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■女の子たちの交換修行(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-06-05
 
2008年10月23日(木)。
 
これは千里がインドネシアに行く直前の出来事である。
(千里は24日に学校で壮行会をしてもらい東京の合宿所に移動している)
 
この日旭川N高校で教頭の前に、千里・暢子・留実子・薫の4人がやってきて「お話がしたいです」と言った。
 
教頭は4人を面談室に通した。
 
「率直に言います」
と暢子は切り出す。
 
「教頭先生からのお話で、私たちはみな当初予定してた大学より1ランク上の大学を受験することにしました。それで私はA大学の予定をH教育大旭川校というのはいいんです。そちらの方がバスケが強いから、頑張ってそちらを受けようと思っています。村山も□□大学医学部に合格できるくらい必死に勉強しています」
 
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教頭は黙って話を聞いている。
 
「しかし花和の場合、婚約者が旭川市内の大学に進学予定で、ふたりは大学に進学したら在学中に結婚したいと考えています。ですから教頭先生から指示された札幌のH大学は受けたくないのです。当初の予定通り、H教育大旭川校に行きたいのです」
 
教頭はじっと話を聞いている。
 
「それでランクを交換させて欲しいのです」
 
教頭はどういう意味だろう?という感じで首をかしげる。
 
「H教育大旭川校の偏差値は54, H大学の偏差値は64で、10上がっています」
「うん」
と教頭は初めて返事をする。
 
「ところで歌子は元々偏差値40のS大学を考えていたのが偏差値50のL女子大を指定され、これを同じ50の東京のKS大学ということにしました。ここで歌子が偏差値60の東京のA大学を受けることにします」
「なるほど」
「その代わり、花和は本人の希望通り、H教育大旭川校に行かせてもらえませんか」
 
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「うん。でもそれは併願する訳にはいかないの?」
と教頭が訊く。
 
「推薦入試を受けたいんです」
「そうか!」
 
「私たちはバスケ部の活動があるから推薦入試の方が有利だと思うんです。そもそも部活をしていても上位の大学に通りますよというアピールなんだとおっしゃってましたよね。だったら部活が有利に働く推薦入試を受けるのは悪くないと思うんです。でも推薦入試の場合、併願は不可なので」
 
「なるほど」
 
「それで私も花和も推薦でH教育大を受験したいんです」
 
「ちょっと待ってて」
と言って教頭は席を立った。
 
そして15分ほどの後、戻って来た。
 
「待たせてしまって済まなかった。僕にこの件の要求を突き付けた本人と話してきた」
「**先生ですか?」
 
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「まあ、その件はあまり追及しないで。それで結論としてはOK」
「ありがとうございます!」
「君たちの友情に免じて向こうも折れてくれた。その友情、大事にしなさい」
「はい」
 
「推薦の書類が必要だよね?」
「はい。お願いできますか?」
「部活顧問からの推薦状は直接宇田君に頼んで。僕は校長に頼むから」
「よろしくお願いします」
 
「で、歌子君は推薦入試?一般入試?」
「実は私もできたら推薦で受験したいと」
と薫が頭を掻きながら言う。
 
「君たち、推薦の出願締め切りはいつだっけ?」
「H教育大は11月3日から10日までです。10日必着です」
「A大学は?」
「えっと実は明日必着で」
「何!?」
 
「この馬鹿、昨夜までそのことに気づいていなかったというんですよ」
と暢子。
 
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「しかしそれ郵送では間に合わない可能性があるよね?」
と教頭。
「だからもし今日中に推薦状を書いていただけましたら、うちの祖母が東京まで直接持っていくと言っております」
と薫。
 
「分かった。それは何とかしよう」
と教頭は言った。
 
「でも君、男子学生として受験するの?女子学生として受験するの?」
「その件なんですけど、私は名前は男女どちらでも通じるので、改名の予定は無いのですが、できたら女子大生になりたいんです」
「うん」
「それで大学にも問い合わせてみたのですが、実態として女子高生しているのであれば、高校の書類が女子になっている場合はそのままでいいし、高校の書類が男子になっている場合は実質女生徒として在学している旨の記載を備考蘭にでも書いてもらったら、性別・女の受験票を受け付けるということでした」
 
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「分かった。じゃその部分僕が確認するから」
「お手数おかけします」
 
そして教頭はふと気づいたように
「村山君も推薦入試だっけ?」
と訊く。
 
「私は□□大学医学部は受けますけど、入学しないつもりなので一般入試です」
「あ、そうだった!」
 
「だから千里は最初はK大学とかJ大学って言っておけば良かったのに」
と暢子は言った。
 

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2008年11月7日(金)。
 
インドネシアでは千里たち日本代表が予選リーグを1位で終えてこの日は休養日であった。
 
この日、北海道ではウィンターカップの道予選が始まる。会場は釧路市の《湿原の風アリーナ釧路》。旭川N高校は男女選手15人・マネージャー(男子チームのマネージャーは今回久美子、女子チームは愛実)、及び雑用係の名目で来未・紅鹿、という面々。男子生徒15人・女子生徒19人、そして顧問の宇田先生・川守先生、南野コーチ、北田コーチ、白石コーチという総勢39名でやってきた。
 
ただし部屋割りは、男子生徒《14名》が4-5名ずつ3室、女子生徒《20名》は4人ずつ5室取り、宇田先生・川守先生・北田コーチ・白石コーチが1室、南野コーチは、暢子・揚羽・薫・留実子という《首脳部屋》に一緒に入っている。
 
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ちなみに昭ちゃんは男子チームに所属しているものの扱いは女子生徒で、志緒たちと同じ部屋である。行く時のバスも女子の方のバスに乗っていた。ついでに女子制服を着せられていた!
 
「みなさん、体操服なのに、なんでボクだけ女子制服なんですか!?」
と本人は言っているものの
 
「君は可愛いから女子制服なんだよ」
と志緒に言われていた。
 

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さて、今回の道予選に出場しているのは男女26校ずつである。
 
この中には女子でインターハイ優勝によりウィンターカップ出場が決まっている札幌P高校も含まれる。但し札幌P高校は「スーパーシード」されており、他の25校でトーナメントを戦い、勝ち上がったチームと決勝戦で対戦する。
 
そして決勝戦に出場した2チームがウィンターカップの道代表となる。つまり、この道予選で1試合だけ行われる準決勝が、東京体育館行きを賭けた勝負となる訳である。
 
7日は1回戦と2回戦が行われるが、旭川N高校は男女とも地区大会2位だったのでこの日は1回戦から出場した(地区大会1位のL女子高は1回戦不戦勝)。
 
女子の午前中の1回戦の相手は根室P商業である。永子/結里/海音/志緒/耶麻都といったメンツで始めて、その後適当に交代しながら戦ったものの、79対61で快勝した。
 
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午後の2回戦の相手はわりと強豪の函館U女子高である。この試合では不二子をポイントガードとして使用してみた。不二子/結里/薫/蘭/リリカといったメンツで始める。
 
するとここのところ毎日2000回のドリブル練習をこなしていた不二子がかなり技術的に上達していて、しっかりとゲームの司令塔としての役割をこなした。彼女は元々がフォワードなので、攻撃の起点にもなれば自分でも得点できる。また171cmの背丈があるので、相手ポイントガードと対峙した時にミスマッチになって体格的な優位も出る。実際この日不二子はU女子高の3年生のベテラン・ポイントガードにマッチングでかなり勝利し、不二子に近接ガードされて相手が5秒ヴァイオレーションになってしまう事態も起きていた。
 
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結果的に不二子が1学年上の「敦子的ポジション」で使えることが確認されたゲームとなった。試合はその後交代しながら進めて、72対57で勝った。
 
なお、男子の方では先日の「トライアウト」で15人目としてぎりぎり枠に滑りこんだ辻口君が1回戦でスリーポイント1本と通常のゴール2つ決めて鮮やかなデビューを飾り、2回戦では強豪との激しい勝負になったものの最後にその辻口君のフリースローで逆転勝利して明日の準々決勝に進むことが出来た。
 
「辻口君、インターハイ予選までには中核選手に成長してたりして」
「浦島が毎朝一緒にジョギングしようと誘っていた」
「浦島君も努力家だもんね」
 
もっとも1回戦でも2回戦でもチーム内でいちばん点数を取ったのは昭ちゃんだが、昭ちゃんは例によって試合前に「君、女子なのでは?」と言われて、登録証を確認されていた。
 
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11月8日。インドネシアでは準決勝が行われて日本が台湾に勝ったが、釧路ではウィンターカップ道予選の3回戦と準々決勝が行われていた。
 
今回の道予選は毎日2試合というスケジュールである。午前中10時半からの3回戦では今回の「準優勝候補」のひとつである札幌D学園と対戦した。国体札幌選抜にも入っていた早生さんが率いるチームである。D学園は3年生はウィンターカップまでやって引退なので、早生さんが主将の背番号4を付けていた。
 
こちらは雪子/ソフィア/絵津子/暢子/揚羽と超マジなメンバーで始める。最初のキャプテン同士の握手の時、早生さんが暢子と握手しようとして
 
「あ、キャプテンはこっちこっち」
と言って揚羽を引き出すという一幕もあった。
 
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暢子はパッと目立つキャプテンだが、揚羽は努力は人一倍するもののいつも控えめなキャプテンだ。
 
試合は序盤から激しい戦いとなった。向こうも1年生のスモールフォワード熊谷さんがどんどん点を取る。彼女は同じD学園2年生男子でインターハイ道予選のスリーポイント王になった熊谷君の妹である。お兄さんはやせ形でシューターだが、妹はがっちりした体格で兄より大きな身体を持っており、暢子や揚羽を吹き飛ばすような勢いで得点を重ねた。
 
「私とお兄ちゃんって、いつも男女逆だろうって言われてたんですよね」
などと熊谷さんはいつか言っていた。
「私がもらうはずのおちんちん、お兄ちゃん勝手に持って行っちゃったでしょ。返してよ、なんて冗談も言ってましたけど」
「ちなみに熊谷さん男の子になりたいとかは?」
「あ、結構思ってましたよ〜」
「お兄さんは女の子になりたいとかは?」
「どうだろう? 訊くと誤魔化すから怪しい気もしますけどね」
 
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もうひとりD学園でN高校が脅威に感じたのが9番の背番号を付けている須和さんである。
 
「あんな選手居たっけ?」
という声が客席では起きていた。
「1年生なのに背番号が1桁って凄いね」
 
「あの選手1年間、アメリカにバスケ留学していたらしいよ」
「すげー」
「でも留学していた場合、インターハイやウィンターカップでの出場資格はどうなるの?」
 
「たしか19歳になる年まではOKだったはずだよ。だから留学・留年・浪人で1年遅れたまでは3年生まで出られる。ただし各学年1回しか出られない。須和さんの場合、1年生だった去年の9月からインターハイ予選直前のこの5月まで約1年留学していたらしい(アメリカは7〜8月が夏休み)。1回のみの規定で今年のインターハイには出られなかったけど、ウィンターカップには出場資格があるらしい」
 
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相手が早生さん・熊谷さん・須和さんが中心になって点を取るものの、N高校側でも、1年生のソフィアと絵津子がお互い競い合うようにして点を取るし、暢子も1年生に簡単に負けたとあっては特例で3年生を出してもらった意味が無いというので頑張る。それで前半だけでも48対56というハイスコアのゲームとなった。
 
向こうの48点の内3分の1の16点が須和さんの得点。熊谷さんは14点、早生さんも10点である。しかしこちらも暢子18点、絵津子16点、ソフィア15点であった。
 
後半は不二子/結里/薫/志緒/留美子というメンツで始める。志緒がキャプテンマークを付ける。前半出番が無くてエネルギーが余っていたという不二子がポイントガードの役目を果たしながらも自分でも得点を取る。結里も調子よくスリーを打ち込むし、薫もひとつひとつのプレイを噛みしめるように丁寧な動きで着実に点を取っていく。留美子はリバウンドで絶対的である。
 
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向こうの熊谷・須和という両エースが第3ピリオドで休んでいた間にかなり突き放すことができ、第4ピリオドでふたりが戻ったものの、最終的に86対108で決着した。不二子も16点、結里も15点、薫は14点取っている。
 
「私キャプテンマーク付けてたのに8点しか取れなかった!」
と志緒が言っていたが
 
「キャプテンはみんなをまとめるのが仕事だから」
と雪子が言っていた。
 
「私、出番が無かったー」
と蘭が言っていたが、南野コーチは
「午後の試合は先発ね」
と言われて
「頑張ります!」
と張り切っていた。
 
そして客席ではアメリカにバスケ留学してきた選手まで擁するD学園が大差でN高校に負けたことで「N高校強ぇ〜」という声があちこちからあがっていた。
 
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