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■私の高校生活(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 1999.07.24
 
その週の週末。私は絵里・裕子の2人と一緒に高崎に出て、ミスコン用の私服と水着を選びに行きました。今年の夏7月に体育の授業で水泳がありましたが、その時はまだ私は男生徒だったので、女の子の水着を付けるのは初めてです。いつも女の子の格好をしていても、水着となると又ちょっと恥ずかしい気がします。
「ミスコンというとさぁ、なんか妙に格好つけた服とかセクシーな水着とか着る勘違いした子がいるけどさ。やはり高校生だからね。清楚に決めた方がいいよね。票の半分は女子だし」
 
「そうそう。これなんかどう?」
 
「ああ、いいじゃん。ちょっと試着してみて」
 
「私が?」
 
「もちろん。着るのは直美なんだから」
 
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幾つか試着してみて私服の方はお嬢様風の薄いグリーンのブラウスと白いミニのプリーツにしました。また水着はラインつかいの青系統の体の線を強調するワンピースにしました。
 
「直美が男の子だってことはみんな知ってるから絶対股間を見られると思うの。だからパレオなんかでそこを隠してはダメ。進んで見せてまるでついていないかのようなところを強調するのよ。直美はきれいなボディラインもってるから、こういうのがいいわ」
 
というのが裕子の意見でした。
 
 
 
服選びが一段落したところで喫茶店で休んでいると、そこに若い女の人がやってきました。「私が呼んだのよ。こちら従姉の冴子さん」と裕子がその女性を紹介しました。
「で。問題の子ってどっち?」とその冴子さんが尋ねます。裕子が
 
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「こっち」
 
といって私を指さします。
 
「あどうも」
 
私は訳の分からないまま挨拶しました。
 
すると彼女は信じられない、といった振りをしながら「裕子、からかってんじゃないよね?」と聞きました。
 
「全然男の子には見えないでしょう?」
 
「どう見ても女の子だよ。声も可愛いし。君ほんとに男の子なの?」
 
「ええ、そうですけど」と私はとまどいながらも答えます。
 
「君、住民票はどこにおいてるの?」
 
「この学校に入るとき、こちらに移しました」
 
「じゃ一人だけになってるんだ。OK。簡単にできるよ」
 
「なにがですか?」
 
「君の住民票を女の子の名前に書き換えてあげるよ」
 
「えー?」
 
「まぁ、要するにね」といって裕子が説明を始めました。「正直直美がミス北山になる確率は高いと思うんだ。そういう時に校内ではみんな承知の上だからいいんだけど、対外的な行事なんかに出ている時に直美の素性に疑問を覚える人が出てくると思うのよ。その時、住民票を調べてもちゃんと女の子だったら全然問題ないでしょう?」
 
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「しかし。。。。」
 
「後で元に戻すのも簡単だよ。いづれにしても住民票を管理しているコンピュータにちょっと侵入して情報を書き換えるだけだから」
 
「冴子はすごいテクニックのハッカーなのよ」
 
「じゃあ、君の登録している住所と名前、それから変更する名前をここに書いて」
 
私は何か考える余裕もないまま、言われた通りに寮の住所と因幡啓一と名前を書き、その横に更に直美と書き添えました。冴子さんはそれを受け取ると「じゃあ、やっておくね」といって立ち去りました。
 
「よかったね、直美。これで自動車免許とかパスポートも直美の名前でとれるじゃん。学校の書類も全部直美になっているし。戸籍は男の子のままだけど、これは私と結婚するのにそのままの方がいいな」と絵里がいいます。
 
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「まだちょっと私自身事態をよく把握できていないんだけど。。。これって違法じゃないの?」
 
「固いこと言わない、言わない。証拠なんか残さないから大丈夫」
 
「なんだか私、もう男の子に戻れないんじゃないかって気がしてきた」
 
「私は別に構わないよ。直美が完全に女の子になっても。手術したくなったらいつでも言って。うちの病院でできるかも知れないし、できない場合はしっかりしたとこ紹介するから」
 
「今のところ、そういう手術をする気はないんだけどな。。。。ひとつ怒らないから教えて。絵里が毎週私に打ってる注射ってさ、あれもしかしてホルモン剤?」
 
「うん、よく分かったね。エストロゲンという女性ホルモンだよ」
 
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「はぁ、それで胸が大きくなってきたのか。あんな吸引パッドとかだけでこんなに大きくなるものかな、って疑問を感じてたから」
 
「絵里ったら、そんなもの直美に打ってたの?」
 
「まぁね。もう打ちたくない?」
 
「ううん、絵里が打ちたいのなら打っていいよ。私の体は絵里のものだから」
 
 
「おぉ、ちょっと引く発言だわ」
 
「じゃ遠慮なく今後もホルモン打って可愛い体に改造しちゃおう」
 
「いいの?直美?」とさすがに裕子が心配そうに聞く。
 
「うん。」と私は笑って答えました。でも私は、あの校長室での2時間以来、どんどん自分が自分で分からなくなりつつあるような気がしました。
 
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