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■夏の日の想い出・2年生の秋(3)

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「そのM君からは今日は何も連絡無かったの?」
「えーっと、Happy Birthdayメールはもらった。実は昨日のお昼に会って、誕生日プレゼントもらった。今日は彼バイトなのよ」
「何もらったの?」
「えーっと・・・・」と私が答えあぐねていると、政子が
「今、冬が耳に付けてるイヤリング」と言ってしまった。
「おお、完璧な恋人フラグ」
 
「ね、どんな人なの?」
「高校の同級生だよ。仁恵とコトは知ってる」と政子。
「私達が知ってる同級生でMというと・・・・彼か!」
「彼、一橋大学だったよね」
「そのあたり、もっと詳しく」
「ちょっと勘弁してぇ」と私はちょっと逃げ出したいモード。
この日はずっとこの問題で私は追求されることとなった。
 
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そろそろ家に入ろうということになり、ミスドを出てマンションに向かう。「そうだ、みんな荷物持つの手伝って」と言う。
「ファンから贈られてきたプレゼントを車に積んでるの」
「わあ、すごい」
 
「ファンからのプレゼントって、今年は凄かったでしょう?」
「うん。去年の10倍くらい来た。でも手作りのものとかは申し訳無いけど全部廃棄させてもらった。デパートとかアマゾンとかからの直送のものとか、確実に未開封であるものだけもらった。それから中身確認してぬいぐるみとか衣類とかは、児童福祉施設に寄付して、食べ物・飲み物だけもらってきた。このあたりの分別作業は慣れている○○プロでやってくれた。アイドルとかも沢山抱えてるから、あそこ。金属探知機や透過装置とかまで持ってるんだよね」
「すごい世界だ」
 
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「おお、それでも結構な量あるね」
「でしょ」
「それで今日は買い出し不要ってことだったのね」
「悔しいけど、私の誕生日の時の3-4倍あるのよ」と政子。
「だって、今回は『夏の日の想い出』のヒットの直後だもん。来年のマーサの誕生日にも、きっとこのくらい来るよ」
「あ、さっきから政子がちょっとご機嫌ななめなのはそのせいか」と礼美。
 
「ま。でも私が手作りケーキ作ってきてあげたから感謝しなさい」と政子。
「おお、すごい」
「あと、お寿司を頼んでたんだ。夕飯用に。17時に取りに行くことにしてる」
「あ、じゃ私取りに行くよ」と礼美。
「レミはここの駐車場の出入りの仕方、知ってたね」
「うん、暗証番号も覚えてるよ」
「じゃ、お願いしようかな」といって車のキーを渡す。
「でも、それなら、その時間までは飲まないようにしなきゃ」と仁恵。
「はーい、自重します」
 
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「ということで、お寿司は私が取りに行くから、冬は安心して今日は飲みなさい」
と、琴絵が持ち込んできたワインをグラスになみなみとつがれた。
「私、マジでお酒飲んだことないのよ、今まで」
「おお、どんな酔い方するか楽しみだなあ」
「あはは。実は明日はEliseさんと飲みに行く約束なのだ」
「じゃ、今日はその予行練習ね。私達の前でならいくら乱れても大丈夫だよ」
「うんうん。今日は自分の限界を知ろうね。冬」
「ひゃー」
 
政子が音頭を取って乾杯する。礼美は自重して今のところオレンジジュースだ。私は生まれてはじめてのアルコールを味わった。
「・・・・・」
「どう?初めてのワインの味は」
「おいしいね。ジュースみたい」
「よし、どんどん行こう。まずはぐいっとそれを飲み干そうか」
「あはは」
 
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ケーキを食べた後、私達は随時ファンから頂いたプレゼントを開封しては、クッキーや和菓子などを頂いた。
「青いテープ貼ってるのが生菓子の類だから、早めに食べちゃおうね」と政子。
 
仁恵がぐいぐいワインをつぐので、私は5杯目を飲んだあたりで少しフラフラしてきた。「ちょっとごめん。トイレ行ってくる」といって中座する。戻ってきてもどうも脳が変な感じだ。
「どう?酔った?」
「よく分からないけど、脳味噌が10cmくらい浮き上がっている感じ」
「ああ、完全に酔ってる」
「それが20cmくらい浮き上がると乱れてきて、30cm浮き上がるとダウンするんだよ」
「そうなのか」
 
「よし、冬今度はウィスキーも行ってみよう」といって、政子がファンからのプレゼントの中にあったバーボン・ウイスキーを開ける。
「お、フォア・ローゼズじゃん」と琴絵。
「たぶん、ローズクォーツに引っかけたんだよ。4人だし」と政子。
「あ、うまいね」
「なんか、それアルコール度数が高そうなんですけど」と私。
「水割りにするんだよ。氷あるよね」
「けっこう作ってたはずだけど」
 
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政子が氷を持ってきて、それで水割りを作ってくれた。
「まま、ぐいっと」
「甘ーい。ウィスキーってこんな味なんだ!」
「よし、どんどん行こう」
隣に座っている仁恵もどんどん勧める。
「でも・・・脳味噌がもう15cmくらい浮いてる感じ」と私。
「あと一息で乱れた冬が見られそうだな」
「冬はきっと脱ぎ出すと思うよ」と礼美。
「あ」
「どうしたの?」
 
「マーサ、五線譜〜♪」
「おっけー」と政子はさっとバッグから五線紙とボールペンを渡してくれる。私はその浮遊感のある脳味噌から突然流れてきたメロディーを大急ぎで譜面に書き始めた。
 
「なんか、ふだんより速くない?書く速度」
「きっとアルコールでブーストしてるんだよ」と私。
 
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普段はたいていメロディが浮かんだあと続けて歌詞も浮かぶのだが、今日はメロディーが先に浮かんだり詩が先に浮かんだりしたし、またメロディーの途中まで書いたところで、急にサビが浮かんで、そこを先に書いたりなど、無茶苦茶な浮かび方をした。ふたつのメロディーが同時に浮かんだりして、私はひとつを書き留める間にもうひとつが頭から消えてしまわないように、脳内の「一時記憶」
と呼んでいる部分にそれを一時的にストアしたりした。
 
私はその曲を5分くらいで書き上げた・・・が・・・
「えーん。歌詞が半分くらいしか浮かばない」
「どれどれ・・・でもこれどういう順序で演奏するのさ?」
私の速筆の譜面を見慣れている政子にも今日の譜面は演奏順序がよく分からないようであった。
「えっとね・・・」といって、私は○数字で順序を指定していく。
 
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「なるほどー。よし。抜けてる所、私が歌詞書いてあげる」
「助かる」
政子は私の譜面を読みながら、楽譜の下にずっと歌詞を入れていった。
「ね、ここ、冬はこう書いてるけど、この流れからいくと、むしろこんな感じの歌詞がよくない?」という。
「あ、そちらの方がいい。そう変えて」
「それから、ここのメロディライン、ここの部分の3度上にしたリピートでしょ」
「うん」
「どうせならそのまま3度上じゃなくてさ、ここのソはミにしちゃった方がかっこよくないかな?」
「ああ、それがいい、それがいい。じゃここも・・・こうしよう」
「あ、いいね」
私は政子と10分くらい、曲のあちこちを検討しては修正していった。
 
その作業を面白そうに見ていた仁恵が言う。
「へー。政子と冬って、政子が歌詞を書いて、冬が曲を書いてるのかと思ってたけど、けっこう詩も曲も共同作業なのね」
「いや、こういう作業の仕方は初めて」と私と政子が同時に言った。
 
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「政子がずっと歌のレッスン受けてて、最近けっこう譜面が読めるようになってきたから、こういうこともできるようになったのかもね」
「うんうん。私、以前は譜面見ただけでは、どういうメロディーかとか、よく分からなかったもん」
 
「あれ?冬、まだ曲のタイトル書いてないよ」
「実はね。。。そのフォア・ローゼズのラベル見てて浮かんだんだ。Roses Patternというか。。。薔薇模様?」
「あ、それなら『花模様』のほうがきれい」
「よし、それで行こう」
 
こうしてできた『花模様』を私はあらためて普通に読めるように書き直して、美智子の家にFAXした。美智子からすぐに電話が掛かってきて「ローズ+リリーのシングルのタイトル曲、これで決まり!」と言われた。
 
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「女子高生のローズ+リリーから、女子大生のローズ+リリーへの進化だね」
などと美智子は言っていた。
「じゃ、将来はママさんのローズ+リリー、おばちゃんのローズ+リリーとかにもなっていくのかな」
「おばあちゃんのローズ+リリーまでやろうね」
「それもいいですね」
 
「でもお酒を飲んで曲が出来るというのは新しいパターンだね」と
私が電話を切ってから、博美。
「杜甫とか白楽天とかはお酒飲むと詩が浮かんだらしいけど」と仁恵。「これを機に冬がそういう子になっちゃったらどうしよう」と政子。
 
17時近くになったので、何とかここまでアルコールを我慢していた礼美がお寿司を取りに行ってきた。
 
「わあ、たくさんあるね」
「だって晩ご飯だもん」
といって、みんな一斉にお寿司をつまむ。20人前頼んでいたのだが、数分で半分は消えた。
「おいしーい」
「ネタが新鮮」
「うん。ここのお寿司なかなかいいのよ」
「予約時間の直前に作ってくれるのよね。だから予約時間より少し前に着くと待たされるの」
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