広告:まりあ†ほりっく 第4巻 [DVD]
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■Shinkon(10)

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その時、星が何か言いたそうな顔をした気がした。僕が星の口元に耳を寄せたら
「ここに決めて」
と星が言ったような気がした。
 
「ん?どうしたの?」
「星がね、『ここに決めて』と言った気がした」
「へー。星が言うんなら間違いないね。ここにします」と理彩。
「通学はどうしようか?最寄り駅は岸辺駅だけど、乗り換えが面倒だよね」
 
「ここからさ、車でモノレールの摂津駅まで5分くらいで行かない?」と理彩。
「そうですね。空いていれば5分で行きます。混雑すると10分くらいかかるかも」
と不動産屋さんの人。
 
「じゃ、その分余裕を見て出ればいいかな。モノレールの駅まで行けたら、あとは、医学部にも理学部にも直結。ま、私は万博記念公園で乗り換えるけど」
「確かに。でも朝は一緒に出るにしても帰りは?」
「早く帰ってきた方がそのまま家まで運転して帰って、遅くなった方は連絡して迎えに来てもらえばいい」
「あ、そうか。理彩、頭良い!」
 
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「もっとも、命(めい)が免許取るまでは、私が帰ってくるまで命(めい)は駅でひたすら待つしかないけどね」
「うん、頑張って免許取る」
 
そういう訳で、僕たちはその一戸建てを借りることにした。摂津駅の近くの駐車場も、不動産屋さんに紹介してもらって月12000円の所を借りることができた。また通学用に中古のVitzを20万円の破格値で買った。
 
またここはJRの岸辺駅までは充分歩いていけるので、田舎と往復するのにも便利であった。
 
「考えてみると、ここ凄くいい場所だね」
と僕たちは入居して1週間もしない内に言った。
 

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僕たちは、今主神となった神様の怒りを少しでも鎮めたいということを神職さんに言い、神社の分霊を作ってもらって、僕たちの家に持ってきてもらった。神職さんが、1階の6畳にきちんと「分社」として作ってくれたし、上げるべき祝詞も渡されて、きちんと毎日朝晩唱えてくださいと言われた。
 
「きちんと祭れなければ逆効果になりますからね」
「はい。命(めい)をぶん殴っても唱えさせますから」と理彩。
「私も命(めい)君だけなら不安な気がしたのですが、理彩さんが付いていれば大丈夫だろうということで、このお話に乗りました」と神職さん。
 
「なんか信用度が違うなあ」と僕は苦笑した。
「あと、この神様を祭っている部屋ではセックスしないでください」
「はい。この部屋はできるだけ清浄に保ちますから」
「ここを星の部屋にするのはいいですか?」
「ええ、それがいちばん問題ありません。星君はきっと神様と直接対話できますし」
 
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そういう訳で、この部屋は基本的に星の部屋ということにし、僕か理彩が添寝してお世話する部屋ということにした。セックスをしたい時は星が寝ている間に隣の居間で、僕たちは睦みごとをした。この時期、まだ僕の男性能力は回復していなかったけど、お互いの秘部を刺激しあうだけでかなり気持ち良かったし、松葉の体位で直接お互いのお股を合わせて刺激を楽しんだりもしていた。勃起しないおちんちんが理彩の股間をゴロゴロ移動するのも結構楽しかった。
 
「これなら、おちんちん無くなってもやっていけると思うよ。性転換する気無い?」
「無い無い」
「私が医師免許取ったら、ロハで手術してあげてもいいよ」
「いや、遠慮します」
 
そんなことは言ったものの、僕は女装で出歩くのがすっかり癖になってしまい、お腹が収縮して元の大きさまで戻って来ても、僕は相変わらず女の子の服を着て買い物に行ったり、図書館に行ったりしていた。田舎からどちらかの親が出てきてくれている時は、星をまかせて、僕と理彩のふたりで、まるで姉妹か何かのような感じでお出かけして、遊んだりもした。
 
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「女の子にまでなるつもりなくても、もうそういう格好が癖になったでしょ?」
「うん。10月になったら、これで学校に出て行くよ」
「よしよし」
「おっぱいもまだDカップあるしなあ。この胸ではそもそも男装不能だよ。神様は授乳期間が終わったら男性能力回復するって言ってたけど、バストも小さくなっちゃうのかなあ」
 
「大きなおっぱいが癖になったね」
「なった。平らな胸になったら悲しい」
「ふふふ。もう女の子の身体になりたくなる10秒前だね」
「うーん」
 

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4月から僕は自動車学校に通い始めた。どうせ休学しているし、本当は合宿コースに行ったほうが早く免許を取れるのだが、星のお世話もしなければいけないし、朝晩のお勤めもあるので、通学コースにした。
 
僕は自動車学校にも女装で行った。すると、僕の名前がそもそも男女の性別が曖昧なので、学校側はこちらを女子と思ってくれたようであった。特に問題が発生することもなく、ふつうに講習は進んだし、女子の友人も随分できた。
 
僕は高校時代までも、けっこう女子の友人達と気軽に話ができていたので、そのノリで話すと、向こうもふつうに接してくれた。
 
「ふーん、これはどなた?」
などと、理彩が僕の携帯のアドレス帳を勝手に開けては、女性っぽい登録のところで追求する。
 
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「ただの友だちだよ。自動車学校の知り合い」
「私も浮気しちゃおうかなあ」
「僕は別に浮気してないよ。それに理彩がこないだから△△君と3度デートしたことは知ってるよ」
「ちぇっ、バレてたか」
 
「でも僕は結婚した時に言ったように、理彩が他の男の子とセックスしても構わないよ。僕のことも愛してくれている限りは」
「うん。まあ、△△とはこないだのデートの時既にセックスしたけどね」
 
「でもこんなことお互いに平気で話せるって、僕たちきっと凄く変な夫婦だよね」
「うん。変だというのは認める。だいたい夫が子供産んだという時点で全ての前提がひっくり返ってるし」
 
結局、理彩は僕のアドレス帳に女性の友人の登録があることは認めてくれた。そして10月に学校に復帰した後は、更に女性の友人の登録が増えて行くのである。
 
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僕は5月中に運転免許を取得した。
 

その年の夏、サマージャンボの発売時期になると、星が僕のパソコンを操作して、みずほ銀行○○支店のページを開いていて、11:00 というのをGoogle Barに打ち込んでいた。
「星、ここで宝くじを買えっての?バラでいいのかな?」と星に向かって言うと星はニコリと笑った。
 
そこでその通り買ったら(買う前にソーミーショーリョーと唱えた)、またまた2億円が当たってしまった。
 
「ねえ、去年も思ったんだけど、この当選金って、星を育てるためというだけにしては多すぎない?」
「それね、僕も去年の秋頃から思ってたんだ。これ、何かに使えという意味だと思う」
「何に?」
「村に事業を興す」
「わあ」
 
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「今考えているのは、あの村って土地は余ってるから、何か付加価値の高い作物を植えて、ブランド価値を付けて大阪・京都・神戸に出荷する」
「何を作るの?」
「僕も農業とか継ぐつもり全然無かったからさ、不勉強だったんだけど、色々勉強してて、やはり果物がいいと思うんだよね」
「ああ、そうだろうね。柿か何か?」
「桃が行けないかなと思ってる」
「あの村で桃が作れたら、けっこう付加価値出るね」
「でしょ?」
 
実は何の作物にすべきか悩んでいた時に星が「桃」と言ったから、というのは取り敢えず内緒である。
 

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僕たちは一度帰省して、農協の人に、桃の新種を開発して村で栽培するというプランを打ち明けた。新種の開発のために1000万円提供すると言うと、農協の人は驚き、それだけの費用があれば充分開発できると思うといい、県の農業試験場に開発の依頼をしてもらった。それと同時に村の中で桃の作付けに適した土地の調査も開始してくれた。その調査のためにも取り敢えず200万円を渡し、足りなくなったら言ってくれと言った。
 

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10月、僕が学校に復帰すると、女装なのでみんなが驚いたようであった。
 
「どうしちゃったの?」
「うーん。何となく、癖になっちゃって」
「まさか性転換手術のために1年間休んでいたとか?」
「ああ、手術はしてないよ。赤ちゃん作ってただけ」
「赤ちゃん?」
 
去年のクラスメイトが男女6人、僕たちの子供を見たいと言って、うちに押し寄せて来た。ちょうどその日は理彩が戻っていた。
 
「奥さんですか? いつの間に結婚したの?」
「婚姻届けを出したのは年末なんですよ。この子が1月16日に生まれたから、もうギリギリ直前」
「斎藤君ってアバウトなのね」
「いや、ごめんごめん」
 
という感じで、みんな理彩が産んだ子と思っている。まあ、そう思ってもらっておいた方が、あれこれ問題も少ない。
 
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「でも、赤ちゃん、可愛い!」
「抱っこしてもいいですか?」
「うん、いいよ」
という訳で、女子3人が、代わる代わる星を抱っこした。星はご機嫌で笑っていた。
「人見知りしないんですね」
「ああ、田舎に連れ帰って、村の人たちにも抱っこされてたけど、誰に対してもご機嫌なのよね」
 
「でも、奥さんとして、彼氏がこんな格好しててもいいんですか?」
とクラスメイトのひとりが僕の女装のことを言う。
「あ、それは平気。むしろ、昔から私が命(めい)には女装を唆してたから」
「わあ、奥さん公認で女装できるなんて、良かったじゃん」
「うん、まあね」
 

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その年の村の収穫は、ふだんの年よりは落ちたものの(去年からすると大幅ダウン)、凶作というほどではなく、村人はホッとした。
 
「命(めい)さんたちの毎日のお勤めのお陰ですよ。私も今年は例年以上に熱心にお勤めしたし、毎月滝行もしてたんですけどね」と神職さんが言っていた。
 
「先月、先代の神様が来ました。神職さんの滝行で今の神様もかなり軟化したと言ってましたよ」と僕は言う。
「今の神様が生まれた時、村の中でただひとり母子を守ってくれたのが神職さんのお父さんだったからって」
 
「そのお母さんはどうしたのでしょう・・・」と神職さん。
「ずっと東京に住んでいたようですね。10年前に68歳で亡くなったそうです。亡くなる時に、お前は村を恨んでるかも知れないけど、私はとうに怨みは消えてるから、お前が神様なら、あの村を守ってくれと言い残したそうです。それで、那智からあの村に戻る決心をしたそうです」
と僕は先代神様からきいたことを伝えた。
 
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「そうですか」
「これ、理彩と神職さんの2人だけには言っていいと言われました」
 

星は時々不思議なことをするものの、普通の赤ちゃんのように育って行った。5月頃には「あーあー」とか「ばぶー」のような感じの喃語が始まり、8月頃にはお座りができるようになり、かなりしゃべるようになったし、赤ちゃん用のおもちゃでも遊ぶようになった。12月になると、はいはいもするようになった。
 
そしてそれはその年もくれて、翌年の1月16日のことであった。誕生日なのでうちの母と理彩の母も来てくれていて、みんなで少し豪華な御飯を食べてからみんなで居間でくつろいでいた時、隣の星の部屋に突然光が射した。
 
え?何事?と思って、僕たちは星のそばに寄る。
 
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するとそれまでベビーベッドで寝ていた星が突然立ち上がった。そしてこう言った。
 
「お父さん、お母さん、そしておばあちゃんたち。これまで僕を育ててくれて、ありがとうございました。僕も神様になる日が来たので、これから父のいる国に向かいます」
 
僕たちは夢でもみているかと、目をパチクリさせていた。しかし星は
「では、さようなら」と言うと、そのまま天井を突き抜けて、空高く飛んで行ってしまった。
 
僕たちはみな呆然としていた。
 
かなり長い沈黙が続いた後、理彩が
「星、天に還っちゃったのかな。賀茂の玉依姫伝説みたいに」
と言う。
 
僕は涙があふれてきた。
「そんなの嫌だよお。寂しいよ。もっともっと育てたかったのに」
 
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理彩が僕をガッチリ抱きしめてくれた。
 

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