広告:ボクの初体験 2 (集英社文庫―コミック版)
[携帯Top] [文字サイズ]

■少女たちのドミノ遊び(6)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

学習発表会があったのが9月15日(金)敬老の日だが、翌土曜日は第3土曜なので授業のある日である。18日(月)が代休になったので、千里たちの小学校は17-18日が連休になった。結果的には飛び石連休が連休に修正されたようなものである。
 
16日の土曜日、学校から帰ってきた千里は母に言った。
 
「お母ちゃん、今度の秋分の日は、札幌まで合唱サークルの大会で行ってくるね」
 
「お前、合唱サークルに入っているんだっけ?」
「入ってなかったんだけどねえ。こないだの地区大会の時に、一部のメンバーが交通渋滞で間に合わなくて、人数が足りなくなったもんだから、応援に行っていた私とか小春とかが臨時に参加したんだよ。それでなしくずし的にそのままメンバーに入れられてしまったというか」
 
↓ ↑ Bottom Top

「ふーん。まあいいけどね」
と言ってから、津気子は考える。
 
「でも、お前、合唱サークルでは女の子の制服着るの?」
 
先日学習発表会に行った時、馬原先生が配っていた地区大会の写真に、千里は可愛いチュニックとスカートの制服を着て写っていたのである。
 
「うん。だってうちの合唱サークルは女声合唱だもん」
「うーん・・・」
 
津気子は深く考えるのをやめることにした。
 
写真は武矢には見せなければいい!
 
「あ、交通費はどうなるんだっけ?」
「ちゃんと学校から出るよ」
「だったらいいか」
 
スポーツ少年団の野球とかは大会に参加する度に、保護者で分担して子供たちを車で運んでいるようだし、車を出さなかった保護者はガソリン代を負担しているようで、その手の費用が結構掛かっているっぽい。N小の男子バスケ部は強いので、道大会にも時々参加しており、バスあるいは鉄道を使ったりするので、交通費や宿泊費の負担が、かなり高額になっているようである。
 
↓ ↑ Bottom Top


9月19日(火)と20日(水)は「ドミノ倒し」の準備が行われた。
 
テレビ局の撮影が行われる予定の21日(木)までの3日間は体育館が使用不可になり、各クラスの学活の時間や必要なら昼休みなども使用して、自分のクラス担当エリアのドミノ並べが行われた。
 
テレビ局から貸してもらったドミノの牌の他に、先生が持ち込んだVHSビデオ、同型の箱入り本(東洋文庫など)、といったものも並べた。この手のものは予め倒してみてちゃんと倒れることを確認しておく。(ケース入りの)CDを試してみたクラスもあったが、薄すぎて、不安定なので諦めたようであった。
 
万一間違って倒しても被害が広がらないようにクラス内でも幾つかのブロックに分けて並べていくのだが、止まるはずの所で止まってくれずに隣のブロックまで被害が出て悲鳴があがるシーンも多々あった。
 
↓ ↑ Bottom Top

1〜2年生担当の所はわりと単純な展開、5〜6年生の所はかなり凝った並べ方をしていたが、3〜4年生はあまり難しいことをしないまま、絵的にきれいなものを作って行った。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里たちの4年1組は、銀河流星の滝を作ったり、旭橋を作ったりして、風景的なものを作り上げたのだが、お隣の4年2組は♀♀/♂♂のような記号を作ろうとして、巡回してきた教頭先生が驚いて「教育的指導」により、♀♂/♂♀と男女の記号が互い違いになるように修正されていた。
 
生徒たちはみんななぜそのように直されたか分からず、首をひねっていた。
 
「あれ何で教頭先生から直させられたんだろう?蓮菜分かる?」
と恵香が訊くと
 
「分かるけど言わない」
と言って蓮菜は笑いを噛み殺していた。
 
意味が分かっていたのは4年生の中でも2〜3人だったようである。
 

↓ ↑ Bottom Top

ところで19日には体育の授業があった。体育は1組と2組が同じ時間に割り当てられており、合同の授業になる。それで1組の教室で男子が、2組の教室で女子が着換える。
 
ただし千里は田代君の「高度な政治的判断」により、1組教室の後ろの移動黒板の陰で着換えていたが、それでも黒板の下から出ている千里の素足を見ただけでドキドキしてしまう男子、授業が終わった後、遅れて入って来て、うっかり千里の下着姿を見てしまった男子などもいて、男子たちの間で「村山の着替え問題」は何とかすべきではないかという意見も出ていたらしい。
 
ところがこの日、いつものように千里が教室の後ろの方に着換えの入ったバッグを持って行き黒板の後ろで体操服を取り出そうとしていたら
 
↓ ↑ Bottom Top

「千里、何やってんの?女子の着換えは2組だよ」
と蓮菜が言う。
 
「うん。でも私男子だから」
と千里は言うが
 
「いや、村山は女子だと思う」
という複数の男子の意見。
 
「先週の学習発表会の時、女子の総意として千里は女子と一緒に着換えてよいということになったから」
 
「あれ冗談じゃなかったの〜?」
 
「そもそも学習発表会でも、その前日の予行練習の時も、千里は女子と一緒に着換えていたし」
 
「あれは着換えていたというか、単におしゃべりしている内に女子が着換えてしまっていたというか」
 
千里は「小人その7」なので、スキー帽をかぶるだけだった。
 
「合唱サークルの地区大会でもふつうに他の女子と一緒に着換えていたし」
「あれは特に男女分けて着換えるという話は無かったし」
 
↓ ↑ Bottom Top

「いや、ふつうは女子が着換え出したらたいていの男子は自主的に他の所に移動する」
 
「ごめーん」
 
「女子が着換えている中に千里がいても誰も問題にしなかったのは、千里がほぼ女子と思われているからだよ」
「千里って女子のオーラを持ってるから、そこに千里が居ても何も思わないよね」
 
「えっと・・・・何と反論しようか・・・」
 
「取り敢えず、こちらに来なさい」
と言われて、蓮菜と恵香に連行されるように千里は2組の教室に連れていかれた。
 

↓ ↑ Bottom Top

それで2組に連れて行かれた千里は、まあいっかと思い、結局蓮菜や恵香たちとおしゃべりしながら、バッグから体操服を出して、着ているポロシャツを脱ぎ、ズボンも脱いで、体操服の上下を身につける。
 
千里は蓮菜や恵香の下着姿を見ることになるが、彼女たちの下着姿は過去に何度も見ているので千里は気にしない。千里の下着姿も彼女たちに何度も見られているので彼女たちは何も思わない。
 
その体操服の上まで着た時、千里に気付いたリサが寄ってくる。
 
「シサト、今日はみんなと一緒に着換えてるのね」
「あ、どもー」
「いつもどこで着換えてたの?着換えの時間になると居なくなるから、どうしてるんだろう?と思ってた」
 
「千里はいつもワンテンポ遅いからね。いつも遅れて着換えに来てたね」
と蓮菜が言うと
 
↓ ↑ Bottom Top

「ああ、そうだったのか」
とリサは言い、それ以上疑問は抱かなかったようである。
 
「千里は実は男子で、男子と一緒に着換えているのではという説もあった」
と3年生まで同じクラスだった真由奈が寄ってきて言う。
 
「まさか」
「それはあり得ない」
と蓮菜とリサが言う。
 
「男子だったら、しんしん(*2)付いてるはずだけど、ほら、シサトのパンティを見てもおしんしんは付いてない」
 
と言って、リサはいきなり千里のパンティに触ってしまう。
 
(*2)リサは「チャ・チ・チュ・チェ・チョ」の音を全て「シャ・シ・シュ・シェ・ショ」と発音する。
 
「ちょっとぉ。直接触るのは勘弁」
と千里はリサに言ったものの
 
「どれどれ」
と言って真由奈をはじめ、主として以前に千里と同じクラスになったことのある子を中心に7〜8人の女子に千里はパンティの上から触られた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「確かに付いてない」
「割れ目ちゃんの感触があった」
 
「やはり千里が女の子になったという噂は本当だったのか」
 
「何その女の子になったって?」
とリサは言う。
 
「シサト、生理来たの?」
「まだ来てない。でも乳首がここしばらく立っている」
 
と千里が言うので、今度は
「どれどれ」
と言われて、体操服とその下の女の子シャツまでめくられて千里の乳首が10人以上の女子に観察された。
 
「ああ、確かに乳首立ってる」
「これ乳房が膨らんで来る前兆だよ」
「うん。私も半年くらい前からずっと立ってるもん。心持ち胸の脂肪が厚くなってきた気がする」
「あ、私もー」
などという声がある。
 
「どれどれ」
と言って、その子まで千里と同様に胸をめくられて観察され、悲鳴をあげていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

そういう訳で、この日以降、千里は何の問題もなく、体育の時間は女子と一緒に着替えをすることになってしまった!
 
千里はこの春から体育の授業自体はいつも他の女子と一緒にやっていたし、毎月の身体測定も女子と一緒に受けていたので、着換えも女子と一緒になったことで、千里の性別移行?はほぼ完璧になった。
 

↓ ↑ Bottom Top

21日は3時間目の授業を各クラスとも学活に切り替えることにし、2時間目が終わった後の中休みの時間から、全校児童が体育館に集合した。
 
全員が見守る中で、総倒れ防止のため各ブロックの間を開けていた所にちゃんとドミノを挿入していく。この作業は6年担任の東原先生・工藤先生と、手先の器用な桜井先生・馬原先生の4人で慎重に行った。そして全体のつながりを再度チェックする。
 
11:05。
 
全体を別々にチェックしていた牟田先生と教頭先生が「大丈夫です」と報告し、テレビカメラが撮影している中、児童会長により最初のドミノが倒される。
 
物凄い勢いでドミノが倒れていく。
 
各クラス担当の繋がりは、6年2組から始まって、6→5→4→3→2→1と2組が作った所が倒れていき、その後1年1組から始まって1→2→3→4→5→6と1組が作った所が倒れていく。最後の仕上げは6年1組が作った螺旋の中央に大雪山に見立てた立体的に作った山を崩す。
 
↓ ↑ Bottom Top

みんな息を呑んでその様子を見ている。途中何個か倒れなかった牌もあったが、うまい具合に、複線化していた別の所から倒れ続け、中断せずにドミノ倒しは続いていく。
 
そして千里たちの作った4年1組の銀河流星の滝と旭橋も無事倒れ、5年1組の複雑な幾何学模様の所に入る。
 
「え!?」
と一瞬声があがる。
 
ドミノが止まってしまったのである。
 
「うっそー!?」
 
ひとつ前のドミノはちゃんと倒れたものの、重量比の問題か、倒れる勢いが弱すぎたのか、次のドミノが倒れなかった。
 
その倒れなかったドミノは千里たちの居る場所から、ほんの4mほどの所であった。千里は倒れなかったドミノを睨む。そしてそのドミノの“固有振動”に合わせて「倒れろ!!」と念じた。
 
↓ ↑ Bottom Top

すると倒れた!
 
「おぉ!!」
という声があがる。
 
そのドミノが倒れたことで、続きが倒れていく。
 
安堵するようなため息があちこちで漏れる。思わず隣の子と手を取り合っている女の子もいる。
 
そしてドミノ倒しはフィナーレの6年1組の螺旋に入る。
 
最後は立体的に組んだ山が倒れ、ゴールの所に仕掛けておいたN小の校旗が飛び出して、ドミノ倒しは終了した。
 
思わず大きな拍手が起きた。
 

↓ ↑ Bottom Top

「いや。どうなることかと思いましたね?」
とレポーターさんが教頭先生にマイクを向ける。
 
「あそこは重たかったから、倒れるまで時間が掛かったんでしょうね」
と教頭先生も満面の笑顔で話していた。
 
テレビ局のスタッフさんが倒れなかったドミノの数を数え、予め数えておいた総ドミノ数から差し引いて、41,298個が倒れたことが認定され、その場で認定証が書かれ、児童会長に渡された。
 
「良い福・末広がりですね」
と教頭先生がその数字を読んで即興で言った。
 
各組の学級委員が集まり、認定証を持った児童会長を中心に倒れたドミノを背景に記念写真を撮り、そのあと全校児童も入る構図で万歳をしている所を撮影して、テレビ局の撮影は終了した。
 
↓ ↑ Bottom Top

そのあと全員で協力してドミノを片付け、テレビ局の人に返し、全ての作業が終了した。
 
結局は3時間目だけではおさまらず4時間目まで使ってしまったので、授業はあとで調整するということだった。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
少女たちのドミノ遊び(6)

広告:涼宮ハルヒの憂鬱-北高女子制服風 男性オーダーサイズ