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■私の高校生活(15)

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(C)Eriko Kawaguchi 2000.02.25
 
 
絵里のお母さんが乗っていた車は、夢で見たのと同じタイプのものでした。私はドキンとしました。でも夢では私は一人でしたが、現実には絵里がそばにいます。
「明日来るつもりだったんだけど、予定していた妊婦さんが早めに出産してしまって。今日空いちゃったのよ」
 
絵里のお母さんはいいます。
 
「じゃあすぐ帰る準備するよ。あ、直美も寮まで一緒に乗ってこ」
 
「あれ、君は確か夏休みに来た、男の子だよね」
 
絵里のお母さんは、私たちを車の中に招き入れながら言いました。
 
「はい、そうです。因幡直美。あっと男の子の名前は啓一です」
 
「う〜ん。女の子で通してるんなら、女の子の名前でいいじゃん。君はいつ帰省するの?」
 
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「直美の両親は長期海外出張だから、帰る所ないんだって」
 
「あら、だったら、うちに来る? 何もおかまいはできないけど」
 
「うん、私もそう誘おうと思ってたとこ。ね、いいでしょ?直美」
 
私はちょっと夢のことがあったので、ちょっと怖い気がしたのですが、特に断る理由もないので
 
「はい。じゃお願いします」
 
と答えたのでした。
 
 
 
私は身の回りのものを急いでまとめると、寮母さんに「鈴木絵里さんの家にお世話になることになりましたので」と電話を入れ、絵里と一緒に再び車に乗り込みました。
「直美ちゃん、って呼んでいいよね。絵里と結婚、考えてるの?」
 
絵里のお母さんという人は、絵里以上にストレートな物の言い方をする人のようです。
 
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私は真っ赤になってしまい「はい。絵里さんさえ良ければ」と答えてしまいました。
 
「私はそのつもりよ、ママ」
 
「じゃ、問題無しね」
 
「でも、私こんな格好してるのに...」
 
「絵里は、昔から男嫌いだったからね。どうなることかと思ってたけど、半分女の子の男の子だったら、絵里の理想かも知れないよ」
 
どうも、この家庭はずいぶんおおらかな家庭のようです。私はなんだか、なごむのを覚えました。
 
「そういえば、直美ったら、こんな夢見たんだって」
 
「あ、やめて」
 
絵里は私の制止は押し戻して、先日の夢の話を全部お母さんに話してしまいました。
 
お母さんは大笑いしながら聞いていました。
 
「すみません。勝手に変な役で出演させてしまって」
 
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と私は真っ赤になりながら謝りました。
 
「でも、ほんとに私もそのくらいのマッド・ドクターかもよ。だけど、その手術可能だよ」
 
「え?」
 
「タマタマをお腹の中に引っ込めちゃう手術。一般に何らかの原因で留まっているのを袋の中に引き出す手術というのはよくあるんだけど、引き出すことができれば、押し戻すことだってできちゃう」
 
「でも、そんなことしたら、そのぉ、機能を失わないんですか」
 
「体内は熱すぎるから少なくとも精子は作れない。精子は外気にさらされているあの袋の中の温度でないと生産できないんだな。他にも機能障害が出る可能性はあるけど、取ってしまうのよりはマシじゃない。将来また袋の方に引き出せば、機能回復する可能性あるし。まぁ事例報告が無いから分からないけど。それに直美ちゃん、そもそも、その内取るつもりだったんでしょ?」
 
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「え?あの、そのぉ」
 
私は心に迷いが生じていることなので、なんとも答えられませんでした。
 
「じゃぁ、うちに着いたら、即手術してあげるよ」
 
「え〜〜〜!?」
 
「大丈夫。すくなくとも棒の方の機能には何も影響ないから。」
 
「でも、あの」
 
「手術代はロハよ。絵里の将来の旦那様からお金は取らないから」
 
「良かったね、絵里」
 
夢の中では私一人が拉致され、無理矢理手術されたところに絵里が現れて抗議したのですが。。。。現実ではその絵里が最初から一緒だから安心と思ったら、逆に後押しされてしまったようです。
 
「ただ、もう子供作れなくなるかも知れないことは覚悟しておいてね」
 
「大丈夫。ちゃんと直美の精子のストックあるから、それで跡継ぎは作れるよ。精子バンクに預けてあるの」
 
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「そんなことまでしてたのか。じゃ、もう準備万端OKじゃん」
 
私は完全に反論の機会を逸してしまい、無言になってしまいました。
 
数時間後には、もう完全な男の子ではなくなってしまう。
 
私はそのことに戸惑いながらも、なにか期待するような気持ちが心の中に湧き興って来るのを押さえられませんでした。
 
私は頬をつねってみましたが、どうもこれは夢ではないようでした。
 
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