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8月15日のお盆には、双葉・春恵・福田君・山崎君が千里家に来て、千里・清香・公世も一緒に全員女の子用の浴衣を着て、姫路城の盆踊りに出掛けた。
清香:バラ、千里:桜、双葉:ぼたん、公世:百合、春恵:ひまわり、福田:あじさい、山崎:ブーゲンビリア
福田君は女の子浴衣を著ても男にしか見えないが気にしない!いちばん可愛い感じになるのは山崎君である。凄い美少女になる。7人の集団で歩いてなかったら、きっとナンパされている。
福田君は女の子浴衣を着てても男子トイレに入る。剣道の大会で女子トイレを使っても注意されないのは剣道の大会ではわりと男っぽい女子もいるからである。通常の場所でなら女子トイレに入れば逮捕される。山崎君は逆に男子トイレに入れば注意される。彼はふだんズボンを穿いていても女子トイレである。春恵はどちらに入っても許容されるようである。多分おかまさん程度には見える。福田君は男にしか見えないから女子トイレでは痴漢と誤解される。
「今年は女の子ばかりだから、おごってくれる男の子がいないな」
などと清香が言ったが
「ぼくがおごるよ」
と公世が言ってみんなにイカ焼き(お好み焼きに似た粉物)をおごってくれた。
「ぼくも協力するよ」
と春恵と福田君も言ってお金を出していた。
女の子モードでも公世はいつも「ぼく」と言う。春恵は「私」と言いたいけどなかなか言えない感じ。福田君は「ぼく」である。山崎君は「私」になる。彼は男の子モードでも「私」と言うことが多い。
山崎君はインターハイの後で、きーちゃんから完全な女の子にしてもらったらしい。福田君は卵巣・卵管・子宮・膣のセットを作ってもらったものの、まだペニスは維持している。しかし卵巣の働きで今後バストが発達するだろう。山崎君は既にかなり胸が大きくなっており、インターハイの時はスポーツブラを着けていた。春恵は昨年5月の合宿の時に女の子に変えてもらっている。山崎君は昨年5月の合宿で睾丸を取ってもらい、夏の合宿で卵巣だけ作ってもらっていた(その時点ではまだ子宮・膣は無かった)。今回ペニスを取り割れ目ちゃんと膣を造り子宮も作ったので1ヶ月程度以内には生理も始まるはずである。
公世は中学の時から卵巣・子宮・膣があるが、自分の意志で排卵が起きないようにコントロールしており生理は無い。しかし卵巣がお仕事してるので、胸は膨らんでいるし、女の子体型である。顔も女の子に見える。睾丸が無いので声変わりもしてないが、練習で男声も出るようにしている。ペニスはあると本人は言っているが、彼の股間を見た人はみんな「そんなの付いてない」と言っている。彼の主張では普段は皮膚の中に埋もれているが、性的に興奮すると7cmくらいまで伸びるらしい。だから女の子とセックスができるはずと本人は言う。彼はオナニーも男の子方式らしい。ただし彼のペニス?には尿道が付いてない(だからペニスではなくクリトリスだと思う)ので膣内射精はできないらしい。そもそも睾丸が無いから精子も無い。精子を含まないせいかさらさらとした精液が出るという。彼のおしっこは女の子と同じ位置から出てくるよう(推測)なので精液も多分そこから出てくる。
彼は恋愛対象は女性らしいが、女の子たちからはだいたい同性と思われるからバイの女性としか恋愛可能性は無いかも(ビアンの子からは男とみなされる可能性が高い)。
オーロラによると彼の睾丸と陰嚢は彼が完全な男になりたいと言った時のために一応保存してあるものの、今のところ彼も男に戻る意志はあまり無さそうである。FTMに準じる状態で本人も安定しているように見える。彼は(精子入りの)冷凍精液も作られているそうなので人工授精で子供を作ることも可能である。彼が卵巣の排卵制御をやめれば彼自身が妊娠することも可能なはず。彼の骨盤は女性型だから妊娠が維持できそうである。しかし彼は女になる意志も無い。あくまで彼の性別自己認識は男である。
福田君はペニスはあるが勃起してもあまり硬くならないからたぶん女の子とのセックスはできないと言っている。そもそも彼は恋愛対象が男の子であり、女の子のヌードとか下着姿を見ると萎えるらしい。可愛い男の子が好きらしく「したことは無いけど男の娘とはセックスできると思う」と言っている。
「男の娘とのセックスってどこに入れるのよ」
「スマタという美しいテクニックがある。相互スマタしてみたい」
物理的な配置が分からん!
「え?清香の精液があるの?」
「あの子、男の子にしてあげたら楽しそうにオナニーしてたから、出て来た精液を冷凍保存させてもらった。誰か清香の子供を産んでもいいという女の子がいたら人工授精すると、清香を父親とする娘ができる」
とオーロラは言った。
「娘?」
「だって清香の精子は全てX精子だからできる子供は100%女の子になる」
「あ、そうか。でも清香の子供産みたいという女の子は絶対居るよ」
「私もそう思う。公世に人工授精してもいいぞ」
「あはは。でも公世の卵子は半分はY卵子だったりしないの?」
「Y卵子は成熟できずに死ぬから排卵されるのは全てX卵子」
「へー」
「Y染色体には生命を維持するための機能が欠落してるんだよ」
「そんな話は聞いた。Y染色体はサイズは大きいけど中身がスカスカだと」
「そうなんだよね。男は空威張りしてるだけで中身が無い。人類を維持しているのは女の力」
「女優位説だな」
しかし千里(ロビン)は言った。
「でも公世が卵巣の活動を再開させることはないと思う」
「まあそんな気はする。あの子は今の中性状態に満足してる」
とオーロラも答えた。
R「男に戻る気も無いよね」
A「もう今更男にはなれないと思うよ。ほぼ女の身体で思春期を送ってしまったから」
R「結局FTMかな」
A「そんなもんだね。もう親もあの子は娘だと思ってる」
R「公世と清香が結婚する確率は?」
A「それは30%くらいあると思う」
R「それって公世がお嫁さんだよね」
A「当然。清香が嫁に行くわけ無い」
R「2人が結婚したら私の立ち位置は?」
A「メイドだな」
R「あはは。まあいいよ。小間使いで」
ちょうど千里Rが盆踊りに行っていた時刻、太田フルート工房の太田さんから千里Rに電話があったが、ジェーンが“電話交換”してセリアが取った。
「ああ、村山さん?プラチナのフルートができたから、いつでも取りに来て」
「ありがとうございます。明日にもお伺いします」
ロビンが帰宅してからセリアと電話で話しあい、結局ロビンが取りに行くことにした。
ロビンは工房の近くまでテレポートすると徒歩で工房を訪れた。
「今日は車じゃなかったんだ」
「こないだは高額現金持ってたから」
「それでこれだよ。穴の位置は去年作ったゴールドのフルートと同じ」
「ありがとうございます。吹いてみていいですか」
「どうぞどうぞ」
それでロビンはできたてのプラチナフルートで『きらきら星』を吹いた。
(セリアだと試奏ができなかった)
「やはり金のフルート吹いてたらプラチナも吹けるね」
「はい。似たような感覚です。これで銀のフルートとみせて実は・・・というのがやれます」
「あはは。見た目は似てるからね」
「これ凄く素敵です。1100万では申し訳無いからあとせめて200万払います」
「じゃもらっておこうかな。ありがとう」
「こちらこそ素敵なフルートをありがとうございます」
このフルートは金狐のプラチナ(白金)版なので“白狐”という。太田さんは後にこのフルートと同じ仕様の総銀のフルートも作ってくれたがそれは“銀狐”と言う。銀狐はもう「おまけ」と言われたので、ありがたく頂いた。金色狐のメッキされてないバージョンに近いが穴がインラインである。金色狐はオフセット。
「帰りひとりで大丈夫?」
「平気です。私剣道四段ですから」
「すごいね」
「この傘が竹刀代わりになります」
「なるほどー」
「木刀とか警棒とか持ってたらお巡りさんに注意されるかもしれないけど傘で注意されることはないですよ」
「確かに。そういう意味では一番使える護身具かもね」
「タクティカルペンとかは空港とかへの持ち込み禁止らしいし」
「へー」
(太田はタクティカルペンを知らない)
タクティカルペンとはボールペン型の特殊警棒。実際にボールペンとして使えるが、いざという時は特殊警棒になる。同様のものにキーホルダー型の特殊警棒“クボタン”などもある。クボタンは鍵の付いている部分で相手を殴ることで強いダメージを与えることができて攻撃力が高い。アメリカでは警官の護身用にも使われている。クボタンは空港などへの持ち込みが規制されているが、タクティカルペンは不明。ただし機内に持ち込もうとすると保安検査で咎められる可能性がある。どっちみち“正当な理由なく”特殊警棒を持ち歩くのは軽犯罪法違反(1条2項)である。
(特殊警棒とは伸縮可能な警棒のこと)
刀や大型ナイフの持ち歩きは銃刀法違反である。また木刀などを持ち歩くのは迷惑防止条例違反にもなる。(いづれも正当な理由がある場合を除く:買った後持ち帰る途中とか)
アクアのボディガードの川井唯がドラムスティックに偽装した特殊警棒を常時持っているのなどは身辺警護のためとして正当な理由と認められる。:現金輸送などのガードマンの警棒と同じである。
「だったら僕が送ってってあげるよ」
「え〜そんな悪いです」
「今ちょうど時間があるからね」
それで太田は自分の車スカイラインに千里を乗せ、千里から聞いた住所をカーナビに入力した。それで橘丘新町の千里の家まで行った。
「さすが大きな家だね」
「大きいのは道場ですね。剣道の稽古に使ってるんです。試合場を3つ取るためにどうしても150坪が必要なんですよね。住居はほんの50坪です」
「50坪は充分大きいよ。でもこんな広い敷地を取れるのはすごいね」
「潰れたスーパーの跡地らしいです」
「なるほどー。うちの工房も電機屋さんの跡地なんだよ」
「へー。市街地にはなかなかまとまった面積の土地が無いですからね」
「君の親御さんにも一言挨拶しておこうかな」
「うちの両親は北海道なんですよ。ここには友人の女子3人で住んでるんですよ」
「へー」
それで玄関前でお礼を言って降りた。きーちゃんが出て来てくれたので
「この家の家主の親戚の伯母さん」
と紹介し、太田さんは、きーちゃんに挨拶していた。
なおセリアが言っていたお陰でこの後太田さんからは時々フルートの試奏を頼まれ、ロビンと夜梨子が半々くらい応じた。