[*
前頁][0
目次][#
次頁]
(C)Eriko Kawaguchi 2014-10-24
ある日の朝、千里が教室に入っていくと美緒が沈んだ顔をしていて、周囲に友紀・真帆・朱音が居るので千里も寄って行く。
「どうかしたの?」
と千里が訊くと
「美緒、振られたんだって」
と真帆が言う。
「振られたって美緒、彼氏いたんだっけ?」
「いないけど、例の元彼のセフレ君と別れたらしい」
「なんで?」
「彼女ができたんだって」
「ああ、でも別れてショック受けるくらいなら彼女になっておけば良かったのに」
「いや、私も恋愛感情は無いつもりだったんだ」
と本人は言う。
「でも別れたら凄い喪失感で」
「半年以上付き合ったんだもん。もうそこに居るのが普通になってたんじゃない?」
「そんな気がする」
「取り敢えず今夜は飲もうよ。千里も来るよね?」
「うん、付き合うよ」
ちなみにここにいるメンツは全員未成年である。
「セックスしたいよぉ」
と美緒は言う。
「また誰か男の子みつければいいよ」
「千里、セックスしない?」
「ごめーん。ボク女の子は恋愛対象じゃないから」
「恋愛はしなくてもいいよ。セックスの快楽だけ追及しない?」
「ごめん。実はボク立たないんだよ」
「やはりそうか」
「女性ホルモン飲んでるんだよね?」
「いや、むしろ千里はそもそも立つものが存在しないという説が濃厚」
「おっぱいもあるという説もある」
「無いよぉ」
「やはりおちんちん無いの?」
「それはある」
「ホテルに連行して確認してみたいなあ」
そんなことを言っていたら、教室に紙屋君が入ってくる。
「どうかしたの?」
と何か異様な雰囲気を感じたのか、紙屋君は声を掛けてくる。
「清紀、セックスしない?」
と美緒が言う。
「なんかダイレクトだね」
と紙屋君。
「私が男役でもいいよ」
「うーん。。。。それなら考えてもいいけど、美緒、ちんちんあるんだっけ」
「そのくらい付ければいいし。射精するのって結構気持ちいいしさ」
「・・・・」
「美緒、実は本当は男だってことは?」
「紙屋君、妊娠したりして」
「これ凄いリアルですね」
「見た目はこのメーカーのが最高だと思います。触った感触もいいでしょ?」
「うん。本物のおちんちんみたい。シリコンですよね?」
「はい、そうです」
「タマタマも中で動くんですね」
「こちらに動かない廉価版、そもそもタマの入ってない格安版もありますので、そのあたりはお好みで」
「タマは無くてもいいかも。普段はこれ付けておいて、女の子とセックスする時はふつうの堅いディルドーに変えればいいのかな?」
「はい。これはあくまで昼用です。芯を入れたり外したりして両用可能なものもありますが」
「うーん。あれ壊れやすいし長さも中途半端なんですよ。でもこれ、おしっこの穴がずいぶん太いですね」
「そこにトラベルメイト(女性用立尿器具-STP)とかを挿入できるんですよ」
「なるほど!」
「裏側にもこのようにちゃんと穴が空いています。ここの突起をクリチンに当てるとちょうどこの穴が尿道の位置に来るんです」
(FTMの人がクリトリスをペニスに見立てたものをクリチンという。逆にMTFの人がペニスをクリトリスに見立てたものはペニクリという。クリチンは男性ホルモンの服用で肥大化している場合がある。ペニクリは女性ホルモンの服用で萎縮している場合がある)
「なるほど。栗ちゃんが位置合わせの目安になるのか」
「それで付けたまま男性型オナニーもできるんです。自分で工作してバイブを埋め込んじゃう人もいますが」
「それ、いいかも」
「固定せずにラビアではさんで、男性用ブリーフで押さえて落下しないようにしておくことも可能ですが、医療用接着剤で固定してSTPと併用すると、落下の心配もないですし、何日も付けたまま過ごせます。バストの除去手術済みの方なら男湯パスしますよ」
「私おっぱいあるからそれは無理。でもいいなあ。買っちゃおうかなあ」
「ただ、接着した場合、そのまま女湯には入らないようお気をつけ下さい」
「それは痴漢で捕まっちゃいますね!」
清紀は手を引いてもらって、その部屋に入った。
「ここに椅子があります」
と言われるので、手を伸ばすと、表面が起毛されていて、座り心地の良さそうな椅子だ。
「服を全部脱いで、座りなさい」
という指示があるのでそれに従い、脱いで椅子に座った。
「目隠しを取っていいよ」
それで目隠しを取る。首を少し下に向けると、自分の胸に豊かなバストができているのが見える。そして自分の股間を見ると・・・嘘みたい!
「君のおちんちんは不要なので削除した」
そこには見慣れたおちんちんもタマ袋も無く、茂みの中、何も無い股間に筋が1本縦に走っている。
「サービスでおっぱいも付けておいた。君はもう女の子と同じだ。男ではなくなったので、お婿さんにもなれない。お嫁さんにならないといけない。洋服もスカートを穿いて、穴の空いてないショーツを穿かなければならない。ブラジャーもつけなければならない」
清紀は何だかそれでもいいような気もした。僕、料理とか得意だし。
「オナニーをしなさい」
と言われる。
「女の子のオナニーは栗ちゃんを揉み揉みするんだよ。栗ちゃんの所に指を当てて」
と言われるので自分の股間の割れ目を見ながらその上の方に指を当てる。
「押さえつけて回転運動をしてごらん」
それでやってみると何だか気持ちいい。おちんちん使った男の子のオナニーもいいけど、女の子のオナニーもそう悪くないかもという気になった。
1分もしない内に到達感があり、股間から液体が出てくる。
え!? 女の子でも射精するんだっけ?
「あらあら、潮吹きしちゃったね。そんなに女の子になったのが気持ち良かったんだ」
その後、ティッシュで良く拭くように言われ、その後、ブラジャーを付け、ショーツを穿き、可愛いピンクのブラウスと、赤い花柄のスカートを穿いた。
鏡に映すと、顔の所は隠れるようになっているが、可愛い女の子の姿がある。
そこまでした所で流行りのアイドルの歌が流れる。清紀は微笑んでスタッフのお姉さんと一緒に部屋の外に出た。部屋の外で、ゴーグルとパワーグローブ、そして手首に付けた脈拍計を取り外す。
すると、ちょうど向こうの部屋からピンクのブラウスに赤い花柄のスカートを穿いた美緒が出てくる。清紀は念のため自分の服を見るが、ふつうに灰色のポロシャツに黒いジーンズのズボンを穿いている。
「どうだった?」
と美緒が訊く。
「気持ち良かった。女の子も悪くないなと思った」
と清紀。
「私も気持ち良かった。ほんっとに射精って気持ちいいね」
と美緒。
「男になった気分は?」
「最高! 私、ほんとに性転換しちゃおうかなあ」
「まあバーチャルだから楽しめるのかも知れないけどね。性転換手術した子から聞いたけど、あれって凄まじく痛いって」
清紀はその話は千里から聞いたのだが、千里との約束で千里が完全な女体になっていることは他の子には言わないことにしている。
「ああ、敏感な部分の手術だもん。痛いよね」
「だけど、視覚交換システムってけっこう面白いね。これで1人1万円は少々ぼったくりな気もするけど」
と清紀は言う。
「まあ普通の風俗の値段くらい?」
「僕も行ったことないから分からないけど多分そのくらいかも」
ふたりはヘッドマウント・ディスプレイとパワーグローブを付けて各々の部屋に入っていた。清紀が見ていた股間の映像は実際には美緒の股間である。美緒は逆に清紀の股間の映像を自分のヘッドマウント・ディスプレイで見ていた。映像の中で栗ちゃんに回転運動を掛けていた時、実際にはスタッフの女性が(感染防止用の使い捨て手袋をつけて)清紀のペニスを普通に刺激していたのである。
「脈拍をチェックしてピークを検出して、録画を併用して高速並列パソコンで現実の画像と合成することにより、自分が実際に逝くタイミングと逝った映像を同期させるところが画期的らしいよ。アメリカの20歳の天才プログラマーがそのプログラムを書いたんだって」
「天才のプログラムって凡人の半分のサイズで10倍速く動くから」
「佐藤君とか、それに近いよね」
「科学技術って戦争とエロで発展するというから、こういう技術もその内まじめな物へも応用されるのかも」
「取り敢えず僕たちがホテルに行って、こういう所に来たことも内緒で」
「OKOK。でも同性愛の男の子とのホテルでの密会なんて、二度と体験できないなあ、きっと」
「僕も女の子とホテルに行くなんて、多分最初で最後の体験」
と清紀は言ってから、千里と行ったのは女の子と行った内に入るのだろうかと少し悩んでしまった。
2009年11月15日(日)。この年は11月15日がちょうど日曜日であったため、この日神社は七五三を祝う小さな子供たちであふれていた。千里が奉仕する千葉のL神社でも、臨時の巫女さんまで入れて、忙しく仕事をこなす。昇殿祈祷も多いので、千里は何度も拝殿で龍笛を吹いていた。
「なんか昇殿祈祷の度に雷鳴がするのは気にならなくなった」
「結構それ口コミで広がっていて、中には期待している人もあるみたいですよ」
などと職員の間では会話が交わされていた。
「私、実は七五三って何かよく分かっていない」
などと女子高生巫女の友香ちゃんが言う。
「まあ、子供の成長を祝う儀式だよね」
「女の子が3歳と7歳で、男の子が5歳でいいんですかね?」
「そうそう。でも男の子は3歳と5歳とする説もある」
「ああ、だから小さな男の子も来ているのか」
「地域やその家の風習にもよるみたいね。男の子の3歳も祝うのかは」
「元々は3歳は男女ともだったのが3歳の男の子の祝いは省略する方式が普及したということみたい」
「まあ、男は手抜きされやすい」
[*
前頁][0
目次][#
次頁]
女子大生たちの男女混乱(1)