広告:國崎出雲の事情 3 (少年サンデーコミックス)
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■△・Who's Who?(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2020-03-28
 
(2019年)3月22日、アクアと西湖は終業式を終え、そのあと自動車学校の自動二輪コースに入校した。
 
3月23日 千里の父が放送大学大学院の卒業式を迎え、3人の千里は各々花束を渡した(3番=赤いスイートピー、2番=青いバラ、1番=胡蝶蘭)。
 
父は千里(千里1)に「近いうちにゆっくり話したい」と言った。
 

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3月29日(金)、作曲家協会の会長が記者会見で、上島雷太の謹慎を解除すると述べ、上島は那覇市内で記者会見を開き、あらためて事件の謝罪をするとともに、活動再開への意欲を見せた。これに伴い響原取締役(◇◇テレビ)主宰のUDP(上島代替プロジェクト)は活動を停止し、著作権管理と、王絵美さん(望坂拓美プロジェクト)を支援する機能のみに縮小されることになる。
 
また上島関連作品を含むCDで昨年春に回収になったCDをストックしていたCCSFは各レコード会社に「買い戻す場合は昨年買い取ったのと同じ値段で売る」と通知し、実際ほとんどのCDが買い戻されてそのまま市場に投入されることになる。このため2019年4-6月は上島作品が大量に売り出され、著作権を所有している響原さんのUDPが大いに潤うことになる。また極めて小さな費用で大きなセールスをあげたレコード会社各社も昨年の損失を上回る利益をあげることができた。
 
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同じ3月29日(金)の夕方、アクアと葉月は自動二輪コースの課程を全て終了した。土日に掛かるので卒業試験は月曜日になる。
 
3月30日(土)、アクアと葉月は“北里ナナ”の新曲『招き猫の歌』『白雪姫』のPVを撮影した。
 
(北里ナナはアクア自身が演じている『少年探偵団』中の少女歌手のキャラ)
 
この日、千里1は康子をムラーノ(信次の遺品)に乗せて富山に行き、優子の実家を訪問した。そして信次の位牌をもうひとつ作ってもらったものを府中家の仏檀(**)に納めてきた。
 
(**)本来はお寺にあるものを仏壇と書き、各家庭(檀家)にあるものを仏檀と書くのだが、現代ではこの2つは混同されている。“ぶつだん店”にも仏檀店と称する所と仏壇店と称する所が入り乱れている。
 
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3月31日(日)、§§プロダクションはこの日をもって閉鎖され、所属タレントは原則として∞∞プロ内に新設された“§§プロダクション部”に移籍した。但し、§§プロ所属の研修生・練習生は全員§§ミュージックに移籍した。§§プロの紅川社長は∞∞プロ副社長・§§プロ部担当の肩書きが与えられたが、実際には名前だけで、郷里の宮古島に隠棲する。
 
紅川が使用していたベンツSクラスは§§ミュージックの足立区の寮に置き、山下ルンバに管理してもらうことにした。紅川の奥さんが使用していたアクアは謹慎解除になり、茨城県水戸市の2DKのアパートで新しい生活を始める上島雷太に譲られることになった。
 
また宮古島に移動する紅川社長の奥さんに代わって、寮生たちを自分の子供同然の感覚でお世話してくれる係を、高崎ひろか・松梨詩恩姉妹のお母さんにお願いし、山下ルンバもその助手役で住み込むことになった。“女子寮の主(ぬし)”ルンバは2年ぶりに寮に舞い戻ることになった。ただし彼女は寮ではなく母屋の2階に住み込む(ひろか・詩恩姉妹とその母も住む。1階は台所・寮生が全員座れる広い食堂、4つ個室が並ぶトイレ、お風呂2個などが並ぶ)。
 
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アクアと葉月は31日は§§プロの“締めの会”に出席。2人とも§§ミュージックの古株なので、短いスピーチをした。スピーチの文章は実際には、アクアのはゆりこ副社長、葉月のは桜木ワルツが考えてくれた。この日は2人は、教習所に戻ってオプションで実車練習をさせてもらい、明日の卒業試験に備えた。
 

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4月1日、水鳥波留が川島信次の忘れ形見・幸祐を出産した。
 
羽留は昨年○○建設の名古屋支店に入社して、千葉から転勤してきた信次と不倫。彼の子供を妊娠してしまった。信次が死んだショックで会社を辞め、埼玉県久喜市に住む姉のところに身を寄せた。姉の夫が迷惑そうな顔をしていたが、信次が羽留を受取人とする生命保険に入っていたとかでその保険金を500万円もらい、それをそのまま姉に渡したので、夫も嫌な顔はしなくなった。更に羽留は1月には300万円の宝くじを当て、このおかげで出産に関する費用もまかなうことができたのである。
 
羽留の姉と夫は、この産まれた子のことを川島さんの親族に報せるべきかどうかで話し合ったが、2人の結論は何も関わらない方がいいというものだった。向こうと揉めて裁判とか何とかになった場合、精神的に消耗するだけである。それで姉は羽留に、自分も子育ては手伝うから、川島さんの方には連絡しないようにしようと言い、羽留も納得したようであった。
 
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なお、実際には、“保険金”と称してお金を渡したのは《びゃくちゃん》で、元々《びゃくちゃん》は千里と信次の結婚(2018.3)に納得しておらず、早く2人の結婚を破綻させるため、羽留を支援していたのである(びゃくちゃんが千里の分裂を知ったのは2018.10)。それで成り行き上、羽留の生活のサポートもした。宝くじは京平に頼んで当たる券を買えるタイミングで羽留を宝くじ売場にナビした。京平は
 
「それボクの妹か弟になるんだっけ?」
と尋ねた。
 
《びゃくちゃん》もよく分からなくて「えーっと」と悩んだのだが《くうちゃん》が2人に言った。
「その子は京平の弟ではないけど、緩菜の弟だよ」
 
「だったら助けてあげるよ」
と京平は言って、羽留に当たることになるくじを買わせた。
 
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↓信次の子供たち(左辺は遺伝子上の母)
信次×優子→府中奏音(2016.8.19)
信次×千里→細川緩菜(2018.8.23)
信次×桃香→川島由美(2019.1.04)
信次×波留→水鳥幸祐(2019.4.01)
 

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4月1日(月)、アクアと葉月は自動車学校の卒業試験に合格した。2人とも同じ日に卒業したのだが、仕事の都合でアクアは4月2日、葉月は4月3日に運転免許センターに行き、緑色の帯の運転免許証を手にした。但し2人とも有効期限は2021年(平成33年)9月20日(記載通り)までである(2人は誕生日が同じ)。
 
(**)運転免許証の西暦・元号並記は東京都では2019年3月15日から始まった。西暦と“平成”が並記された免許証はこの年の4月28日までなので、実はレア物である。
 
2人とも路上での運転の経験が無いので、4月4日は2人とも東京の郊外に行き、事務所で頼んだ講師の先生の指導のもとバイク路上運転の練習をした。この後も月に1度くらい練習を続けるがスケジュールの都合でアクアと葉月は別の日になることが多かった。
 
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4月5-7日は、アクアは都内のスタジオで『招き猫の歌/白雪姫』の歌唱録音をする一方、葉月はプーケットに行き、初の自身の写真集撮影に臨んだ。
 

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撮影は例によって結構なハードスケジュールである。そこで《わっちゃん》はプーケットまでの往復は《かぶちゃん》にやらせることにし、葉月はその時間自宅アパートで眠らせておいた。例によって葉月はプーケットまでの道中の記憶がないものの、いつものことなので気にせず撮影に臨んだ。《わっちゃん》自身も現地入りし、撮影場所の移動などは《かぶちゃん》にやらせて、その間葉月本人はホテルのベッドで寝せておくようにした。なお、《わっちゃん》は山村(こうちゃん)に頼んで《かぶちゃん》用にホテルの部屋を1つ確保しておいた。
 
お陰でこのハードな撮影スケジュールでも葉月は倒れることもなく、また疲れた顔をカメラに向けることもなく、元気いっぱいに乗り切ったのであった。
 
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もっとも《かぶちゃん》の方は自分自身は撮影されないにしても、女の子水着とか着けるのが恥ずかしかったぁと言っていた(普通の男の子の感覚)。
 
「チンコ立ちそうだったけど、無いから立ちようがない」
「チンコ無くて良かったな」
 
かぶちゃんは男性器をこうちゃんから取り上げられている。西湖が20歳になってかぶちゃんによる代行が終了したら返してもらう約束である。
 
帰りの飛行機も葉月は別途転送してアパートで眠らせておいて《かぶちゃん》がプーケットからバンコク・成田・そしてアパートまでの移動を代行した。葉月は気づいたらアパートに寝ていて移動の記憶がないので「あれ〜?」と思ったのだが、いつものことなので、気にしないことにした。
 
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青葉は4月2-8日に東京辰巳水泳場で日本選手権をしていたのだが、4月4日にジャネの義足の管理をしている高園舞耶(桃香の従甥の妻)と偶然会い、誰か高機能ブレストフォームのテストに協力してくれる人がいないかと尋ねられた。青葉は明恵を思いつき本人に連絡したら新幹線で金沢から駆けつけて来た。この日サイズを測定して試作品を翌日製作して渡した。
 
明恵はちょうど大学に入ったばかりで11-12日の新入生研修をどうしようかと思っていた所だったので、このブレストフォームを着けてお風呂も乗り切り、健康診断までこれで受けてしまった。
 
4月5日は東京の太田ラボで、青葉、千里3を含む数人で松本花子に関する打ち合わせをした。
 
4月6日、経堂の桃香・千里1・早月・由美が暮らすアパートに千里の父が、母・妹を伴って訪問。2012年来の“勘当”を解除すると告げた。またその後、一緒に千葉の康子の家に行き、父は康子に不義理をしていたことを謝罪した。
 
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4月7日。千里3は松本花子の件で打ち合わせするのに信濃町の§§ミュージックに行くことになっていた。川崎の自宅を出、溝の口で乗り換えて東急田園都市線で渋谷方面に向かっていたのだが、途中乗っていた電車がトラブルを起こして停まってしまった。参ったなと思って取り敢えず連絡しようとしたら、いつも使っているアクオスがバッテリー切れである!(千里の場合、日常茶飯事)
 
他のスマホから連絡する手もあるが、アクオス以外のスマホの番号はあまり他人に知られたくない。それで渋谷駅に着いてから公衆電話で連絡しようと思った。
 
ところが§§ミュージックでは、千里が時間になっても来ないので、念のため電話してみようということになるが、当然スマホに通じない。それで“分裂”のことを知らないイリヤが
「自宅に掛けてみよう」
と言って、経堂のアパートの家電に掛けた。出たのは千里1である。
 
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(川崎の住所を知っているのは球団関係者の他は少数。そもそも家電が無い)
 
「あ、打ち合わせがありました?ごめんなさい。すぐ行きます」
 
予定を忘れているのも、千里の通常営業である。それでイリヤも特に何も思わず
「ではよろしくお願いします」
と言って電話を切った。ところが千里3のほうはその電話から15分ほどで§§ミュージックに到着した。実は渋谷から電話しようと思ったら連絡がすぐだったので、その電車に飛び乗り、結局電話はしなかったのである。
 
「遅くなって済みません」
「いや、大丈夫ですよ。おやつ食べてましたし」
と言って打ち合わせは始まった。
 

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千里1の方は経堂のアパートを出たのはいいが、小田急の経堂駅でうっかり渋谷方面ではなく反対方向の相模大野行きに乗ってしまった(千里の日常茶飯事)。しかも間違っていたことに、新百合ヶ丘まで気づかなかった。慌てて反対方向に乗り直し、信濃町まで辿り着いたのは電話連絡を受けてから2時間ほど経った頃である。
 
やっばぁと思いながら、§§ミュージックが入っているビルのエントランスを入ったら、そこでバッタリ大崎志乃舞(門脇真悠)に遭遇する。
 
「あ、真悠ちゃん」
「おはようございます、醍醐先生」
「うん。おはよう。お仕事?」
「ええ。今日はアクアさんのリハーサル役なんですよ」
「ああ。西湖ちゃんがプーケットに行ってるからね。でもアクアも音源制作中じゃないの?」
「そうなんですよ。だから夕方から入ることにしてもらったから、それ以前のリハーサルに出る役が必要になったらしくて」
「あの子のスケジュールも鬼だね!」
「全くですね。アクアさん、ほんと体力よく持ちますよ」
 
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それでしばし千里1と大崎志乃舞は立ち話をしていた。
 

千里3はイリヤ、2A17、コスモスと打ち合わせていたのだが、ちょっと休憩しようということになり、1階のセブンイレブンまで降りて、アイスでも買ってこようと思った。
 
ところが2階から1階に降りる階段の途中で1番が門脇真悠(大崎志乃舞)と話しているのに気づく。
 
『なんで1番がここに居るの〜?』
と半分独り言のように言う。
 
『私が何とかするよ』
と言って《えっちゃん》がコスモスに化けて下に降りて行った。そして千里1に地下のレストランで話しましょうと誘い、一緒に地下に行く。1番はこの時、真悠との別れ際に彼女と握手した。3番はそれを何気なく見ていた、
 
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真悠がエレベータに行く。彼女の姿がゴンドラの中に消えてから千里3は下に降りて行き、セブンイレブンでアイスを20個買いオフィスに戻った。3番が想像した通り、真悠は緑川志穂と別室で打ち合わせ中のようである。アイスの箱から4個(千里・イリヤ・2A17・コスモスの分)取ってから残りを河合友里に渡し、千里3は会議室に戻った。
 

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