。僕はこの子の将来がとても不安である。
 
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この物語の略年表
 
2012 命1年 理1年
2013 命1年 理2年 星0
2014 命2年 理3年 星1
2015 命3年 理3年 星2 月0
2016 命4年 理4年 星3 月1
2017 命MB1 理5年 星4 月2
2018 命MB2 理6年 星5 月3
2019 事業本格稼働 理彩医師になる 星6 月4
2022 引越 星9 月7
2025   星12 月10 光0
2027   星14 月12 光2 海0
2031 星が皇學館大学に入る 星18 月16 光6 海4
2037 星が宮司になる 星24 月22 光12 海10
 
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