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■続・サクラな日々(2)

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2月の初旬頃、私は春物の服を少し仕入れようと比較的安いお店がたくさん入っているファッションビルで、洋服を物色していた。すると「あれ?」と声を掛ける子がいる。
「あ。マーヤも買い物?」
「眺めてるだけ〜」と笑って麻耶。
「あ、時間あったらお茶しない?」「うんうん、しよう」
 
「でも寺元君の浮気の件では、私ここまで言っちゃっていいのかな、っと心が咎める部分もあったんだけど、結果的に、ハルと寺元君、仲が深まったみたいで、これなら良かったかな、なんて思った」
「あれは恩に着る。私って助手席の位置がずれてることで浮気に気がつくべきだったわあ」
「でも、急進展で婚約まで進んじゃうとは思わなかった」
と麻耶は私の左手薬指の指輪を見ながら言う。
 
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「えっと、これはまだ婚約というわけじゃないのよね。お互い『結婚したいね』
『私も結婚したい』と言い合っただけだから」
「充分、婚約じゃん」
「そ、そうかな?」
「成立してる、成立してる」
 
「だけど、あのグループって、どういう形で形成されたの?私、最初は男の子4人グループの各々の彼女がマーヤたち3人なのかと思ってたけど、そういう訳でもなくて、マーヤたち3人も元からの知り合いだよね」
 
「あれはね。椎名君たち4人は高校の同級生でさ、元々まとまっていたのよね。それで、私とミーシャ(美沙)はふたりともカリリン(花梨)の友達だったんだけど、私はカリリンと音楽教室のクラスメイト、ミーシャはカリリンと塾で席が近くになって仲良くなった関係で、だから1年半前まで私とミーシャはカリリンと同じ地元ではあるけど、会ったこと無かったんだ」
「へー」
 
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「それで一昨年の秋頃から椎名君たちが深夜のドライブを始めて、その時ひとりだと眠ってしまうから話し相手が欲しいってことで、椎名君がカリリンに助手席さん募集って言ってきたのよね。椎名君とカリリンはある程度仲良かったみたいだけど、まだ恋人という感じではなかったんだけど、やはり椎名君の助手席にはカリリンが乗るから、それを機会に親密度が増してって、一昨年の年末頃から恋人という感じになったみたい」
「じゃ、他の組み合わせも偶然の助手席の乗り合わせから?」
 
「最初は、カリリンと私とミーシャと、もうひとりカリリンの大学の同級生の芳恵って子と、4人で助手席に乗ってたんだけど、実際問題として、椎名君とカリリン以外は、ドライブする度に組み合わせが変わってたし、ドライブの途中の休憩で交替したりしてたんだ」
「へー」
「でも、そのうちミーシャと高梁君が親密になっていって、この組み合わせが固定」
「ほほぉ」
 
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「この後、私と芳恵、寺元君とタッちゃん(深谷君)で、どちらがどちらとくっつく、みたいな息詰まる攻防があったわけだけど」
「わあ」
「タッちゃんと私が帰省した時に偶然遭遇して、そのままいい仲になっちゃって」
「じゃ、あとは残りで」
 
「そう、あとは寺元君と芳恵がくっつくかと思ったら・・・芳恵は他の男の子と出来ちゃって助手席さんラインアップから離脱」
「あらあ・・・・」
 
「それで一時期寺元君は深夜ドライブに参加してなかったんだけど、4月になってから、彼女が出来たといって朱実ちゃんを連れてきて、8人での行動が再開したものの、6月にはその朱実ちゃんと別れちゃったということで、寺元君、再脱落」
「あらら・・・」
「で、10月にハルが参加して、今に至る、と」
「なるほどー」
 
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「でも私、やはり寺元君とハルってお似合いだと思うなあ。最初見た時から、なんか凄く相性がよさそうって思ったよ」
「ありがとう」
「で・・・・」と言って麻耶は急に小さい声にする。
「ホルモンは飲み始めたの?」
「飲み始めた。実はホルモン剤、11月頃には買ってたのよね。飲み始める勇気が無かったんだけど、あの日『よし飲もう』という気になって。これで男の子は廃業。って、私実はもう9月頃から男性機能は全く使ってなかったんだけどね」
 
「へー。ホルモン飲み始めて、何か変わった?」
「乳首がずっと立ってるの。なんか胸が張るような感触もあるし。見た目にはほとんど変わってないんだけど」
「ちょうど小学4-5年生の女の子の状態か・・・・アレは立つの?」
「分からない。そもそも立てようとしないから」
「偶然立っちゃうことは?」
「それは去年の9月頃からもう無かったなあ。その頃から、例のタックするようになってたから、その影響かも知れない」
「ふーん」
 
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「いや・・・・・むしろ、その頃から心理的にほとんど女の子になっちゃってたからね、私。その精神的な影響のほうが強いかも」
「あ、そうかもね。だってカムアウトされるまで、ハルが女の子じゃないなんて一度も思ったことなかったもん」
「ふふふ」
 
私達はその後もいろいろおしゃべりを続け、3時間ほど喫茶店で過ごしてから、デパートの地下「特設売場」でバレンタインのチョコを物色して別れた。
 
バレンタインが迫ってくると、学校の中はけっこう騒がしい雰囲気になってきた。うちのクラスの女子4人の中でいちばん積極的なのは涼世で、昨年も大量にチョコを配っていたが(昨年は私まで義理チョコをもらってしまった)今年も大量配布を計画しているようだった。妃冴は好きな男の子がいるらしく「受け取ってくれるかなあ」などと悩んでいたので、みんなで「Go!Go!」と背中を押していた。
 
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「男子たち、私にまで義理チョコよろしくと言ってきた」と私。
「そりゃ、数少ない貴重な女の子のひとりだもん、当然よ」と涼世。
「しかも義理チョコ期待できるかもというのは私とハルリンだけだし。リコには怖れ多いし、ヒサリンは純情そうで声掛けにくいでしょ」
 
「恐れ多いか?」と莉子。
「対男子バリア展開してるよね」と笑いながら私。
 
「でも義理チョコなんてチロルチョコでもいいんじゃない?」と莉子。「私は個包装のファミリーパック買って1個ずつ渡してく」と涼世。
「ああ、その手もあるか」
 
「寺元君にはどんなチョコ贈るの?」と妃冴。
「ドライブ先で渡す可能性あるから洋酒入ってないもので。質より量だって言ってたから、とにかくでかいのを渡すつもり」
 
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「リコは好きな男の子いないの?」
「いないことないけど、恋愛面倒だし」と莉子。
「義理チョコもしないんだよね?」
「しない。あれは商業主義に毒された風習だよ」
 
「んじゃ、商業主義に毒された友チョコ」と言って私はゴディバの詰め合わせを取り出し箱を開けて「みんなで適当に摘も」と言った。
「わあ、頂きます」
「んー、さすがゴディバは美味しい」
「前から思ってたけど男の子にチョコ贈るのって変だよね。甘い物喜ぶ男の子そんなにいないのに。女の子なら喜ぶけどさ」
などと言いながら莉子も2つ3つと摘んでいる。
 
「でもまあ、うざい時もあるけど、いろいろ便利な場合もあるよ、男の子って」
と涼世。
「車に乗っけてくれたり、荷物持ってくれたり」
「私、荷物持ってもらったことないなあ・・・車はいつも乗せてもらってるけど」と私。
「寺元君、あまり腕力無さそうだもんね」
「うん」
「女装させてみたいタイプだよね」と妃冴。
「えー!?」
「そんな話、去年してたね」と涼世。
「へー」
「クラスの男子で女装させてみたい人。一番が実はハルリンだったんだけど」
「あはは」
「2番目が神崎君、3番目が白山君、4番目が寺元君」
「うーん。。。そのリストは少し納得してしまった」と私。
 
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「ところでスズはそろそろ1人に絞らないの?」と妃冴。
涼世は比較的親しいボーイフレンドが3人いる。
「一応3人ともに本命チョコは贈る」
「おおお」
「デートはしないの?」
「うーん。まだあまり深入りしたくないのよね。向こうからデートしよって言ってきた場合は考えるけど」
 
「スズってバージンだよね?」といきなり莉子。
「あ。えっと・・・・その・・・うん、まあね」
「たぶんこの4人の中で唯一のバージン、だと思った」と莉子。
「え?リコもバージンかと思ってた」と妃冴。
 
「高校の時にボーイフレンドに献上しちゃったから」
「へー。進んでたんだ!」
「私、いまだにその恋を引きずってる気もするんだけどね。恋をする気にならないのは」
「じゃ、このバレンタインを機に新しい恋始めちゃおうよ。何なら一緒にチョコ選びに行く?気になる男の子はいるんでしょ?」
「うん、まあ・・・・」
「ファイトだよ!リコ」
莉子は少しだけやる気を出してきたようであった。
 
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「ヒサリンは竹下君に贈るんでしょ?」と私。
「うん。贈っちゃうことにした。彼辛党みたいだから、サイズ小さめがいいかなと思って、ウィスキー入りの小箱。で昨夜電話して、とりあえず10日の夕方会う約束はした」
「おお、やったね!」
「金曜日の夕方に会えば、そのまま月曜日の朝までだよね」と涼世。
「えー?いきなりそんな」
「コンちゃんは持っていきなよ」と莉子。
「うん。それは用意しとく。さすがに昨年で懲りた」
 
大学1年生の夏、妃冴はコンパで知り合った男の子と交際中に生理が止まってしまった。妊娠した?と思い込んでその事を彼氏に言うと、彼氏は『俺は知らん』
と言って、あっさり妃冴を捨ててしまった。妃冴が『私ひとりで産もうかな』
などと悩んでいたのを、莉子が『何馬鹿なこと言ってんの?』と言って中絶を決断させ、同じ学部の女子たちにカンパを呼びかけ、それでも足りないので同じクラスの男子で莉子や涼世が声を掛けやすかった数人にもカンパを募った。(私と進平も莉子に協力を求められて応じた)
 
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そして、産科医院に莉子と涼世が付き添って妃冴を連れて行ったら、妊娠というのが間違いで、単に生理不順で一時的に停まっていただけということが判明したのであった。ホッとしたところですぐ生理も再開したが、その事件以降、妃冴はかなりの男性不信に陥り、恋愛に対しても臆病になっていたので、今回のバレンタインではよけいみんな妃冴を応援したのである。
 
なお、その時カンパしたものの使われなかったお金は『誰かが中絶することになった時に支援できるように』ということで、基金的に理学部の同学年の女子で管理することになり、それは実際に昨年、同学年の他の科の子のために1度と下の学年の子のために1度、使用された。みんなが余裕のある時にその基金に少しずつ寄付しているので、結構な額になっているようである。私も《女の子になってしまった》昨年の夏以降、毎月1万円ずつ寄付していた。
 
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10日の金曜日から14日の本番に掛けては、バイト先でも、クリスマスの時以上に「どうしても会いたい」という客が大量発生し、レモンも私も、他数人のこういうのに慣れている子も、毎日一人で3〜4人と会ってきた。(こういう対応ができる子全員が期間中は出て来ただけで1万円に特別手当1デート1万5千円といわれて招集されていた)
 
バレンタインだから、本来は女の子から男の子にチョコを贈るのだけど、みんな会った男性会員さんたちはこちらにチョコをくれた。ただし、このもらったチョコについては、店長が全廃棄命令を出した。万一変な物が混ぜられていたりしたら危険だからということだった。
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