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■娘たちの開店準備(12)

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28日(月)の午前中は、この一週間お世話になった**大学の学長さんに挨拶に行き、あらためてバスケ部の人たちにも挨拶することにした。
 
ところが挨拶だけのつもりだったが
 
「最後にもう一度試合しましょう」
という話になり、急遽、最後の練習試合をした。
 
76-82で日本が勝ったが、どちらも気合いの入った熱い試合となった。
 
終わった後、またあちこちでハグしたりする場面が見られた。
 

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お昼を彼女たちと一緒に取ってから別れる。写真を撮り合ったりした。
 
28日の午後は少しだけ自由時間となり、モスクワ市内のデパートでお土産などを買った。そして16時頃、シェレメーチエヴォ国際空港に入る。
 
出国手続きをして19:40のSu 575 A330成田行きに搭乗した。今回の出国手続きでは王子にはウィッグ!をかぶせておいたので、性別問題では揉めずに済んだ。到着は翌29日(火)の10:00で、所要時間は9:20である。入国手続きをしてからいったん北区の合宿所に行き、ここで今回の遠征の解散式をした。
 
そのまま帰っても良かったのだが、千里・玲央美・彰恵・江美子・星乃・留実子の6人が特に志願して、空いているコートを借りて夕方まで練習を続けた。
 
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6月25日(金)。富山県高岡市に住む高園朋子は給料が出たので各種の支払いをしようと、昼休みに会社を抜け出して、近くのH銀行N支店に行った。
 
入金票を書き、振込票・現金と一緒に、顔見知りの窓口のおばちゃんに出す。それで向こうは処理をしていたのだが、ふと気付いたように言った。
 
「高園さん。ずっと積み立てしてましたでしょう?」
「あ、はい」
「来月で満期になりますよ」
「わぁ・・・・」
「また満期直前に通知行くと思いますけど」
「分かりました」
「桃香ちゃん、20歳になるんでしょ?桃香ちゃんが20歳になる年に満期になるようにって始めたんだもん」
 
知り合いすぎる人が窓口にいると面倒な面もある。
 
「ええ。この4月で20歳になりました」
と朋子は曖昧な笑顔で答える。
 
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「じゃ今度成人式ですね。結婚とかも近づいてくるし」
 
「結婚ねぇ」
 
と言って朋子はため息をついた。「私はレスビアンだ。男の子には興味が無い」とはっきり自分に言った桃香が結婚するというのはあり得ない事態だ。もしかしたら女の子同士で結婚したいと言い出すかも知れないけど。その場合、どういう結婚式になるのかしら?双方ウェディングドレス?それともまさか桃香はタキシードを着たりして。ひょっとして私、向こうの親御さんに「お嬢さんを頂きます」とか挨拶に行かないといけないのかしら??
 
親戚に何言われるかと思うと、朋子は頭が痛くなってきた。
 
しかし(普通の)結婚があまり考えられないなら、豪華な振袖とか作ってあげてもいいかな、と朋子は考え始めた。
 
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千里たちU20チームがロシア遠征をしていた時期、U18チームはタイ南部のスラートターニーで、U18女子アジア選手権に臨んでいた。
 
このU18チームに参加しているのは下記12名である。
 
旭川N高校の湧見絵津子(SF)、札幌P高校の渡辺純子(SF)・伊香秋子(SG)・江森月絵(PG)、愛知J学園の加藤絵理(PF)・夢原円(C)、岐阜F女子高の神野晴鹿(SG)・鈴木志麻子(PF)・水原由姫(PG)、東京T高校の吉住杏子(C)、大阪E女学院の富田路子(C)、愛媛Q女子高の小松日奈(C)
 
小松日奈と水原由姫は高校2年生なので実はU17とU18を兼任している。
 
2年前の千里たちの世代のチームが、わりと目立たない職人型の選手が多かったのに対して、この世代は天才プレイヤーが多く、初優勝を成し遂げた前回に続いて2連覇の期待をする人がかなり多かった。
 
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実は高梁王子もU18に参加する権利を持っていたので参加させることも検討されたものの、彼女は将来のことを考えると、もっと上の世代で鍛えたほうがよいということになり、U20の活動優先になっている。
 

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23日から27日までは予選リーグが行われる。日本・中国・韓国・台湾・マレーシヤ・カザフスタンの6ヶ国で総当たり戦が行われ、日本は中国にも勝って5勝で決勝トーナメントに進出した。
 
決勝トーナメントでは、29日の準決勝では韓国に67-60で勝ったものの、30日の決勝戦では、中国に122-78のまさかの大差で敗れてしまった。
 
中国は予選リーグでは色々戦力や作戦などを隠していて、決勝戦に全てを掛けていた。1996年から2006年まで6連覇していたのを前回日本にやられてしまったので雪辱すべく慎重に準備を進めていたようであった。
 
そういうことで今回のU18アジア選手権では日本は準優勝に終わった。
 
3位以上がU19世界選手権に行けるので、むろん日本も来年のU19世界選手権(チリ)に参加することができる。
 
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「なんかまた協会の上の方が揉めてるみたいだよ」
と7月1日にジョイフルゴールドの練習場に寄せてもらった時、千里は玲央美から聞いた。
 
「まあ勝てなかったら揉めるよね」
「特にプリンをU18に入れなかった判断が明らかに誤りだったというので責任の押し付け合い」
 
「ああ・・・・。でもキミちゃんは、今回のロシア遠征でかなり鍛えられたよ」
 
「私もそう思う。彼女自身の成長のことを考えたら、弱いチームばかりのアジアのチームと戦うより、今回のロシアでの対戦のほうがずっと効果があったと思う。でも確かにプリンが参加していたら、中国にあそこまでやられてないよ」
 
「えっちゃんや純ちゃんたちの世代も充分強いからね〜。キミちゃん無しでも行けると思ったんだろうけどね」
 
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「“女子四天王”加藤絵理・鈴木志麻子・湧見絵津子・渡辺純子にとっては痛い経験だけど、これをバネにあの4人は更に伸びるだろうね」
 
「うん。私たちもうかうかしてられないよ」
「上を追いかけるのはワクワクするけど、下から追いかけてこられるのは結構神経を削られるよね」
 

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U20のロシア遠征が終わったばかりというのに、今度は7月3-5日にはフル代表の第5次合宿が行われた。
 
結局千里は自分のインプを北区のNTCに先日から駐めたままである!
 
そしてこのフル代表の合宿と並行してU24の強化合宿も同じNTCで行われた。
 
7.03-05 フル代表第五次合宿
7.03-18 U24合宿
7.07-20 フル代表第六次合宿
 
花園亜津子はU24とフル代表を兼ねているので、6日まではU24の合宿に参加して、7日からはフル代表の方に入ってくれと言われたらしい。
 

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千里は7月6日(火)、約1ヶ月ぶりに大学に出て行った。
 
4.01-11 フル代表合宿
4.12-28 大学
4.29-5.09 フル代表合宿
5.10-19 大学
5.20-31 フル代表合宿(21-23はU20合宿)
6.01-04 大学
6.05-07 礼文島。貴司の祖父の三回忌(7日はきーちゃんが大学に代理出席)
6.08-11 大学
6.12-13 旭川で株主総会
6.14-18 きーちゃんを身代わりに大学に出して千里本人はジョイフル・ゴールドの練習に参加
6.19-29 U20ロシア遠征
6.30-7.02 きーちゃんを身代わりに大学に行かせて自分はジョイフルゴールドの練習に参加
7.03-05 フル代表合宿
 
要するに今年度千里が自身で大学に出たのは4.12-28, 5.10-19, 6.01-04,08-11の29日間にすぎない(授業日数は63日間:きーちゃんの代理出席が9日)。これだけ大学に行っていないと、自分が大学生であることを忘れつつあるなと千里は思った。
 
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フランス語の時間、このテキスト久しぶりに見たなあ、と思いながら教科書を眺めていたら当てられる。
 
「マドモアゼル・ムラヤマ、リール・ル・テクスト、シルヴプレ」
と先生から言われる。
 
『えっと、どこ?』
と《りくちゃん》に尋ねる。《りくちゃん》が呆れたように
『43ページの2段目から』
と教えてくれる。
 
それで千里が読み始める。
 
千里の美しいフランス語の発音に、初めて千里と同じクラスになった子たちが「すごーい」という顔をしている。
 
「はい、そこまで。美しい発音ですね」
「子供の頃、近所にフランス語を話す友人が居たので覚えたんです」
と千里は言う。
 
「フランス語を話す友人ですか。アルジェリアかどこか?」
「いえ。日本人なんですけど、フランス生まれで、日本語がまだ不確かだったので、フランス語でたくさんお話したんですよ」
 
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「ああ、確かに外国で生まれたら、日本語よりそちらが強くなっちゃうかもね」
と先生も言っていた。
 

先生が千里を「マドモアゼル」と呼んだことに対して、クラスメイトでこのような場面にあまり遭遇していなかった鈴木君が尋ねる。
 
「先生、村山君のことマドモアゼル・ムラヤマと言いましたけど、ムッシュー・ムラヤマではないのですか?」
 
すると先生は鈴木君がフランス語の敬称そのものについて知らないと思ったようである。
 
「フランス語の敬称で、ムッシューは男性のみに使いますね。女性の場合は、未婚であればマドモアゼル、既婚であればマダムになります」
と先生は説明する。
 
「村山って男なのでは?」
と鈴木君。
「え?女性でしょ?」
と先生。
 
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教室のあちこちで忍び笑いしている子がいる。
 
「鈴木、村山が女であることは、既に1年くらい前に証明されて現在は定理になっているよ」
と紙屋君が言うので、「証明!?」と言って鈴木君は悩んでいるようである。
 
友紀が質問する。
 
「先生、未婚か既婚か分からない女性についてはどうすればいいんでしょう?」
「それは年齢で、まあ30歳くらい以上なら既婚かな、20歳くらいまでは未婚かなという感じで想像で言ってみて、間違ってたら御免なさいPardonと言って修正すればいいですね」
 
「じゃけっこう微妙な年の人だと悩みますね」
「ええ。悩みますけど、悩んだらマダムと言っておいたほうが無難です。未婚なのにマダムと言われて怒る人より、既婚なのにマドモアゼルと言われて怒る人の方が多いですから」
 
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「へー!そういうものですか」
 
「それと英語のミズのように、既婚未婚を問わずマダムを使おうという運動をしている人たちもいるんですよ」
 
「ああ、英語はミスと呼ぶべきか、ミセスと呼ぶべきか、ミズと呼ぶべきか、悩む人がいますね」
 
「先生、男か女かよく分からない人についてはどう呼べばいいんでしょう?」
と渡辺君が質問する。
 
「うーん。。。そんな人いますかね? まあそういう時は当てずっぽで言ってみて、違ってたら御免なさいということで」
 
「なるほどですねー」
 
「そこら辺って難しそうですね。女でムッシューと呼ばれて怒る人と、気にしない人、男なのにマダムと言われて怒る人、気にしない人、それぞれ居そうだし」
と千里が言うと、渡辺君や友紀などは少々呆れている感じ。
 
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「私もバスケの活動で海外に行っていると、特に女子バスケ選手には背が高くてがっちりして、普通に見たら、ついムッシューとか言ってしまいそうな選手も多いんですよ」
 
「なるほどですね。バスケとかバレーには多いかも。でもたぶんそういう人は間違われるのにも慣れているからあまり怒りませんよ」
と先生は言う。
 
「ええ。だいたいそうみたいです。女湯や女子トイレで悲鳴あげられたことは何度もある、なんて自嘲気味に話していた人もいましたし」
 
「まあ千里ちゃんなら、女子トイレにいても誰も変に思わないだろうな」
と紙屋君が言う。
 
「そうだね。男子トイレにうっかり入ろうとして追い出されたことはあるけど女子トイレで悲鳴あげられたことは1度も無いなあ」
 
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と千里が言うので、紙屋君は頷いているものの、友紀や渡辺君たちが顔を見合わせていた。鈴木君は自分は何か大きな勘違いしてたっけ?という顔をしていた。
 
「でもやはり背広とか着ている人は女に間違われることないだろうし、振袖とか着ている人は男に間違われることはないでしょうね」
 
と紙屋君が言う。
 
「うん。そういう服装の性別って昔は明確だったけど、最近はそういうのが崩壊しているから性別の区別のつきにくい人もいるよね。まあ振袖でなくてもスカート穿いていたらたぶん女だよね」
と先生。
 
「ああ、スカート穿く男は少ないですからね」
 
「千里は成人式は振袖着るの?背広着るの?」
と友紀が訊くと
 
「成人式かぁ・・・・何も考えてなかった。何着ようかなあ」
と千里は悩むように言った。
 
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「千里ちゃんは振袖が似合うと思うよ」
と紙屋君が言う。
 
すると千里は「あぁ・・・」と言ったまま、一瞬思考がどこかにトリップしたかのようであった。
 
 
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娘たちの開店準備(12)

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