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■女の子たちのアジア選手権(12)

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決勝戦が始まったのが17時、終わったのが18時すぎであった。それから表彰式が行われて終了したのは19時半くらいである。ホテルに戻ってから夕食を兼ねた祝勝会をする。在メダンの日本国総領事も来てお祝いのメッセージをくれた。
 
この日の料理はルンダン(牛肉のカレー煮)の食べ邦題である。付け合わせにラマン(御飯)と豆のスープもある。
 
「美味しい美味しい」
「やはり疲れた後はひたすらお肉だよね〜」
「サテもいいけど、ルンダンもいいね」
となどといった声が出ていた。
 
「だけどひたすらカレー味なんだね」
「インドネシアは香辛料王国だから」
 
どんどんお肉を食べ続けている子もいたが千里はある程度食べたところでそのテーブルを離れ、一息ついてコーヒーを飲む。
 
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「このコーヒーはちょっと癖がある」
と20分ほどでルンダン戦線から離脱してきた早苗が言う。
 
「マンデリンだよ」
「インドネシアはジャワコーヒーかと思った」
「ジャワ島はね。あとスラウェシ島で栽培されているのがトアルコ・トラジャだけど、スマトラ島で栽培されているのはマンデリン」
 
「なるほど、なるほど」
「他に実はニューギニア島ではブルーマウンテンが栽培されている」
「へー!」
「でもジャマイカのブルーマウンテンとは味が違うらしいよ。向こうから持ってきた苗木を植えたのに」
「環境が違うと育ち方も違うだろうね」
 
「このホテルで出ているのは、マンデリン・トバコ。例のトバ湖の近くで栽培されているものだって」
 
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「『トバ湖』って日本語?」
「まさか。たぶん『トバの』とか、そんな感じの意味では?インドネシア語は分からないけど」
 
「かもねー」
 
「でもヘリコプター代2万円もタダになったし」
「あはは。高田コーチは自分の首をしめたけどね」
 

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翌日、11月10日。
 
昨日は駐メダンの日本総領事が来てくれたのだが、この日は午前中にジャカルタから、日本の駐インドネシア大使も来てくれて、お祝いをしてくれた。記念品ということで、バティック(ジャワ更紗)のハンカチを全員に頂いた。
 
お昼前にホテルをチェックアウトし、練習場所を提供してくれた中学校に挨拶に行った。みんな祝福してくれて、優勝のお祝いにといわれて、その子たちからは日本語(ひらがな)や英語で書かれた寄せ書きをもらった。こちらも英語で寄せ書きを書いて贈った。そこの女子生徒たちと一緒に昼食会をしたのが、インドネシアでの最後の御飯となった。
 
少しだけ観光しようということで、バスでメダンの観光スポットとして人気のマイムーン宮殿(Istana Maimun)と、2005年に建てられたGraha Bunda Maria Annai Velangkanni教会(健康マリア教会?−キリスト教の教会)、更にこの8月に建立されたばかりのマイトレーヤ(弥勒菩薩)大寺院(Maha Vihara Maitreya, 仏教寺院)を駆け足で訪れた。メダンは交易都市で外国からの移住者も多く、キリスト教徒や仏教徒も多いらしい。何でも受け入れてしまうのはある意味日本的かも知れない。このキリスト教教会は夜になると派手な電飾が付くことでも知られている。日本に建っていたらディスコか何かと間違いそうである。
 
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ポローニャ国際空港に移動し、お土産などを買った。この半月ほどひたすら食べたスマトラのカレーの香辛料セットが売ってあったのを「ジャワカレーがお土産に欲しい」などと言っていた竹宮星乃へのお土産にする。
 
なおこの空港はメダンの市街地にあるのだが、さすがに町中の空港はやばいということになったのか、2013年7月、メダンから20kmほど離れた所に建設されたクアラナム国際空港に機能移転している。
 
夕方の便でシンガポールのチャンギ国際空港に移動する。空港内で夕食を取ったあと、ラウンジで休むが、ひたすら寝ている子もいた。
 

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深夜23:55の便で成田に向けて飛び立つ。
 
11月11日の朝8時に成田に到着する。時差が1時間あるので実際には7時間のフライトである。成田にバスケ協会の幹部さんたちが迎えに来てくれていてお祝いのことばをもらう。
 
都内に移動してから文部科学省に行き、文部科学大臣からもお祝いのことばをもらった。その後、解散式をした。
 
「お疲れ様でした〜」
「次はみんなウィンターカップで会おう」
 
と言って別れた。この時点でまだウィンターカップ出場が決まっていないのが渚紗だけだったので「秋田県予選がんばってね」とみんな声を掛けていた。
 
何となく、千里・玲央美・桂華・サクラ・江美子の5人がたまたま近くにいたので声を掛け合って、お昼を兼ねて近くのモスバーガーに入った。
 
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「あちらは全てカレー味だったから、今朝成田で食べた日本食が凄く新鮮に感じられた」
「漬け物もいいね〜」
「あちらは野菜が少なかったね」
「なんか肉ばかり食べていたから身体が少し酸性になっている気はする」
「たぶん暑い地域ではああいう料理でないと身体がもたないのかも」
 
「私は温泉に入りたい気分だ」
と江美子が言う。
 
「そちらは道後温泉があるね」
「北海道だと登別温泉とか?」
「登別は札幌から割と遠い」
「札幌の近くだと定山渓(じょうざんけい)温泉とかあるよ」
「あ、その名前も聞いたことがある気がする」
「旭川だと層雲峡とか近いんだっけ?」
「近くはないけど、バスケ部で何度も層雲峡温泉で合宿したよ」
 
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「温泉での合宿は筋肉をほぐせるし、新陳代謝を高められていいよね」
「福岡だと別府温泉とか?」
「ちょっと遠い。近くには二日市温泉ってあるよ。菅原道真公ゆかりの地」
「学問の神様だっけ?」
「そそ」
 
「よし、温泉に行こう」
と桂華が言い出す。
「いつ?」
「今から」
「え〜!?」
 
「みんな帰りの便は何時?」
「私は羽田19:00の松山行きを予約してる」
「私は羽田17:55の旭川行き」
「私は羽田18:50の新千歳行き」
 
「私たちは何時だったっけ?」
と桂華がサクラに確認する。
「私たちは羽田19:15の福岡行き」
 
「じゃ16時くらいまではお風呂に入っていられるね」
「どこに行くのさ?」
「うーん。ビッグファン平和島かな」
「なるほどー。羽田の近くなら比較的安心」
 
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フロントでチケットを買うが、江美子が166cm, 千里が168cm, 桂華が172cm, サクラが180cm, 玲央美が181cmである。それを見た受付の女性は
 
「すみません。男性何名・女性何名でしょう?」
と尋ねた。
 
「女性5名です」
と千里が代表して答える。
 
「あ、ごめんなさい」
と受付の人は謝ったが、サクラなどはむしろ何も言われずに男性用ロッカーの鍵を渡されることも多いらしい。
 
みんな荷物が凄いので、それを見た受付の人が別途預かったくれた。タオルと着替えだけ出してサブバッグに入れロッカールームに持っていく。小さな袋を持っていなかった桂華にはフロントの人が平和島のロゴの入ったビニール袋を1枚くれた。
 
ロッカールームでおしゃべりしながら服を脱いでいたらさっき受付の所に居た女性が入って来て、掃除をしたり片付けをしたりしていた。私たちは浴室の方に移動してから
 
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「きっと私たちが本当に女なのかどうか確認しにきたんだよ」
と小声で話し合った。
 
「取り敢えず胸の付近に視線を感じた」
「お股の付近にも視線を感じた」
 

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「でも取り敢えず千里は間違い無く女であるようだ」
と桂華が言う。
 
「何を今更」
「ちんちん付いてないみたいだし」
などと言って、あそこを触ってくる!
 
「付いてたら大変だよ!」
「千里が万一男だなんてことになったら、凄い騒動になるな」
「インターハイの2007,2008のBEST4,スリーポイント女王, 皇后杯の成績、国体の優勝が全部取り消される」
 
「昔はオリンピックで金メダル取った後でセックスチェックで君は男だと言われてメダル剥奪、記録取消しなんて騒動もあったみたいね」
「世界中に名前を知られてからそれやられると辛すぎる」
 
「昔のオリンピックのセックスチェックって、裸にして観察したらしいね」
「裸で歩かせたらしいよ。はさんで隠していても、歩かせたらぽろりと出てくるだろうということだったらしい」
「とりあえず人権は無視されてるな」
 
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「でもドーピング検査もかなり人権無視と思わない?」
「うん、あれ恥ずかしいよね」
 
この5人は全員一度はドーピング検査を受けているという。
 
「だけどその程度なら、とりあえずおちんちん切って、睾丸は体内に埋め込んでしまえば外見上は女だし、裸で歩かせる程度ではバレないよ」
と千里は言ってみる。
 
「千里は睾丸無いんだよね?」
「さすがに無いよー」
と千里。
「いや千里は多分卵巣がある」
と玲央美。
「嘘?」
「千里、実は半陰陽だったの?」
「それは違うと思うけどなー」
「千里は元男だという話自体が嘘の可能性がある」
「うーん・・・」
 
「でも睾丸があれば、現代ならドーピング検査で引っかかるよね」
「うん。睾丸が温存されていれば当然男性ホルモンが女子としてはあり得ない高濃度になってしまう」
 
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「でも性転換する人ってさ、だいたいおっぱいを大きくした後で、おちんちん取るんでしょ?」
 
「まあ、豊胸のほうが手術として容易だというのがあると思う。ホルモンだけで大きくなっちゃう人もいるし」
 
「そういう人って男湯に入るわけ? 女湯に入るわけ?」
「ちんちん付いてたら男湯では?」
「でも男湯におっぱい大きい人が入って来たらパニックだよね」
「レイプされたりして」
 
「千里のおっぱいってシリコンとか入れてるの?」
「ううん。ホルモンだけだよ」
「ちょっと羨ましいな」
と江美子が言っている。
 
「千里はいつから女湯に入ってたの?」
「うーん。。。。私はまだ身体に何も手を入れる前から女湯に入ってたかも」
「なんて悪い奴だ」
「騒ぎになったことはない?」
「小学生4年生頃に男湯に入ろうとして追い出されたことなら。仕方ないから女湯に入った」
と千里が言うと
「ほほぉ」
と声があがる。
 
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「ボクは小学4年生頃に女湯に入ろうとして追い出されたことある。仕方ないから男湯に入った」
とサクラが言うと
「ほほぉ!!」
という声があがっていた。
 
 
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