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■少女たちのBA(2)

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フェス当日は、朝9:10に留萌駅前に集まった。保護者の車数台に分乗して集まっている。千里と美那は蓮菜の母に乗せてもらった。
 
9時半発の留萌−旭川間の快速バスで旭川に出る。所要時間は約2時間で、時間的にはJRに乗るのと大差無いが、JRだと深川駅で乗り換えて、しかもそこで50分も待たなければならないので苦痛である。バスなら道中寝て行けるので、この選択となった。みんなJRを使わない訳である。今回は予めバス会社に言っておいたら増車してくれた。2号車は実質N小専用である。この快速は幌延発なのだが、2号車は留萌駅前発で9:20くらいに駅前に来たのですぐ乗り込んだ。そして1号車の到着後、一緒に発車した。
 
なおこの時期は、高速は秩父別(ちっぷべつ)までしかできていない。一応来月17日には秩父別−沼田間が開通する予定である。留萌までつながるのは2020年3月28日である!
 
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旭川に到着したのは予定より少し早い11:20頃で、予約していた割烹料理店(わりと団体さん向け)に入り、早めのお昼御飯を食べた。御飯・味噌汁、カレイの煮付け、マダラのフライ、茶碗蒸し・炒り豆腐の小鉢、などという構成は「まるで普段の御飯みたい」と不評だった!留萌は漁業の街なので、夕食でのお魚の比率の高い家も多い。
 
BGMでZONEの曲が流れているのを聴いていて、どこからともなく声があがる。
 
「ロックもいいよね〜」
「ガールズバンドもいいよね〜」
「男の子と一緒にやると、女は歌だけ歌ってればいいみたいになりがちだもん」
「そうそう。女だけでやりたいよね」
 
「そういえばロックって何でロックって言うんだっけ?」
「あ、不思議に思ってた。なんで“岩”なんだろう」
 
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これは松下先生が知っていた。
 
「ロック(Rock)はそれに先行して存在した“ロックンロール”(Rock'n Roll)が語源だけど、これはロック&ロール(Rock and Roll)の省略形。この言葉は直接的には1934年に3姉妹歌手ボズウェル・シスターズ(The Boswell Sisters)が発表した"Rock and Roll"という楽曲タイトルが元になっている」
 
↓"Rock and Roll" - the Boswell Sisters
https://youtu.be/6b5oWwFUhN0
 
「曲名から出たんですか!」
 
「まあ『浄瑠璃姫』の物語から“浄瑠璃”という言葉が生まれたのと同様だね」
 
と松下先生は言ったが、児童たちは誰も浄瑠璃(じょうるり)を知らなかった!
 
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「更に元を辿ると、ロック&ロールの“ロック”は揺れるという意味でロッキングチェア(rocking chair)のロックだよ」
 
「あぁ」
「岩じゃなかったのか」
 
「ロールは回転するという意味。元々は海がしけて船が酷く揺れている状態をロック&ロールと言っていた」
と松下先生が言うと、千里は小さい頃に船に乗せられて酷く船酔いした時のことを思い出して、ぶるぶるっと震えた。
 
「そこから来て揺れて転げ回るようにスイングして演奏する音楽をロック&ロールと言ったんだね」
 
「船酔いするみたいな音楽ですか!」
 
実際にはその“船酔い”から来て、まるで船酔いでもしているかのように激しく揺れるようなセックスを20世紀初め頃に "rock and roll" と隠語的に言っていて、音楽のRock and Roll という言葉の成立にはそういう裏の意味もあるとされるが、さすがに松下先生は小学生の前では、その話は省略した。
 
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BGMはZONEの大ヒット曲『secret base〜君がくれたもの〜』になっていた。BGMに合わせて歌っている子もいる。
 
「いい曲だよね〜」
「せつないよね〜」
 
「ところでシークレットベースってどういう意味?」
「秘密のベースギター?」
「違う違う。秘密基地だよ」
「そっか、米軍基地のこと“ベース”って言うもんね」
 
(基地のベースはBase, 野球の本塁もBase, ベースギターは Bass. イタリア読みするとバス)
 
「なんで基地が出てくるわけ?」
「ふたりだけの秘密の場所だよ」
 
ざわめきが起きる。小学生だけに、あまり深く意味を考えずに歌っていた子が多い。
 
「ふたりだけの秘密の場所って何するの?」
と訊く側も興奮気味である。
 
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「そりゃすることは分かってる」
「きゃー!」
「そういう意味だったのか!?」
 
今気付いた子も多いが、こういう会話を聞いて分からない子もいる。“すること”って何だろう?などと考える。特に4年生などは首をひねっている。
 
「そんなことまでしたのに簡単に別れちゃっていいの?」
「だから10年後の8月に再会して結婚するんだと思うよ」
「結婚するのかな?」
「それは10年後にならないと分からない」
「なんで10年も待つの?」
「まだ結婚できる年齢じゃないからかもね」
「転校って言ってるから中学生くらいだよね?」
「小学生だったりして」
「え〜〜!?」
 
話が進展!?しているので、松下先生が注意した。
 
「あんたたち、万一“する”時はちゃんと“付け”させなさいよ」
「はい!」
 
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松下先生の言葉の意味が分かった子は返事したが、何のことだか分からない子は???状態だったようだ(分からなかった子が圧倒的に多い)。でも“大人の会話”かなと感じた子が多かったようである。
 
なおこの曲は2001年に放送された『キッズ・ウォー3』の主題歌にもなっているが、昼ドラなので見ている子はほとんど居ないと思われる、また歌詞の内容は必ずしもドラマとはリンクしていない。ヒロインの女子中生を演じたのは井上真央(当時14歳)である。
 

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駅前からは市内バスで会場まで行った。
 
1度に乗り切れないので2台に分かれて乗った(馬原先生・松下先生が各々に付きそう)。後の便に乗った子たちが到着したのが11:50くらいであった。
 
天気が良ければ歩いても良かったのだが、生憎今日は雨である。どっちみち服も行程中は普段着で、会場に入ってから(トイレに行った上で)合唱サークルの制服に着替えた。
 
その上で会場の指定のエリアに着席する。着席したのが12:10くらいだった。フェスは12時から始まっているが、最初はお偉いさんの挨拶が続くので、演奏はまだ始まっていない。
 
N小の出番は最後の方なのだが、色々な学校の演奏を聴いているとなかなか刺激になる。コンクールではなくフェスティバルなので、結構人数の少ない学校もあったし、2校・3校合同の演奏もあった。ピアノではなくギターで伴奏している学校もあった。また伴奏をミスったり、途中で止まってしまい楽譜を再確認して続きを演奏する、などというシーンもあった。
 
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全体的にレベルは低く!音が合ってない所さえあるが、みんな楽しそうに演奏しているのが気持ち良かった。
 
「やはり音楽って楽しいのが基本だよね」
「そうそう。音で楽しむって書くんだもん」
 
N小の出番は16時過ぎであった。その後は昨年合唱コンクールで道大会に行った中学がラストを締めくくる。N小は小学校の中ではトリになるが、やはり2年連続で地区大会優勝した実績は大きい。
 
N小の2つ前にY女学院が歌った。1曲目は海善台司さんの『少年の嘆き』という無伴奏・無調曲で、ソプラノとアルトが各々全く別のメロディを歌う(つまりハーモニーも無い)という難しい曲である。千里は「分からん!」と思った。
 
2曲目は伊淵枡巳さんの『ユルリの春』という曲。こちらは普通の合唱曲でソプラノとアルトはハーモニーを作っている。でも頻繁に転調する。難易度の高い曲だし、あまり美しくないと千里は思った。
 
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どちらの曲も会場は困惑している感じだった。
 
1曲目はN小の子たちも首をひねっていたが、2曲目を聞くと
 
「さすがうまいねー」
と言っていた。
 
でもY女の子たちは退場する時、こちらにかなり敵対的な視線を送っていた!
 

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中学の有力校J中学の演奏(これも難解な曲だった:みんな首を傾げていた)の後、N小の児童がステージに並ぶ。馬原先生がピアニストの美那とアイコンタクトして『情熱』の前奏が始まる。そして歌い出す。
 
大ヒット曲なので、会場の反応がいい。F女学園・J中学と難解な曲が4つ続いたの後というのもあり、会場はホッとした様子で、手拍子なども起きていた。N小の子たちも楽しく歌っていた。
 
気持ち良く歌った所で2曲目に行く。
 
篠笛を吹く映子が前方に出て、指揮者の近くに立つ。2曲目の『キツネの恋の物語』を演奏する。
 
ピアノの前奏に続いて篠笛が4小節入って歌が始まる。
 
この歌はキタキツネの恋の様子を描写したもので、ソプラノとアルトの掛け合いがキタキツネのペアの恋模様を表現している。オスのキタキツネ(アルト)の呼びかけにメスのキタキツネ(ソプラノ)が応じるので、アルトが主導して歌は進行する。アルトが目立つというのはひじょうに珍しい形式の曲である。
 
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クライマックスにはアルトのソロ(5年生の希望)、続いてソプラノのソロ(穂花)も入るようになっている。
 

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フェスでは、篠笛の装飾音が入る中、アルトとソプラノのソロの掛け合いで盛り上がっていき、最後は美しいハーモニーで終止した。
 
この曲を知っている人はそう多くは無かったと思うが、リズミカルでアップテンポの曲であり、歌詞も楽しいものだったせいか、大きな拍手をもらった。
 
N小のメンバーも思ったよりうまく行ったので笑顔であった。
 
馬原先生が
「あんたたちは本番に強い」
と言って褒めていた。
 

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最後の中学生(L女子中)の歌唱を席に戻りながら聴いた。
 
そして全学校の歌唱が終わった後は、このフェスティバルの幹事校F女学園中の部長さんとピアニストが壇上に上がり、会場のみんなで『北海道シャララ』を大合唱して、フェスティバルは終了した。
 
千里たちN小のメンツは、松下先生がみんなにハンバーガーをおごってくれたのを食べながらバスを待ち、この日の留萌行き最終バス(18時半発)で留萌に戻った。帰りも来る時と同様増車してもらったので、千里たちの乗る2号車は実質N小専用となった。
 
「女性ばかりだから安心して眠れるよね」
などという声もあがっていた。
 
「女だけだと恥ずかしい格好もできるよね」
などと言っている子もあったが、運転士さんが
 
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「僕は男なので、僕が驚いて運転ミスしない程度にしといてね」
などと言っていた!
 
「でも私たちこれから制服を普段着に着替えるんですけど」
と5年生の梨志が言うと
 
「じゃ目を瞑って運転してるよ」
などと運転手さんは答え、車内が爆笑となった。
 
児童たちは着替え終わり、配られたお弁当を食べた後は、30分もしない内にみんな眠ってしまった。馬原先生も今日1日の疲れが出て眠くなったので少し寝ようかと思ったが、その時、先頭の座席に30代の女性が居て、運転士さんと眠気防止に?会話しているのを見て「あれ?付き添ってくれたの誰のお母さんだったっけ?」と思いながら眠りに落ちていった。
 

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