広告:オトコノコ時代-8-マイウェイムック
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・秘密の呪文(8)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

記者会見の直前に福井県の地方テレビ局である、足羽放送と敦賀テレビが来て一緒に取材させて欲しいというので、許可する。それでこの記者会見はネットだけでなく在来局からテレビ電波でも全国に流れることになった。
 
2人の服装だが、モナは白いワンピース、ルキアはブラックスーツを着ていた。実はルキアのスーツは、香月さんのものである。ルキアが適当な服を持っていなかったので香月さんが貸してくれた。(モナからワンピースなら貸すけどと言われたのを断っていた)
 
「結婚するのにWindFly20を辞めたの?」
「いえ。辞めてから交際を始めて婚約しました」
「1日で結婚を決めたんだ?」
「はい、そうです。だってWindFly20では恋愛禁止だし」
 
↓ ↑ Bottom Top

近くから、鷹野さんが「おお、建前、建前」などと声を出している。当然、それが全国に流れる。
 
「世間では結婚式では2人ともウェディングドレスを着るのでは?と噂されているようだけど」
「ボクはタキシードですよぉ」
「いや、ウェディングドレス着てもいいんだよ、と唆している所です」
「それは楽しみですね」
 
「だけど結婚するまでまだ1年あるんだね」
「ルキアが男の子だから18歳になるまで結婚できないんですよねー。性転換して女の子になれば16歳以上で結婚できるよと言ったんですけど、ちんちん無くしたくないと言うし」
 
「念のため確認するけど、ルキアちゃん、ちんちん付いてるんだよね?」
「ついてますよー」
「タマタマは無いよね?」
「そのあたりは個人情報ということで」
「ふむふむ」
 
↓ ↑ Bottom Top

「モナちゃんはその辺は承知の上で結婚するんだよね」
「まあ女の子同士の夫婦みたいなものですよー」
「なるほどね。お互い承知の上でなら問題無いよね」
 
「でも私が秘密の呪文を唱えると、ひとつになれるんです」
「ほほぉ。その呪文は?」
「秘密の呪文だから秘密です」
 
「まあいいでしょ。一緒に暮らすの?」
「それも高校を卒業するまでは我慢します」
「うん。それがいいだろうね。まだ若いし」
「週末だけ一緒に過ごすつもりです」
「いいんじゃないの?」
 
テレビ記者からいくつか質問があるが、地方のテレビ記者だけあって、あまり意地悪な質問などもなく、記者会見はなごやかな雰囲気で進んだ。
 
「坂出モナさんと弘田ルキアさんでした!お幸せに」
と私が結ぶと、会見場に控えていたスターキッズのメンバーやColdFly5+3のメンバーから拍手が起きていた。
 
↓ ↑ Bottom Top


1月1日の夕食は豪華なディナーを各自の個室にデリバリーしてもらった。お風呂は各個室にも付いているが、大きなお風呂(天然温泉)に入りたい人は予約をしてもらえば旅館・藍小浜のお風呂に入れるようになっている。お風呂は三密回避のため完全予約制である。
 
政子は12/31の夜は、私がまだ東京にいたこともあり、子供たちと一緒に過ごしたのだが。1/1の夜は、子供たちをお母さんに任せて、私の部屋に来た。
 
「今夜は姫始めだよ」
「それって1月2日の夜じゃないの?」
「今夜中に1月2日になるからいいんだよ」
「まあいいけどね」
 

↓ ↑ Bottom Top

それですること(?)もして、私も疲れが溜まっていたので熟睡したのだが、私は夜中に唐突に目が覚めて叫んだ。
 
「マチカ・マチリカ」
「何?何?」
と寝ぼけ気味に政子か訊く。
「魔法の呪文なんだよ」
「へー」
 
私は部屋に置いているバッグから“赤い旋風”(愛用しているボールペンの名前)とレターペーパーを取ってくると(裸では寒いので)ベッドの中に舞い戻り、そのままベッドの中で詩を書き綴った。
 

↓ ↑ Bottom Top

マチカ、マチリカ
 
今日彼女が電話してきて
バイトを首になったって言うの
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
それはほんとに大変だねって、私は言った。
 
今日友だちが電話してきて
USBメモリ落としたって言うの。
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
あまり自分を責めないでねって、私は言った
 
世の中色々大変だけど
辛いことばかりじゃないよ、きっと
悲しみの後には喜びが来るって
アポリネールも言ってるよ
 
今日母親が電話してきて
ばあちゃんが入院したって言うの
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
そちら行けないけどお大事にって、私は言った
 
今日彼氏が電話してきて
彼女できたから別れてって言うの。
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
この浮気者、てめー死んじまえって、私は言った
 
↓ ↑ Bottom Top

辛いよー、寂しいよー、苦しいよー
心が揺れて暴走してる。
ビートの強い音楽掛けて
心を麻痺させないと生きてられない。
ぽっかり空いた心の穴、お願い誰か埋めて満たして
 
呪いの言葉は良くないわ
浮気者と別れたら、まじめな人と出会うかも
悲しみの後には喜びが来るって
アポリネールも言ってるよ
 
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
魔法の言葉を唱えるの
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
きっと眠って起きたら明日(あす)は
何か新しいこと起きる
 
彼女はきっといいバイト見つかるよ
友だちはきっと流出事故は起きないよ
ばあちゃんはきっと大したことないよ
私もきっといい恋できるよ
 
マチカ、マチリカ、マチカ、マチリカ
魔法の言葉を唱えてみよう
悲しみの後には喜びが来るって
アポリネールも言ってるよ
 
↓ ↑ Bottom Top


私は最初↓のような文を書いたのだが、少し思い直して削除し、↑のような結びにした。マリは「性善説すぎる」と言ったが。
 
私をこれまで抱いた回数、土下座したって許さない
この気持ち、どこにぶつければいいの?
メモリー見つかるよ
退院するよ
 

↓ ↑ Bottom Top

「ところでマチカ、マチリカってどういう意味?」
「知らない。唐突に出て来た」
 
「訳の分からない言葉というと、キュピパラ・ペポリカもあったね」
「懐かしいね。あれは更に訳の分からない歌詞になった」
「私あれもう歌えないかも」
「しばらく歌ってなかったしね」
 

↓ ↑ Bottom Top

1月2日の午前中、今回のライブに参加したメンツはまとめてエアバスA318で郷愁飛行場に戻った。これに乗ったのは1以下46名である。定員100人のA318に座席間隔を空けて座った。
 
ローズ+リリー(2) マリ・ケイ
中田家(4) あやめ・大輝・中田晃義・恵美
スターキッズ(8) 近藤・七星・鷹野・酒向・月丘・宮本・香月・山森
ヴァイオリニスト(6) 生方芳雄・荒井路代・桜沢玲美・大野恵美・中森弘恵・坂井絵奈
ColdFly5+3(8) 米本愛心・田倉友利恵・栗原リア・花咲鈴美・木原扇歌・坂出モナ・山里エルカ・弘田ルキア
その他出演者(5) 姫路スピカ、七尾ロマン、恋珠ルビー、羽鳥セシル、常滑舞音
その他出演者(4) 青葉、近藤詩津紅、上野美津穂、シンデレラ日美子
スタッフ(3) 古城風花、近藤妃美貴、川井唯
マネージャー(3) 鱒渕水帆、白石絵菜、竜木梨沙
レコード会社(3) 八雲真友子、秩父光恵、寺尾友紀
 
↓ ↑ Bottom Top

セシルと舞音がフライトアテンダントのコスプレをして飲み物を配っていたが、それを見てロマンとルビーも「私たちもします!」と言って、予備のフライトアテンダント衣装を着て参加していた。花咲鈴美・木原扇歌も手伝おうとしたが、「もうフライトアテンダントの衣装が無いので」と言って!?、「気持ちだけもらっておきますね」とセシルが言っていた。それにColdFly5は一応“お客様”であり、“内輪”の舞音たちとは違う。
 
でもルキアには(スカートタイプ)のフライトアテンダント衣装を着せていた!
 
なお、アクアたちは来た時と同様、彼らだけでホンダジェット(Red)で移動している。
 
アクアF・アクアM・葉月F・葉月M・千里
 
彼らは予定が詰まっているので、郷愁で更にヘリコプターに乗り継いで、新木場の東京ヘリポートまで飛んで、すぐ仕事に入ったようである。
 
↓ ↑ Bottom Top

葉月が何か物凄く悩んでいた。どうも千里に何か言われたようだが、何を言われたのかについては、3月まで千里も葉月もアクアも話してくれなかった。
 
なお、あけぼのテレビのスタッフ、音響技術者などはこのA318を再度小浜に飛ばし、第2便で東京に戻した(機材などの荷物も結構大きいので、行く時もA318で運んでいる)。
 

↓ ↑ Bottom Top

ところで男子高生になるか女子高生になるか悩んでいた、男子(?)信濃町ガールズの上田信貴だが、彼(彼女?)が、母親・川崎ゆりこと3人で話し合って決めた進学先は葛飾区内のL高校である。
 
私立で、進学校でもないし、必要出席日数が少なめなので、芸能活動が忙しくなっても、何とかなりそうである。
 
それよりここは制服が無い! 実際には標準服があるので、多くの生徒がそれを着ているが、あくまで標準服にすぎず、制服ではないので何を着るのも自由である。だから彼(彼女?)が男子の標準服を着ても、女子の標準服を着ても、全く自由である。
 
念のため、ゆりこが学校側に打診した所、性別について悩んでいるのなら、男女どちらの標準服を着てもいいですよと確認してもらった。入るのであれば、それなりの準備もしたいと言われたので、12月中に保護者・ゆりこも付いていき、高校で事前面接をした。信貴は母親に勧められて(唆されて)セーラー服で面接を受けた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「あんたセーラー服着こなしてるね」
「というか、セーラー服持ってたのか」
などと両親からは言われていた。彼(彼女?)のセーラー服姿は男子寮の中ではよく見るのだが、実際にはそれでは学校には行っていなかったようである。
 
面接の結果、明るい性格でもあり、内々定ということにしてもらった。一応推薦入学扱いにすることになり、現在通学している中学に依頼して、校長先生の推薦文を書いてもらった。
 
一応高校側から面接の際に言われたのでは、トイレは(女学生的な服装をしている限り)女子トイレを使用してよいこと、体育の時の着換えは個室の更衣室を準備すること、身体測定は個別に測定してくれるということだった。
 
それでここに進学して、取り敢えず性別の確定を高校卒業まで3年間モラトリウムすることになったのである。
 
↓ ↑ Bottom Top


もっとも彼(彼女?)は既に男には戻れない状態にある気がする。睾丸はどう考えても無いし、ペニスもあるかどうか、かなり怪しい。ヴァギナまであるかは微妙だが。バストはAカップくらいあるように見える(偽装の可能性もあるにはあるが)。
 
だいたい信貴は、弟(妹?)には自分のことを「お姉ちゃん」と呼ばせているし。
 
ゆりこは、春から彼(彼女?)に
「女子寮に移動しなよ。妹さんも一緒でいいよ」
と勧誘している。女子寮への移動は花ちゃんやありさたちも容認している。
 
「L高校に行くなら通学にも便利だしさ」
とゆりこは言った。
 
実は女子寮最寄りの五反野駅からL高校の最寄り駅までは電車で30分ほどで行ける。車で運んでもらえば15分である。これに対して男子寮からだと、電車では1時間半、車でも40分かかる。
 
↓ ↑ Bottom Top

それを指摘された時、上田信貴は
「しまったぁ!」
と叫んだ。
 
どうも、ゆりこの計画的犯行だった気がする。
 

↓ ↑ Bottom Top

むろん事務所では彼(彼女?)が、男子寮から“女子標準服を着て”葛飾区のL高校に通学したいと言えば、ちゃんと車で送迎する。女子標準服で男子寮内に居るのも問題無い(今更だし)。
 
結局、彼(彼女?)が女子寮に移動するのかどうかは、4月までに本人が決めるということになっている。
 
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 
夏の日の想い出・秘密の呪文(8)

広告:オトコの娘コミックアンソロジー-奈落編-ミリオンコミックス-OTONYAN-SERIES9