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■△・Who's Who?(10)

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その夜、子供たちが寝静まった所で桃香は季里子を誘い、季里子もまあいいかと言って応じる。ただし桃香が“生”で入れようとしたら手で遮り
「ちゃんとコンちゃん付けて」
と要求した。
 
「私は精子なんか無いんだから、付けなくてもいいだろう?」
「それ絶対信用できない。桃香は絶対あちこちの女に生ませた子供が10人はいると思う。ちゃんと付けなかったら、ちんちん切り落とすよ」
 
「季里子には過去に10回近く、ちんちん切り落とされたからなあ」
と言って、桃香はしぶしぶ避妊具を付けてから突入した。
 
この日桃香は物凄く気持ちがいい気がした。季里子の中でまるで射精でもしたかのような感覚があった。一方の季里子も「今夜のおちんちんはリアルだなあ」と思った。しかし季里子の側も気持ちが良かったので、この件は深く考えなかった。
 
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翌日(4月10日)の朝、季里子の家に千里が訪問してきたので、季里子は千里に敵対的な視線を向ける。しかし千里は申し訳無さそうな顔で
「季里子ちゃん、ごめーん。桃香が財布を入れたバッグを忘れて行ってたから困ってるだろうと思って」
と季里子に言った。
 
「あの子らしいね!」
 
それで桃香を呼び出す。桃香は「あ、ほんとだ。バッグが無い」と気づいたようで、玄関に出て来て千里の手からバッグを受けとる。
 
この時千里2はわざと桃香の手に直接触って、昨日、千里1がキスされた時に無意識に掛けてしまった**の法を再度掛ける(男から女に変える)とともに、**の法がもう掛からないようにするロックを掛けた。もっともそもそも1年間は千里1にも**の法は掛けられないはずと千里2は思った。
 
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(千里1がルキアを2度続けて性転換させたことで、本当は、たいちゃんはこれが**の法ではないことに気づくべきだったが、彼女もあまり深く考えていなかった)
 
そういう訳で桃香は自分が一晩男になっていたことには全く気づかなかった。桃香はこの後、千里1の暴走が止まるまで100回くらい性転換することになる。
 

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千里2が季里子の所に行ったのは4月10日であるが、青葉はこの時期、水泳の日本体表合宿をやっていた。最初はJISSでやっていたのだが、JISSでは多人数でプールを共用するので、長距離陣は1回の泳ぎに時間が掛かることもあり、なかなか自由にプールを使わせてもらえない。それで青葉はコーチに提案し、青葉・ジャネ・コーチの3人で深川アリーナのプール(25mプール)に移動してきた。
 
そこに千里が泳ぎに来た。ジャネは千里に言った。
「どうせなら50mプールとかを作ったりしないよね?」
すると千里は
「いいよー」
と答え、深川アリーナでは容積率の問題で新たなプールは設置できないので、若葉に電話し、彼女が所有する、埼玉県熊谷市の郷愁村に土地を借りて50mプールを設置することを決めてしまった。
 
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そしてこの時、千里(千里2)は青葉に千里1と接触しても**の法には掛からないガードを掛けてあげたのである。この時点で千里2にも、青葉に**の法が掛かった場合、青葉が男になるのか女になるのか、微妙な気がした。八重垣さんの例を見れば完全な女になりそうな気はするが。
 

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一方、千里1は江東区内のビジネスホテル(作曲や編曲の作業のためにわりと定宿にしている所)に入り、由美はベッドに寝せ、時々おむつを替えたりおっぱいをあげたりしながら、作業をしていた。
 
食事はこのホテルの1階に中国人一家がやっている中華料理店があり、近くには和食ファミレス、吉野家、モス、数軒のコンビニもあるので全然困らない。交換したおむつは適宜、天野貴子さんにお願いして経堂のアパートに持って行ってもらった。
 
「貴子さん、ごめんねー。こんなの頼んで」
「全然問題無い。こういう時は女同士助け合わなくちゃ。必要な楽器とかも、あったら言ってね。名古屋のマンションに置いていた楽器を置いている倉庫から取ってくるから」
「ありがとう。だったらクラリネット持って来てくれる?」
「OKOK」
 
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この時点で1番はまだ彼女が自分の眷属であることを思い出していない。
 

4月13日(土)、気分転換にパソコンを持って由美と一緒に少し歩いたモスまで行き、バーガーやポテトを食べながら1時間ほど作業した。それでホテルへ戻ろうとしていた時、橋の上に人だかりがある。
 
「どうしたんですか?」
「子供が転落して」
「え?」
下を見ると5-6歳の女の子が必死に泳いでいるが、今にも沈んでしまいそうである。千里は荷物を置くと由美の載っているスリングを身体から外し、近くにいた女性に「この子、お願いします」と言って渡すと、川に飛び降りる。
 
水深が浅いのでギャッと思ったが、このくらいは平気である(実際には《りくちゃん》が支えてソフトランディングさせてくれた)。泳ぐというよりほぼ歩いて子供のそばによると、その女の子をしっかり抱え上げた。
 
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「もう大丈夫だよ」
とその子に言ったが、女の子は大声で泣き出す。千里は子供をよしよししながら川の端まで歩き、橋のたもとの所で走り寄ってきた母親に渡した。
 
「ありがとうございます!」
「大したことないですよ。まあ溺れるような深さでは無かったんですけどね」
と千里は言うが、近くに居た初老の男性は
「いや人は30cmでも溺れてしまうもんだよ」
と言う。
 
「特に子供はパニックになるし。僕が助けにいこうかと思った所で君が飛び込んだから」
「ごめんなさい、横から」
「いや、僕はカナヅチだから」
「それは飛び込んではいけません」
「でもあんた運動神経いいね」
「取り敢えずバスケット選手なもんで」
「それは凄い!」
 
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「でもずぶ濡れ」
と心配する女性がある。
「ホテルがすぐ近くだから部屋に戻って着替えます。それよりその子を早く着替えさせないと風邪引いちゃう」
と千里はその母子のほうを心配する。
 
「ええ。でもどうしよう?私たち電車で来てたんですよ。タクシー乗せてくれるかなあ」
「取り敢えずダイエーまで行きましょう。それで服を買えばいいですよ。私、車で来てますからお連れしますよ」
と近くに居た30代の女性が言う。
 
「でもお車のシートを汚してしまう」
「平気です。私も子供がいるから、お互い様ですよ。車持ってきますから」
「いえ、駐車場まで、ご一緒します」
 
「あなたはホテルに戻った方がいい」
「そうですね」
「だったら私も同行しますよ。その身体で抱いたらこの赤ちゃんまで濡らしてしまう」
「すみません」
それで千里は由美を抱いてくれている女性(荷物も持ってくれた)と一緒にホテルに戻った。
 
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一方、車で運びますよと言った女性は近くの公園まで母子と一緒に行き、2人を赤いアテンザに乗せた。
 
「お疲れ様〜」
「いや、臭い演技でバレないかとヒヤヒヤだった」
「僕、早く着替えたい」
「とりあえず服脱いで」
 
それでその子はずぶぬれになった服を脱ぐと、身体をバスタオルで拭き、用意していた着替えを着た。
 
「女の子の服を着るとか恥ずかしかったぁ」
「貴重な体験ができたね」
「でもお風呂入って温まった方がいいね」
「北千住の琴沢幸穂事務所に行こう。経堂より近いし」
 
それで3人を乗せたアテンザは発進した。
 

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ここで実は最初に千里1から由美を受けとったのは千里3自身である。それで3番はまんまと1番と身体的接触を持った。しかしすぐに《わっちゃん》と交替した。それで《わっちゃん》は由美を連れて千里1とともにホテルに戻った。アテンザを持って来ていたのは《えっちゃん》で母子を演じたのは《えっちゃん》の友人とその息子であった。女装させたのは母親の趣味である!焼肉20人前で手を打ってくれた。
 
3番は由美を《わっちゃん》に渡した後、すぐにホテルの、1番とは別途で確保してもらっていた部屋に行き、そこで1時間ほど身体が性転換していく苦痛に耐えた。
 
性転換が終了した所で自分の体内を透視してみて卵巣や子宮が存在しているのを確認。
 
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「やったぁ。これで本当の女の子になれた!」
 
と思わず声に出して喜んだ。卵巣の存在は強いエネルギー源が体内にあるのを感じさせてくれた。
 

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アクアたちの今年(2019)のスケジュールだが、3月上旬に『少年探偵団II』の撮影が終わったが、それより少し前から『ほのぼの奉行所物語II』の撮影が始まっている。このドラマは8月に撮影完了予定だが、7月からは映画『ヒカルの碁・棋聖降臨編』の撮影が行われる予定である。ヒカルの碁は埼玉県熊谷市の郷愁村にセットが作られ、そこで撮影されることになって、現在セットの日本棋院やヒカル・美奈子などの自宅、“マクテリア”の店舗などが建設されている最中である。
 
アクアは二段の免状を持っていたのだが、この企画ができてからあらためて丸山アイの知り合いのプロ棋士に打ってもらったら
「四段の免状を申請しなさい」
と言われたので申請した、申請料が71,500円(四段66000円+飛付料5500円)で、むろんアクアにとっては大したことのない金額ではあるものの、結構するなと思った。
 
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(日本棋院の免状は四段まではまあまあなのだが、五段は11万、六段は22万、七段55万、八段110万、と倍々ゲームになる)
 
もらった免状には
「貴殿棋道執心修行 無懈怠手段愈熟依 之四段令免許畢猶 以勉勵上達之心掛 可為肝要者也仍而 免状如件」
と書かれていたが、読めん!と思った。
 

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葉月の方は、ルールも知らないということだったので、その“棋力”を利用して、物語冒頭近くにある、ヒカルと祖父との対局の部分の撮影をした。
 
黒と白が交互に打つのだということだけを教え、祖父役の紅川会長は普通に打つが、葉月はイヤホンで指示された所に打つという方法で対局させる。するとコスミとかツケ・ノビといった基本的な用語も分からないし、右から何番目の上から何番目と言われて数えて打ち、しかも場所を数え間違うという美味しいミスなどもして、監督の意図通りの映像が撮れた。
 
でも葉月は「さっぱり訳が分からなかった!」と言っていた。
 
このシーンは葉月と紅川が対局した後で、アクアが再度今葉月が打った通りに打って再度対局し、後から撮ったののアクアの顔と、先に撮った葉月の手とを組み合わせて繋ぎ合わせることで、初心者のヒカルが祖父と対局するシーンになるというしくみである。
 
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映画公開後「あ、ここは葉月ちゃんの手だ」と気づいたファンも多かったようである。
 
「会長も、アクアさんも、なんでそんなにさっきと同じ所に打っていけるんですか?」
「まあ音楽家が聴いた曲をピアノで再現してみせられるのと同じだね」
「それなら葉月ちゃんもできるでしょ?」
「5分程度以内の曲なら。そうか、それと同じなのか」
「もっとも葉月ちゃんの打ち方は理論から外れた場所に結構打っちゃったからそこを間違いそうになる」
「ごめんなさい!」
「いや、それでいかにも初心者という感じになったからね」
「囲碁分かる人なら『なぜそこに打つ〜〜〜!?』と思って楽しめると思う」
「これ囲碁の分かってる人には絶対できない」
「初心者だからできることか」
「そうそう。お芝居では割とそういうものって多い」
 
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「野球で打って3塁に走るみたいなのは割と誰でも思いつく。でも野球知ってる人なら、打ってからピッチャーに向かって走るなんてのは普通思いつかない」
 
「なるほどそういう斜め下を行く打ち方だったんですね」
「まあ今はそれが欲しかったんだけど、本格的な撮影が始まるまでには10級程度になっててね」
「頑張ります!」
 

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