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■夏の日の想い出・2年生の秋(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2011-08-31  
7月下旬に緊急発売になったローズクォーツのシングル『夏の日の想い出』はこれまでのローズクォーツの作品のどれよりも高い売り上げを示し、8月上旬には50万枚を突破、そのあと夏フェスへの出演と、それに伴ってあちこちのFM局にお呼ばれして出演したりしたのもあり8月中もどんどん売れ続け、8月末までに80万枚を突破。このままなら初のミリオンもありえる感じになっていた。ランキング会社のランキングでも、ウィークリーではずっと2-3位付近に付けているものの、デイリーランキングでは何度か1位をマークしていた。
 
またこの曲に引きずられる感じでローズ+リリーの最後のシングルである『甘い蜜』も売れ続け、8月末には累計売上97万枚まで来ていた。こちらも3年越しのミリオンが視野に入ってきていた。
 
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9月3日、私は昨年「越中おわら節」を収録した時に協力してもらった富山の民謡酒場のオーナーさんのお誘いで富山市の八尾(やつお)を訪れ、「風の盆」
の深夜の街流しに参加した。私は大学の夏休み中、青葉のヒーリングを受けるために頻繁に彼女の住む富山県高岡市を訪れていたので、その度に富山市内のその民謡酒場に寄っては、おわら節のお稽古も受けていた。それで「これだけ唄えたら行けるね」と言われての参加だった。
 
オーナーさんの胡弓、八尾在住のオーナーのお母さんの三味線、お母さんの妹さんの太鼓、そして私と別の常連さん2人の3人で唄を唄い(3人で唄・囃子・休憩というのを回していく)、お母さんの友人で八尾在住のご夫婦の踊りという8人構成で明け方まで八尾の町を歩いて回った。青葉もお友達2人と一緒に来てくれて、ずっと見物していた。青葉たち3人は浴衣を着て、私達の後に付いて歩いていたので、ちょっと目には11人編成にも見えたであろう。
 
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八尾の町は石畳の通りの両側に燈籠がずらっと並んだ緩い坂道が、ほんとに美しかった。1時間くらい流したら1時間くらい休憩して他の街流しを見たりしていたが、みな良い風情であった。観光客からたくさん写真も撮られたが、美智子は私達の街流しを全部ビデオで撮影した上で編集して5分ほどの動画にまとめてyoutubeで公開した。
 

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「冬の浴衣姿はほんとに色っぽいな。何か最近ほんとに女らしさも増してない?」
と街流しのビデオを見ていた美智子は言う。
 
「性転換が済んだ心の余裕かも。以前は『女の子になりたい』とか『女の子として扱ってもらいたい』という気持ちだったのが、去年の夏あたりから『自分は女の子である』という確信に変わっていたのだけど、最近は『自分が女の子なのは当然』という、平常心みたいなのになってきたのよね」
「恋とかはしてないの?」
「相手がいないよ」
「もし相手ができたら早めに言ってよね。よほどの相手でない限り、交際に反対はしないから。男の子でも女の子でも、不倫でも構わないし」
「うん・・・って不倫でもいいわけ?」
「反対はしない。協力もしないけど。それは冬が自分で結末を付けるべきこと」
「了解」
 
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「あとね・・・」
「うん」
「私、最近性欲が出てきたんだ」
「へー」
「実は昨年去勢した後、性欲が無くなってたの。それまでも私ってあまり性欲が強いほうじゃなかったんだけど。やはり性腺が無くなって消えたんだろうな、と自分では思ってたんだけど、青葉ちゃんからそれってただの思い込みで実際にはある筈って言われて、それからEliseさんから恋をしろ!性感を開発しろ!とか言われて、政子も一緒に寝てる時に私にいろいろいたずらするし、あれこれ煽るし。そんなんで最近、なんかHしたいなみたいなこと考えたり、映画とかのラブシーンからちょっと妄想したりするのよね」
 
「ふーん。それはいい傾向だと思うな。やはり性欲あったほうが人間って活動的になるよ。たぶん。私もこの年で独身だけど、性欲はあるからね」
「そういえば前々から思ってたけど、美智子こそ恋人は作らないの?」
「若い頃は何度か恋人作ったよ。同棲してた時期もあるし。でもたまたま結婚に至らなかったのよね。ここ5年くらいは相手もいない。子供を産みたかったなという気持ちは少し残ってるけど、今の私にとっては冬と政子が自分の子供みたいなもんだよ」
「43・・・だよね。まだ産める年だよ」
「今更めんどくさい」
「そう?」
「だけど・・・・政子と冬って、けっこう一緒にお泊まりしてない?」
「うん。割と。夏休み中はほとんどどちらかの家で一緒に寝てた感じ」
 
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「お泊まりの時って、もしかして同じベッドで寝てる?」
「それは昔からいつもそうだよ」
「昔からって・・・・冬がまだ男の子の身体だった時から?」
「うん。でもHしちゃった・・・・ことはないというのが公式見解だった」
「あはは」
「私達は基本的にはお友達。恋愛感情はお互い持ってないつもり」
「そのあたりの微妙な関係がよく分からないのよね。ふたりがもし恋人宣言しても、私は応援してあげるからね」
「ありがとう。でも今のところ、そういう方向性は無いから」
 

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8月下旬から9月上旬にも私達はあちこちのFM局を回ったりしていたが、それは金沢のFM局に来た時であった。
 
「へー、そしたら6月には震災の被災地で、ずっと避難所巡りをしたんですか」
「えー、とにかく避難所におられる方たちに純粋に楽しんでもらおうということで自分達の持ち歌を歌わない、バンド名を名乗りもしないというので」と私は笑いながらDJさんに答える。
「バンド名も名乗らないというのは面白い試みですね」
「ええ。それで、ひたすらリクエスト受け付けて、その場で演奏するというのをしていました」
「どんな曲のリクエストを受け付けるんですか?」
 
「なんでも演奏します。ポップス・ロック、民謡・演歌、ジャズ・洋楽、唱歌・童謡、クラシック・ラテン、何でも来いです」
「クラシックも?」
「はい。くるみ割り人形なんてリクエストもあったので、くるみ割り人形の行進曲を演奏して、私その場で即興で作詞しながら歌いました。『さ、みんな行こう、素敵な。楽しい夢の舞踏会へ』なんて感じで」
「面白ーい。あ、でもそういうのラジオ番組でやったら面白いかもね」
「ああ。楽しいでしょうね」
「リスナーのみなさんからリクエスト受け付けて、その場でローズクォーツがその曲を演奏するというの」
「新しい形のリクエスト番組ですね。あ、いやもしかしたら放送の黎明期にはそんな番組があったかも」
 
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そんな話をしていたら、ホントにそういう番組企画をその局から打診されたのであった。美智子は私達4人を集めて「やる自信あるか?」と訊いた。ライブでやる場合は、万一演奏できなかった場合でも、ごめんなさいで済むかも知れないが、生放送でやる場合、あまりみっともないことはできない。
 
「リクエストライブはこれまでたくさんしてきましたが、破綻したことはないですね。間違ってもなんとかなってきたし」
「放送でやる場合は、パソコンをスタジオ内に持ち込んで、リクエストされた曲のコード付き歌詞を即表示することはできるらしい。メジャーな曲なら譜面も出る。1980年以降に出版された新譜雑誌やヒット曲集がまるごとデータベース化されてるらしい」
「じゃライブでやるのより、かなり条件がいいですよ」
「じゃ、この企画、受けちゃうよ」
 
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そういうことで、私達の初のレギュラー番組「ローズクォーツのリクエスト大作戦」が10月からとりあえず週1回・3ヶ月限定でスタートしたのであった。番組の制作は原則として都内のFM局のスタジオを借りて行い、私達が地方のライブなどに出ている時はその地域のFM局の施設を借りることになった。放送は、30分の午後の生番組で、番組を企画をした金沢のFM局をキーとして、富山・福井の北陸3県のFM局で放送されることになった。30分の間に私とDJさんとのトークを交えて、だいたい6-7曲くらい流せたらいいかなということであった。
 
トークは一応ローズクォーツ4人とDJさんの会話ということではあったのだが、「俺達はあまり機転がきかないからトークはケイに任せた」などとマキからは言われて、ほとんど私がしゃべりまくっていた。話の内容によっては他のメンバーも会話に加わったし、特にサトはよく絡んでくれた。なお、一応4人とも放送中に最低1言は発言することというのも指示であった。ラジオなので声が無いとそこにいるかどうかも分からないからである。
 
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第1回の放送だけは向こうの制作スタッフとの話し合いなどもあったので、特別に金沢のスタジオまで行った。番組の冒頭で『夏の日の想い出』を1分間演奏したあと、リクエストをお受けしますといって、実際にリクエストが入ってくるまでDJさんとトークをしていた。
 
「最初にシステムを説明します。リスナーのみなさんから頂いたメールやFAXを私の前にある箱にスタッフにどんどん入れてもらいます。そこから私が適当に1個取り出して、ローズクォーツさんに演奏してね、といいます。ローズクォーツさんは演奏できそうと思ったら即演奏してもらいます。ごめんなさい、演奏できませんということでしたら、罰金として1万円徴収して、それをリクエストしてこられた方にお贈りします。なお、ほんとに誰も知らないような曲をリクエストされても困るので、ここにいる番組スタッフ5人に尋ねて、5人とも知らなかった曲はパスとさせて頂きますのでご了承ください」
 
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「ということでローズクォーツさんです」
「みなさん、こんにちは。ローズクォーツの出しゃばりボーカルのケイです」
「ローズクォーツの目立たないリーダーでベースのマキです」
「ローズクォーツの流行りもの好き、ミーハーなギターのタカです」
「ローズクォーツ一番の力持ち、元自衛隊員でドラムスとキーボードのサトです」
 
最初に飛び込んで来たリクエストメールは「聖少女」であったがあえて保留した。基本的に自分達の歌は後回しにしようということで制作スタッフ側と方針を確認していたからである。2番目のリクエストはAKB48の最新曲であった。リクエスト曲をDJさんが読み上げ、番組スタッフがその曲の譜面と歌詞をパソコンに表示させる(こういうメジャーな曲は譜面まで出るが、多くはコード付き歌詞だった)。私達は頷いて演奏を始めた。
 
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「ほんとに即演奏できるんですね。でも何をリクエストしてもいいんですか?」
「はい、ポップスでも洋楽でも、演歌でもカントリーでもジャズでもラテンでも文部省唱歌でも民謡でも何でもどうぞ」
などといってDJさんとこれまで1年ほどのローズクォーツの活動内容なども話していたら、次に「荒城の月」というリクエストが来た。DJさんがリクエストのメールに書かれていたエピソードを紹介している間に私達はスタンバイする。
 
サトがオーソドックスな8ビートのドラムスを刻み、マキのベースとタカのギターが短い前奏をしてから私は声楽っぽい発声で「荒城の月」を熱唱した。
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■夏の日の想い出・2年生の秋(1)

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