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■女子大生たちの男女混乱(12)

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「私ね・・・」
「はい」
「今夜、研二と夕食取ったあと、ホテル行っちゃった」
 
千里は返事をしなかったが、彼女が自分の返事を求めているようなので言う。
 
「別にホテルに行くくらい、いいんじゃないですか? 私もこの春に新しい彼女ができたから別れてくれと貴司から言われた後、他の男の子とホテル行ったりしてましたよ」
 
「そうだよね? ホテルくらいいいよね。それにちょっと私、確かめたかったんだよ」
「何を?」
 
「私、セックス下手なのかなと思って。高校時代に研二と何度かした時は凄くうまく行った。お互いに気持ち良かった。でも貴司と結局3回セックスしたけど、3回とも貴司は逝けなかった。2度目は、私、締めが弱かったかなと思って、かなり頑張ったんだけど。3回目は、なかなか立たないのを頑張って立たせたんだけど、入れたらすぐ縮むんだよね。私もセックスに自信なくしてたから、ちょっと他の男の子で試してみたい気分だったのよ」
 
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「たぶんセックスって相性があるんですよ。私と貴司はふつうにしてますよ」
「そうかも知れないと思った。研二とはふつうにできた。何だか研二、感激してて、エンゲージリング買ってあげるからと言われたけど、自分の返事は変わらないと言った」
 
「男の人って結構単純ですね」
「言えてる」
 

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千里と緋那のドライブは府道2号(中央環状線)をぐるりと半周り、約30分の旅となり、その間に貴司の「他のガールフレンド」に関する情報交換などもした。これ以上ライバル増やされてはたまらんということで、兆候に気付いたら早めに情報交換して、共同で排除することで合意した。
 
堺市まで来たところでいったん中環を降りて、コンビニの前に寄せる。
 
「私ここからタクシー呼んで帰るから、悪いけど、あとは千里さんが貴司んちまで車は持っていって。私、鍵はもらってたけど実は車庫を開ける暗証番号を知らないのよ。貴司が開ける所いつもボーっとして見てたから番号見てなくて」
 
ああ、知らぬが仏かも。
 
「コンビニなら襲われたりする心配も無いかな」
「おやつでも買って帰る」
 
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「あ、じゃこれ。ぬるくなっちゃったけど、持って帰らない?」
と言って、さっコンビニでした買物の袋から自分が食べたいサラダだけ取って緋那に渡す。
 
「袋は返さなくていいから」
「うーん。夜だし、ピザだけもらおうかな。ケーキ2個も食べきれないし」
と言って、緋那はピザだけ取って自分のトートバッグに入れ、ティラミスの入った袋は千里の方に渡す。
 
「なんならタクシーが来るまで、私たちで食べちゃう?」
「あ、それでもいいかも」
 
ということで緋那がタクシーを呼ぶ間に千里がコンビニに行ってコーヒーを買って来た。それで何となくコーヒーで乾杯して、ティラミスを食べてしまった。
 
「そうだ。これ千里さんに返しておこう」
と言って緋那は鍵を千里に渡す。
 
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「マンションの鍵?」
「うん。これ純粋に朝御飯を届けるためだけにもらってたんだよ。本当に9月以降は貴司の部屋の中には入ってない。でも鍵を持っているといろいろ誤解を招くし。それに実は毎朝早く起きて朝食をデリバーするの、少し疲れて来ていた」
 
「疲れるよね。自宅から貴司んちまで1時間半かかるって言ってたっけ?」
「実は2時間かかる」
「きゃー」
「車なら1時間かからないけど、朝は特に電車の連絡が悪いのよ。だから毎朝3時に起きて御飯作ってた」
「それは大変だ」
 
「実は1度朝御飯作って持っていったらさ、美味しかったと言われたもんで、つい何なら毎日作ってこようかと言ったら歓迎なんて言うからさ」
「ああ、貴司らしい。でもそれきっとさ」
 
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「うん。私を受け入れているんじゃなくて、単に朝御飯を受け入れているだけではないかという気がして来て」
「貴司ってそういう奴なんだよ。実は誰でもいいんだ」
「私もそんな気がしてテンションが少し落ちてきてたのよね」
「正直、私も、なんでこんな奴を好きになったんだろうと思うことあるよ」
 
「全く全く。でも私はまだ貴司を諦めないから」
と緋那。
 
「うん」
と言って千里は頷いた。
 
「研二さんとは?」
「あいつとは当面女友達」
「なるほど!」
 
それで何となく握手をした所でタクシーが来たので、緋那は
「またね」
と言って手を振ってそちらに乗り込んだ。
 
千里はそこのコンビニであらためてプリンを買って車に戻ると、貴司のマンションに向かった。
 
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マンションに戻ると、貴司はソファで眠っていた。毛布を掛けてあげてから、
 
「よし、作るぞ!」
と自分に言って、松阪牛のお肉を焼いてステーキを作った。コンビニで買ってきた大根おろしドレッシングなどを掛ける。
 
それで御飯も盛ったりしていると貴司が起きる。
 
「あ、お帰り」
「ちょっとドライブしてきたら気持ちが少し晴れた」
「あれ?アウディ使った?」
「ううん。私のインプを緋那さんが持って来てくれたから、それで中央環状線を一周してきた」
「あ、それで時間掛かったのか」
 
「これ返しておいてって」
と言って、千里は貴司に、緋那から預かった鍵を返す。
「え?」
 
「緋那さんの朝御飯も終了らしいから、明日からは貴司自分で朝御飯を作ってね」
 
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「彼女、どうしたの?」
「鍵は返すけど、諦めないって言ってた。まあ、私たちの戦いは続くね」
 
「千里、やはり僕たち、婚約だけでもしない?」
「それは緋那さんと貴司が完全に切れるまでダメ」
「緋那、何か言ってた?」
「私と貴司が結婚するまでは諦めないって」
 
「デッドロックじゃん!」
「まあ、その内解決するよ」
 
と言って千里は少し寂しそうな顔をしたが、千里はなぜそんな表情を自分がしたのか分からなかった。
 

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それで千里は御飯を食べ始める。
 
すっごーい! さすが松阪牛。美味し〜い。
 
そんなことを思って食べていたら、貴司が寄ってくる。
 
「ね、それ僕にもひとくち」
「浮気男さんに食べさせるお肉は無いなあ。そうだ、これでも食べててよ」
 
と言って千里はプリンを出す。
 
「プリンもいいけど、松阪牛なんてめったに食べられないし」
「しょうがないな。じゃ一口」
 
といって千里はステーキを切り分けたものをひとつフォークでさすと
「あーん」
と言って、貴司の口の所に持って行く。
 
「美味しい!」
「美味しいよね」
 
そんな感じで戯れながら、食事は進んでいった。
 

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ベッドの中で目が覚める。携帯を見ると4時だ。そろそろ行かなきゃ。
 
貴司にキスすると貴司も目を覚ました。
「私、帰るね」
「うん」
 
それで千里が服を着ていると、貴司は指輪の箱を持ってくる。
 
「誤解を招くようなことして申し訳なかった。もう浮気しないから、これ再度受け取ってくれない?」
 
「いいよ。じゃ、次貴司に新たな恋人ができるまで預かっておくよ」
 
そう言って千里はケースを開けて指輪を自分の左手薬指にはめた。
 
「そうだ。ちょっと付き合わない?」
と千里は言った。
 
「どこに?」
「バスケットボール持って」
「手合わせするの?」
 

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お風呂に入ってから服を着替え、千里のインプに乗って出発する。名神を走って、朝6時頃に京都の伏見稲荷に着いた。天文薄明にはなっているが、まだ夜明け前である。
 
「高校の修学旅行で来たなあ」
「私も修学旅行で来たのが最初」
 
「ところでそのカルピスウォーターは?」
「ここで会う人へのお土産」
「誰と会うの?」
「会えば分かるよ」
 
貴司の方は自宅からバスケットボールを1個持って来ている。
 
ふたりで日の出(6:56)とともに麓の拝殿でお参りし、千本鳥居を通って、三つ辻・四つ辻へと山を登っていく。ふたりともスポーツマンなので、わりと楽々と歩いていくが、途中で、へばっている人を結構追い抜いた。
 
四つ辻で近くに居た「観光客」に頼んで2人並んでいる記念写真を撮ってもらった。そして四つ辻を右に折れて、三ノ峰方面に行く。そして二ノ峰を経て、一ノ峰まで来た時、
 
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「お母さん」
と呼ぶ声がある。振り向くと京平であった。
 
「京平、おはよう」
と千里は笑顔で言う。
 
「貴司、こちら京平君」
「おはよう」
と貴司も挨拶したが、ん?という顔になる。
 
「ね、京平って・・・」
「私と貴司の息子だよ」
「・・・・・」
 
千里は京平に向かって笑顔で
「これは京平のパパだよ」
と言う。
 
「え?ほんと? パパおはよう」
「うん、おはよう」
 
「京平、パパはバスケットが凄くうまいんだよ」
「へー!習いたいな」
 
「教えてやろうか」
 

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それで京平がこちらで教えてよという方向に付いて行くと、20m四方くらいの広場があった。そこで千里と貴司はパスしたりドリブルしたりのパフォーマンスをしてみせる。
 
「そのドリブルって面白い」
と京平が言うので、貴司は教えてやる。
 
3人のバスケット遊びはおそらく1時間ほど続いた。
 
「このボールあげるから自分で少し練習してごらんよ」
「うん」
「シュートも覚えるといいな」
 
「それどうやるの?」
「ゴールがないとできないなあ」
 
「ゴールってどんなの?」
と京平が訊くので、千里が写真を見せる。
 
するとその広場にゴールが出現する。
 
「これって夢?」
と貴司が訊くので
 
「夢だと思ってた方が精神衛生上良いかも」
と千里は答えた。
 
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それで千里がゴールに向けてシュートをしてみせる。貴司もレイアップシュートのパフォーマンスをする。
 
「すごーい。格好いい」
と京平は言っている。
 
「まあ練習するといいよ」
「うん。僕頑張る」
 
練習が終わってから、京平が喉がかわいたというので、千里はカルピスウォーターを渡す。
 
「美味しい!」
 
「でも甘いものばかり飲んでると身体によくないからね」
「まあ普通は水を飲んでる方がいい」
「じゃたまに飲むといいんだね」
「そうそう」
 

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京平と別れて道を歩いていると、いつの間にかふたりはもう長者社の付近を歩いていた。
 
「今のってキツネにばかされたということは?」
「ここはおキツネ様たちのホームグラウンドだよ」
 
「僕たちが結婚して、京平が生まれるの?」
「それは無理なんじゃない? 私、卵巣も子宮もないから子供産めないよ」
 
「ほんとに産めないんだっけ?」
「私、男の子だもん」
「それが大嘘で実は千里って元々女の子なんじゃと思うこともあるんだけど」
 
「それは妄想という奴だね」
と千里は断言した。
 
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女子大生たちの男女混乱(12)

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