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■プリンス・スノーホワイト(6)

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スノーホワイトが七人の鉱夫が住む小屋に来た3日後、お城ではレザンナ女王が鏡に向かって尋ねていました。
 
「鏡よ鏡、この地上で一番美しい女は誰?」
「レザンナ様、それはあなたです。あなたがこの地上の女の中で一番美しい」
 
しかし女王は心配になって再度訊きました。
 
「鏡よ鏡、この地上で一番美しい者は誰?」
 
「それはスノーホワイト様です。レザンナ様も美しいが、スノーホワイト様はレザンナ様の千倍美しい」
 
レザンナ様はあまりの驚きに座っていた椅子から転げ落ちそうになりました。
 
「待て。スノーホワイトは死んだのではないのか?」
「生きています。怪我をなさっていますが、東の森の闇の森の中、七人の鉱夫が住む小屋で休んでおられます」
 
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「しかしお前はこないだ訊いた時には、この地上の者で一番美しいのは私だと言ったではないか?」
「先日レザンナ様がお尋ねになった時、スノーホワイト様は川の中に居て流されておりました。地上に居た訳では無いので、地上に居た者の中ではレザンナ様が一番美しかったのです」
 
レザンナはこの鏡を叩き割ってやりたい気分になりましたが、とにかくすべきことが分かりました。
 
スノーホワイトは怪我をしているといいます。おそらく妖獣に襲われた時に負った怪我であろうと女王は思いました。しかしあの王子がひとりで妖獣を倒したとは思えません。誰かが協力していたのではないか、もしかしたらあの猟師ステファンあるいはその仲間か?などと考えます。今スノーホワイトが滞在している小屋に住む鉱夫というのも、あの猟師の協力者かも知れないと考えました。
 
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どうもスノーホワイトの味方が増えつつあるようなのも気になります。しかしレザンナ女王は、とりあえずスノーホワイトさえ抹殺できたらよいと考えていました。
 

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レザンナ様はこの国に住む魔女クレーテを呼び出しました。100歳を越えているのではないかと、その筋では噂されている老魔女です(*11)。
 
「これはお久しぶり、50-60年ぶりかな。ネフィーラよ」
「その名前を人前で呼ぶな」
と女王は厳しい顔で言います。
 
「ふふふ。出世したものよのう。今ではノガルド女王で、フォーレ皇帝様か」
「その話も人前でするな」
 
「何か入り用か?報酬次第では引き受けるぞ」
「東の森の闇の森の中に住んでいる七人の鉱夫というのは分かるか?」
「ああ。あいつらなら分かる」
「その小屋に今、13歳くらいの娘が滞在している。そいつを殺してきて欲しい」
 
「そのくらい、お前さんでもできるだろう?」
「私がその子を殺す所を万が一にでも人に見られたら困るのだ」
 
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クレーテは「ふーん」と言って少し考えていましたが、やがて言います。
「だったら、あんたがオスマン帝国の皇帝から巻き上げた400カラットのルビーをもらおうか」
 
レザンナ女王はしばらく考えていました。
「きちんと殺したら、くれてやる」
「では」
 
と言ってクレーテは手を振って、レザンナ女王の部屋を出て行きました。
 

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アグネスは南方の草原を馬で一気に駆け抜けてアルカス国に入りました。国境にはアルカス側の警備兵が居ました。しかしアルカスとノガルドが断交しているといっても“スノーホワイト王女”の側近は特別です。アグネスは亡きゲオルク先王直筆の「スノーホワイトの侍女長に任ずる」というお墨付きを持っていたので、そのまま通してくれました。
 
そしてハモンド大公の宮殿に駆け込み、スノーホワイト王子の所在が不明になっていることを告げます。
 
「もし殺されてしまったのであれば、病死とか何とか発表すると思うのです。それが無いということは、恐らくはお城の外のどこかに監禁されているのではと私は疑っているのです。しかしノガルド軍は要所要所をフォーレの軍人が押さえていて、うかつに動かせません。信頼できる方を数人貸して頂けないでしょうか?」
 
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とアグネスは大公にお願いしました。
 
「それはすぐ対応しよう」
と言い、司令官のローレンツに命じて潜入任務のうまい者を4-5人、すぐ召集するよう命じました。それでアグネスと一緒にノガルドに向かおうとしていた時のことでした。北の国境で怪しい女を捕らえたという報せが入ります。
 
「ノガルド王国のスノーホワイト王女様の書き付けを持っていたのですが、弓矢に槍など持っていますし、風体も怪しいもので」
と宮殿に報せに来た国境警備兵は言います。
 
「いや、それは本当にスノーホワイト様のお使いなのでは?」
「それが、書き付けの内容が、金貨や宝物をステファン殿に預ける、と書かれておりまして、スノーホワイト姫が預けたのは男と思われるのですが、捉えたのは女なのです」
 
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「それは女装しているのでは?」
「あ、それを言われると。。。。」
 
「私が直接そちらに行く」
とハモンド大公はおっしゃったのですが、長男のロベルト王子(21)が停めました。
 
「父上、ノガルドで何か異変が起きているとすれば、その混乱の中から一気にこちらに侵攻してくる可能性があります。そういう時に父上が宮殿を離れてはいけません。ここは私が参ります」
 
すると次男のレオポルド王子(19)が言いました。
 
「兄上、父上、その役目私にさせて下さい。スノーホワイトは私の許嫁(いいなづけ)です」
 
「分かった。それではレオポルド、そちが国境に行き、そのスノーホワイト殿の書き付けを持っていた女を取り調べよ。必要なら、そのままノガルド領内に入って必要な行動を取りなさい」
 
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「御意」
 
アグネスは、なんでこの宮殿ではスノーホワイト王子は“王女”ってことになってるの〜?と思いましたが、それは今は些細なことです。何とか
スノーホワイト王子を無事救出してから、性別問題はあらためて議論した方がいいと思いました。
 

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そこでアルカス国の司令官が選任した精鋭の軍人5名(アレクサンドル・ジークフリート・ユリウス・ジャンヌ・ロンメル)、それにレオポルド王子とアグネスという7人で、国境警備兵が先導して、“怪しい女”を捕らえている北方の国境へと急ぎました。急ぐので全員馬で駆けたのですが、アグネスがしっかり他の6人に付いてくるので
 
「君すごいね」
とレオポルド王子が感心して言っていました。
 
「私はスノーホワイト様の楯になれと言われていますので、馬術も武術もかなり鍛えられました」
とアグネスは答えました。
 
精鋭5人の中でジャンヌは30歳くらいの女性でしたが、アグネスは最初彼女が女性ということに気付きませんでした。髪も短くしているし、たくましい身体付きです。途中で気付いて
 
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「あなた、女の人だったのね!」
と本当に驚いて言ったら
 
「ああ、こいつを女とは思わない方がいいぜ。この中で俺の次に強いから」
と一番逞しい身体付きをしているロンメルが言います。本人も
 
「僕のことは男と思ってていいよ。その内女の子を嫁さんにするつもりだから」
などと言っています。
 
するとアグネスが
「かっこいい!」
と憧れるように声をあげたので、ジャンヌはかえって照れていました。
 

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普通なら4〜5時間掛かる所を早い馬を使っているので2時間ほどで辿りつきます。そしてレオポルドが捕らえた女を取り調べました。しかしレオポルドはその女を見るなり、この女は悪い者ではないと思いました。取り敢えず男が女装しているようにも見えません。
 
「君の名前は?」
「マルガレータ・フンボルトと申します」
「弓矢や槍を持っているのは?」
 
「狩猟の免許を持っているので。むろんアルカス領内では決して使用しません。それよりも、すみません。こうしている間にもスノー姫様に危機が忍び寄っているかも知れません。私は、何とかハモンド大公陛下にご協力を頂きたいのです。スノー姫様は女王陛下から命を狙われているご様子なのです」
 
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とマルガレータは言った。
 
「スノー姫様って、スノーホワイト姫のこと?」
とレオポルドが訊くと
「スノーホワイト様は王子なのでは?」
とマルガレータは言います。
 
レオポルド王子はアグネスと顔を見合わせました。
 
「王族の中にスノーという名前の姫君がおられる?」
とレオポルド王子は訊きます。
「おりません。もしや、本名を名乗ると危険なので、スノーと名乗っておられるのかも」
とアグネスは答えました。
 
レオポルドは国境警備兵に訊きます。
 
「この者が持っていた書き付けは?」
「こちらでございます。この袋と一緒に持っておりました」
 
と言って、警備兵は紙と袋を渡しました。
 
「物凄い量の金貨が入っている。この内側に入っている小さな袋は?」
 
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と言って、王子が小さな袋を取り出すと、そこには見覚えのあるムーンストーンのペンダント、そして確かにスノーホワイトが大事にしていた、母君の形見ということであったオパールの指輪もあります。
 
「これは間違い無くスノーホワイト姫のものだ」
と王子は言いました。
 
マルガレータは、レオポルド王子が盛んに「スノーホワイト姫」とか
「スノーホワイト王女」とか言うので、首をひねっています。
 
王子は書き付けを読みます。
「この者、ステファン・フンボルトに私の金貨および宝物を預かってもらっている。私の使いなので丁重にお取り扱いせよ/スノーホワイト・ド・ノガルド」
 
「ステファン・フンボルトというのは、もしかして君の親族か?」
とレオポルド王子はマルガレータに訊きました。
 
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「私の兄です。兄と2人でスノー様の行方を捜していたのですが、なかなか見つからないので、もしかしたら先にアルカスに入られたかもということで私がこれを持ってアルカスに行き、兄は引き続きスノー様を探しております」
 
アグネスは「スノー様」と「スノーホワイト王子」と「スノーホワイト姫」といった名前の混乱が生じていることを認識し、取り敢えずここは話を簡単にするため、詭弁を使うことにしました。
 
「マルガレータよ、スノーホワイト様は本当は姫様なのですが、男の兄弟がおられないことなどもあって、様々な都合で王子を名乗られることもあるのです」
「そうだったんですか!私はてっきりスノーホワイト様は男の王子と思っておりました!長い髪は女の方だったからなんですね!ブリーチングも遅かったし」
 
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「ですから、あなたが探していたスノー様というのが、間違い無くスノーホワイト姫様ですよ」
「なるほど!それなら納得できます。あの方は、素敵な姫様でしたよ」
とマルガレータは言っています。
 
「もしかして、最初スノーホワイト様と一緒だったの?」
 
「はい。最初は私がスノー様に付き添ってアルカスへと歩いて行っていたのですが、途中見たこともないような獣に襲われて。手応えがあったので獣は倒したと思います。でもその時、スノー様を川に逃がしたのですが、そのまま流されてしまったのです。それで行方を捜しておりました」
 
「たぶんその見たこともない獣というのは、レザンナの使い魔ではなかろうか。あの女は色々怪しい獣を飼っているという噂がある」
 
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などとレオポルド王子は言っています。いやしくも女王の地位にある人を『あの女』呼ばわりするのは、さすがに他の者にはできません。
 
「スノーホワイト姫は泳ぎも得意ですから、溺れたりはしてませんよ。きっと森の中で迷子になったのではないでしょうか」
とアグネス。
 
「だったら、マルガレータよ。私たちをその姫とはぐれた付近まで案内してくれ。一緒に探そう」
とレオポルド王子は言った。
 
「はい!」
 
それで精鋭たちとレオポルド・アグネス・マルガレータの8人に加えて国境警備兵5人も加わり13人で国境を越えて、ノガルド領に入りました。
 

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その頃、ちょうどソリスはフォーレの都ヴァルトに到着したのですが、皇帝が数日姿を見せないので城は騒ぎになっていました。
 
ソリスはフォーレ帝国軍のトップであるライナー元帥と会い、ケーンズ陛下はノガルド領内でトラブルがあったが無事であること。数日中にはこちらに帰還なさるということを伝えて安心させます。
 
「これは陛下から元帥殿への手紙です」
「分かった。ご無事であれば問題ない」
 
しかしソリスは結局こちらの騒動を鎮静化させるために、元帥以外にも何人もの軍部や官僚の要人と話すハメになり、すぐには別の妖獣をノガルドの都アッシュに連れていくことができなかったのです。
 

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