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その日は結局夕方くらいまで図書館に居て、夕方、待ち合わせすることにしていたファミレスに行くと「遅い!」と理彩から怒られた。
「ごめーん。図書館でつい本に夢中になっちゃって」と僕は謝る。
「ま、私も面接の後、洋服屋さんをのぞいていて、実はさっき来た所なんだけどね。てっきり、命(めい)を待たせたと思ったのに、いないんだもん」
「いい服見つかった?」
「うん。後でホテルで見せてあげるね。命(めい)は何読んでたの?」
「古事記。夢中になって全部読んで、そのあと日本書紀も神話時代の所だけ読んだ」
「へー。そんなに面白いんだ」
「戦前は歴史の時間に古事記・日本書紀の内容とか教えていたらしいけど、さすがに歴史として教えるのは変でも、国語の時間ででもいいから、一度教えておくべきものだって思った」
「そうかもね。どんな話に興味持ったの?」
「うーん。神様や人間たちの恋愛話かな」
「ああ、さてはHな所に興奮して読んでたんでしょ?」
「そう興奮はしてないけど。もっとも、伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)の求婚の所とかは凄くあからさまでギクッとしたけど」
「あ、それは私も知ってる。伊邪那岐(いざなぎ)が自分の体には『成り成りて、成り余る所がある』と言って、伊邪那美(いざなみ)が自分には『成り成りて、成り会わぬ所がある』と言って、『僕の成り余る所をそなたの成り会わぬ所に入れて』子供を産もうって言うのね」と理彩は楽しそうに言う。
「ダイレクトな表現だね」
「私たちも今夜、命(めい)の成り会わぬ所と、私の成り余る所を合わせる?」
「ちょっ!それ逆!」
「あ、そうか。私、おちんちん無いしな。命(めい)はおちんちんがあるんだっけ?割れ目ちゃんがあるんだっけ?」
「小さい頃、お医者さんごっこでお互いの見てるじゃん」
「というか触ってるしね。あの頃は無邪気だったね」
「それでさ、理彩」
「うん」
「僕たち、4月から、恋人にならない?」
僕はかなりの勇気を振り絞り、その言葉を言った。理彩は微笑んで、それからティーカップにアスパルテームを入れてかき混ぜ、一口飲んだ。僕は黙ってそれを見ていた。
「そうだね・・・その返事は明日の朝していい?今夜はHしていいからさ」
「分かった」
食事をしてから、ホテルに一緒に戻る。僕たちは同じ部屋に入った。交替でお風呂に入った。理彩が入った後のお風呂に僕が入る。昨日までは各々の部屋のお風呂を使った。同じお風呂を使うというだけで、かなりドキドキする。理彩はお湯を流していなかったので、僕は理彩が浸かったお湯に自分が浸かるというだけで興奮してあそこが少し大きくなってしまった。
お風呂の後、できるだけ鎮めた上で一応服を着て出て行くと、理彩はホテルのガウンを着ていて、今日買ってきた服を取り出して見ていた。
「可愛い服だね」
「でしょ。それに値段も可愛いのよ。このTシャツが300円、スカートも1000円」
「それはまた凄いね。さすが大阪!」
「ね?命(めい)も着てみる?」
「なんで、僕が着るのさ?」
「え? こういう服を着るの抵抗無いでしょ?小さい頃なんて、ずっと女の子の服着てたじゃん。私と姉妹みたいにして写った写真、けっこう残ってるし」
「あれはおまじないだからね」
僕は母の胎内から出て来た時、息をしていなかった。へその緒が首に巻きついて首を絞める状態になっていたらしい。取り上げたお医者さんや助産師さんが全然予想していなかった事態だったので、驚き、足や手をさすったりするものの、自発呼吸に至らない。
その時、騒ぎを聞きつけた院長先生がやってきて、息をしていない赤ん坊を見ると取り上げていきなり床に叩き付けた。
「何するんです?院長!?」とびっくりして、担当医も助産師も言ったが、僕は床に叩き付けられたショックで「おぎゃー」と泣き、自発呼吸を始めたのである。若い頃に先輩の医師がやったのを見たことがあるので、と院長先生は言ったらしいが、ともかくも、そうやって僕は胎内から直接あの世に行くことなく、この世に命(いのち)を得たのであった。
そういう経緯から僕は「命(めい)」という名前を付けられた。
しかし、僕は新生児の頃から、随分と病弱で、毎月のように病院通いをしていた。そういう僕を見て、神社の先代神職さんが「そういう子は女の子の格好をさせて育てるといい」と言い、それで僕はずっと小学校に入る直前まで女の子の服を着せられていた。そんな僕を、理彩はずっと本当に女の子とばかり思っていたという。「女の子でもおちんちんある子いるのね」と理彩は言い、僕も「あれ、おちんちん無くて不便じゃない?」なんて言ったりしていた。しかし確かに女の子の服を着せるようになってから、僕はあまり大きな病気をしなくなったらしい。
「最近は自分では全然女の子の服、着ないんだっけ?」
「着ないよ」と僕は笑って言うが
「じゃ。たまには着てみようよ」などと理彩は言う。
僕はまあ試験も終わったことだし、たまにはそういうお遊びもいいかと思い、理彩からTシャツとスカートを受け取ると、着ていた服を脱いで、それを身につけてみた。
スカートを穿くのは久しぶりだ。ちょっと頼りない感覚もあるが、その開放感は悪くない気はする。スカートもTシャツもサイズぴったりだった。そもそも僕と理彩ってサイズ同じだしな。。。
「あ、足の毛剃ってある」
「いや、こないだ祈年祭の時に剃ったら、すべすべした肌が気持ち良くて。つい、そのあとずっと剃ってる」
「ふーん。。。。まあ、鏡見てごらんよ」
僕は浴室のそばにある姿見に自分の姿を映してみた。
「うーん。こういうのも嫌いじゃないなあ」
「さすが、スカートが似合うね。やはり子供の頃たくさん穿いてたから、着こなせるんだろうね。それとも今でも普段穿いてるんだっけ?」
「ううん。そんなに穿いてないよ」
「そんなに穿いてないって事は時々穿いてるのか。私がたまに穿かせてあげてるの以外にも」
「あ、いや、それは・・・・」
小さい頃から理彩と遊んでいて、よく僕は理彩のスカートとかを穿かされていた。そのまま外で遊んだりしたこともある。中学や高校の時も、何度か彼女の制服を着せられていたし、春代と一緒に「女の子三人」で遊んだりしたこともある。理彩からは「ねえ、もうおちんちん取っちゃって女の子になろうよ」なんて、何度言われたことやら。
「別に隠し事しなくてもいいじゃん、私と命(めい)の間柄で」
「僕と理彩の間柄って?」
「こういうことする間柄」
と言って理彩はいきなり僕に抱きつくとキスした。
『あ・・・・』と僕は声を出そうとしたが、キスしているので声にならない。理彩のバストが僕の胸に押しつけられて、その感覚だけで心臓が速い鼓動を打つ。
「ベッドに行こう」
「うん。あ、例の物は?」
「出しておくね」
と言って、理彩はエナメルのスポーツバッグから例の箱を取り出し、中を開けひとつ切り離すと、ベッドの枕元に置いた。
「僕、この格好のまま?」
「どうせ中で脱ぐから、今何着ていても同じよ」
「そうだね」
僕たちは抱き合ったまま、ベッドに横になり、毛布の下に潜り込んだ。しばし抱きあっていたが、やがて理彩は僕のスカートの中に手を入れて、パンツの上からそれをいじり始める。理彩はこの日、物凄く積極的だった。
理彩に触られると、たちまち、それは大きくなってしまう。すると理彩はパンツを引き下ろすと、直接それを刺激しはじめる。
「大きくなったね」
「そりゃ、なるよ」
「小さい頃も、こんなことして遊んでたね。お医者さんごっこで」
「うん」
「お注射しまーす、なんて言っておもちゃの注射器を、大きくなったおちんちんに突き立ててた。こんな大きくなったのはきっと病気ですよーなんて言って」
「やられてたね。どうしても治らないから手術して切っちゃいましょうとか言われて、ままごとの包丁を当てられたこともあったし」
「ほんとに切り落としてみたかったんだけどねー。そしたら命(めい)も私と同じ、おちんちんの無い女の子になれると思ったから」
「でも僕も逆襲して、けっこう理彩のを触ってた。理彩のおちんちんは小さいですね。これ何かの病気です。とかいって。女の子のあそこにクリちゃんが存在することをそれで僕は知ったから」
「考えれば考えるほど、私たち、やばい遊びしてたよね。。。。。。命(めい)、私のヴァギナにも結構指を入れてたよね」
「何だろう?ここはと思ったし。そんなに深くは入れてないと思うけど」
「うん。少しだけだよね。でも入れられる感覚がなんか気持ちよくてびっくりした。私、あの感覚が忘れられなくて、自分でも処女膜を痛めない程度によく自分の指を入れて遊んでたよ」
「あの時、僕、理彩のバージンもらっちゃってたのかも」
「私はそのつもり。だから私、これまで命(めい)に操(みさお)を立ててた気もして。だから今日は私のバージン正式にもらって。私この問題すっきりさせたいんだ」
「うん。あ・・・・理彩、好きだよ」
「私も好き、命(めい)」
僕たちはしばしお互いのものを刺激しあっていたし、僕は理彩の乳房にもかなり触っていたが、やがて理彩がかなり濡れてきて「早く入れてよ」などというので、僕はちゃんとコンちゃんを装着した上でゆっくりと中に入れた。う・・・こんなに窮屈だとは・・・・でも、これ急激に動かしたら痛いだろうから、ゆっくりと動かさなきゃ。そう思うと、強烈な圧迫感の中、おそるおそる出し入れをした。
しばらくそんな感じでしていたが、「もう少し速く出し入れしても大丈夫だよ」と理彩が言うので、僕は少し頑張って腰を動かして、出し入れをした。強い圧迫感の中で動かすと、強烈な快感だ。理彩の様子を伺うと、何だか気持ち良さそうな顔をしている。一緒に逝けるといいな。そんなことを思いながら、自分が発射してしまわないように少し我慢しながら、僕は出し入れを続けた。
「もう逝っていいよ」そんなことを理彩が笑顔で言った。
僕はもう我慢の限界に近かったので、そのまま発射した。
どっと力が抜けて、理彩の上に体重を預けてしまった。そんな僕の背中を理彩が優しく撫でてくれた。
そのまま眠ってしまったようだ。「理彩?」と小さく声を掛けると「おはよう」と言って理彩が目を開けた。
「あ、ごめん寝てた?」
「ううん。私も少し寝てたけど、少し前に目がさめた。でも、気持ち良かったね」
「うん。凄く気持ち良かった。女の子の方も気持ちいいものなの?」
「そうでなきゃ、セックスしようと思わないよ」
「だよねー」
「下手な男にやられると、全然気持ちよくないらしいけど。私が気持ち良かったから、きっと命(めい)はうまいんだよ。他の子と経験したことあるの?」
「ううん。初めてだよ。でもきっと、僕たちセックスの相性がいいんだよ」
「ああ、そうかもね。あ、そうそう。顔の感覚、変じゃない?」
「え?」
そう言われて、僕は初めて顔に違和感があることに気付いた。何?これ?
「ふふふ。鏡貸してあげるね」
と言って、理彩はベッドのそばに置いていたポーチから、小さな折りたたみ式のミラーを取り出して、僕に貸してくれた。
「ぶっ」
「可愛いよ」と理彩がニコニコして言う。
僕は顔にお化粧を施されていた。
「命(めい)って、女の子と見ても美人の部類の気がするなと思ってたけど、お化粧すると、ますます美人になるね」
「あはは」
「スカート穿いて、その顔で、コンビニとかにでも行ってくる?」
「さすがに勘弁して」と言って僕は笑った。
「恥ずかしがることないのに」
と言って、理彩は僕の唇にキスをした。僕たちは舌を絡め合って、相手をむさぼった。
その夜、僕たちは僕がお化粧したまま(スカートもまだ穿いたままだ)、もう1戦やってから、そのまま朝まで寝ていた。コンちゃんも2枚目を使用した。
朝は僕が少し早く起きた。理彩の寝顔がとても可愛い。僕たち、これで恋人になっちゃったのかな・・・・・そんなことを考えると、彼女のことが、とても愛おしく感じた。僕はテーブルの上に置かれていた理彩のポーチからクレンジングを無断借用して、お化粧を落としてきた。スカートは何となくそのまま穿いていた。顔を拭いて戻ると理彩も目を覚ました。
「おはよう」と理彩は笑顔で言う。僕も健やかな気分で
「おはよう」と返した。
「ね、昨日の話だけど、僕たち恋人として付き合えるよね?」
「それなんだけどね・・・・」
と理彩は突然少し悲しい顔をした。
「こんなことしておいて、こんなこと言いにくいんだけど、私たち、友だちとして付き合えない?」
「え?」
「恋人じゃなくて友だちとして命(めい)とはやっていきたいの」
「ちょっと待って。こういう関係作っておいて、それはないよ!」
「たまにセックスしちゃうかも知れない、お友達ってのではダメ?」
「嫌だ。恋人になりたい」
「じゃ、お友達として1年間付き合って、それでやっぱり恋人の方がいいと思えたら、あらためて恋人になってもいい」
「1年間・・・・」
「私さ、物心付いた頃から、そばに命(めい)がいたし。私自身、命(めい)のことを事実上彼氏と思っていた時期もある。中学の時はキスしたしね」
「あの時も、一度話し合って、友だちでいようって言ったね」
「うん。でも結局、私命(めい)以外の男の子をあまり見たことがないの。小学・中学・高校では私たち、みんなから恋人か許嫁みたいに思われてた感じだったから、遠慮されてる感じだったし」
「あの狭い社会の中では、あまり冒険できないもん。春代なんて僕のこと安全パイと思ってる感じだった」
「だから都会に出て来たのを機会に、もう少し他の男の子のことも知りたいの。凄くわがままなこと言ってるのは承知だし、命(めい)の気持ちは分かってるから悪いとは思うけど。その・・・命(めい)も私以外の女の子も少し知った方がいいと思うよ」
「今はじゃ。。。。恋人になれないの?」
「ごめんね。どうしてもセックスしたくなって、その時、私に彼氏がいなかったらしてもいいよ」
「それもあくまで、友だちとしてのセックスなの?」
「うん。1年後。来年の2月に再度、私たちの関係を話し合えない?もしその時、ふたりともフリーだったら」
「分かった。理彩がそんなこと言い出したら、絶対撤回しないし。でも僕は、ずっと理彩のこと好きだから」
「うん」
そう言うと、理彩は僕にキスをしてくれた。