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■娘たちの衣裳準備(12)

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それで暢子は仕事先も決まったことで気を良くして、夕食にファミレスに行った。ウェイトレスさんに案内されて空いている席に行こうとしていた所で、途中のテーブルに森田雪子がいるのに気付く。
 
「あれ、雪子じゃん」
「暢子先輩!」
 
結局、雪子のテーブルに同席することにする。
 
「雪子、今どこにいるんだっけ?」
「千葉市内のローキューツという所に入っていたんですけど、この秋に辞めたんですよ」
「へー。辞めて来期からはWリーグ?大学も卒業するし」
「Wリーグなんて無理ですよ〜」
「そんなことはない。雪子なら、欲しいというプロチームや実業団チームはたくさんあるぞ」
 
「たくさんもないですよ〜」
 
「でもそれならバスケの練習はどうしてるの?」
「今は毎日ランニングしたり、ひとりで公園でドリブルの練習したりで」
「練習相手は居ないの?」
「はい」
 
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「雪子のレベルだと、その辺の趣味のチームとかでは、練習相手にならんしなあ」
と言ってから暢子は言った。
 
「じゃ、うちのチームに入らない?今ならピート・マラビッチの背番号7がまだ空いてるぞ」
 
「わぁ!ピート・マラビッチは私にとって神様です!」
と雪子は笑顔で言った。
 

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それで暢子は1月16日(木)の練習に雪子を連れて行き
「おお、ポイントガードが確保出来た!」
と歓迎された。
 
更にその日は秋葉夕子が、江戸娘OGの神田リリムと上野万智子、麻依子がローキューツOGの後藤真知と真田雪枝、更に竹宮星乃が実業団を退団したという中折渚紗を連れてきていた。
 
それで40 minutesのメンバーは12人になったのである。
 

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ところでこの16日の練習なのだが、千里は夕方練習に行こうとしていて、スペイン・グラナダにいる《すーちゃん》から緊急連絡を受けた。
 
「千里、球団事務所から少し話をしたいといってきてるんだけど」
「分かった。交替しよう。じゃすーちゃん、私の代わりに40 minutesの練習に出て」
「え〜〜〜!?」
 
ともかくも《きーちゃん》に2人の位置を交換してもらう。それで千里はアパートを出て自転車で球団本部まで行った。
 
「ブエノス・ディアス」
と言って事務所に入っていく。すると球団代表が出てくるので驚く。
 
「ブエノス・ディアス、セニョリータ・ムラヤマ、君の身分なんだけど、良かったら4月から正式にうちのチームの所属になってもらえないかと思って」
 
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「はい?」
 
「日本バスケット協会のほうと話したんだけど、向こうとしては予算が限られているので、ムラヤマさんの強化派遣は3月いっぱいで打ち切りたいというんだよね。だったら、そのままこちらの所属に変更してもらえないかと」
 
「分かりました。それって、日本のチームと兼任でも構わないんですか?」
「その点、日本協会とも話したけど、向こうとしては二重在籍自体は問題無いらしい。ただ、こちらとしては、うちの試合の日と前日の練習に必ずこちらに出て欲しい」
 
「分かりました。もしかしたら兼任になるかもしれませんが、その場合は、レオパルダ優先でいきます」
 
「では契約しましょう。年俸は1年目だし3万ユーロ(約400万円)でどう?」
「そんなに頂けるなら嬉しいです」
「ではそれで」
 
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そういう訳で千里はレオパルダの正式な選手になったのである。背番号は現在の33をそのまま使用することになった。
 

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さて、千里と入れ替わりで日本に来て、40 minutesの練習に参加することになってしまった《すーちゃん》だが、年内の千里のプレイを見ているメンバーからは
 
「今日は少し調子悪いみたいだね」
と言われる。
 
U20の時以来、3年ぶりとなった渚紗が
「千里、マッチアップしてよ」
というので、やったのだが、《すーちゃん》は彼女に半分くらいしか勝てなかったし、スリー対決では渚紗が勝つ。すると渚紗は
「ちょっとがっかりした」
と言った。
 
その対決を見ていた麻依子が言った。
 
「やはり病み上がりではあまりパワーが出ないね」
「ああ、病気してたの?」
「インフルエンザで1週間寝ていて、昨日やっと完治証明もらったらしいよ」
「そういうことだったのか」
と渚紗は納得していた。
 
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「うん。今日は私も不本意だった。来週またやろうよ」
と《すーちゃん》は冷や汗を掻きながら答えた。
 
しかし麻依子は後で小声で言った。
「すーちゃん、凄くレベルアップしてる。渚紗と互角じゃん。何なら、千里と別名で40 minutesに参加しない?」
 
《すーちゃん》はバレてる〜!と焦るものの
「それだと千里の代役ができないし、私、国籍曖昧だし」
と言っておいた。
 
(すーちゃんは元々バスケットでインターハイに出た経験もあったのだが、玲央美の練習パートナーを務めている内にかなりレベルアップしていた。但しこの頃はまだバスケの実力が結構あることが千里にはバレていない)
 
「ちなみに女の子だよね?」
「女ですー」
「女だったら問題無い。どこ生まれ?」
「生まれたのはインドネシアかな」
「へー!でも日本は長いんでしょ?」
 
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「うん。徳川吉宗公の時にジャガタラの貿易商人と一緒に出島に来て、宿主が急死した後、江戸から出島に勉強に来ていた医者に拾われて。そのまま日本に居座ってしまったから250年くらいかなあ」
 
「金さん・銀さんより前から日本に居るのなら、充分日本人だよ」
「あはは」
 

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淑子はその日、お店で成美の中学の制服を受け取ってきた。成美が帰宅してからさっそく試着させてみる。
 
「かわいい〜」
と(妹になる予定だが、現在はまだ)弟の宏佳が声をあげた。
 
「凄く嬉しい」
と本人も言っている。
 
「じゃ春からは立派な女子中学生だね」
と淑子は笑顔で言った。
 
「私も女子中学生になれるかなあ」
と宏佳が言うので
 
「おちんちん取ったらね」
と淑子は言った。
「12歳にならないと、その手術ができないのよね」
「待ち遠しいなあ」
 

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龍虎はその日、彩佳・桐絵と一緒に制服を受け取りに行った。
 
「はい。南川さん、入野さん、田代さんね。あら?田代さんのこれ男子制服じゃん。ごめん。何か手違いがあったみたい」
とお店の人が焦っている。
 
「いえ。田代は男子ですから、それで間違いありません」
と彩佳は言ったが
「もしかして応援団か何かに入るのに男子制服が要るの?」
「龍の応援団は無理がありすぎるな」
と桐絵は言った。
 
それでお店の人が首をひねっている中、代金を払って持ち帰り、取り敢えず彩佳の家に3人で入った。試着してからお互いに写真を撮り合う。
 
「龍、私の制服もちょっと試着してみない?」
と彩佳は言った。
 
「え!?」
 
「私も龍の女子制服姿、見たい」
と桐絵も言った。
 
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それで龍虎は男子制服を脱いで、彩佳の女子制服を身につけた。
 

「かわいい〜!」
と桐絵が声をあげ、写真を撮る。桐絵と並んだ所も彩佳が撮影した。更に桐絵の制服を彩佳が着て、彩佳と並んだ所も桐絵が撮影した。
 
「ねぇ、今からでも頼めばギリギリ入学式には間に合うよ。龍、女子制服作らない?」
と桐絵が言うと、龍虎は本当に迷うような顔をして
 
「どうしよう?」
と言った。
 
「龍、取り敢えずブラウスは何枚か買ったら?」
と彩佳が言うと
「それは買っちゃうつもり」
と龍虎も言った。
 
「だいたい、ワイシャツだと胸が入らなかったし」
「そうなんだよね。全然ボタンがとめられなかった」
 
ワイシャツのサイズは首回りと裄丈で選ぶ。それでバストが大きい龍虎にはそれで選んだサイズのワイシャツが全然入らなかったのである。それで学生服を着た時は、胸付近のボタンが留まらないのを放置した。女子制服を着る時には彩佳のブラウスを借りた。
 
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「龍はブラウスの上に学生服着ればいいよ」
「そうしようと思う」
 
「ついでにリボンも買うといいね」
と桐絵。
 
「・・・欲しいかも」
「だったら私が予備と称して買ってあげるから、お金だけ出して」
と彩佳が言うと
「うん」
と龍虎は答えた。
 
「ついでに制服スカートも」
「・・・悩む」
 
と龍虎が言っているので、彩佳と桐絵は顔を見合わせて笑った。
 

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2014年1月19日(日).
 
横浜エリーナで、第1回ドラゴンジュニアバレエフェスティバルが開かれた。
 
龍虎たちのバレエ教室では『くるみ割り人形』を15分間で演じる。発表会の時に休んだ和絵と花丸君も来ており、ちゃんとクララ・金平糖とくるみ割り人形を演じるはずである。龍虎は中国の踊りの出演だが、ちゃんとスカートタイプの衣裳を着けている!するとその中国の衣裳を着けた龍虎を見て、別のバレエ教室の先生が龍虎に言った。
 
「あら、あなた12月の教室発表会では金平糖を踊らなかった?」
 
「発表会見てくださったんですか?ありがとうございます。あれはうちのプリマが怪我して休んじゃって、ピンチヒッターだったんです」
 
「へー!でも凄く上手いと思った」
「ありがとうございます」
 
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「でもそれでトウシューズじゃなかったのね?」
「ええ。うちは小学生はトウシューズ禁止なので」
 
「そのポリシーいいよね。うちも本当は中学生以上にしたいんだけど、保護者から早くトウシューズ履かせてといわれて5年生以上にしてるのよね」
「へー。でももっと小さい内から使っている所もありますよね?」
「そうなのよね〜。まだ成長段階の足にはよくないと思うんだけど」
 
「今何年生?」
と龍虎は訊かれる。
 
「小学6年です」
「あらだったら来年になったらトウシューズが履けるじゃん」
「そうですね」
 
と言いながら、龍虎は男の子もトウシューズ履くのかなあ、などと思っている。
 
「あなたがトウシューズ履いて踊った金平糖とか黒鳥とかが見たいなあ」
「あはは。でもうまい人は他にたくさんいるから」
と龍虎は言っておいた。
 
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この日は教室の生徒が(群舞の子で数人欠席したのを除くと)全員ちゃんと来ていたので、ハプニング無く行くかなと思っていたのだが、フランスの踊りを踊る予定の芳絵(発表会ではフランスの踊りに加えてクララを踊った)が、会場に来てから足をひねってしまった。
 
「無理しない方がいい」
「うん。誰かフランス踊れる人?」
「私は踊れるけど時間的に無理ですよね?」
と金平糖役の和絵。
 
「フランスの次が金平糖だもんね!」
「龍ちゃん、やってくれない?」
と和絵が言った。
 
「中国だとロシアをはさんでフランスか」
「だからそのロシアの間に着換えれば」
「2分で着換えるんですか?」
「順序を変えよう。スペインの後、先に中国をやってからアラビア」
「それなら4分あるね」
「4分なら着換えられるよね?」
「はい」
「じゃ音楽の順序編集します」
「よろしく」
 
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それで急遽龍虎はフランスの踊りを踊ることになったのだが、後から考えると順序を入れ替えるなら、和絵が踊っても良かった!!
 

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ともかくもそういう訳でこの日龍虎は中国の踊りでスカートの衣裳を着て鈴菜の左側で踊った上で、急いでフランスの踊りのクラシックチュチュ型衣裳に着換え、井村君とペアを組んで踊った。蓮花は佐藤君とのペアである。
 
トウシューズを使わないのだが、その分井村君も女子側を支える所がほぼ形だけで済んで楽だったようである。
 
ちなみに井村君は昨年のスペインでも一緒だったが、その時は龍虎と井村君のペアではなく、龍虎と唯花、井村君と妃呂のペアであった。龍虎は夏休みには蓮花の代役で佐藤君と組んで踊っていたのだが、この日は急造ペアでも全く問題は起きなかった。龍虎をリフトする所も上手くいった。
 
「いや、どうなることかと思ったけど、田代は上手いし軽いし、女の子と全然変わらないから踊りやすかったよ」
と井村君は言っていた。
 
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「まあ田代は感触も女の子だし」
と佐藤君が言っている。
 
「思った!だから最初触った時、ドキッとしちゃった」
と井村君。
 
「彼女にしたくならない?」
と佐藤君。
 
「いや、そういう道には踏み込みたくない」
「性転換手術も済んでいるという話だから女の子と何も変わらないよ」
「そんなのしてないよぉ!」
 
 
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娘たちの衣裳準備(12)

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