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今年の行列はこうなった。
先導巫女4人−祭主(和弥)−姫奉燈を曳く氏子さんたち−姫奉燈−副祭主(まゆり)−末尾巫女(善美)
末端巫女は羽衣を着て、豊受姫の旗を持つ。姫奉燈を曳く氏子さんたちは全員男性ではあるが、女物の赤い小袖を着て、お化粧もしている。ロングヘアのウィッグを着け、平安時代(奈良時代?)風に額には花鈿(かでん)まで入れている。花鈿の模様は各々の奥さんやお姉さんなどの好みでいろいろな模様が描かれていた。「肉」と書かれたものもあった(ネタが古い)。
まゆりは2年ぶりの副祭主である。彼女はこの神社の権禰宜でもある(花絵も権禰宜)。
姫奉燈が巡行されるコースは夏祭りで神輿が巡行されるコースとほぼ同じである。(一部人の手で運ぶ神輿は通れるが車輪の付いた姫奉燈は通れない道が迂回される)
そしてこの沿道にこの日の昼間に多数のカンデラ(実際にはLEDランプ)が設置される。
(来年からは多分御旅所を使うことになる)
また学校や幼稚園の校庭・園庭、公園などにはカンデラアートが作られる。
また昼間、様々な奉納が行われる。箏の演奏、日本舞踊の奉納、アイヌ舞踊の奉納、篠笛愛好会の合奏、千里のフルートの曲の奉納(白狐使用)、
(みんな普通の銀のフルートと思っているようだった。でも「音がよく通るね。さすが千里ちゃんだね」などとみんな言っていた。玲羅と善美だけがフルートがプラチナであることに気付いた)
今回出店は神社の前の道まで含めて10軒も出ていた。イカ焼き(イカの丸焼き)(*12)、フランクフルト、ジャガバター、唐揚げ串、鈴カステラ、おでん、海鮮汁、豚汁、ジンギスカン鍋、と今年は温かいものが多くみんなよく売れていた。峠の丼屋さんは今年はホット桜丼(馬肉)、ホット牡丹丼(猪肉)、ホット紅葉丼(鹿肉:実際には電気壁に掛かったエゾシカを使用している)、ホット柏丼(鶏肉)を出し、桜丼がいちばん売れた。みんな「けっこうウマい」と言っていた(だじゃれ?)
(*12) “イカ焼き”と呼ばれる食べ物には2種類ある。ひとつが北海道などで見られる、イカ1匹を串に刺しタレを付けて丸焼きしたもの。もうひとつが関西などで見られるお好み焼きに似た粉物である。ここでは前者である。筆者は、前者は旭川と札幌で一度ずつ食べた。粉物のほうは滋賀県で一度と金沢市内で一度、いづれも道端に出ていた屋台で買ったことがある。円形のお好み焼きを半折りしたような形をしていたが、それが一般的なのかどうかはよく分からない。
千里はまた食べ物以外に、“2009年のえとは丑です”と掲示した出店を出し、各種の牛人形を売った。常滑焼きの陶器人形が12体、会津のヤング工房から仕入れた首振りベコ人形が10個、留萌の“しらかば工芸”の木人形が6個、イーグレットの紙人形も5個売れた。
(峠の丼屋さんの出店には峠の丼屋さん三泊店のスタッフが交代で入った。銀馬車はアイリスにやってもらった。牛人形の出店はシレーヌに頼んだ。トイレの時はサハリンに頼んだ)
15時から小学生の巫女舞、雅楽の奉納などの後、18時から21時まで1時間置きに、先導巫女4人による巫女舞が奉納される。1日目はこの21時の巫女舞で終了する。
2日目も1日目と似たような順序で行事は進行する。姫奉燈の運行に始まり、高校生巫女の巫女舞のあと様々な奉納が行われる。
今年の高校生巫女
高3:セナ(U高校)・美都(K高校)・高木紀美(K高校)
高2:かすみ(S高校)
高1:貞美(K高校)・玲羅(S高校)・つばき(U高校)
ただし貞美は先導巫女なので高校生巫女の巫女舞のほうは免除される。玲羅は「千里ちゃんに彼氏ができてバージンを卒業したら先導巫女頼む」と言われているが全てのお姉ちゃんが処女を卒業することはないのではという気がしている。赤のお姉ちゃんに彼氏ができても、黄色やすみれ色が居るし。
昨日フルートの演奏を奉納した千里は今日は篠笛の演奏を奉納した。昨日はクラシック曲や欧米の童謡を吹いていたが今日は日本の童謡を吹いていた。
玲羅のツテでS高校吹奏楽部のピックアップメンバーによる木管五重奏も奉納された。楽器構成は、フルート、クラリネット、アルトサックス、テナーサックス、ホルンだった。流行歌を主として演奏した。玲羅はクラリネットを吹いた(千里姉からもらったプラスチックのクラリネット使用)
(本来の木管五重奏はフルート・クラリネット・オーボエ・ファゴット・ホルン。今回の編成はオーボエ・ファゴットの代わりにアルトサックスとテナーサックスが入った感じである。今回オーボエ・ファゴットを使わなかったのはこの2楽器を演奏できるのが玲羅だけなので、一人で両方同時には吹けないから。ホルンは金管楽器なのになぜか昔から木管アンサンブルに加えられている:ファゴット(別名:バスーン)はオーボエと同じダブルリードの楽器で、マスターするのが難しい。更にキィが多く運指がとても大変である。特に左手親指だけで9つものキィを操作する必要がある)
今年は16時半から最後の姫奉燈運行が行われた。この日(10/26)の日没は16:32である。夕暮れの中、カンデラの灯る道を扇形の姫奉燈(弘前のねぷたと似ているがあれよりずっと小さい)が静かに運行されていく、美しい風景である。観光客っぽい人たちがたくさん写真を撮っていた。
姫奉燈が戻ると先導巫女たちは今年はマルちゃんの正麺を作って食べてこのあとの行事にそなえる。
今日も18時から21時まで1時間置きに、先導巫女4人による巫女舞が奉納される。これで祭りの公式行事は終わりであり、道路に置かれたカンデラや境内のLEDは消灯される(出店は20時で撤退する)。神殿の燈台はこのあとは燃料補給せず、燃え尽きるにまかせる。この時、最後に燃え尽きるのは必ずいちばん奥の燈台である。
この燈台が燃え尽きると、神殿前に、和弥(祭主)・善美(巫女長)・小鳩(神様のお使い)の3人が並び和弥が〆の祝詞を奏上する。これで秋祭りは本当に終了する。まゆり(一応副祭主)と千里(大神様のご指名)もこの〆の神事に付き合った。
巫女の梨花さんが暖かいおでんを持って来て、不寝番の人たちをねぎらう。それを食べると不寝番の3人は帰宅するので、和也とまゆりで見送る。そのあと和也は燈台に火が残ってないのを確認(火の用心)して、まゆりと一緒に部屋に戻る。ただしセックスはしない。朝まで潔斎が続くというのもあるが、ふたりは次の子供が生まれるまではセックスは控えることにしている。
千里(ロビン)は大神様から呼ばれた。
「今年も神様会議に行って来るから一週間留守番を頼む」
「はい、いってらっしゃいませ」
それで大神様は飛んで行かれた。千里はいつものように深部に行き、大神様の座の横の座に座った。
同時刻、姫路の夜梨子はK神社の深部に行き、K大神様がお出かけになるのを見送り、やはり大神様の座の横の座に座った。夜梨子は姫路で一週間お留守番である。
ロビンも夜梨子もジェーンに差し入れを頼んだので、留萌ではヴィクトリアが、姫路ではジェーンが缶コーヒーやカップ麺、おでんや牛丼などを差し入れしてあげた。
「ビールとか飲む?」
「パス。まだ未成年だし」
「蓮菜ちゃんは不寝番が終わってからサッポロビール350mlを2本空けてたよ」
「悪い奴っちゃ」
10/27-31の一週間は授業はほとんどジェーンが出た。ただし部活はロゼにしてもらった。ジェーンひとりでは身が持たない。ロゼは自宅での清香の練習相手も務めた。
ロゼがこちらに来ている間、玲羅のお世話はヴィクトリアがする。何か千里総動員体制である。11月上旬にはQ大神も会議に出られて青(Bw)がお留守番するし。(青はそもそもほとんど授業に出てないが。授業にはゆきが出る。部活はお留守番の間はBsがする。天子のところにはΥ(ゆり)が行く)
留萌のP大神も姫路のK大神も11月2日(日)の夜にお戻りになった。
夜梨子はK大神にお伺いした。
「来年、私京都に住んでいると思うのですが、こちらのお留守番どうしましょう。2年前に植えた檜はまだ小さいし」
「ああ、こちらにそなたを召喚するから心配しなくてもよいぞ」
「そうですか」
私は心配してないんだけど。
しかし私他の町に行ってもここの留守番からは逃れられないみたい。
「そなた京都に行くのか」
「はい。そのつもりです」
「京都には、妾(わらわ)やP大神の親戚のM大神が住んでおるから、そこの神社で巫女さんをしなさい。紹介状を書いてやる」
まさかそこでも留守番してくれと言われないよな?まあ私は姫路の留守番をするみたいだから、きっとそちらは別の千里が留守番するのだろう。
ジェーンは嫌な予感がした。
取り敢えず夜梨子はK大神の紹介状を受け取った。でもこの紹介状誰に渡すの?やはりM大神御本人?宮司さんに渡したってふざけてると思われるだろうし。
ロビンや夜梨子がお留守番をしていた間に9月に受けた模試の結果が通知されていた。千里は前回とあまり変わらない。公世は京都教育大の幼児教育にはA、数学・英語にBである。双葉は同女にA、教育大の体育にBなので、大阪体育大学を滑り止めにしてこちらを本命にするかもと言っていた。清香は同女が前回のCからBに上げた。また教育大の体育にもCになり、わずかながら合格可能性が出て来た。清香はほんとによく勉強しているようだ。彼女は大阪体育大学もB判定だが大阪に行くつもりはない。京都地区に絞っている。
来月上旬の模試が最後の模試になる。
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女子高校生・3年の秋(11)