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■少女たちの入れ替わり大作戦(12)

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その後、全員で流れるプールの方に行った。ゴムボートに数人ずつ乗って水の流れに合わせて施設の外縁を一周してくる。
 
千里たちは6人で一緒にタコの形をしたボートに乗ったが、
「この組は男の子がひとりいるし、大丈夫かな。途中でひっかかったりしたら場合によっては降りて外してね」
と、係の人が留実子に言っていた。
 
ボートは最初はプールのある室内の端の付近を流れて行くのだが、途中でアーチ状の橋の下をくぐって戸外に出る。一応透明なアクリルパネルで横も天井も覆われているので、気温が下がったり、雨が降ったりしても大丈夫なようにできている。この日はけっこう暑かった。
 
「旭岳がきれい」
「2年生の時にロープーウェイで上まで行ったけど、素敵だった」
「私は行ったことないな」
「一度行ってみたいね」
 
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やがて温室のような所を通る。中には蘭の花がたくさん咲いていてきれいだった。
 
その温室の出口の所で前のボートとぶつかってしまう。
 
「あ、すみません」
と言ったものの、どうもトラブっているようである。
 
「どうしました?」
とコハルが声を掛けた。
 
「なんかひっかかってしまって」
 
そちらはどうも小学1〜2年生のグループのようである。
 
「見ましょうか」
と言ってコハルがボートから下りてそちらに行く。留実子も降りた。
 
そちらはワニの形をしたボートなのだが、途中で前後が反転してしまったようでしっぽを先に流れて行っていたようだ。みんな後ろ向きになってしまっている。そしてワニのしっぽの先が蘭の蔓にからまっている。コハルがその絡みを丁寧に外し、蔓を向こうの方に押しやって、引っかからないようにした。
 
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「これで大丈夫かな」
「ありがとうございます!」
 
ついでに留実子とコハルで協力して、ボートを回転させ、ワニを本来の向きに戻してあげた。
 
ふたりが戻って来る。
 
「お疲れ様」
「あの形に根本的な問題がある気がする」
「私たちが乗っているタコだと、どちら向いても変わらないね」
「まあ回転したら、人間がそちらを向けばいいし」
 

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流れるプールを回ってきた後、リサは少し泳ぐと言って競泳用のプールへ、恵香と蓮菜は遊泳用のプールに行く。この時、コハルが千里をちらっと見た。千里は留実子をチラっと見る。
 
「あと30分くらいですよね?」
と千里が蓮菜の母に確認する。
 
「うん。そのくらいかな」
「私、少し疲れたから先にあがって着替えてますね」
と千里は言った。
 
「あら、そう? じゃロビーでまた」
「はい」
 
「僕も上がろうかな」
と留実子も言い、ふたりは一緒にプールの出口の方に行った。
 
鍵を交換し、千里は女子更衣室、留実子は男子更衣室に戻る。
 
シャワーになっている部分を通過して更衣室の中に入る。留実子と交換した鍵でロッカーを開け、バスタオルを取り出す。水着を脱ぎ、水泳帽も外してタオルで身体を拭く。
 
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パンティを穿いてから、ふと更衣室内を見回すと、裸で歩いているおとなの女性がいたりする。大きなおっぱいがまぶしく感じられる。
 
いいなあ。。。私も大きくなったら、あのくらいおっぱいできるといいな。などと千里はそれを見て考えていた。
 
アンダーシャツを着て、ズボンとポロシャツを着る。髪を再度よく拭いてから、愛用のキタキツネの髪留めで留めた。
 
水着と水泳帽にゴーグルをビニール製の水着入れに入れ、その上にバスタオルも押し込む。そしてさっさと女子更衣室を出てロビーに行った。あまりゆっくりしていて誰か先にあがってきてはまずい。
 
留実子が先にロビーに出ていて手を振っていたので近づいていき、思わずハイタッチした。
 
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「じゃまた交換」
と言って鍵を交換する。今日は2人は鍵を4回交換したことになる。
 

「温かいものが欲しいよね。私、おごってあげるよ」
と言って、千里は自販機で温かい紅茶を買って1本留実子に渡す。千里の家も貧乏だが、留実子の家は更に貧乏な感じなので、千里は結構留実子におごってあげたりしている。
 
ロビーの空いているソファに座り、留実子と一緒にそれを飲みながら他の子たちを待った。
 
「今回すごくいい思い出になった」
と留実子は言う。
 
「実は乳首が最近よく立っているんだよ。これ胸が膨らみ始める前兆だと思うんだ。もうこういう水着は着られなくなっちゃう。千里、着るならあげるけど」
「私は水泳パンツなんて穿けないよ」
「だよね〜」
 
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「でもるみちゃん、思い出になったのはいいけど、死んじゃダメだよ」
と千里は言った。
 
ふたりはしばらく沈黙していた。
 
留実子が小さく頷く。
 
「じゃさ、みんなが本屋さんに居た時にるみちゃんが金物屋さんで買った紙包み、私にくれない?」
 
留実子は脱力するように笑って、それを自分のバッグから取り出して千里に渡した。
 
「代わりにこれあげるから」
と言って千里は自分のリュックの中から大きな紙包みを取りだして渡す。
 
「何これ?」
「るみちゃんの好みに合うかどうか分からないけど。もしサイズ合わなかったら、このレシート持って1ヶ月以内に来てくれたら交換できるって」
 
と言って千里はレシートも渡した。
 
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「サッカーシューズ!?」
 
留実子はさっそく開けて足に合わせてみる。
 
「結構余裕がある」
「だったらインソール入れれば行けるかな?」
「うん、行けると思う。でもこれ・・・わっ。4800円もするじゃん」
「ビリーブの代役とかで1万円もらったから」
「僕が買ったそれなんて970円なのに」
「いつも女の子の服をもらってる御礼も兼ねて」
 
「そうだなあ。もらっちゃおう。ユニフォームは卒業した先輩のを譲ってもらったんだよ。でもサッカーシューズ買えなくて、今運動靴でやってるんだけどグリップが全然効かなくてさ」
 
「それグリップは軽めだから初心者向きだって言ってた」
「うん。急にグリップの強いの履いたら足を痛めると思う。少しずつ慣らしていかないと」
 
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「サッカー部の人は、るみちゃんの性別、知ってるの?」
「部長さんには言ったけど、男子の試合に女子が出てはいけないというルールは存在しないから大丈夫だろうと言ってた」
 
(実際に中学などの男子サッカーチームには結構女子選手が存在する)
 
「良かった良かった」
「千里は剣道部はどうなってんの?」
「性別のこと言ったら残念がってた。私が男子の試合には出たくないんだと言ったのは理解してくれた。だから練習にだけ参加する」
 
「防具とか要らないの?」
「先輩の小さくなったのを借りることにした」
「なるほど〜」
「竹刀も少し痛んでいるのでもいいならと言ってもらった」
「もらえたり、借りたりできるものはそういうので済ませないとね」
 
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「そうそう。剣道の防具一式そろえたら4〜5万するみたい。とても買えない」
「ああ、お金掛かりそう」
 
留実子は千里と話している内にだいぶ気分が変わったようであった。
 

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「自分が女の身体になっていくのが憂鬱と思ってたけど、少しだけ気持ちが楽になった」
「私と身体を交換して欲しい。私は女の身体になりたい。男になりたくない」
 
「でも千里は達観しているみたい」
「それはるみちゃんの方が達観していると思ってた。私も何度か死にたいと思ったよ」
 
「僕さ、夕張で実は自殺未遂したんだ」
「そんな気はしてた」
「けっこう校内でも騒ぎになったし、近所でも噂されたし、なんか周囲の視線が痛くてさ。それで引っ越そうと言ってお父ちゃんは異動させてもらったみたい」
 
「いいお父さんじゃん」
「でも僕は親不孝しかできないよ。僕たぶんお嫁さんになって孫の顔を見せてあげたりもできないし」
「るみちゃんが生きているだけで、親孝行だと思う」
 
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ふたりはまたしばらく沈黙していた。
 
「千里って時々、年齢が分からなくなる」
「私って性別不詳・年齢不詳と言われることある」
「千里は間違いなく女の子だと思うよ」
「ありがとう。るみちゃんは自分が男か女かということ自体で迷ってるでしょ?」
 
留実子はたっぷり5分くらい考えた上で
「うん、そうかも」
と言った。
 
「私でも良かったら色々自分の気持ちを話してよ。まあ話せないことも多いかも知れないけど、私は人から聞いた話、他の子には言わないよ」
 
「千里をこの半年見ていて、それは思った。逆に言わなすぎて使えない」
「よく言われる」
 
留実子は初めて微笑んで、千里を見た。
 
「そうだ!私が買ってもらって全く使ってない男物の下着、るみちゃん良かったら着てくれない?」
「あ、着る着る」
「じゃ今度持ってくるね」
「僕も女物の下着の未開封のやつ、持ってくるよ」
「じゃ交換だね」
 
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ふたりは笑顔で握手した。
 

プールを出た後はマクドナルドに行く。蓮菜のお母さんはこの後運転しなければならないのでマックはパスして車の中で少し仮眠を取ると言っていた。それで子供たちだけで中に入って各自好きなものを注文する。千里はチキンタツタのセットを食べた。
 
「女の子同士だと、本音の量で食べられるよね〜」
「そうそう。男の子の目があると、つい建前の量になる」
 
などという声があがっている。
 
「僕男だけど」
と留実子が言うが
 
「るみちゃんは1%くらい女の子だから問題無い」
とコハルが言い、留実子も笑っていた。
 
「るみちゃんが1%女の子なら、千里は何パーセント女の子かな?」
と恵香が言う。
 
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「たぶん130%くらい」
と蓮菜が言うと
 
「そうかも!」
と賛同の声が出ていた。
 

マクドナルドで1時間くらいおしゃべりした後、また蓮菜のお母さんの運転するセドリックに6人乗りして留萌に帰還する。帰りは助手席に留実子が乗り運転席の後ろにリサと恵香、助手席の後ろに蓮菜と千里という配置にした。リサと恵香がすぐに眠ってしまったので、助手席側の3人で小声でおしゃべりしながらの帰路であった。
 
「来月のキャンプさ、任意参加だけど、千里もるみちゃんも参加しなよ」
と蓮菜は言った。
 
「そうだなあ・・・」
 
千里も留実子も実は「部屋割」問題と「お風呂」問題がある上に経済的な問題まであって、参加しない方向で考えていたのである。
 
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「千里ちゃんたち、参加費用の問題なら、私が出してあげてもいいよ」
と蓮菜のお母さんも言う。
 
「参加費用なら大丈夫です。今日、ビリーフで歌ったギャラをもらったからそれで私が自分のとるみちゃんの分まで出しますよ」
と千里は言った。
 
キャンプの参加費は1500円である。千里は今日もらったギャラ1万円の半分で留実子のサッカーシューズを買い、残りの内3000円で自分と留実子のキャンプ参加費を出そうと考えたのである。
 
「ああ、なるほど。だったら千里は参加する?」
「そうだなあ。蓮菜がいるなら何とかなる気がしてきた」
「うん。何とかしてあげるよ。ふたりを私・恵香と同じ部屋にしてくれと我妻先生に言った」
 
千里は心がじわっとした。
 
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「蓮菜たちと同じ部屋なら何とかなるかも」
「雅文とも言ってたんだよ。千里を男の子の部屋に入れたらお互い、着替えで問題が生じるし、寝る時も落ち着いて寝られないって」
「うん。それで参加したくないと思ってた」
「キャンプのカレー作りとかで、千里は凄い戦力だしさ」
「うふふ」
 
「るみちゃんも参加しなよ。費用は千里が出すと言っているしさ」
と蓮菜は言う。
 
「そうだなあ。千里も参加するんなら、僕も何とかなるかな」
「まあ男湯には入れないだろうけど。クラスの男子の目があるから。でも私たちの部屋に入ってもらったら、るみちゃんが着替える時はみんな後ろ向いてるから」
 
「ありがとう。女湯に入るのは我慢する」
 
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「だったら参加ね」
「まあいいか」
「るみちゃん、キャンプファイヤーの薪を割るのに、凄い戦力だから。雅文もるみちゃんに期待してると言ってたよ」
「ふふ」
 

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「ところで質問です」
と蓮菜は言った。
 
「今日あんたたちさ、ほんとに千里は男子更衣室、るみちゃんは女子更衣室で着替えた?」
 
「内緒」
「秘密」
 
とふたりは答えた。
 
蓮菜のお母さんが「ん?」という顔をしていた。
 
 
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少女たちの入れ替わり大作戦(12)

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