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40分ほどで神戸駅に到達する。神戸駅前のバス乗り場で係の人に尋ねて病院方面に行くバスに乗る。15分ほどで病院前のバス停に着き降りる。
病院に入り総合受付で書類を提出する。受付番号入りの受診票を渡される。
最初紙コップを渡されておしっこを取ってと言われてトイレに行く。やっぱこちらに入らないといけないんだろうなと思い女子トイレに入る。それでおしっこを受け止めようとするが、これがなかなか難しい。男の身体だとちんちんをコップに入れればいいのだが、女の身体ではそういうワザが使えないのでおしっこの出てくる付近に見当を付けコップを当てるがなかなかうまく行かない。何度か失敗の上何とかキャッチした。それをトイレ奥の棚に提出し、検査室に行って体温・脈拍・酸素を測定、血圧を測ってから採血される。
ここまではよかったのだが、このあとは忍耐の連続であった。
とにかく病院というものはひたすら待たされる。書類を各診療科の受付で出してから自分の番号が出るまで待っててと言われるのだが、なかなか番号は出ない。これって病院は元気で体力のある人にしか来れないなと思った。
検査室のあと最初は泌尿器科に行く。待合室にいるのがみんな女性なのはなぜだろうと思った。20分ほど待ってからやっと呼ばれて診察室に入る。スカートとパンツを脱いでと言われたので脱ぐ。しかしお医者さんはちょっと見ただけで「CTに行ってから婦人科に行って」と言った。
それでまずCTに行くがここで20分くらい待ってからやっと中に入った。CT自体も15分ほどかかった。まだやるのかと思った。そのあと婦人科に行く。こんなところ初めて来た!待合室に武藤さんが居る。
「片山さんも婦人科の検診があるんだ!」
「よく分からないけどここに来てと言われた」
「ぼくにしても片山さんにしても確かに女かというのを確認されるんだろうね」
「あはは」
「ぼくは上が2人兄貴だからそれを見習ってたからすっかり男らしく育ったんだよね」
と武藤さんが言う。
「ぼくは上がお姉ちゃんだから、その影響で女らしく育ったかも」
「ああ、そうでしょう、そうでしょう」
「武藤さん結構バレンタインもらうでしょ?」
「うん。片山さんはそんなのもらわないよね」
「ぼくは小さい頃から半分女みたいな扱いだったし」
「半分じゃなくて完全に女だったりして」
「それでもいいけどねー」
「やっぱり女の子になってもいいと思ってるでしょ」
「それはなってもいい」
「きっと片山さん10年後にはお嫁さんになってるよ」
「あはは。それでもいいけどねー」
「やはりそっちだな。男の子からデートに誘われたりしない?」
「誘われたことはあるけど遠慮した」
「ふーん」
ここで30分くらい待って、やっと診察室に入る。女性のお医者さんである。
「心配しなくていいからね。スポーツやってる女子は時々こういう検査を受けさせられるのよ」
最初に生理は順調に来ているかとか、生理が始まったのは何歳の時かとか質問をされる。これは“想定問答”を電車の中でオーロラとしていたお陰でスムースに答えられた。“前回の生理日”“前々回の生理日”も手帳に印を付けておいたので答えられた。
その手帳見せてと言われたので見せる。生理のマークが定期的に入っているのに医師は頷いていた。
「そしたら、服を全部脱いで私の前に立ってみてくれない?」
「はい」
それで雅は全裸になって医師の前に立った。
胸を触られる。そして揉まれる!
上半身の服を着てもいいよと言われるので、ブラジャーを着けキャミソール、ブラウス、セーラー服の上を著る。
「内診台の検査受けたことある?」
「いえ」
「ちょっと恥ずかしい検査だけど大丈夫だからね。中には入れないし。下半身の服は着けないままここに座ってくれる?」
「はい」
中に入れないってどういう意味??
それで座ったのだが、椅子は持ち上げられ、ほんとに恥ずかしい格好にされる。
何これ?恥ずかしー!!
医師はお股をつぶさに観察しているようである。割れ目ちゃんも開かれて中をしっかり観察された。
診察室を出ると武藤さんが手を振るので振り返す。
「どうだった?」
「よく分かんないけど、あなたが完全な女性であることは確認できましたと言われた」
「やはりねー」
数日後、雅と武藤さんは卓球部の顧問から言われた。
「先日受けてもらった性別検査の結果が協会の方にも行って性別確認が完了したから」
「はい」
「武藤さんも片山さんも完全な女性であることが確認されたということ」
「あ、はい」
「だから武藤さんはこれまで大会の女子の部に出た時の成績は有効ということ」
「良かった」
「片山さんについては、男子の部に出た成績も一応有効にするけど、次の大会からは女子の部に出て欲しいということ」
「はあ」
武藤さんが拍手していた。ふたりとも、大学進学か就職後に所属する大学か職場の都道府県の卓球連盟にこれを提出してといって書類を渡された。
雅はその日クラスの保健委員から言われた。
「雅ちゃんの性別変更届、受け付けられたから今度から身体測定は女子と一緒に受けてね」
雅が病院での性別検査で完全な女性と診断されたという話はその日の終わりまでにクラスの全女子が知っていた。
「私も受けさせられたことあるー」
と言っている子が多数いた。ここはスポーツ特待生のクラスだから大会で上位の成績を取った子はみんな受けさせられているようだ。千里もそういえば中学の時受けさせられたなあと思い出していた。
「中学の時受けさせられて高1の時もまた受けさせられた」
と言っている子もいた。
「あんたは男であることが確認されたのでは」
「うん。仕方無いから性転換手術受けてちんちん取り付けてもらった」
「ちんちん、いいね」
「あれは運動する時とかには邪魔だけど、あると便利だよ」
「ちんちんあったら立小便してみたーい」
「私はちんちんあったらオナニーしてみたい」
「男のオナニーは女の十倍気持ちいいらしいよ」
「でも女のオナニーは男の百倍気持ちいいという説もある」
「不思議な話だ」
「春ちゃんな、春ちゃん」
と春恵が呼ばれる。
「春ちゃんは、男の子オナニーと女の子オナニーのどちらが気持ちいいと思う?男の子オナニーは女の子の10倍気持ちいいという説と女の子オナニーは男の子の100倍気持ちいいという節があるみたいなのよ」
春恵は答えた。
「ぼく自身は女のオナニーのほうがずっと気持ちいいと思う」
「ふむふむ」
「でもふたつの意見が出た理由はあれじゃないかなあ」
と言って春恵は解説する。
「男から女に変わった人は女になれたことが嬉しくて女の器官をいじるのが楽しいからより気持ち良く感じる。逆に女から男に変わった人はちんちんあるのが嬉しくてそれで遊ぶのが楽しいからより気持ち良く感じる」
「なるほどー。精神的な満足度の問題か」
「ちんちんで一番感度のいいのは先端の亀頭の部分なんだよね。だから、みんなが彼氏にフェラチオしてあげる時は先端部分を舐めてあげると凄く喜ぶと思う」
「ああ、それは聞いたことある」
「クリトリスって、ちんちんの亀頭が身体に直付けされてるようなものなんだよね。だからクリトリスへの刺激はちんちんへの刺激を濃縮したような金の快感なんだよ」
「ほほお」
「だから快感自体としてはクリトリスの快感のほうが絶大だと思う。でだも男の子の快感はたぶん射精の瞬間の快感だろうね。女には射精は無いから」
「ああ」
「でも射精が無いからこそ女の子オナニーっていつまでも続けていられるから、それがまた気持ちいいんだと思う。男の子オナニーは射精したらそれで終わりだから」
「男の子って射精した跡は続けられないの?」
「射精した跡のちんちんをいじっても気持ち良く無いよ。ただ痛いだけ」
「へー。男の子も難しいんだね」
雅の性別検査の情報は翌日までには男子全員にも伝わっていた。ついでに誰々さんは性転換手術して男になったらしいという話まで!
2008年10月下旬。
今月和也とまゆりは月初めから七五三のご祈祷に応じるため留萌に来ている。星月は氏子さんたちの人気者だった。
千里(ロビン)は10月24日(金)夕方、洞門の鏡を通って留萌に移動した。この鏡で姫路の自宅の千里の部屋と留萌P神社の中深部(地上世界と深部の遷移部分)の間を10分程度で移動できる。但しこの道を通れるのはP大神が認めた人だけであり、千里・カノ子・コリン・小糸・瑞江など、ごくわずかの人だけである。千里はどの千里でも通れるのでP神社深部に入れない青でも通れるはずである。通ったことはないが。
千里は宮司部屋に入り、常弥・和也・まゆりに会釈してその奥の囲炉裏(いろり)部屋に入る。和也が千里に続いて囲炉裏部屋に入る。
なおもう寒いので、宮司部屋と囲炉裏部屋の間の障子は開けられている。(エアコンも入っている)
千里は囲炉裏の火を藺草(いぐさ)の細い束に移し、そこから更にカンデラ(燭台)のろうそくに移して、その燭台を和也に渡した。和也は燭台を持って昇殿し、神殿に置かれた3つの燈台に点火した。今年もP神社の秋祭りが始まる。
(神殿のスプリンクラーは予め外している)
今年この燈台の火の不寝番を務めるのはこの3人である。
杉本洸:元?巫女・浅美の夫
七尾霧雄:巫女長・善美の“弟”
琴尾蓮菜:
蓮菜はまだ高校生だが18歳になったからいいだろうと言われた。
「あんた先導巫女もしたことないし、このくらいやってもいい」
と巫女の元締め?の梨花さんが言っていた。
(蓮菜が先導巫女をしたことがないのは、小学生の内に処女喪失したからである)
高校生であっても18歳に達していれば労働法規上は深夜労働が可能である。千里については小学生の頃から深夜の仕事をさせられている。
今年の不寝番で女性は蓮菜だけだから、当然蓮菜がリーダーとなる。でも杉本さんが
「あんたは昼の番をしてればいいよ」
と言って夜中は寝せてくれていた。蓮菜は神殿から(蓮菜や千里には)すぐ行ける神社深部でカノ子さんが用意してくれたお布団で寝ていた。
朝5時頃、十二単(じゅうにひとえ)みたいな祭主衣裳を着た和也が来て不寝番の人たちに声を掛ける。蓮菜もこれで起きだして番に加わった。番の人は交替で、巫女長の善美が持って来た朝食を頂いた。
「冷てー」
と伊豆霧が文句を言っている。
「ごめんねー。番をしている最中は温かいものを出してはいけない規則だから」
と善美。
「昔はなまぐさも禁止だったけど7-8年くらい前に肉・魚が解禁されたね」
と杉本さん。
その時、夕方の巫女舞も30分おきに7回から1時間おきに4回に改訂された。
「一種の潔斎ですからね。期間中はセックスやオナニーも禁止だし」
と蓮菜。
「オナニーも駄目なの?」
「我慢しなさい」
「辛いよぉ」
「辛くないように睾丸を取ってあげようか」
「それは勘弁して」
「じゃ我慢で」
来年は秋祭り復活15周年なので色々改革してもよいぞと大神様はおっしゃっている。
千里は不寝番というのをやめて昼の番と夜の晩の交代制にしてはどうかと提案している。また夕方の巫女舞も4回から3回に減らしてもいいのではというのも提案している。特に2日目が姫奉燈の巡行から戻ってから巫女舞までの時間が短くて慌ただしいのである。
朝7時頃、姫奉燈の出発式が行われる。千里が笛を吹き善美が太鼓を叩いて和也が祝詞を奏上した。
今年も先導巫女は昨年と同じ千里・守恵・貞美・広海 の4人である。今年は千里がリーダーで先頭で扇を持ち、 守恵が篠笛を吹く。
「貞美ちゃん、来年は篠笛お願いね」
「え〜?私横笛(よこぶえ)(*11)とか吹いたことないです」
「練習しよう。篠笛はわりと簡単だから」
「1本あげるよ」
と千里が竹製の篠笛を渡すと
「用意がいい!」
とみんな言っていた。この篠笛は姫路篠笛工房の製品だが、留萌の音階が出るように穴を開けてもらった特製である。
(篠笛には囃子用・唄用・ドレミ調律の3種類があり、ドレミ調律は西洋楽器と同じ音階、唄用は尺八などと同じ音階で全国共通だが、囃子用は地域ごとにバラバラである)
(*11) 本人は意識してないと思うが、“横笛”は“よこぶえ”と読むと横に構えて吹く笛の総称。“おうてき”と読むと龍笛の意味になる。
歴代の先導巫女
1994 文代L 梨花 花絵 小春
1995 花絵L 梨花 美輪子 小春
1996 美輪子L 花絵 梨花 小春
1997 梨花L 乃愛 美輪子 小春
1998 乃愛L 洋子 美輪子 小春
1999 洋子L 守恵 美輪子 小春
2000 守恵L 朱理 美輪子 小春
2001 朱理L 純代 守恵 美輪子
2002 純代L 守恵 広海 千里
2003 広海L 純代 守恵 千里
2004 千里L 広海 純代 守恵
2005 守恵L 千里 広海 純代
2006 広海L 千里 守恵 貞美 2007 貞美L 広海 千里 守恵 2008 千里L 守恵 貞美 広海
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女子高校生・3年の秋(10)