広告:ｵﾄｺﾉｺ時代-8-ﾏｲｳｪｲﾑｯｸ |
■女子大生・夏の恋(12)
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千里は吉田・田中・中村の三家の前にスチール製の渡り廊下というより回廊を作った。各家の裏口と直結する。これは島本や山門が入浴介助をしたあと、そのままの服装で隣の家に移動できるようにするためのものである。雨が降っていても塗れなくて済むし、寒くなっても大丈夫なようにである。（北海道は８月の時点で既に寒いが）
ライトを点けて明るくするし、ヒーターも入れて温める。スチール製にしたのは、火事が起きた場合に延焼を防ぐためである。
ただし一部敢えて紙でつないだ。実際に火事が起きた場合はここが燃えて落ちることにより、熱も伝わらない。
またここには住民の要望で窓を作り、ガラス板を入れた。
更に第２期工事でヘリポート経由で子鹿荘まで延長して若い人たちの所まで風雪と関係無く行けるようにした。この回廊は老人達の散歩道にもなったし、ファームの人たちが宿舎とヘリポートや湊を行き来するのにも使えるようになった。ただし、子鹿荘までの延長部分は材料費のかからない木製である。ヒーターは入れている。
また千里はファームの人たちと話し合い、中村家の隣に小さな小屋を建て、ここに飲み物・カップ麺・スナック・パンなどの自販機を置いた。回廊をここにも直結する。むろん使うのは子鹿荘に泊まっているメンバーである。アパートのそばではなく、わざわざこんな場所に設置するのは、ここに行く時、３軒の住宅横を通過するので異変があった場合に気付きやすくするためである。
この小屋はファームの人たちから“コンビニ”と呼ばれた。自販機の補充はヘリポートの駐在者により行われる。ファームの人から「お弁当も欲しい」と言われたので銀馬車亭のお弁当（実際に作っているのは峠の丼屋さん）も置いちゃった！男性メンバーは依存度が高い。期限が切れたものは、ヘリポートに駐在する龍族の子が食べちゃう。（「早く消費期限が切れないかなあ」などとエクセルみたいなことを言っている）
雅の亀岡工場で浴衣や街着などの縫製をしてくれている縫い子さんの中には色々な国籍の人が混じっているのだが、その中の数人がビザの期限が
切れるのを機会に帰国したいと言った。
それで小川社長は彼女たちと話し合い、中国上海に優雅（ヨウヤ）、インドネシアのメダンにアングン（優雅という意味）という会社を設立し、現地で縫製をしてもらうことにした。
昨年伏見工房で働いてくれていた中国人女性、インドネシア人女性にも（たくさんお金をもらったから）いったん帰国したいと言っていた人たちがいたので、彼女たちにも合流してもらった。
こうして雅は外国の縫製拠点を持つことになったのである。上海の優雅は東京縮緬の幹部の人に社長をお願いした。メダンのアングンは金閣食品が輸入しているメダンのコーヒー豆販売会社“トバ・フード”の幹部の人に社長をお願いした。（トバは日本の鳥羽ではなくスマトラ島の火山の名前）
雅では昨年は縫い子さんを誰彼構わず募集したが、その大半は女性である。しかし中には数人、男の娘も混じっていた。彼らには、もし性転換手術を受けるなら、仕事のきりが付く１月以降にと頼んでおいたのだが、その中の３人が３〜４月に相次いでタイに渡航して性転換手術を受けた。振袖の縫製で凄い給料が出たので、それを手術費用に使ったのである。３人とも「おかげで女の子になれた」と感謝していた。
ところがその内のひとり高橋さんが、手術跡の傷みがなかなか取れず、苦しんでいた。彼女たちの上司である祥代が心配して、既に性転換している姫路ネオラボのラボ長・紙田美香に相談した。美香は。きーちゃんに相談した。
きーちゃんは高橋さんを性転換手術ではなく本当に性転換させることにより結果的に傷を治してしまった。痛みも取れたし女性器の感度も物凄く良くなったので感謝していた。高橋さんが「国内の名医に診てもらって物凄く改善した」と言ったので、残りの２人もきーちゃんの“治療”を受け、３人とも本当の女になることができた。
彼女たちはタイでの手術証明書を持っているし、日本国内の婦人科医に書いてもらった「女性の股間に酷似している」という診断書も持っているので性別の変更が可能であった。それで全員法的にも女性になり、今年は昨年以上に張り切って仕事をしてくれている。
京都南邸に女性？が訪ねてきたが、あいにく全員留守だったので、きーちゃんが出て行った。
「私、島根双葉の姉で宏妃と申します」
「あら、お姉さんですか。ちょうどみんなロードワークに出てるんですよ。中でお待ちください」
と言って中に入れて、小郷にお茶を出させ、お菓子も出した。更に電話してピザの宅配も頼む。
「へー。鮪の養殖に成功したんですか」
「ええ。村山さんに支援していただいたお陰で助かりました」
実は養殖成功で仕事に一区切りついたので、３ヶ月の休職の許可をもらい、タイに渡航して性転換手術を受けてくるつもりで、その前に妹に会い、村山さんにも挨拶をと思って来訪したのである。
それから宏妃は双葉たちが戻って来るまで２時間ほど、きーちゃんと話していた。
（いや“話す”だけでは無かったと思う）
その夜、宏妃はコーディネーター会社に「申し訳無いが性転換手術はキャンセルしたい」と連絡を入れた！また会社にも休職をキャンセルする連絡を入れた。
「性転換はやめたの？」
と宏妃は課長から訊かれた。
「いえ。手術は国内でもう受けました。新しい術式なので治りが凄く早いんですよ」
「それは良かったね。さすが日本の医療技術だね」
「法的な性別も近いうちに変更予定です」
「了解。健康保険証の性別はすぐ修正するね。年金手帳は正式に戸籍の性別が変わってから」
「お願いします」
優雅の件で千里が現地法人の社長になってくれた陳さんという人と話していたら彼が唐突に言った。
「村山さん、無人機（ウーレンチー：ドローンのこと）の製造会社を作りませんか」
「面白いですね」
アメリカの企業の下請けをしたことがあり製造技術は持っているが、中国人だけだとなかなか信用してもらえないので、日本人と組みたかったらしい。
千里は国内およびスオミ（フィンランド）の所有林・管理林でドローンをたくさん使って監視をしている。現在はスオミの企業ノキア製のドローンを使用しているが、値段が高いのでコストダウンが図れないかと思っていた。
中国は製造技術は割りとあるし、労働コストが安い。ただ品質管理をしっかりする必要がある。信頼できる人がいれば、やってみる価値はあると思った。それで小川さんの許可ももらい、上海に優雅无人機工業という会社を設立してドローンの製作を始めることにしたのである。ここには青池の眷属で青華という子にお目付役として行ってもらうことにした。彼女は工学博士号を持ち機械と電子に強いし、中国語も堪能である。
波多は飛鳥が運転するパッソに同乗して彼女の実家に行った。大きな家なので驚く。あーちゃんって“お嬢様”なのではとも思うが、飛鳥は説明した。
「私が育った家はもっと小さい家だったんだけどさ。２年前にお祖母ちゃんが倒れて。その後、階段を登り降りしなくても居室に行ける家がほしいね、と言ってお父ちゃんがここを買ったんだよ。200万で」
「この家が200万？嘘でしょ」
普通なら5000-6000万する気がする。
「お化けが出ていたからだと思う。でもお祓いしてもらったら出なくなったよ」
「へー。それは良かった」
出なくなったのはほんの一週間前だとはまさか思わない。実はこれまで神社とかお寺とか、怪しげな拝み屋さん（変な像を置いてった人）にまで頼んで祈祷してもらっても改善されなかったのが、オーリンに紹介してもらった神社に頼んだらきれいになってしまったのである。オーリンによると家の中が清浄になったから、お化けには居づらくなって出て行ったのだという。家鳴りとかポルターガイストも酷かったのが全部無くなった。
波多は飛鳥の両親、普段は札幌に居る兄２人、上の兄の彼女、そして祖父母、に紹介された。お母さんは
「こんな出来損ないの娘をもらってくださるとかありがたい」
などと言っていた。出来損ないとか、ひどい言われようだ。しかし一応“娘”に分類してもらっているわけだ。
しかしお兄さんが居るなんて初めて聞いた。男ばかりの兄弟だったからいちばん下の弟が女の子役をするようになったのだろうか。それとも男だったというのは嘘で、お兄さんが居たから男っぽい性格に育ったのだろうか。
お祖父さん・お祖母さんは休んだ上で。両親、お兄さんたちと一緒に焼肉をした。７人なのでホットプレートを２つ並べてお肉を焼く。いいお肉を使っている感じだった。お父さんがビールを勧めるので卓也はけっこう飲んだ。飲み過ぎたせいか食卓には８人居るような気がした。少し飲み過ぎたかなと反省した。
千里は吉田・田中・中村の三家の前にスチール製の渡り廊下というより回廊を作った。各家の裏口と直結する。これは島本や山門が入浴介助をしたあと、そのままの服装で隣の家に移動できるようにするためのものである。雨が降っていても塗れなくて済むし、寒くなっても大丈夫なようにである。（北海道は８月の時点で既に寒いが）
ライトを点けて明るくするし、ヒーターも入れて温める。スチール製にしたのは、火事が起きた場合に延焼を防ぐためである。
ただし一部敢えて紙でつないだ。実際に火事が起きた場合はここが燃えて落ちることにより、熱も伝わらない。
またここには住民の要望で窓を作り、ガラス板を入れた。
更に第２期工事でヘリポート経由で子鹿荘まで延長して若い人たちの所まで風雪と関係無く行けるようにした。この回廊は老人達の散歩道にもなったし、ファームの人たちが宿舎とヘリポートや湊を行き来するのにも使えるようになった。ただし、子鹿荘までの延長部分は材料費のかからない木製である。ヒーターは入れている。
また千里はファームの人たちと話し合い、中村家の隣に小さな小屋を建て、ここに飲み物・カップ麺・スナック・パンなどの自販機を置いた。回廊をここにも直結する。むろん使うのは子鹿荘に泊まっているメンバーである。アパートのそばではなく、わざわざこんな場所に設置するのは、ここに行く時、３軒の住宅横を通過するので異変があった場合に気付きやすくするためである。
この小屋はファームの人たちから“コンビニ”と呼ばれた。自販機の補充はヘリポートの駐在者により行われる。ファームの人から「お弁当も欲しい」と言われたので銀馬車亭のお弁当（実際に作っているのは峠の丼屋さん）も置いちゃった！男性メンバーは依存度が高い。期限が切れたものは、ヘリポートに駐在する龍族の子が食べちゃう。（「早く消費期限が切れないかなあ」などとエクセルみたいなことを言っている）
雅の亀岡工場で浴衣や街着などの縫製をしてくれている縫い子さんの中には色々な国籍の人が混じっているのだが、その中の数人がビザの期限が
切れるのを機会に帰国したいと言った。
それで小川社長は彼女たちと話し合い、中国上海に優雅（ヨウヤ）、インドネシアのメダンにアングン（優雅という意味）という会社を設立し、現地で縫製をしてもらうことにした。
昨年伏見工房で働いてくれていた中国人女性、インドネシア人女性にも（たくさんお金をもらったから）いったん帰国したいと言っていた人たちがいたので、彼女たちにも合流してもらった。
こうして雅は外国の縫製拠点を持つことになったのである。上海の優雅は東京縮緬の幹部の人に社長をお願いした。メダンのアングンは金閣食品が輸入しているメダンのコーヒー豆販売会社“トバ・フード”の幹部の人に社長をお願いした。（トバは日本の鳥羽ではなくスマトラ島の火山の名前）
雅では昨年は縫い子さんを誰彼構わず募集したが、その大半は女性である。しかし中には数人、男の娘も混じっていた。彼らには、もし性転換手術を受けるなら、仕事のきりが付く１月以降にと頼んでおいたのだが、その中の３人が３〜４月に相次いでタイに渡航して性転換手術を受けた。振袖の縫製で凄い給料が出たので、それを手術費用に使ったのである。３人とも「おかげで女の子になれた」と感謝していた。
ところがその内のひとり高橋さんが、手術跡の傷みがなかなか取れず、苦しんでいた。彼女たちの上司である祥代が心配して、既に性転換している姫路ネオラボのラボ長・紙田美香に相談した。美香は。きーちゃんに相談した。
きーちゃんは高橋さんを性転換手術ではなく本当に性転換させることにより結果的に傷を治してしまった。痛みも取れたし女性器の感度も物凄く良くなったので感謝していた。高橋さんが「国内の名医に診てもらって物凄く改善した」と言ったので、残りの２人もきーちゃんの“治療”を受け、３人とも本当の女になることができた。
彼女たちはタイでの手術証明書を持っているし、日本国内の婦人科医に書いてもらった「女性の股間に酷似している」という診断書も持っているので性別の変更が可能であった。それで全員法的にも女性になり、今年は昨年以上に張り切って仕事をしてくれている。
京都南邸に女性？が訪ねてきたが、あいにく全員留守だったので、きーちゃんが出て行った。
「私、島根双葉の姉で宏妃と申します」
「あら、お姉さんですか。ちょうどみんなロードワークに出てるんですよ。中でお待ちください」
と言って中に入れて、小郷にお茶を出させ、お菓子も出した。更に電話してピザの宅配も頼む。
「へー。鮪の養殖に成功したんですか」
「ええ。村山さんに支援していただいたお陰で助かりました」
実は養殖成功で仕事に一区切りついたので、３ヶ月の休職の許可をもらい、タイに渡航して性転換手術を受けてくるつもりで、その前に妹に会い、村山さんにも挨拶をと思って来訪したのである。
それから宏妃は双葉たちが戻って来るまで２時間ほど、きーちゃんと話していた。
（いや“話す”だけでは無かったと思う）
その夜、宏妃はコーディネーター会社に「申し訳無いが性転換手術はキャンセルしたい」と連絡を入れた！また会社にも休職をキャンセルする連絡を入れた。
「性転換はやめたの？」
と宏妃は課長から訊かれた。
「いえ。手術は国内でもう受けました。新しい術式なので治りが凄く早いんですよ」
「それは良かったね。さすが日本の医療技術だね」
「法的な性別も近いうちに変更予定です」
「了解。健康保険証の性別はすぐ修正するね。年金手帳は正式に戸籍の性別が変わってから」
「お願いします」
優雅の件で千里が現地法人の社長になってくれた陳さんという人と話していたら彼が唐突に言った。
「村山さん、無人機（ウーレンチー：ドローンのこと）の製造会社を作りませんか」
「面白いですね」
アメリカの企業の下請けをしたことがあり製造技術は持っているが、中国人だけだとなかなか信用してもらえないので、日本人と組みたかったらしい。
千里は国内およびスオミ（フィンランド）の所有林・管理林でドローンをたくさん使って監視をしている。現在はスオミの企業ノキア製のドローンを使用しているが、値段が高いのでコストダウンが図れないかと思っていた。
中国は製造技術は割りとあるし、労働コストが安い。ただ品質管理をしっかりする必要がある。信頼できる人がいれば、やってみる価値はあると思った。それで小川さんの許可ももらい、上海に優雅无人機工業という会社を設立してドローンの製作を始めることにしたのである。ここには青池の眷属で青華という子にお目付役として行ってもらうことにした。彼女は工学博士号を持ち機械と電子に強いし、中国語も堪能である。
波多は飛鳥が運転するパッソに同乗して彼女の実家に行った。大きな家なので驚く。あーちゃんって“お嬢様”なのではとも思うが、飛鳥は説明した。
「私が育った家はもっと小さい家だったんだけどさ。２年前にお祖母ちゃんが倒れて。その後、階段を登り降りしなくても居室に行ける家がほしいね、と言ってお父ちゃんがここを買ったんだよ。200万で」
「この家が200万？嘘でしょ」
普通なら5000-6000万する気がする。
「お化けが出ていたからだと思う。でもお祓いしてもらったら出なくなったよ」
「へー。それは良かった」
出なくなったのはほんの一週間前だとはまさか思わない。実はこれまで神社とかお寺とか、怪しげな拝み屋さん（変な像を置いてった人）にまで頼んで祈祷してもらっても改善されなかったのが、オーリンに紹介してもらった神社に頼んだらきれいになってしまったのである。オーリンによると家の中が清浄になったから、お化けには居づらくなって出て行ったのだという。家鳴りとかポルターガイストも酷かったのが全部無くなった。
波多は飛鳥の両親、普段は札幌に居る兄２人、上の兄の彼女、そして祖父母、に紹介された。お母さんは
「こんな出来損ないの娘をもらってくださるとかありがたい」
などと言っていた。出来損ないとか、ひどい言われようだ。しかし一応“娘”に分類してもらっているわけだ。
しかしお兄さんが居るなんて初めて聞いた。男ばかりの兄弟だったからいちばん下の弟が女の子役をするようになったのだろうか。それとも男だったというのは嘘で、お兄さんが居たから男っぽい性格に育ったのだろうか。
お祖父さん・お祖母さんは休んだ上で。両親、お兄さんたちと一緒に焼肉をした。７人なのでホットプレートを２つ並べてお肉を焼く。いいお肉を使っている感じだった。お父さんがビールを勧めるので卓也はけっこう飲んだ。飲み過ぎたせいか食卓には８人居るような気がした。少し飲み過ぎたかなと反省した。
