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(C)Eriko Kawaguchi 2002.03.04
蔵王での撮影は3日掛けて行われました。私だけは1日中仕事ですが、同行している3人はスキー三昧。裕子だけはよくスキーに出かけているらしくクリスチュニアを使っていますが、絵里はややあやしげなボーゲン。みどりはもっぱら見学でしたが、その内スキー場にいるのは寒いと言って結局ホテル内の温泉につかって遊んでいました。何のためにスキー場に来たのかよく分からない状態。
1日目の撮影はその屋外でした。本来のスキー場では人が多いため、近所の農家と交渉して、夏の間は畑を作っているところの斜面を使って撮影は行われました。スキーウェアを着て、スキーやスノーボードをしているシーンの撮影。私もスキーはボーゲンレベルなのですが、下まで行ったら転んでもいいからと言われてスキー板をまっすぐにするよう言われました。結局何十回と雪の中に突っ込むことになります。
スキーウェア自体も何種類かを途中で交換。着替えは南が持ってきている大きなワゴン車の中で行いました。衣装類や撮影機材を持ってくるのにかなり大きな車になったそうでした。それでも一部は車に乗りきれなくて直接荷物でホテルに送っていると、南の助手兼恋人らしい春沢さんという人が言っていました。
2日目の撮影は室内になります。南と春沢は広いスィートルームを確保していました。そこで色々な衣装を付け、色々なポーズを取っての撮影ということになります。衣装は可愛らしい服から大人っぽい服、キュートな服からフェミニンな服、スポーティーな服からドレッシーな服とかなり用意してきていたようですが、もちろん水着などはありません。
小道具は冬をイメージさせるスキーやスケート、スノーボードなどが主ですが、スケート靴とシュノーケルを両手に持ってなどというのもありました。アレンジは南のその場の勘で行われます。いろいろなポーズを取らされましたが、その時お股に何も無いというのは、すごく動きやすい!というのを感じていました。今までならアレをテープなどで押さえつけていたので、少し大きく足を動かしたりすると外れそうで怖かったですし、足を合わせるたびにゴロゴロして気持ち悪かったのですが、転がるような余分なボールがなく、棒の方もきちんと中に収納されていると、思いっきり足を動かすことができて、とても楽。私は「これって調子いいな」と思っていました。
私は顔の調子を整えるため、前日は8時に寝るよう言われていました。そして朝4時に起きてお風呂に入り、シャワーコロンを振るよう言われ、軽い朝食後に、ナチュラルメイクを春沢さんに施されました。ナチュラルメイクというのは、薄いメイクというのではなくて、まるでメイクしてないように見えるようなメイクなのよ、と春沢さんは言っていました。ノーメイクよりも、そちらの方がもっとメイクしてないように見えなければナチュラルメイクとは言わないのだとか。しかし春沢さんはメイクが本当に上手でした。
2日目はさすがに1日目に何もしなかったことを反省したのか、裕子と絵里が付き添って、助手の助手のようなことをしてくれました。二人も春沢さんにメイクを施され、状況次第では衣装を付けて一緒に撮影したり、また絵里単独や裕子単独のショットも結構撮られます。その間は私は休むことができるので助かりました。
「ところで、みどりは?」「多分今日も温泉三昧では」「うーん。何しに来たんだ、あいつは」「うふふ。そしたら明日の主役はそのみどりさんかしら」と春沢さんが笑って言います。「明日は温泉での撮影だから」
3日目。スキー場の場所から更に奥の方に行った所にスキー客たちにはあまり知られていない古い温泉があり、南はそこをその日の午前中借り切ったようです。むろん温泉での撮影といっても、入浴シーンを撮るわけではありません。雪の中の露天風呂のそばで、着衣での撮影です。みどりは温泉自体に入りたがっていたようですが、撮影が早めに終わったら残り時間は入ってもいいよと言われて、張り切って雪の上での元気な少女を演じていました。
今日の着替えは露天風呂のそばの脱衣室を使っています。南はもちろんここには入ってきませんが、春沢さんには完全に私のヌードを見られることになりました。しかし胸は一応あるし、男の子の部分は押し込んでしっかり筋力で押さえているので、私も何も心配する必要がありませんでした。絵里のお母さんに手術してもらっておいて良かった。私はその時そう思ってしまいました。
春沢さんは私の身体を見て「でも、もったいないなぁ。このまだ女になりきってない、アンドロギュナスっぽい身体をフィルムに残しておきたい」と本当に惜しそうに言っていました。すると絵里が調子に乗って「春沢さん、個人的に撮影しておきます?」と言い「え?撮ってもいい?どこにも出さないからさ」
と言われましたが、私はさすがに「それは勘弁してぇ」と泣きごとを言いました。しかし結局最後の最後に、誰にも見せないなら、という条件で数ショットだけ春沢さんのカメラの前に立つことになります。
「今日中に現像してフィルムごと渡すね。ただ2〜3枚だけプリントを記念に私にちょうだい」というので、それで合意しました。
撮影が完了したのは11:45くらいで南が借りていた期限の15分前でしたが、みどりはその残り15分でもいいといって、南の目も気にせずに大胆に裸になると露天風呂に飛び込み、幸せそうにしていました。私と裕子・絵里は機材撤去の手伝いをしていました。
撮影が終わってからホテルに戻ります。仕事はそれで終わりですが私たちはもう一泊して翌日の昼前に帰ることにしていて、その日の午後はスキーを楽しむことにしていました。私は1日目の撮影でたっぷり滑って転んでいましたが、ボーゲンでなら転ばずに滑れるだろうと思い、やっていたら、いきなり同じくらいの年代の男の子と衝突してしまいました。
私が見事に360度回転して雪に突っ込んでしまったので、普通に転んだだけのその男の子が「大丈夫?」といって慌てて抱き起こしてくれました。「あ、大丈夫です」と答えてから、私は自分の手足がちゃんと動くことを確認しましたが、その時初めて、その男の子に抱かれていることに気づいて、思わず両手ではねのけてしまいました。そして次の瞬間、助けてくれたのにそれは無いだろうと思い直して「あ、ごめんなさい」と言いましたが、彼は全然気にしてないようでした。
結局、その後は私はもっぱら、みどりのそばで裕子たちが滑っているのを遠くから眺めていました。やがてみどりが「ねぇ、寒いからホテルに戻ろうか」と言い出します。しかし、それからあまりしない内に天候がくずれ始め、急に視界がきかなくなってきたので、結局私たちは4人でいったん部屋に戻ることにしました。結局ゲレンデにいたのは1時間くらいでした。
さて部屋に戻ると、裕子がいきなり私のそばに座り、私の肩を抱きながら「ところで、直美。そのお股はどうしたのよ?午前中にヌード見たけど、付いてないじゃない」と裕子が鋭い指摘をしました。私はちょっと焦りましたが、私が何か言う前に絵里が「あ、手術しちゃったから」と軽い感じで答えてしまいました。
「え?とうとう性転換しちゃったの?」と驚いたようにみどり。みどりは何も気づいてなかったようでした。「いや、私まだ男の子だよぉ」と言って、私は裕子たちに変えられたのは外の形だけであることを説明しましたが、興味津々の裕子は、結局私を裸にむいて、その付近をしっかり観察しました。もう私もこの手の「解剖」には慣れてしまったので、この3人にそこを見られるのは、恥ずかしいという感覚が消えています。しかし裕子は「面白い〜」と本当に楽しそうに声を上げていました。
「だったら、直美、女湯は全然心配ないのね」と言うのは当然みどり。結局みんなでホテル内の温泉に行くことになりました。
女湯にはいつも女子寮で入っているので、入ること自体には私も全然抵抗がありません。むしろ今はもう男湯には入れない身体になってしまっています。私がゆっくりと服を脱いで中に入っていくと、みどりがジャングル風呂の中で絵里にお湯を掛けてはしゃいでいました。「横田さん、お風呂の中で騒がないように」と私は彼女に楽しそうに注意しました。
昔のホテルは男湯の方が立派で、女湯は適当な作りだったらしいのですが、ここのホテルは新しいので逆に女湯が充実しているということでした。まるで温泉センターのように色々な風呂が設定されていて、みどりがここで2日も遊んでいて飽きなかった訳が納得。
私も最初は色々なところに入ってみましたが、さすがに3日間の撮影の疲れが出て、最後は檜風呂にゆったりとつかっていました。しかしそこにもみどりはやってきてイタズラを仕掛けます。「もう、やめてよ」と言って立ち上がろうとした時、私はうっかりそこの力が抜けてしまいました。『ヤバイ』
まわりにはたくさんの他の女の人の目があります。みどりの方をちょっと冷たい視線で見ているのですが、結果的に私も多くの視線に一緒にさらされている状態。私はあわてて「ね、みどり。ちょっとタオル持ってきてくれない」と言いますが、みどりは聞いていません。
あまり変な動作もできないので、かなり気が焦ってきたところで視界の端に絵里が見えました。「絵里!助けて」と私は構わず叫びました。その声の調子で絵里は私の『異変』を察したようでした。すぐにタオルを持ってきてかけつけてきて、そのままタオルと自分の身体で隠すようにして、近くのちょうど誰も入ってなかったサウナの中に連れ込んでくれました。「うっかり気を抜いてしまって」
「気を付けようね」と絵里は笑って言います。私はそれがちゃんと小さくなるのを待って、再度中にしっかり押し込みました。