広告:マリーエウィッグ-真っすぐストレートフルウィッグ(ネット付き)-フルウィッグ-)
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子大生たちの男女混乱(10)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

千里が麻依子とアイコンタクトを取る。麻依子が誠美の肩を抱いて何か囁く。誠美が頷く。ふたりはさりげなくセンターライン付近まで行く。千里が審判からボールを受け取る。その時、誠美たちの動きに気付いた相手チームのポイントガードが「戻って!」と叫んだ。千里は審判からボールを受け取った瞬間から心の中で5秒を数えている。3秒まで数えた所で振りかぶる。もう麻依子はゴール近くの右側、誠美は左側まで達している。相手選手はまだ1人しか戻りきっていない。
 
千里が思いっきりボールを投げる。ボールは正確に誠美の居るゴール左側に飛んでいく。誠美がジャンプする。相手チームでただひとり戻っていた選手は誠美の方を警戒してそちらに付いていたので思いっきりジャンプするのだが、184cmの誠美のジャンプにはかなわない。誠美は空中で千里のボールを受け取ると、そのままゴールに向かって投げ込む。
 
↓ ↑ Bottom Top

ボールはリングにぶつかって凄い音を立てた後、ネットの中に吸い込まれる。
 
高校時代は何度かやったプレイだが、ローキューツでやったのは初めてだ。
 
背が高くて腕力もあり、シュートのうまい選手、そして正確にボールを投げられる選手が居ないとできないプレイである。千里もこのプレイで投げる役をしたのは初めてであった。
 

↓ ↑ Bottom Top

ゴールが認められて92対94。残りは1.2秒!
 
ホットスプリングスはタイムを取った。
 
向こうは何やら話し合っているようだ。2点差である。ここは今のようにロングスローインからシュートを撃つ以外に挽回の方法は無いのだが、できるのか?という感じで揉めている雰囲気。実際、過去にこのプレイをやった時のシュート役は、秋田N高校の沼口さん、札幌P高校の佐藤さんなど、ひじょうに体格の良いプレイヤーのみであるが、向こうにはそういうプレイヤーは見当たらない。
 
1分経過したが向こうの話し合いはまとまらないようだ。審判がコートに戻るよう促す。何だか揉めながら戻る。結局ポイントガードの人がエンドラインに立ち、他の4人は相手ゴール近くに控える。こちらは誠美・麻依子・菜香子・千里・夢香と長身の選手5人がゴール下に集まる。
 
↓ ↑ Bottom Top

審判が相手ポイントガードにボールを渡す。思いっきり振りかぶって投げる。
 
が、ボールはコートの左側大きく外れた方角に飛んでくる。慌てて向こうの選手がそのボールを取りに行く。ぎりぎりで叩き落として、アウトオブバウンズを逃れる。別の選手がそのボールを押さえたものの、シュートする前に笛。
 
諦めきれずにそのままシュートしたが、ボールはリングにもかすらず、向こうにすっぽ抜けた。審判もシュートした瞬間に前で手を交差させて×印を作り無効であることを示した。
 
最後のシュートをした選手が目を瞑って上を向いていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

整列する。
「94対92で千葉ローキューツの勝ち」
「ありがとうございました」
 
こうしてローキューツはこの年の純正堂カップを制して、記念のカップと副賞として純正堂ケーキショップの御食事券1万円分をもらった。
 
「よし。みんなで食べに行こう!」
「試合には来てないけど、ケーキ食べるのなら出てこれる子いないかな?」というので浩子が全員宛メールを送ったら、何と入院中の国香が「行く!」という返事を送ってきた。
 
「外出許可出るのかな?」
「きっと勝手に出てくるんだと思う」
「近くのBOOK OFFにはいつも抜け出して行ってるみたいだから」
「その延長か」
 
なお、今日来ていない茜と沙也加にはクッキーでも買っておいて後で渡すことにした。
 
↓ ↑ Bottom Top


葛飾区内の病院に居る国香の負担ができるだけ少ないように純正堂の北千住店に移動したが、国香は既に待っていて
 
「オーダーせずに待っていた」
などと言った。頼む前なら店の前で待っている所なのだが、松葉杖をついているので、お店の人が配慮して椅子に座らせてくれていたようである。
 
「ほんとは杖無しでももう歩けるんだけどね」
「いや、まだ無理したらダメ」
 
1万円を越えた分は割り勘ということにして、各自取り敢えず好きなケーキを注文し、飲み物も頼んで、奥の方のテーブルに集まることにする。色々美味しそうなケーキが並んでいる。千里は渋皮入りのモンブランとダイエットコーラにした。
 
取り敢えず祝杯を挙げる。西原監督の音頭で乾杯した。
 
↓ ↑ Bottom Top

国香は来夢・誠美・薫の3人と初対面だったのでお互いに自己紹介していた。
 
「薫ちゃんも国香さんも旭川なんでしょ? 会ってないの?」
という質問が出るが
 
「私が旭川に来たのが2年生の秋だから、私が試合に出るようになった頃は、国香さんはもう引退してたんだよ」
と薫が説明する。
 
「ああ、そういうことか」
「見た試合もあるはずなんだけど気付かなかった」
「私、当時は親善試合とか練習試合とかにしか出てないから」
「なんで?」
「私、男だったもんで」
「何〜〜〜!?」
 
ということで、薫が自分の性別について説明する。
 
「信じられん。女の子にしか見えないのに」
と国香。
 
「でも薫、当時よりぐっと身体付きが女性的になった」
と千里。
 
↓ ↑ Bottom Top

「何か昔に比べて頼りない感じがする」
と本人。
 
「じゃ性転換手術したんだ?」
「実はまだ。去勢は済んでいるんだけどね」
「じゃ、ちんちんまだあるの?」
「ある」
「ちんちんあっても女子選手になれるんだ?」
 
「ちんちんでバスケする訳じゃないし。問題は睾丸があるかどうかだよ」
と麻依子が言うと
「確かに!」
と国香も納得したよう。
 
「でも性転換手術しないの?」
「それすると回復してバスケできるまで再トレーニングするのに1〜2年かかる」
「ああ、そんなに大変なんだ?」
 
「漫画とかだと性転換手術されて即稼働していたりするけど、ああは行かないよ」
「中国奥地に行って、娘溺泉に飛び込むとか」
 
「ああ、男になったり女になったりできるのは便利かも」
「試合後汗を流すのにお風呂に入ると、男に変身して大騒動に」
「冬が辛いな。夏は水のシャワーで押し切るとしても」
 
↓ ↑ Bottom Top


12月11日(金)。千里はこの時期は火木土曜日の夜9時から朝5時までの勤務(途中1時間休憩)だったのだが、この日は夕方のシフトに入っていた子が急病で出てこられないということで、土曜日の夜勤の代わりに臨時にシフトに入ってもらえないかと頼まれた(時給は夜勤の金額適用)。それでこの日は夕方16時半から午前0時半まで勤務して(12月12日土曜の)1時頃、深夜スタッフに「お疲れ様」と声を掛け、地下駐車場に降りていった。
 
普段は千里はこのファミレスにスクーターで乗り付けているのだが、今日は特別にインプレッサを持って来ていたのである。取り敢えず東京まで出て、新宿で雨宮先生と新島さんを拾う。
 
「ごめんねー。急にお願いして」
「いえ。ふだんは深夜時間帯の勤務なんですけど、今日は風邪で休んだ人の代りに臨時で夕方のシフトに入ったんで1時で上がれたんですよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

この日の夜21時頃、ちょうど休憩中に新島さんからメールがあり、明日の朝8時頃までに京都に入らなければならないのだが、今日やっている音源製作の作業が押していて、終わるのが1時過ぎになりそうなので、雨宮先生と新島さんを送って行くドライバーを頼めないかと言ってきたのである。千里は1時に上がるので新宿に入れるのは2時くらいになるが、それでもいいか?と尋ね、それでもいいということだったので迎えに行ったのである。
 
「こちらも実は2時前にやっと何とか形になったのよ。後の作業は技術者さんにお任せ」
「大変でしたね」
「このあと夜通し作業して朝9時に工場に持ち込まないといけない」
「技術者さん大変!」
「最後の仕上げの確認は(田船)美玲ちゃんに頼んできた」
「田船さんも大変だ!」
 
↓ ↑ Bottom Top

「でも結果的に醍醐ちゃんとうまく噛み合ったね。いつもこの車で通勤してるの?」
「いえ。普段はスクーターで往復しているのですが、京都まで走るというのでインプを持って来ました」
 
「あら、だったら、スクーターでいったんおうちに帰ってインプを持って来てくれたんだ?」
「いいえ。今日は最初から、インプを持って来ました」
「あれ?でも夕方からのシフトって言わなかった?」
「そうですけど」
 
雨宮先生が笑いながら解説する。
 
「新島から21時に京都まで送ってくれと頼まれたから、普段は東京に置いているインプを頼まれる半日くらい前に取って来て給油も満タンにして、夕方その車でファミレスに入ったのさ。醍醐は」
 
「意味が分かりません」
と新島さん。
 
↓ ↑ Bottom Top

「醍醐は因果律を超越して存在しているんだよ」
と雨宮先生。
 
「醍醐が傘を持って出かけると雨が降るし、ケーキを買って帰ると友だちが来るし、ビールを買って帰ると彼氏が来るし、醍醐がネギを買っていくと、ちょうど毛利が鴨を獲ってくるのさ」
 
新島さんは訳が分からないという顔をしていた。
 
「傘くらいは分かりますが・・・」
「車が必要な時はふつうに分かるよね?」
「ええ、それで事前に近くに持ってくるんです。あと、電話が掛かる10秒か20秒くらい前に『あ、○○ちゃんから電話だ』と分かることはありますよ」
「そういう人はたまにいるね!」
 
「高校の時に奉仕していた神社の巫女長さんは、私は予定調和で動いていると言ってました。自分でなぜこんなことしてるんだろう?と思うことがよくあるんですけど、結果的にうまく収まるんですよね」
と千里は言う。
 
↓ ↑ Bottom Top


千里はふたりに寝ていてくださいと言い、ふたりが眠ってしまったあたりで、自分も《こうちゃん》に身体を預けて、精神を眠らせてしまった。
 
車は約4時間ほど東名・名神を走り続けて朝6時半頃に大津SAに到着する。ここで千里は覚醒したが、雨宮先生たちも車が停まったことで目を覚ましたので、トイレ休憩とする。
 
そしてそこから約30分で京都市内の放送局に到着した。着いた時刻は7:20である。大津SAから京都までは千里が自分で運転した。
 
「助かった。ありがとね」
「いえ。いつでも言ってください」
「到着30分前に起こしてもらったから、お化粧ができたし」
「それは女性の場合重要ですよね!」
「女同士だからお化粧中見られてもいいしね」
「そうだね。3人とも女ということでいいよね」
 
↓ ↑ Bottom Top

などと言って千里はふたりを降ろしてから名神に戻り、桂川PAで仮眠した。
 

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
女子大生たちの男女混乱(10)

広告:ボクの初体験 2 (集英社文庫―コミック版)