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■私の高校生活(19)

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(C)Eriko Kawaguchi 2002.03.04
 
 
帰りの新幹線の時刻までに木下先生は戻ってこなかったので、私たちはブラスバンド部の人たちと一緒に生徒だけで学校に帰ることになりました。私は例の「因幡啓一」君と話がしたかったのですが、列車の中を探しても彼が見つかりません。そこでブラスバンド部の部長さんに声を掛けて、彼が一体何物なのか訊いてみました。すると意外な答えが返ってきました。
「彼、本当に因幡啓一というんだよ。でも君も本当は啓一だったっけ。僕も因幡直美ちゃんという名前でしか知らなかったから、全然同姓同名とは気づかなかった。そうそう、彼は軽井沢に用事があるらしくて、僕たちとは別行動だよ。しかし彼もとっさに凄いストーリーを思いつくな!僕もあれ、そうだったんだっけ?と一瞬信じてしまったよ。話し方に説得力があるよね」「彼、何年生ですか?」「君と同じ1年生。えっと組は忘れちゃったな。この3学期から転校して来たんだよ」転校生!それでは今まで知らなかったはずだ。
 
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「それでブラスバンド部に入って。普通入ってすぐの人をこういう所に連れてこないんだけど、演奏見てた?テナーサックスが物凄くうまくてね。サックスやる人はアルトサックスが多いだろ。テナーサックスができる人は意外と少ないんだよ。それでうちのレギュラーのテナーサックス奏者が3日前に風邪でダウンしちゃってさ。急遽ピンチヒッターで連れて来たんだ」と部長さんは説明してくれました。彼は物凄い偶然であの場にいたようです。しかしそのお陰で本当に助かりました。
 
 
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