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■私の高校生活(3)

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(C)Eriko Kawaguchi 1998.3.03
 
●1年生9月
4月と7月に私が体験した女装は、あくまで一時的な余興の範囲のことでした。しかし二学期になって9月の中旬、私の生活に大きな変化が生じる出来事がありました。
 
その日ホームルームでは11月に行われる文化祭の出し物について話し合いをしていました。演劇部の劇ではなくクラスの劇なので芸術的なものより誰でも知っているわかりやすいのがいいのではないか、ということになり、「王様の耳はロバの耳」「シンデレラ」「ベニスの商人」「ロミオとジュリエット」などが候補にあげられました。
 
「やっぱりラブロマンスがいいよねぇ」
「笑える作品がいいと思うなぁ」
「シンデレラなんて王子様の存在感がないよね。二人の意志で愛し合うっていたったらロミオとジュリエットじゃない?」
「でも笑えないよぉ。」
「ベニスの商人は結構笑えるんじゃない?」
「でもラブロマンスはないんじゃない?」
「あるよ。シャイロックの娘のジェシカが駆け落ちするし、ポーシャとボッサニオの結婚もあるし」
「ねぇねぇ、ちょっとマイナーだけど、お気に召すまま、なんてどう?」
「それ知らない。どんなの?」
「主人公はロザリンドという女の子なんだけど領主だったお父さんが追放されて本人もお尋ね者になって男装して森に隠れてるのよ。そこに彼女の恋人のオーランドがやってくるんだけど、ロザリンドが男装しているんで本人と気付かずに恋の胸の内を明かすのね。そこで男装のロザリンドが自分をロザリンドだと思って愛の告白の練習をしてごらん、というわけ。」
「じゃぁ、男同士で好きです。結婚して下さい、とかやるんだ」
「そうそう」 「面白いじゃん」
「やおいー」
「でも本当は片方は男装した女の子なんだよね。オーランドはそれに気付かないんだけど」
「それいこ、それいこ」
「さんせーい」
 
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ということで、出し物は「お気に召すまま」と決まりました。脚本は提案者の田村さんと文章の得意な相田さんが共同で書くことになりました。そして配役です。細かい登場人物は脚本が出来てみないと分からないのですが、主な配役だけでも決めようということになりました。田村さんが主な登場人物をホワイトボードに書き出します。
「取り敢えず、どう脚本を書いても必要だろう、というところだけ書きます」
 
? ロザリンド  ♀ ヒロイン
? オーランド  ♂ ロザリンドの恋人
? 公爵     ♂ ロザリンドの父
? フレデリック ♂ 公爵の弟で、公爵を追放した人
? シーリア   ♀ フレデリックの娘で、ロザリンドの友人
? ハイメン   ? 婚姻の神
「オーランドは高橋君がいいと思いまーす」
「さんせーい」
ということであっけなく、恋人の片方は決まりです。さてロザリンドというところで
「私、因幡さんがいいと思いまーす」
と鈴木さんが言い出しました。
「あ、名案。この役は男役・女役の両方をこなさないといけないから」
「えー!?でも女の人の役なんでしょう?」と私が反論しますと
「シェイクスピアの時代は女性の役者さんはいなかったから、男の人が女役もやったんですよ。だからこの作品は元々男の役者さんが女優になって更に男装した上で、オーランドに対して女役をする、という訳の分からない多重な性の転換が魅力なんです」
と田村さんが説明します。
「じゃあ、因幡直美ちゃんがまさにピッタリじゃない」
と声があがり、とうとう私がロザリンド役をすることになってしまいました。
 
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その他は、公爵が永田毅君、その弟のフレデリックが福井守君、シーリアは鈴木さんで、ハイメンは脚本を書く相田さんがすることになりました。
 
参ったなぁ、と思っていたところで、もっととんでもない発言が飛び出しました。
 
「因幡さんには女の子役に慣れてもらうため、文化祭までずっと女の子の格好をしていてもらったらどうかと思うんですが、みなさんどうでしょう」
級長の村上さんです。
「それは、とてもいいと思いまーす」
という声が上がります。そしてあちこちから「賛成」「賛成」という声があがり、私は抵抗するすべもなく、11月の文化祭まで女の子として生活することになってしまいました。
 
先生たちも面白がり、出席簿の名前はまた因幡直美に直されてしまいましたし、どうやら校内のコンピュータ上の生徒マスターも因幡直美・女子と書き替えられてしまったようです。男子寮にあった荷物はさっさと女子寮に移されてしまいました。ただし男物の服は全然なく、セーラー服と見覚えのある下着や普段着、それに可愛らしいパジャマも用意されていました。同室になるのは4月の時に私を女装させた3年生の川口由香さんです。
 
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「川口さん、因幡さんの女を磨いてあげてくださいね」と相田さんが言いました。
「OK。OK」と川口さんも冗談っぽく言っていたものの、数日の内には
「直美ちゃん、十分女らしくて、指導するとことかないよ」
と呆れるように言いました。
「しょうがないからお化粧の仕方とか教えてあげる」
と言って、私は口紅からはじまり、アイシャドウとかマスカラの使い方を練習させられるようになりました。
 
一方私の声はけつこうハイトーンでそのままでもそう思えば結構女の子の声に聞こえるのですが、もっと女らしい声に改造しようという話になり、演劇部の浜田さんが女声の発声指導をしてくれました。
 
「喉に手を当ててね、普通にあーと言って」
「あー」
「今喉が震えたでしょ?」
「ええ」
「次は裏声であーと言って」
「あー」
私は恥ずかしさを捨てて声を出しました。
「そうそう。今は震えなかったよね」
「はい」
「そこで課題です。声帯が震えないようにでも裏声にならないように、ちょうど中間の声の出し方を覚えて欲しいの。たぶん頭の後ろあたりから声を出すような感じ。」
「そしたら女の子のような声になるんですか?」
「そのはずよ。パパがボイストレーナーをやっていて、何度かカウンターテナーの指導をしたことあって、そういう話を聞いてるのよ」
「あぁ、カウンターテナー」
「目指すのはそれでしょ? もう変声期が過ぎてるから玉を抜いてもカストラートにはなれないもんね」
「玉って。。。」
「男の子だけに付いてる玉があるでしょ?」
私はやっと意味が分かって思わず身をすくめてしまいました。 「大丈夫。抜いたりしないから。さぁ頑張って」
 
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色々と試行錯誤を繰り返したあげく10月に入る頃、私はその女の人らしい声の出し方を発見しました。しかしとんでもない副作用が出ました。それは男の声が出せなくなってしまったのです。
 
「あんまりやってて、元の声の出し方が分からなくなってしまったのね」
「えぇ、どうしましょ?」
と私はほとんどソプラノの声で浜田さんに聞きました。
「しばらくそのままでもいいんじゃない。じきに思い出すよ。それより今の声の出し方を本番まで忘れないようにね」
「忘れようにも、この声しか出ません」
「でもうらやましいくらいに澄んだきれいな声ね」
と相田さんが言います。
 
髪の毛は新入生歓迎会とキャンプで女装した時はかつらだったのですが、今回は自毛でいきましょう、という話になりました。私はちょうどキャンプが終わったときに切ったまま、8月には切らず、9月にそろそろ切ろうと思っていた時に「女子高生」生活が始まってしまったので、そのままのばしていくことになりました。11月頃までにはまぁまぁの長さになるはずです。
 
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スネ毛やひげをどうするか、というのも相田さんたちの議題になったようです。私は腕の毛は薄いのですが、スネ毛は多少ありますし、ひげも一週間に一回くらいは剃らないといけません。
「脱毛してもらおう」
と提案したのは鈴木さんだったようです。
 
私は9月末に鈴木さんたちに連れられて美容外科に行き、麻酔をかけられてあっという間にスネ毛と脇の下とひげを脱毛されてしまいました。すると本当にしばらく全然スネ毛もひげも生えてきませんでしたが、1月ほどたつと少しだけまた出てきました。そこで11月の頭にもう一度美容外科につれていかれて再度脱毛されました。
 
バストをどうするか、というのもまた話題になったようです。
 
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鈴木さんは過激なので、女性ホルモンを打って大きくしようよ、と提案したようですがこれはさすがに却下されたようで、付け胸を使うことになりました。それでも未練そうな鈴木さんは
「これ、おっぱいが大きくなる軟膏なの。良かったら毎晩胸にすりこんでね」
 
と何かクリームのようなものを持ってきましたが、私は丁重にお断りしました。
 
この期間、授業はもちろん全部女子として受けました。
 
技術家庭科は家庭科の方に行って、スカートやホームドレスを縫ったり、ボルシチやピラフを作ったりしました。ミシンの使い方も野菜などの炒め方もうまい、というので目時先生がずいぶん誉めてくれました。
 
「あなた、大工仕事とか電気細工とかはするの?」
「授業ではやりますけど、あまり得意ではないです」
「だったら、いっそ、男の子に戻ってもずっとこっちに来なさいよ。話つけとくから」
先生もけつこう本気なようでした。
 
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保健も女子といっしょにうけました。お陰で男子だったらあまり聞くことの出来ない月経や避妊の話も詳しく聞かされました。そして体育の時はブルマをはかなくてはいけません。これもちゃんと用意されていて「これ履いてね」と渡されました。
 
体育ではこの時期創作ダンスをやっていました。私はまた例によって相田さん・鈴木さん・横田さんと一緒のグループになり、色々な踊りを工夫しました。
 
 
更衣室をどちらを使わせるかについては先生達の間で少し議論があったようですが、男子更衣室にセーラー服を着た子が入ってきては混乱の元だということで、女子更衣室を使うことになりました。女の子たちは私の前でも平気で下着になったり、時には胸を出して比べ合ったりしていましたが、私も最初はとまどったものの段々慣れて、こちらも平気で着替えるようになりました。
 
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トイレはもちろん全部女子トイレでした。これは一週間もしないうちにすっかり慣れてきて、トイレの前まで来ると何も考えなくてもさっと女子トイレに入れるようになりました。そんなことをしている内、ほんとに自分が女の子であるかのような気がしてくるのでした。
 
もっと深刻な問題はお風呂でした。全寮制ですから女子寮にお風呂があるのですが、いくら普段女の子の格好をしていても全部脱いでしまうと、そこには困ったものがついていて、また年頃の娘なら出るべきところが全然出ていません。
 
しかし相田さんたちはその私を堂々とお風呂に入れてしまうことにしました。
 
 
「胸が出てないのは小さい子もいるから構わないと思うのよ。問題は下の方よね」
「聞いたことあるんだけど、あれは体の中に押し込んでしまえるんだって。それでテープか何かで押さえてしまえば多分いけるんじゃないかなぁ」
 
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という訳で、私は抵抗するまもなく、全部脱がされ、彼女らの手で色々といじくりまわされ、
「あ、行けた行けた!」
という訳で最後はビニールテープでとめられてしまいました。
 
「上出来上出来。これだとあるように見えないね」
「じゃあ、それで一緒にお風呂に行きましょう」
私はもう見られるのはなんどもやられて慣れてしまいましたが、さすがにここまでされると、もうこれ以上何されてもいいかな、という気分です。逆に開き直ってしまいました。おかげで、お風呂に入る時にももう全然恥ずかしい気がしませんでした。しかし毎日これをやられてはたまらないので「明日からは自分でするから」と言って彼女らの手はわずらわせないことにしました。
 
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一応相田さんと横田さんでガードして一緒に入ってくれたのですが、体を洗い湯船につかっていると、そこに遅れて鈴木さんが入ってきました。
「どう、感想は?」
「何も考えないことにした」
「あはは。いいね」
といって、いきなり私の胸をつかみました。
「さっきも見てたけど、直美ちゃんって胸以外は、すごくいいプロポーションしてるよ。腰のくびれもきれいだし」
と言い、そしてもむようにしながら
「ほんと、これ大きくする気ない? お風呂の中のマッサージも効くんだよ」
 
などといいます。そういう鈴木さんのバストを何気なく見るとかなり大きいです。しげしげと眺めてからハッと我に返りました。女の子の胸をじっと見るなんて。。。。と思うと急に恥ずかしくなって、
「えぇ!? 勘弁して〜」
といって私は逃げるように湯船から上がりました。結果的には一人で脱衣室に戻ることになりましたが、そこまでは頭が回っていませんでした。
 
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