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■夏の日の想い出・2年生の秋(12)

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静かな所で落ち着いて話したかったので、町で落ち合い、彼の車で奥多摩に行き、少し開けた所で駐めて、私は自分の思っていることを正直に話した。彼は泣いていた。
「じゃ、僕のこと好きなんだよね」
「うん。本気で好き。私、こういうので嘘つけないもん」
「でも今は婚約は考えられないのね」
「ごめん。ホントに今は音楽活動に夢中だし、私自身が『誰の物でもない』
フリーな状態でいたいの。だから婚約はできない。でもモッチーの方も結婚できるとしたら7年後ということだし、7年後にこの問題はまた話せないかなと思って。その時まだ私のこと好きでいてくれたら」
 
「恋人・・・・でいることはできるんだね?」
「うん。モッチーとずっと恋人でいたい。御免ね。こんなわがままなこと言って」
と言って、私は正望とキスをした。正望はそのまま私を抱きしめ、押し倒す。
「ね・・・せめて後部座席に行こう」
「あ、うん」
 
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私達はそこで深く愛し合った。彼はちゃんとアレを準備してくれてたけど、私は付けなくてもいいよと言った。初めの1回だけは私も彼もドキドキだった。でも、すぐに愛おしさが全てを包み込んだ。彼のを見た時「わぁ大きい」と思ったし、ちゃんと出来るかなって少し不安があったけど、私は凄く濡れてたし、スムーズに受け入れることができた。彼が到達するのをきれいに感じ取れる。その瞬間、なんだか凄く嬉しくなった。今自分は本当の女になったんだって気がした。
 
そして私達は何度も何度も愛し合った。彼の足の毛が私の足にすれて痛い。男の子と愛し合うって、こんな感じなのかと、私は新鮮な発見をした気分だった。
 
「なんか・・・・」
「どうしたの?」
「フーコとこんなことしたら、心に余裕できちゃった」
「え?」
「僕のこと、ずっと唯一人の男にしておいてくれる?」
「うん」
「じゃ、僕もこのままでいい。ずっと恋人でいよう」
「ありがとう」
 
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この時、正望が「唯一人の恋人」と言っていたら、私は返事を躊躇ってしまったかも知れないが「唯一人の男」と言ったので、私は即答で「うん」と言えた。
 
「でも、もし結婚したいって思ったら、いつでも言ってよ。僕、フーコのためにこれからエンゲージリング買いに行くから」
「えー!?」
「指のサイズ、分からないから、買いに行くのだけ付き合ってくれない?」
「いいよ」
「でも、それ渡すのは、フーコが僕と結婚する気になった時」
「ずっと結婚する気にならないかもよ」
「だったらずっと待つさ」
「ありがとう」
「ううん。フーコの心の中に僕以外の男の子がいないなら、それでいい」
 
「モッチーのお母さんにも、せっかく認めてもらったのになあ」
「母ちゃんには僕が話すよ」
「こんなの分かってくれるかな?」
「分かってくれるまで話すさ」
 
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私達は深いキスをしてから、都心に戻った。彼が少しぼーっとしている感じだったので、帰りの道は私が運転させてもらった。そのまま都内の宝石店に行き、彼は小さなダイヤのプラチナのエンゲージリングを買った。宝石店の人からはさんざん『おめでとうございます』と言われ、取り敢えずその場で1度付けてみた(彼が私の指にはめてくれた)。自分の左手薬指にダイヤのリングが輝いていると、何だか凄く嬉しい気分で、思わず心が転びそうになる。でも・・・・
 
「お金がないから、このサイズのダイヤが今の僕には限界」
「ううん。私、凄く嬉しい」
「じゃ、これ今受け取ってくれる?」
「ごめん。7年後に」
「了解」
そう言って笑うと、正望は指輪をケースごと自分のバッグにしまった。その後、私達は何となくホテルに足が向き、翌朝までずっと一緒に過ごした。その夜も私達はたくさん愛し合った。指輪が凄く嬉しかったから、私は彼にたくさんフェラをしてあげた。
 
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彼がお母さんを説得するのには少し時間がかかったようであった。しかし最終的に、私のわがままを聞いてくれた。電話が掛かってきて、会って話したいというので会ってきた。
 
「私、あなたのCD全部買っちゃった」と言って、お母さんは棚からCDの山を抱えてきた。
「すごーい。『明るい水』からある。もう売ってないはずなのに」
「それはヤフオクで落とした。でも全部聴いたわよ。女の子が歌っているようにしか聞こえない。このCDが3年前なのね」
「はい。学校には学生服着て通ってた頃です」
と私は笑いながら答えた。
 
「このジャケット写真見て、男の子だなんて思う人いないわよ。声は電気的に加工して女の子の声に聞こえるようにした訳じゃないんでしょ?」
「ええ。その手の加工は一切してません」
「でも、ほんとに冬ちゃん、歌がうまいのね。最初からうまいけど、後の方になるほど更にどんどんうまくなってる」
「ありがとうございます」
こんな感想を言うということは、ほんとによく聴き込んだのだろう。
 
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「そうだ!サインとかもらえる?」
「お安い御用です」といって、私はローズ+リリーの最新版『涙のピアス』にローズ+リリーのサイン、ローズクォーツの最新版『夏の日の想い出』にローズクォーツのサインをした。
「自慢しちゃおう。あら?このCDジャケットの写真のピアス?」
「はい、今付けてるピアスですよ」と私は笑って答えた。
「私物なのね」
「ええ、たまたまこの曲にピッタリだったので使いました」
「記念写真、記念写真」
というと、お母さんはデジカメのセルフタイマーで、私と並んでいる所を撮影した。
 
「ね、今日は時間あるの?」
「はい」
「じゃ、一緒に温泉行かない?」
「いいですよ」
私達は一緒に大江戸温泉物語に行った。服を脱ぐ時に視線を感じる。
「いい身体してるわね。ウェストがキュンとくびれてて」
「体型の維持には気をつけてるんで」
「おっぱい大きいし」
「一応Dカップです」
 
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「シリコンとか入れてるの?」
「一時期入れてましたが抜きました。女性ホルモンだけです」
「へー、すごい」
「身長・体重は?」
「身長167cm,体重45kgです。スリーサイズは94-58-90。モデルさんとか身長の高い人が多いから、楽屋にいても、このくらい目立たないけど、本来は女の子としてはわりと背が高い方ですよね。でも、正望さん、身長が180cmあるからヒールのある靴履いて一緒に歩いていても違和感無いです」
「あの子、背が高いもんね。逆に150cmくらいの女の子だと、腕組むのに苦労するかもね」
「確かに」
 
中に入り、簡単に身体を洗ってから、湯船に浸かり、ゆっくりと話をする。しばらく世間話などしていたが、樽風呂に行こうというのでそちらに移動するとお母さんは意外なことを語り始めた。
「実はね・・・私も子供が産めない女なの」
「え?」
「若い頃無茶やっちゃってさ。子供が産めない身体になっちゃったのよ」
「それは・・・」
「正望は、死んだ亭主がよその女に産ませた子でね。私との間に子供ができないことは承知で結婚してくれたんだけど、やはり子供は欲しかったみたいで。私が元々養女だからさ、うちの両親が生きてた頃は、私は両親とも、息子とも血が繋がってないという、とんでもない家庭だったわ」
 
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「血のつながりは関係ないと思います。愛情さえあれば」
「うん。私は私なりに正望を愛情を込めて育てたつもり。その正望が冬ちゃんみたいな子を選ぶって、ほんとに世の中面白いわねえ」
「すみません」
「だから、子供産めないことは気にしないで」
「分かりました」
「でもホントにあなた忙しそうだもんね。今日は私のために時間取ってくれてありがとね」
「いえいえ」
 
「逆に出産年齢とか考えなくてもいいだろうからさ」
「はい」
「そのうち気が向いたら結婚してあげて。あの子は7年後なんて言ってるけど10年後でも20年後でも30年後でもいい。ただ、できたら私が生きてるうちに結婚してくれたら、いいな。同居が困難なら通い婚でもいいし」
「はい」
「でも私は冬ちゃんのこと、もうお嫁さんだと思ってるから、いつでも何かあった時は頼ってね」
「ありがとうございます」
 
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私は深々と頭を下げた。私の目にはちょっと涙が浮かんでいた。
 
時間を少し戻そう。
 
私と政子が初めて自分達の気持ちを確かめあった後の週末の朝、私と政子は一緒に美智子の家を訪問した。早朝からの訪問に美智子は驚いたようであったが、とにかくも私達を中に入れて、私達がまだ朝御飯を食べていないというと、一緒に朝御飯食べながら話そうといって、トーストを焼いてくれた。
 
「珍しいね。ふたりが一緒にここに来たのって、もしかして初めてじゃない?」
「不思議よね。もう3年も付き合ってるのに」
と私達は笑った。
「で、何なのかな?まさか辞めたいとかは言わないでよね」
「まさか」
と私達は言い、そして自分達がはじめてお互いの気持ちを確かめ合ったことをできるだけ素直なことばで、美智子に説明した。
 
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美智子は静かに私達の言葉を聞いていた。
「だから、男の子との付き合いはカムフラージュじゃなくて本気なんです。私の心の中でも、冬の心の中でも、私と冬の間の愛と、それぞれの彼氏との恋が、なぜか両立しちゃうんです。なぜ両立するのかは自分でも分からないけど」
と政子は言った。
 
「ふたりの関係については、私もあなたたちをずっと見てきたから、どういう絆を持っているかは分かっているつもり。むしろふたりがお互いを愛し合っているということを、今までちゃんとした言葉で伝え合ってなかったこと自体が不思議だと思う。ふたりの愛って、ふつうの愛のレベルを超越してるもん」
「超越ですか?」
「そう。だからかえって、ふつうの恋と両立しちゃうのかもね」
と美智子は笑って言った。
 
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「神様を愛するのと、自分の家族を愛するのとが両立するようなもの。愛の次元が違うから、バッティングしないのよ」
「そう言われると、そんな気がしてきました」と政子。
「愛の次元か・・・」と私が言った時、政子がさっとバッグから五線紙とボールペンを取り出して私に渡してくれた。
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