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■夏の日の想い出・龍たちの伝説(12)

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巷ではロシアが近いうちに全国民にロシア国内で開発されたワクチン "Sputnik-V"の接種を始めるらしいという情報が流れていた。
 
政子は私に訊いた。
 
「なんかコロナのワクチンが色々開発中だけど、最近のワクチンってウィルスを弱体化して作るわけじゃないのね?」
「そういうワクチンを中国の企業が作ってる。でも日米欧で開発しているのは違うタイプだね」
 
「なんかベクターとかDNAとかVNAとか聞くけど」
「VNAってのは無い。m-RNA(メッセンジャーRNA)はあるけど」
「それどう違う訳?」
 
「基本的にワクチンというのはコロナウィルスの情報を体内の免疫システムに教えてあげることで効果を発揮する。そこでベクターというのは無関係のウィルスにコロナウィルスの情報を組み込んで、体内に入れるということをする。その運び手となるウィルスのことをベクター(媒介物)と言うんだよ」
 
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「へー」
 
「イギリスのアストラゼネカのはチンパンジーの風邪ウイルスをベクターにしてコロナウィルスの情報を運ぼうとしている。ロシアが全国民に接種すると言っているスプートニクVも同様の風邪ウィルスを使用したベクター方式」
 
「それ人間には無害なの?」
「無害なんじゃないかなあ、多分。ただ、このベクター方式には大きな欠点があってさ」
「うん」
 
「ベクターが体内に入ることによって、そのベクターウィルス自体に対する免疫ができてしまう。だから2度目の接種ではベクター自体が免疫システムにより拒否されるから、2度目の接種が上手くいかない」
 
「つまり1回しか接種できないんだ?」
「できないというより効果が無い。それをどうするかがこのワクチンの課題なんだよ」
 
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「DNAとかCNAってのは?」
 
「日本のアンジェスがやっているのがDNA型。これは免疫を作る抗原タンパク質そのもののDNAを体内に入れるというやり方。するとこれがm-RNA(メッセンジャーRNA)に転写されて、抗原タンパク質を更に作ることで免疫が強化される」
 
「メッセンジャーってお使い?」
「そうそう。DNAに入っている遺伝情報をコピーして、新たなタンパク質が作られる。まあ生物の細胞の中の郵便屋さんだね」
 
「おもしろーい」
 
「ファイザーとかがやっているのは、DNAではなく、抗原の情報を持つ m-RNAそのものを体内に注入するというもの。実はDNAタイプのワクチンは、そこからちゃんとm-RNAが作られない可能性もあるんだよ。m-RNAを直接入れればその心配が無いから、こちらが確実」
 
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「手配書を持った郵便屋さんを大量投入するわけか」
「そうそう。DNA型はいわば役場に掲示するだけだから、それを各自の体内で自前で郵便屋さんを手配して配布する必要がある」
 
「だったらDNAとか面倒なことせずにm-RNAで行けばいいのに」
「m-RNAって凄くもろいからね。安定した状態で量産するのが難しい」
「ああ」
「DNA型はわりと簡単に量産できる。だからアンジェスはDNA型を選択したらしいよ」
「色々難しい」
 

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政子はしばらく考えていたが
「こんなの思いついた」
と言う。
 
「あのね、あのね。ワクチンのDNAさんが手配書のお手紙書いたの。それでm-RNAさんに頼んでお手紙出したんだけど」
 
「白血球さんが読まずに食べたの?」
 
「どうして分かるの!?」
 
「それでワクチンさんにお手紙書いて『さっきの手配書の情報もう一度教えて』って訊くんでしょう?」
 
「冬、勘が良すぎるよ」
「そう?」
 

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私は再度千里2と話し合った。
 
「龍虎と西湖の分裂連動の問題でさ。龍虎Nがいなくなると西湖が2人になるんでしょ?」
「今の所そうだね」
 
「ということは龍虎Nのエネルギーが西湖のもうひとりのエネルギーに変換されている訳?」
 
「なぜそうなったかは分からないけど、どうもそうみたい」
と千里もその付近は不確かなようである。
 
「それって西湖Fになってる訳?西湖Mになってる訳?」
 
「最初は龍虎Nのエネルギーが西湖Mを生成するエネルギーに使用されたのだと思う。だから西湖は当時、諸事情で女の子に変えていたのだけど、そこに男の子の西湖が出現したし、その西湖は男の子だけど勃起能力が無かった。その後、彼の睾丸は少しずつ機能回復しつつあるみたいではあるけど。それに西湖は1人になる時にFが残る方が多い。でもMが残ることもある。そこが実は私にもよく分からない」
 
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「じゃ西湖はFの方が本体なんだ?」
 
「一時期そう思ったこともある。実際、龍虎が怪我した時に、西湖Mにも同じ傷ができたことがあるんだよ。西湖Fには傷ができてなかった」
「へー」
 
「でも人格的には元々の西湖の人格は西湖Mの方に引き継がれている気がする。西湖Fは実は龍虎Fの性格をわりと引き継いでいる。本来の西湖よりおとなだし行動が積極的」
 
「へー!」
 
「だから私もそのあたりのメカニズムがよく分からないんだよね」
 

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「でも2人に別れていたのが統合されるというので、私は『ゲド戦記』を思い出しちゃったよ」
と私は言う。
 
「多分それと似たようなことが起きようとしているんだろうね」
と千里。
 
「あれ?」
「ん?」
 
「もしかして、千里も11月か12月までに1人になっちゃうの?」
 
「多分ね。1人になると、フランス・アメリカ・日本の3国で活動するのはさすがに無理だから、アメリカからは卒業させてもらおうかと思っている。どうせ今年はアメリカに行けなかったし」
 
「1人しか居ないと、忙しくてたまらないということは?」
「その時は冬に2人に分裂してもらおうかな」
「え〜〜〜〜!?」
「冬が2人いれば、1人が正望君と結婚して、1人がマリちゃんと結婚すればいい」
「うむむ」
 
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「青葉も忙しすぎるから分裂させたいんだけど。1人を高岡に、1人を東京に置いといたら便利だし」
「それ単にこちらの便利さだけで言ってない?」
 
「だけど青葉も今のままでは1人では身が持たないよ」
「それは言えるけど、そんなにあちこちで分裂したら、まるで伝染してるみたい」
「伝染性分身病かな。Infective Cloning Syndrome」
「まるで本当にありそうな用語だ」
 

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10月から多くのテレビ局で新番組が始まったが、その中で某局で始まった『キャサリンの事件ファイル』という山村美紗のキャサリンシリーズをベースにした探偵ドラマで、キャサリン役を榊森メミカが演じるというので話題になっていた。彼女は身長176cmと高身長で、原作ではアメリカ人女性ということになっているキャサリン(ドラマでは日系アメリカ人の設定)を演じるにはわりと適役である。彼女はここ数年テレビの画面からは遠ざかっていて、引退説も出ていたのだが、久しぶりのスクリーン登場で、元々持っていた演技力を遺憾なく発揮している。
 
その初回放送を録画で見て、龍虎は“あの時”のことを思い起こしていた。この日は西湖たち2人も龍虎のマンションに来ていて4人でドラマを見ていた。
 
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「『ねらわれた学園』の時、あれは本当にびっくりしましたね」
「うん。彼女の“声変わり”のおかげでボクが高見沢みちる役をすることになっちゃったし」
と龍虎は言う。
 
榊森メミカは、実は男の娘であることを隠していたのだが、『ねらわれた学園』の高見沢みちる役にアサインされていたのが、撮影開始直前に声変わりが来て女声が出なくなってしまい、急遽降板して、アクアが関耕児と高見沢みちるという対立する男女二役をすることになってしまったのである。
 
「でも女声が復活したんですね」
「だいぶ練習したんだろうなぁ」
 
「結局、龍さんはもう声変わりしないんですか?」
と西湖は尋ねた。
 
「僕のちんちんもタマタマもだいぶ大きくなってきているし、たぶん来年くらいまでには声変わりするんじゃないかと思うんだけとね」」
 
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「もったいないなあ。凄く可愛い声が出てるのに。去勢しないんですか?」
「せいちゃんまでそんなこと言うし」
と龍虎M。
 
「せいちゃんは声変わりはどうなってんだっけ?」
「一度声変わりしてたんですけどね」
「確かに中1の頃は男の子の声で話してたよね」
 
「でも女声の練習している内にもう男の子の声の方が出なくなっちゃって」
「せいちゃん、以前は喉仏があった気がするのに、今は無いよね」
「あれは実は手術して取ったんですよ」
「そうだったんだ!」
 
「せいちゃんが手術して喉仏取ったんだもん。Mも手術して睾丸取ろうよ」
などと龍虎Fが言っている。
 
「なんでそういう理屈になるのか分からん」
 
「じゃせいちゃんは声が男になっちゃうことは無いんだ?」
「一度変声済みですからね」
と西湖Mは言っていた。
 
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4人で一緒に遅い晩御飯を食べた後、和城理紗を呼び、2人の西湖を用賀のマンションまで送ってもらった。
 
これが10月31日の夜(正確には既に11月1日になっていた)のことであった。
 
そして一夜明けて11月1日の朝。西湖の家ではFが先に起きて朝御飯を作っていた所にMが起きてくる。
 
「ごめーん。寝過ごした。僕も手伝うね」
とMが言ったのだが、Fがギョッとした顔をしている。
 
「Mちゃん、その声どうしたのよ?」
「あれ?僕の声、変だ」
「まるで男みたいな声」
「どうしたんだろう」
「もしかして声変わりしたとか」
 
「まさか。だって声変わりって一度小学5年生の時にしてるのに」
 
「こうちゃんさんを呼ぼうよ」
「そうしようか」
 
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それで西湖たちの呼びかけで《こうちゃんさん》がやってくる。
 
「ああ、これは声変わりだな」
「だって僕一度小学生の時に声変わりしてますよ」
「そうか?この喉の構造は今声変わりが始まったばかりという感じだぞ。一度声変わりしてても、何かの原因で声戻りしたのかもな。そもそもお前、男の声なんて出てなかったじゃないか」
 
「そういえばそうなんですけど」
「めでたく男としての第1歩を踏み出したんだな」
「でもこれ困る。これではお仕事ができない」
「ああ、確かにそうかもしれん。お前、女の子アクアの代役だし」
「声変わりキャンセルできませんかね?」
「できるけど、睾丸が付いてればまたすぐ声変わりするぞ」
と《こうちゃんさん》は言った。
 
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睾丸・・・でもこの声は困る。アクアさんの代役ができない。
 
「睾丸取ったらキャンセルできますか?」
と西湖Mは訊いた。
 
「できるけど、取っていいのか?」
「仕方ないです。アクアさんの代役ができなくなるのは困ります」
「全くお前はアクア依存症だな」
と《こうちゃんさん》は呆れたように言う。
 
「Mちゃん、睾丸取ったら和紗さんとセックスできなくなるよ」
とFが注意する。
 
「僕のおちんちん最初から立たないし」
「ああ、だったら睾丸があってもなくても関係無いかもな」
と言ってから《こうちゃんさん》は言った。
 
「だったら今夜お前を去勢する。これやるから最後の精液をこれに採取しておけ」
と言って、《こうちゃんさん》は西湖Mにゴム製チューブ付きのプラスチック容器を渡した。
 
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「今日はMは仕事休め。どっちみちこの声では仕事できないし。1日休んでろ。疲れていたら手術するのにもよくないしな。映画の撮影にはFだけで行け」
 
「でも精液取ろうにも、おちんちん立たないけど」
「立たないなら立たないなりに射精の方法はあるもんさ。まあ頑張れ。そうだ。これやる」
 
「これ何?」
「知らんのか。テンガと言って、物凄く気持ち良くなる道具だ。これならきっと射精できるぞ」
 
それで《こうちゃんさん》は帰っていった。
 

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「私も協力してあげるから頑張ってみなよ」
とFが言う。
 
「うん」
 
それで西湖Mは取り敢えず下半身の服を脱ぎ、タックを解除する。そしたらFがそれを握った。
 
「ちょっとぉ」
「私にされる方がきっと気持ち良くなれるよ」
 
それでFがしてくれたら、大きくはなった。
 
「凄い。大きくなったの久しぶりに見た」
「そのまま逝けない?」
 
Mはしばらくしていたものの、うまく行かない。
 
「ダメみたい」
「テンガ使ってみよう」
「うん」
 
それでテンガでやってみる。かなり気持ちいい。こんな感覚を感じるのは初めてのような気がした。かなり気分的にも昂揚したのだが、どうしても射精までは辿り着けなかった。
 
「僕何とか頑張ってみるよ。Fちゃんは仕事行って」
「分かった。あまりコンを詰めないでね」
 
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それでFは『恋はダイヤモンド』の撮影に出かけていった。
 
西湖Mは、休憩を取りながらいろいろなやり方で何とか射精しないか試みたもののどうしてもそこまで行かなかった。
 
疲れて眠ってしまっていたようだが、夜遅くFが帰宅する。
 
「あ、お帰り。お疲れ様」
「どうだった?」
「できなかった」
「まあ仕方ないね。でも精液は中学の時に保存したものもあるし、いいことにする?」
「それ僕も思ってた」
 
その時、Fは急に思い出した。
 
「ね、ね、こないだ丸山アイさんからもらったAOMっての試してみない?」
とFは言った。
 
「ああ。自動オナニーマシンとかいう奴?」
「そうそう」
「試してみる価値はあるかもね」
 
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それで西湖MはAOM(M)と書かれている箱を持って来て中の機械を取り出す。
 
「ちんちんを穴に入れるって言ってたよ」
「これちんちんだけ入れるには大きすぎると思うけど」
「袋まで入りそう」
「そこまで入れるのかなあ」
 
西湖Mが精子採取容器をペニスに装着した上で男性器の全体を穴の中に入れ、Set というボタンを押すと、穴の周囲のプラスチックのフレームが寄ってきて、しっかり男性器を機械に固定した。
 
「スタートは黄色いボタンと赤いボタンを同時に押すって書いてある」
 
「あれ?これ1人では押せないよ」
 
微妙な位置に2つのボタンがあり、両手を使っても両方同時に押すのは困難である。
 

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「だったらFちゃん、赤を押してくれない?僕が黄色を押す」
「OK」
 
ここで西湖たちは“オナニー”用の機械なのにボタンが1人で押せないということに疑問を持つべきであった。
 
「せーの」
で2人は同時にボタンを押した。
 
「どう?」
「凄く気持ちいい」
「良かったね」
「これなら逝けるかも」
 
西湖は生まれて初めてという感じの物凄い快感に酔いしれていた。ああ、こんな気持ちよくなれるのなら、男の子ってのも悪くないなあ、などと思う。そして・・・
 
「あ、逝った」
「おめでとう」
 
液が身体の中から流れ出していく。西湖は快感の余韻に浸っていた。
 
ところがそろそろ液で出尽くしたかなと思った次の瞬間。
 
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西湖は激痛を感じて「ぎゃっ」と声を挙げて気絶した。
 

ちょうどその時、龍虎のマンションでは、龍虎Mが突然股間に激痛を感じてソファから転がり落ちていた。
 
 
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夏の日の想い出・龍たちの伝説(12)

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