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■女子大生・夏は絹(1)

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夏は来ぬ
作詞:佐佐木信綱(1872-1963)・作曲:小山作之助(1864-1927)・文部省唱歌
 
卯の花の匂う垣根に、ほととぎす早も来鳴きて、忍音(しのびね)もらす。夏は来ぬ
 
「春の小川」に続く夏の歌は?というと、この歌を挙げる人が多いようです。歌詞がやや難しいものの深く愛されており、「日本の歌百選」にも選ばれています。美しい歌ですね。夏の歌としては著作権が切れている「浜辺の歌」を取り上げようかとも思ったのですが、物語につながらないので、素直にこちらの歌にしました。夏は“絹”ということで今日は絹のお話です。
 
ホトトギスはカッコウ目の渡り鳥で日本には5〜6月頃にやってきて鳴きます。ヒュンヒュンとかキョンキョンとか、そんな感じの鳴き声です。「てっぺんかけたか」という描写もあります。昼夜関係無く鳴く鳥のようで、百人一首に入っているのは朝の情景ですね。
 
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ほととぎす鳴きつる方を眺むれば、ただ有明の月ぞ残れる。
 
なお「不如帰(ほととぎす)」は徳冨蘆花の小説(1898)。発表当時物凄い反響で、勝手な続編など多数の二次創作が生まれた。別れの時にハンカチを振るのはこの小説が発端だという。不如帰を“ほととぎす”と読むのは、中国の故事にもとづく。
 

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ところで千里は京都のエレガントの関連呉服店・雅(みやび)のCMに出ることになり、連休中に撮影を行った。千里が剣道をして巫女さんもすると聞いて、剣道をしているところ、巫女さんをしているところなどを撮影することになる。
 
結局ここの京友禅(*5)の振袖(*3)を着て
・楽焼き(*2)の湯飲みで濃茶(*1)を飲む所。
・書道をする所。(お茶にしても書道にしても高価な振袖を汚しそうで怖い)
・碁石を碁盤に打つ所
・竹刀の素振りをするところ
・藁を立てて試斬り(しぎり)をするところ
・大幣(おおぬさ)を振る所
・龍笛を吹くところ
・扇を持って舞をする所
 
などのシーンを撮影した。
 
(*1) 茶道で飲むのは薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)がある。薄茶は点てる(たてる)のに対して濃茶は練る(ねる)と言われる。実際濃厚で粘性のあるお茶である。
 
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(*2) ろくろを使わずに、手で成型して作った陶器を楽焼きという。茶道では風流であるとして好まれる。特に京都の物が有名。元々は秀吉が聚楽第(じゅらくだい)を作った時に出た土で作ったので聚楽焼きといったものが、田中宗慶が秀吉より聚楽第から採った「楽」の銀印を賜ったので、以降、屋号とし、作品も楽焼きと称した。
 
茶道では“一楽二萩三唐津”といって最も価値があるとされる。これらと別格に朝鮮で製作された“井戸”があり、落語の『井戸の茶碗』のネタになっている。
 

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碁石は最高級品の那智黒(和歌山県那智で採れる黒色頁岩)、碁盤も本榧(ほん・かや)である。小川社長の知人所有のものをお借りしたが、千里は「いい音する〜」と思った。小川夫妻は千里が碁石を(親指と人差指ではなく)人差指と中指で挟んで打つのを見て「格好いい〜」と言っていた。
 
千里はその知人さんと一局打ったが、四段の免状を額縁に入れて飾っているその人に“勝たない”ようにするのに苦労した!あからさまに負けるわけにはいかないから、遠い敗着を仕掛けるのだが、これがなかなか難しいのである。向こうが勝ち筋に気づいてくれないし!
 
なお白石はメキシコ蛤(はまぐり)だと言っていた。
 
こちらのほうが那智黒の黒石より遙かに高い。一般に外国産であろうとも、蛤の白石は物凄く高いので、那智黒の黒石はそれ自身も結構高価であるにも関わらず、白石のおまけでもらえる。「高級蛤白石(那智黒黒石付き)」などとして売られている。
 
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蛤(はまぐり)の白石は、最高級品は日向(宮崎)のお倉ヶ浜の蛤とされていたが、既に取り尽くされており、もはや存在しない。現在“日向産蛤白石”として売られている白石は実際には外国産の蛤を日向で加工!したもの。
 

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(*3) 振袖(ふりそで)は、袖丈(袖の幅)の長い和服で、絹織物に後染め(*4)で模様を入れたもので仕立てている。袖が振れるほど長いので振袖という。未婚女性の第一礼装とされる。
 
だいたい1990年代以降、女性は成人式には振袖を著るのが主流となった。振袖でも袖丈が比較的短いものは小振袖といい、10代の女性がお正月などの“ハレの日”に著たりする。また大振袖と呼ばれる、特に袖丈の長いものは、婚礼衣装として使用される。振袖を着るにはその下に着る長襦袢(ながじゅばん)も、振袖用の袖丈の長い長襦袢を着用する。
 
なお、振袖が未婚女性の第一礼装であるのに対して、既婚女性の第一礼装は留袖(とめそで)である。振袖・留袖の下に訪問着、付下げ、小紋、などがある。
 
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礼装になる服は全て絹(きぬ)織物でなければならず、また後染め(*4)でなければならない。木綿、麻、リネン(リンネル・亜麻)、ウール(羊毛)、化繊などの和服は普段着である。また紡(つむぎ)は絹ではあるが先染め(*4)なので、高価なのに、やはり普段着にしかならない。
 
(*4) 服の染色方法には大きく分けて先染め(さきぞめ)と後染め(あとぞめ)がある。
 
糸の段階で染めて、その染めた糸で織り上げたものを先染め、染色してない糸で織り上げ、布になってから染めるのを後染めという、
 

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(*5) 友禅とは、扇絵師の宮崎友禅斎(1654-1736) にちなんで命名された和服のジャンルである。宮崎友禅斎の描く扇絵が評判になったため、そのような雰囲気の模様を和服にも染めるのが流行し、これを友禅染と呼んだのが最初である。時々誤解している人がいるが、友禅斎が染め方を考案した訳では無い。友禅斎はあくまで扇絵師である。
 
複雑な模様を描くため、隣り合う色が混じらないように防染材で糸目という細い線を引いておき、この線は最終的に着物にも白い線として残る。この糸目が友禅の特徴のひとつとなっている。
 
友禅は宮崎友禅斎が長く住んでいた京都で生まれたものを京友禅、友禅斎が晩年を過ごした加賀(石川県)で生まれたものを加賀友禅という。これが二大友禅である。その後、新潟の十日町、江戸などでも同様の友禅が作られ、越後友禅・江戸友禅(東京友禅)と呼ばれている。
 
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京友禅が幾何学的な模様が多いのに対して、加賀友禅は絵画的な模様が好まれる。また加賀友禅が染めだけで完了するのに対して、京友禅は刺繍なども施して完成させる。
 
糸目の付け方には、最初に考案された糊糸目という手法と近年生まれたゴム糸目という手法があり、ゴム糸目では工程がかなり楽になる。但しゴム糸目の布は裏からは見るなと言う。現在、糊糸目は加賀友禅の高級品にのみ使用されている。京友禅はゴム糸目が主流である。なおゴム糸目より更に楽なダックという手法もあり、廉価な友禅で使用される。
 
友禅の作り方として基本は次のような流れになる。
 
(1)“水溶性”の塗料で下絵を描く。
(2) 下絵に沿って糸目を入れる。
(3) 彩色する
(4) 蒸すことにより色を定着させる。
(4) 絵の部分を糸目用の糊で埋める
(5) 地を染める。この時絵の部分は(4)のお陰で染まらない。
(6) 川で余計な染料などを洗い流す(友禅流し)。昔は本当に川でやっていたが、現在は環境問題もあるし、川自体があまりきれいでないため、工場内でおこなう。
 
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下絵は水溶性の塗料で描かれているので製作の途中工程で落ちてしまい、完成品には残らない。
 
上記のような過程を経るのを手描き友禅というが、下絵を描かず、糸目を型で押して作るのを型押し友禅という。しかし型押し友禅も彩色は手作業であることから、一般には手描き友禅と称して販売されている。
 

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雅では旗艦商品としているのは京友禅で、丹後縮緬(後述)に手描き友禅(ゴム糸目)の手法で模様を入れ、振袖に仕立てている。しかし廉価品はインクジェットプリンターで染めている。
 
売上としては、インクジェット製品が枚数で8割、売上金額でも半分近くを占めている。しかし100万円を超える上等な友禅を作っているゆえにお店が“一流の店”として評価され、それ故に20-30万円程度の廉価品も売れるという面があるので、廉価品だけに集中することはできない。
 
レンタルに使用しているのも、ほとんどがインクジェットの製品である。これは同じ振袖が何枚も作れるという利点がある。手描き友禅は人手で染めるから完全に同じ物は絶対にできない。
 
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なお振袖はレンタル代もとても高い。これは季節性の無いウェディングドレスなどと違い、振袖は成人式の時期のみにレンタル需要が集中するので、ひとつの振袖を2−3回しか貸せないため、売値の半額か安くても3割程度で貸さないと採算が取れないからである。
 

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この振袖CMは連休明けからテレビに流れたが、その斬新さが凄い評判になり振袖の注文・レンタル予約が殺到することになる。それで製作体制もかなり強化することになった。
 
多くの呉服店は予め生産して完成している振袖を販売しているが、雅の場合、注文者に見本帳やシミュレーターで著ているところを見てもらい絵柄を選んでもらってから製作するというサービスをしている。それで売れ残りが出にくい反面、注文を受けたあとで生産する生産能力が必要であった。
 
また普通の呉服店なら存在する振袖の個数を超える注文は受け付けようがないが、雅の場合は多数の注文を受けてもお渡しするまでに作ればいいというのがあった。
 
しかし雅の和服は以前からこの「注文を受けてから作る」(オーダーメイド)という昔ながらの販売方法が評価されていたのである。昔の呉服店は完成品の着物が展示されていることはなく、お客様に生地を選んでもらい採寸して、注文後お仕立てしていた。西洋的に言えばオートクチュールである。プレタポルテ的な販売方法は近年になって生まれたものである。女性用の和服は着る時に“おはしょり”をするため、少し大きめに作っておいても着る時に調整できる。(男性用和服は“おはしょり”しないのでジャストサイズに仕立てる必要がある。だから既製品の男物和服は存在しない)
 
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ただ、洋服のオーダーメイドとかなら生地は既にできているのだが、振袖の場合は絵羽(*8)にする必要があるため、注文を受けてから生地自体を作る必要があるという面倒さがある。
 
仮注文 6月まで

材料の仕入れ

本注文(絵柄・グレード選択)7月

製作

お渡し 12/11まで
 
仮注文を入れた人が7月中(ぎりぎり8/9まで)に本注文をしなかった場合、在庫のある範囲で既製品の中から選んでお渡しすることはできる(キャンセル料無しでキャンセルも可能)。
 
また手描き友禅は原則7月末でオーダーストップだが、インクジェットプリンタ染めは8月末まで注文を受け付けた。だから、仮予約を入れていた人で7月までに本予約しなかった人は、8月中にインクジェットを選択して本オーダーするか、既製品(仕上がり予定品を含む)から選ぶかということになる。(両者半々だった)
 
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この仮予約が今年は5月中に例年の10倍来てしまったのである。6月までに入った仮予約の数は最終的に昨年の販売数の15倍にも及んだ。CMで関心を持ち展示会に来てみると、20-30万の安いのもある(10回払いなら月2-3万)、というので、キャンセル料は要らないというし、というので取り敢えず仮予約をした人が多かったようである。
 
雅のお店はエレガントの主要店舗に併設されているほか、東山の本店、四条、京極、京都駅ポルタ、イオン洛南などに10個ほどの独立店舗がある。初回の展示会は京都駅に近いイベントスペースで行った。
 
展示会には神戸の洋菓子店のフルーツケーキと、雅で500円で販売しているハンカチを来場者全員にプレゼントし、またアイドルを呼んでミニライブもしたので、物凄い盛況だった。好評すぎて入りきれない人が続出。翌週広い会場を借りて再度実施して合計で例年の20倍ほどの人が来た。千里も「雅の関係者です」と挨拶し、また藁を立てて試斬りをしてみせたが、凄く受けていた。握手を求める人が多数あり、自身がアイドルにでもなった気分だった。(勝手に「会長のお孫さんらしい」という噂が立っていた)
 
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雅では、注文をさばくため、このようなことをした。
 
(1) 他社からの購入
 
押し寄せてくる客の需要に応じるため、5月の段階で最初にしたのがこれである。既製品振袖の点数を増やすためにおこなった。
 
これは直接取引で6社から買ったほか、大手呉服チェーンのS社に仲介をお願いして購買した。これは多くが雅店頭での売値より高い値段での購入となった。つまり売れば売るだけ赤字になるが、やむをえない。
 
(2) 山崎工房の設置
 
オーダーメイドに応じるためには生産能力を増強するしかない。
 
増産のために最初にやったのは、友禅工房のスタッフ増員である。結婚などにより退職していた元従業員の再雇用、そして他社でもいいので経験者や、美術系また和裁の学校の卒業者などの雇用をすすめた(在校生のバイトも雇った。卒業後正職員に切り替える)。「販売ノルマ無し・サービス残業無し」というのを明確にうたった。
 
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人数が増えて東山区の工房が手狭になったので、京都市に近い大山崎町に倒産した元食品工場を買い、ここを1ヶ月かけて改造して、第2工房とした。そしてここでも6月下旬から、友禅の生産を始めたのである。
 
中堅の技術者でレベルは高いものの工房長である、社長の息子(雅夫さん)と何かと対立していた馬場さんという人をここの技術長に任命したら凄く張り切っていた。それでここは東山の第1工房より人数も少ないし、習熟度も低い人が多いのに高品質の友禅を第1工房以上に生産してくれたのである。
 
この背景には、元々京友禅は加賀友禅に比べて、分業しやすく、習熟度の低い人にもできる工程が多いというのもあった。
 

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経験者を募集しているうちに、雇用した人の中に、昨年倒産した京都市内の呉服屋さん・“橋山呉服”と“平井”の元技術者が多いことに気が付いた。そこで途中からはその人たちのツテで、積極的にここの元従業員を一本釣りした。この人たちは主として山崎工房で使ったが経験年数の長い人や年齢の高い人は東山工房の方に入れた。
 
結果的にはこの2つの呉服店を実質吸収したのに近い。
 
なお会社の倒産で経済的困難を抱えていた人も多かったので依頼料を負担して弁護士に相談させた。
 

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女子大生・夏は絹(1)

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