広告:ここはグリーン・ウッド (第5巻) (白泉社文庫)
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■△・Who's Who?(12)

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但し病院側は追加の提案をした。
 
岬の外陰部は現在、“ペニスと睾丸を取っただけ”の状態に近いので、これを性別適合手術に慣れた病院に連れて行き、普通の女性の股間に見えるように形成手術をしてもらうのがいいというものである。ただちに射水市にあるクリニックに連絡する。クリニックの松井医師は
 
「そういうことならすく連れてきなさい」
と言い、岬は松井の手で、ごく普通の女性の股間を持つ“女の子”に生まれ変わることができた。
 
病院では、岬は半陰陽だったので、出生時には男児と誤認されていたが本当は女子で、性器の形も本来の性に合わせて調整したという診断書を書いた。それで岬はこの診断書を元に性別の訂正を裁判所に申請することになった。
 
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これが4月中旬のことだったのである。依田は4月から別の学校に転任していたので、啓太や岬たちと依田先生はお互いの状況を知らないままであった。
 

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ゴールデンウィーク十日間(4.27-5.6)にアクアは、平成から令和への“元号またぎ全国ツアー”をおこなった。例によってハードスケジュールなので、山村マネージャーこと《こうちゃん》は、リハーサル役はもうひとり入れてくれとコスモス社長に申し入れた。その結果、姫路スピカもリハーサル役として参加することになった。これで葉月の負担は随分小さくなった。アクアの代理は歌唱力のある子にしか務まらないので、スピカの起用となったものである。むろん、アクアの方は3人で分担してやっている。
 
連休明け、スピカは山村マネージャーや写真家さんと一緒にタヒチに飛んだ。アクアの写真集をタヒチで撮影する予定なので、予めスピカを使ってロケハンをしておき、撮影がスムーズに済むようにするためである。
 
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一方、アクアと葉月は連休明け、リセエンヌ・ドオと一緒に長野に行き、アクアの新曲『ラブ・キャンディ/集団旅行』のPV撮影を行った。その後、アクアと葉月は石川県に足を伸ばし、クイズ番組と旅番組の撮影をする。
 
5月13日はかほく市のイオンタウンでクイズ番組の撮影をすることになっていた。
 

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岬はゴールデンウィークの十連休の間、射水市の病院に入院していて、連休明けに退院。自宅療養に切り替えた。実質的な性転換手術を受けたので、痛みはかなりのものである。それで5月いっぱいくらい自宅で療養し、週に1回通院して傷の状態を診てもらうことになった。一方、岬の母は弁護士も伴い学校を訪れて、岬は半陰陽だったので、性器の調整をする手術を受けさせて女の子になったこと、戸籍上の性別も現在訂正を申請中であることを説明し、自宅療養が終わったら女生徒として通学させて欲しいと申し入れた。校長も「半陰陽なら仕方ないですね」と理解を示し、すぐに女子制服(とりあえず夏服)を作ることになった。
 
啓太は埼玉の祖母の家から当面東京の病院に通院し、石川県の方の中学はお休みということにしたが、担任が岬にも啓太にも宿題を送ってくれたので、2人ともそれを書いて学校に送り返していた。
 
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さて依田は連休明けの5月13日に病院に行って精密検査を受けたのだが、帰りにイオンタウンかほくに立ち寄った。するとアクアが居て、変な女性レポーターに絡まれていた。目に余るので注意しようと思ったら、ベビーカーに子供を2人乗せた女性(千里1)が来て、排除してくれた。彼女は作曲家でバスケット選手でもあるということで、依田は「頑張って下さいね」と言って千里と握手した。一方、千里1はアクアにまとわりついているレポーターにアクアを追わせないよう彼女の手を握って引き留めた。
 
千里1はその女がそれでもアクアの撮影中に寄ってきたので、《こうちゃん》に連絡した。《こうちゃん》は、タヒチでアクアの写真集撮影の準備をしていたのだが、こちらに飛んできて(本当は国内に居る自分のエイリアスを急行させた)強引に彼女を排除。宇奈月温泉行きのタクシーに乗せてしまった。運転手に充分なお金を渡して絶対に行き先変更させないようにした。レポーターも諦めて、取り敢えず今晩はここに泊まるかと考え、一軒の温泉旅館に入る。そしてお風呂に浸かってこようと着替えを持って大浴場に行き、女湯に入ったところで・・・女性客たちから悲鳴をあげられ、痴漢として逮捕されてしまった!
 
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《たいちゃん》はこのレポーターと依田が千里1と接触したことを認識したので、Google Keepを通して《きーちゃん》に通報するのと同時に、自分は依田の方を追って、レポーターの方は《てんちゃん》にフォローを頼んだ。
 
《てんちゃん》から連絡を受けた《きーちゃん》はこの件を千里2に相談したが・・・
「留置場に入っている人は接触不能だね。取り敢えず放置で」
と千里2が言ったので、Google Keepの“処理保留中”というメモに移動して、取り敢えず放置することにした。
 

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依田は5月13日にイオンタウンかほくで千里と接触した後、30分ほどで性転換して女になってしまった。帰宅してパートナーのサトミ(MTF PreOp)に話すと仰天される。
 
「私の方が性転換したかったのに!」
 
翌週、5月20日に精密検査の結果を聞きに行った時、医師に性が変わってしまったことを言うと、医師も仰天し、全身MRIを取ったりして検査される。医師は依田に言った。
 
・あなたは完全な女性である。
 
・たぶん半陰陽で本来女性だったのが何らかの理由で男性的な外観が発達していた。それが本来の女性の形に戻ったのだと思う。
 
・先日から陰茎(のように見えた本当は陰核)が縮小し、胸が膨らんできていたのは、その前兆現象。
 
それで医師は下記のどちらかを選んでくれと言った。
 
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・半陰陽だったという診断書を書くので、それで裁判所の審判を受けて法的な性別を女性に変更し、今後は女性として生きて行く。
 
・男性の身体に変更する手術(性転換手術)をして男性に戻す。
 

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依田怜はパートナーのサトミと話し合い、怜が法的な性別を女性に訂正した上で、サトミと婚姻しようということにし、5月27日(月)に病院に行き「半陰陽だが女性」という診断書を書いてもらった。そして書類を揃えて29日、金沢に出て家庭裁判所に行こう・・・とした所で千里(千里2)に呼び止められる。
 
千里2は依田が性転換してしまったのは、双子の姉(ということにしておく)が昨年新婚早々に夫を亡くしたショックから回復中の霊的暴走によるものであるとして謝った上で、自分が男に戻すことができると説明した。
 
それで怜は男に戻してもらった。ついでにサトミは女に変えてもらった、この後は、サトミの方が半陰陽の診断書をもらって性別訂正をした上で婚姻しようという話になった。実際にはサトミは妊娠してしまい、性別訂正認可後すぐ婚姻届を出し、続けて母子手帳も受けとることになる。つまり男→女→妻→母と劇的な変化を遂げた。
 
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依田たちと会った時、千里は彼から、実は千里の姉(1番)と接触する以前から身体が女性化しつつあったことを話す。彼と話していて、それは3月上旬に、曲木町の天狗岩に行った時に、変な霊障を受けたのかも知れないということになる。実際、依田には“除霊された跡”が残っていた。おそらく姉が性転換させる法を掛けた時に同時に除霊したのだと思うと千里は言った。
 
その時行ったメンバーの中に他に男性は居なかったかと聞かれ、依田は女声合唱で遠征したので女生徒ばかりだったが、ピアニストが男の子で、平野啓太というと答えた。
 
そこで依田が前職の学校に問い合わせてみた所、平野君はペニスに腫瘍ができて、一時はペニスを切断しなければならないと言われたものの、その後、切らない治療法が見つかり、現在東京の病院に転院していると聞いて依田はびっくりした。
 
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そこで千里は、そういう呪いの系統の除霊は自分にはできないが、妹で金沢ドイルという子が居るので行かせて除霊させますと行った。依田も金沢ドイルは知っていたので「あなた、ドイルさんのお姉さんですか!」と驚いていた。依田は彼がそんな病気になったのは自分のせいだと言い、除霊の依頼料として暫定的に50万円千里に払ってくれた。
 

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しかしこの時期、青葉は都内で合宿をしていた。それでこの程度は青葉の手を煩わせることもあるまいと、千里2は翌5月30日(木)、新幹線で東京に戻ると、《くうちゃん》に頼んで、青葉に擬態させてもらった上で、平野啓太の病室を訪問し、天狗岩の所で男性が女性化される呪いに掛かっていたことを説明、彼に確かにまとわりついていた妖怪のようなものを《こうちゃん》に除去させた。更に《びゃくちゃん》にもこの腫瘍の治療を少しさせたので、この後、啓太は急速に腫瘍が小さくなった。化学療法の効果もあったので
 
「ここまで小さくなれば、陰茎を切断する必要はなくなりましたよ」
と主治医から言ってもらった。啓太と茜は思わず喜んでセックスしてしまった。
 
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啓太のペニスは彼が自分で刺激しても立たないが、茜にされると挿入可能なギリギリの堅さまで行く。実際には射精はできないものの、お互い精神的に深い満足感と一体感が得られる。但し、2人が何度も“付けずに”セックスしていたのは、岬が6月上旬に気づいて注意し、避妊具も渡してあげたので、それ以降はちゃんと付けてするようになった。
 
依田自身も6月1日(土)には自ら新幹線で東京に出て来て、啓太と祖母の前で土下座して謝った。依田はお詫び料として暫定的に100万円払いたいと言ったが、啓太も祖母も「先生も大変だったから」と言い、辞退した。
 
「でもチンコ切られなくて済んで良かったな」
「先生も男に戻れて良かったですね」
 
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この時点で、依田も啓太も、天狗岩の所には岬も行っていて、彼も女性化の呪いが掛かっていることに、全く思い至らなかった。岬が除霊されるのは、7月21日に行われたロックギャルコンテスト本選の直後である。
 

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さて、5月13日(月)にイオンかほくでクイズ番組の撮影をしたアクアは、夕方には和倉温泉に移動して、有名旅館“加賀屋”で旅番組の撮影をした。この日は豪華な夕食を片原元祐さん、アクア・葉月・桜木ワルツの4人で頂き、そのあとお風呂の撮影もあったのだが、これは片原さん単独の撮影になった。
 
「いくらなんでも女の子3人を男湯に一緒に入れる訳にはいかないからね」
などとプロデューサーさんは言っていたが、どうもアクアも“女の子”扱いのようである。
 
片原さんは豪華な部屋、アクアもわりと豪華な部屋、葉月とワルツは普通の部屋に泊まったが、この普通の部屋でも一般的なホテルの部屋より充分豪華だった。
 
翌日は能登島大橋を渡り、能登島で、のとじま水族館・ガラス美術館を訪問、ひょっこり温泉に泊まる。片原さんはこの日の夕方で東京に戻ったので、この日はアクアがひょっこり温泉の露天風呂に入っている所を撮影された。
 
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ちなみにこの日は男性の団体客が入っていて、女性の客は少なかったので、女湯を1時間借り切って、そこでアクアの入浴シーンを撮影している。一般客の裸が映り込まないようにするため貸し切りで撮影したことはテロップでも説明しているのだが、このアクアの入浴シーンでは、テレビ局の女性レポーターがカメラの傍から声を掛けて感想を聞いたりしていたので、
 
「やはりアクアは女の子だから、女性レポーターに取材させたんだよな」
とネットでは言われていた。
 
(アクアが脱衣場で服を脱ぎ、浴室で身体を洗い、浴槽に浸かってから、スマホ連絡で、撮影スタッフ(全員女性)は中に入っているので、撮影スタッフはアクアの裸を見ていない。アクアは胸やお股はタオルで隠していた−“女の子の胸”とかが写ると放送できないと言われた。入浴したのは実際にはNである。Nは実は微かに胸が膨らんでいる。ペニスは付いているがタックしているので付いていないように見える。要するにNのヌードは発達しかけの女の子のヌードに見える!)
 
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実際、アクアのことを知らない視聴者は多くが、女の子の入浴シーンを撮っていると思ったようであった。
 

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アクア・葉月・桜木ワルツは15日は能登島の北側に架かるツインブリッジのとで本土に戻り、能登空港(NTQ)から羽田(HND)に飛ぶ。成田(NRT)に移動し、ニュージーランドのオークランド(AKL)経由でタヒチのパペーテ空港(PPT)に飛んだ。
 
NTQ 5/15(Wed) 10:40 (NH748 A320) 11:45 HND (1'05)
(車で羽田から成田へ移動)
NRT 5/15(Wed) 18:30 (NZ090 787-9) 5/16 8:05 AKL (10'35)
AKL 5/16(Thu) 16:10 (TN0102 A340-300) 5/15 23:00 PPT (4'50)
 
5月15日に出発し一度は5月16日になったのに最終的に到着したのは5月15日という不思議な旅だが、タヒチとは19時間の時差があり、タヒチの5/15 23:00は日本時間では5/16 18:00であり、合計31時間ほどの旅であった。
 
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《こうちゃん》と《わっちゃん》は移動はアクアNと《かぶちゃん》にやらせて、アクアMとFに葉月本人は転送した。
 

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タヒチでは、事前に現地入りしていた姫路スピカと、アクア・葉月の3人で撮影作業を進めた。ここで実際には、アクアはMFNの3人、葉月は本人と《かぶちゃん》の2人でやっているので、スピカは
 
「アクアも葉月も、本当に体力あるね」
と感心していた。
 
かえってスピカのほうが夕方くらいには疲れてきていた。それで山村はスピカに度々仮眠を取らせ、部分的にはワルツにも代役をさせて、作業を進めた。
 
ローズ+リリーのプロジェクトでタヒチ“留学中”のHavai'i 99とも引き合わされ、彼らの演奏をバックにアクア・葉月・スピカが並んで踊るというシーンも撮影した。
 
タヒチでの撮影は5月18日まで3日間続けられ、19日の便で日本に戻った。
 
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(PPT 5/19(Sun)7:15 (JL5078 A340-300) 5/20(Mon)14:05 NRT (11'50)
 
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