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■少女たちのドミノ遊び(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-03-18
 
2000年夏、留萌。
 
津気子が出席した町内会の会合で、神社の宮司さんのことが話題になった。
 
「ご病気なんでしょうか?」
「病気という訳ではないようですが、体調が悪いようですね」
「毎月の家々の巡回も昨年冬以来止まっていますし」
「夏祭りは何とかこなして、秋祭りも頑張るとはおっしゃってるようです」
 
「宮司さん、息子さんとかはおられないんですか?」
「息子さんはふつうの会社勤めなんですよ。でもお孫さんが、僕が神社の跡取りになるとか張り切っておられて」
「おお!」
「今高校生なのですが、高校を出たら、伊勢の皇學館大学に行って神職の資格を取ると言っておられるらしいです」
「だったら神職の資格を取るのにあと5〜6年くらいですか?」
「そんなものでしょうかね」
 
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「それまでは何とか宮司さん、頑張って欲しいけどなあ」
 

「暢ちゃん、ほんと背が高いよね〜」
とクラスメイトの澄香が若生暢子に言った。
 
「うちはお父ちゃんもお母ちゃんも背が高いから」
と暢子は答える。
 
「今度、9月10日にバレー部の大会があるんだけど、暢ちゃん、ちょっと出てくれないかなあ。市民体育館でやるんだよ」
 
「ふーん。でも私、バレーとかしたことないよ」
「大丈夫だよ。飛んできたボールが地面に付かないよう打ち返すだけだから。試合見てたらすぐ分かるよ」
 
「バレーは背が高いほど有利なんだよ」
「背が高いのがいいのなら、男子に頼めば?」
「試合は男女別だもん」
「ああ、なるほど」
 
「10日9時に市民体育館だからよろしくね」
「了解〜」
 
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「ね、ね、和哉君、今度9月10日にさ、バスケットの試合があるんだけど、和哉君ちょっと出てくれないかな」
と和也はクラスメイトの容子から言われた。
 
「えー?でもぼく、運動は苦手だよ」
「うん。だから立ってるだけでもいいから」
「何それ〜?」
 
「バスケットの試合ってさ。最低10人居ないとできないんだよ」
「5人かと思ってた!」
 
「小学生のミニバスは面倒なんだよ。試合は5分クォーター(*1)を4クォーターするんだけどね。この内、1〜3クォーターまでの間に10人以上の選手を出さなければならないのと、1人の選手が1〜3クォーターに連続して出場してはいけないというルールがあるんだよ。2〜4の3連続出場はOK」
 
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「ごめん。意味が分からなかった」
 
(*1)ミニバスの試合時間は日本ミニバス連盟方式では6分クォーター(国際ルールでは10分クォーター)なのだが、5分とか4分で行われることも多い。また地域差もある模様。ミニバスはとにかくローカルルールが多すぎる。通常3Pシュートは適用しないが、地域によっては3Pがある地域もある。ショットクロックも30秒の所と24秒の所がある。
 

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「要するに、10人の選手がいたら、第1クォーターに最初の5人を出して、次のクォーターに残りの5人を出して、第3・第4クォーターは強い人5人で出て、みたいな出し方をするんだよね。まあこのあたりはチームによって色々あるけど」
 
「ああ、そう言ってもらうと少しは分かる」
 
「これ元々、特定の子ばかり出るんじゃなくて、みんな出られるようにしようということで決まったルールなんだけど、うちみたいな田舎の学校ではそもそも10人そろえるのが辛くてさ」
 
「確かに」
「何とか9人まで集めたんだけど、あと1人どうしても足りないのよ。だから、本当に立ってるだけで、何もしなくていいから、出てくれない?」
 
「まあ立っているだけならいいよ」
と和哉は同意した。
 
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「やったぁ!よろしくね。10日9時に市民センターだから」
「分かった。行くよ」
と答えてから和哉はふと疑問を感じた。
 
「ねぇ。バスケットの試合って男女混合なの?」
 
「国際ルールでは男女混合ですることになっているんだよ。でも日本では男子のみ、女子のみのチームが圧倒的」
 
「容子ちゃんのチームは男女混合なの?」
「女子のみだよ。当然女子の部に参加する」
「ぼく男なんだけど〜?」
「大丈夫。和哉君は充分女の子に見える」
 
「そんなぁ」
「会場でトイレ行く時は女子トイレ使ってね」
 

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2000年8月下旬。
 
小学4年生の千里は母が「乳癌で手術を受ける」という話を聞いて驚いた。
 
「お母ちゃん、死んじゃうの?」
と悲しい目で見て千里が言うので、母の方が苦笑する。
 
小学生の千里には、癌=死の病というイメージがあった。
 
「死んだりしないよ。乳癌と言っても、ごく初期のものなんだよ。職場の健康診断で分かったんだよ」
と母はことさら明るい表情で説明した。
 
千里の母はずっと専業主婦をしていたのだが、最近父の船の漁獲高が減ってきており、家計は次第に苦しくなってきていた。それでこの2月からパートに出ていたのだが、7月に職場の健康診断を受けたら、ごく初期の乳癌が見つかったのである。
 
「小さい癌だから、おっぱいをちょっと切るだけ。おっぱいそのものもちゃんと残せるんだよ」
と母は説明する。その他に放射線療法やホルモン療法をすることまでは説明を省略する。
 
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「ほんとに大丈夫?大丈夫?」
と千里が心配そうに訊くので、
「大丈夫だって。でもお母ちゃんが入院する日だけは千里が御飯作ってね」
と言うと、
「私、頑張る!」
と千里は言った。
 

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千里は神社で神様にお願いする方法として、以前聞いていた「お百度」というのを踏んでみることにした。近所の稲荷神社に行き、鳥居の所から拝殿の所まで歩いて行って2礼2拍1礼でお参りし、鳥居の所まで戻る。これを100回繰り返す。
 
千里は心の中で数えながらやっているのだが、数え間違わないように小春がチェックしてくれた。
 
「100回行った?」
と千里が訊くと
「千里102回やった」
と小春は答える。
 
「あれ〜?でも多いのは構わないよね」
「うん。OKOK」
と小春が言うので、千里は満足して自宅に戻った。
 

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千里が帰っていったのを神殿の中から頬杖を突いて見ていた大神様は小春に言った。
 
「お百度踏んで頼まれても、私たちには何もできないんだけどねぇ」
 
「そんなこと言わずに何かしてあげられませんか?千里にはこれまで大神様も色々助けてもらっているでしょう?」
と小春は言う。
 
「それを言われると辛いが、神様は医者ではない。私たちは無闇に人の寿命を変更することは禁じられている」
 
ふーん。「できる」けど「故無くしてはいけない」のか、と小春は大神様の言葉から感じ取る。以前千里の寿命を延ばしてくれたのは、ちゃんと理由があったからなのだろう。
 
「で、ここだけの話、千里のお母さんは大丈夫なんですか?」
「死ぬけど」
 
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とあっさり大神様は言う。
 
「転移でもしてるんですか?」
 
「今回乳癌が見つかったけど、あの女、あちこち爆弾を抱えている。卵巣も肝臓も大腸もやばい。今回の治療で乳癌の患部を摘出した後、放射線療法をすると思うけど、そこで放射線を浴びることで、卵巣で発生しかかっている癌が発生する」
 
「それ転移ではないのですね?」
「違う。元々長年の不摂生がたたって、あの女の身体はぼろぼろの状態にあるんだよ。まああの女は来年の春くらいまでには死ぬし、千里もあと2年半の命だし」
 
「うーん・・・」
 
千里の寿命は本来6歳までだった。しかしここの神社が変な悪霊に占領されていたのを、その悪霊を倒して、神様が入れるようにしてくれたお礼に、倍の12歳まで伸ばしてもらったのである。
 
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「でもお母さんが死んで、千里も死んだら、あの一家もどうにもならなくなりますね」
 
「女房が死んだショックで落ち込んだ千里の父も操船をミスって海の事故で来年の秋に死ぬ。だからまず両親が死んで、姉妹だけになり、優芽子伯母の所に引き取られた後で、姉の千里も死んで結局は玲羅がひとりになってしまう。でもあの子はたくましいから、何とかひとりで生きて行くよ。愛子が優しいから玲羅の面倒見てくれるし。小春、お前、千里が死んだら玲羅に付いていてあげるといい」
 
と大神様はおっしゃる。
 
「はい」
とは答えたものの、小春は何とかならないものかと考え込んだ。
 

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「ところで大神様は、この神社の宮司さんの健康問題はどう思われます?」
と小春は尋ねた。
 
「なんかあの人も怪しげだよなあ」
と大神様は嘆くように言う。
 
「かなり体力が衰えている感じがするのですが」
「宮司の寿命はまだ20年くらい残っている。しかし今のままだと寝たきりに近い状態になって、またまた神社の祭礼が滞りかねんと思っている。孫が継ぐと言っているらしいが、神職の資格取るまでに時間が掛かるし、神職になってもいきなり宮司の仕事はできんよ。10年は修行しないと。祝詞ひとつあげるのにもまともな抑揚で唱えられるようになるまで、そのくらい掛かる」
 
「宮司さんの体力を回復させる手は無いものでしょうか?」
「彼の場合は、精神的なものが大きい。何かで自信回復すると、かなり変わると思うのだけどね」
「たとえば?恋人でも作っちゃいます?」
 
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適当なおばあちゃんを宮司さんに惚れさせちゃおうかな、などと小春は考える。亭主に先立たれたおばあちゃんはこの町には多い。
 
「恋人を作るのはいいが、既に男性機能が消失してるから、よけい自信を失うかも知れんぞ」
「うーん・・・」
 
そういえば宮司さん、6年前にここに赴任してきた時に既に、もう自分は立たないとか言ってたなと小春は思った。男性って大変だなあ。やはり私、次も女にしてもらうよう、よくよくお願いしよう、などと小春は考えていた。
 

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千里たちの小学校で、テレビ局の企画に乗って、ドミノ倒しが行われることになった。学校の体育館いっぱいにドミノを並べ、それが倒れていく所を撮影して放送するというものである。
 
「何枚くらい並べられるもんですかね?」
と教頭先生がテレビ局の人に訊いている。
 
「この広さあれば2万枚は確実だと思うんですよ。あとはレイアウト次第で、詰め込めばひょっとしたら5万枚くらい」
 
「でも単純に詰め込むんじゃなくて、色々な形とか絵とかを表現した方がいいですよね」
「ええ。そのあたりで各々の学校の個性が出てくると思うんですよ」
 
他の学校でやった例をビデオで見せてもらった上で、体育館を12区画に分け、各クラスでドミノのデザインを考えましょうという説明がなされた。それで各クラスでは黒板に自由に絵を描いたりしながら、デザインを詰めていった。もっとも1〜2年生にはデザインするのは無理だろうということで、5−6年生が1〜2年生が並べる部分のデザインまで考えることになった。
 
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