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■夏の日の想い出・龍たちの伝説(4)

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ラピスラズリが退場した後、緞帳は静かに上がる。
 
ステージ上に6人のアクアが並んでいるので騒然とする。前方に2mくらいずつ空けて3人、後方、少し高い段になっている所に3人、間隔を空けて並ぶ。
 
現在接続回線数は700万回線近くまで到達している。在来テレビの視聴率に換算すると14%くらいに相当する物凄い視聴率である。万一それを越えると配信のフレームレートを落とさざるをえなくなる。(ネットテレビでは過去にabema TVが1400万回線という数字を出したことがあるらしい)
 
後方の3人はドレス姿だが、ドレスの色は赤・黄・青の3色である。前方の3人はピンク・ホワイト・アクアの3色のパンツスーツを着ている。カメラが1人1人にズームするので、スーツの前合せは男性用の右前であることが分かる。そして後方のドレスを着た3人のアクアは全員ヴァイオリンを持っている。
 
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後方の3人のアクアが頷き合い、最初に赤いドレスのアクアが、ミーレードーシー・ラーソーラーシー (キーはD-majorなので実音は2度上)とヴァイオリンで『パッヘルベルのカノン』の冒頭を弾き始める。そこまで2小節演奏したところで黄色いドレスのアクアが、やはりミーレードーシーと演奏し始める。また2小節ずらして青いドレスのアクアが演奏し始める。そして2小節行った所でピンクのスーツのアクアが歌い始める。2小節行くとホワイトのスーツのアクアが歌い始め、更に2小節ずらしてアクア色のスーツのアクアが歌い始める。
 
2年前のミニアルバムに収録した『6人のカノン』である。
 
3つのヴァイオリンと3人の歌唱が美しい世界を紡ぎ出す。
 
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観客は声を出すのも忘れて静かにその演奏に聴き惚れていた。
 

演奏が終わると物凄い歓声と拍手が起きた。
 
6人のアクアがお辞儀をする。
 
後方に立っていたドレス姿のアクアの内のひとり、青いドレスのアクアが、ステージ先端までヴァイオリンを持ったまま出てくると、顔の端に手を掛け、“フェイスマスク”を剥ぎ取る。
 
すると、それが佐藤ゆかであったことが分かり、会場はどよめきに包まれる。
 
「ゆかちゃーん!」
などという声も掛かるので、ゆかが会場のモニター群に向かって手を振る。
 
そしてゆかは退場する。
 
これで6人のアクアというのは、本物のアクア1人とフェイスマスクを着けて偽装している5人だったのだろうというのを、観覧している人たちは想像した。
 
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5人のアクアが残る。後方に残っている2人のドレス姿のアクアが前方に出てきて、5人並ぶ。
 
ピンクスーツ、赤いドレス、ホワイトスーツ、黄色いドレス、アクアスーツ
 
という5人である。間隔は各々2mほど空けているのでステージ上で横に広く広がっている。
 
『5足の靴』を歌う。5人のアクアが履いている靴も各々のドレス・スーツと同じ色である。ただしドレス姿のアクアはパンプス、スーツ姿のアクアはローファーを履いている。
 
これのオリジナルは、アクア、桜野みちる、品川ありさ、高崎ひろか、川崎ゆりこの5人で歌ったものである。
 
演奏が終わると、今度は黄色いドレスのアクアがステージ先端に出て来て、顔の端に手を掛け、フェイスマスクを剥ぎ取る。するとそれが大崎志乃舞であったことが分かる。
 
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「しのぶちゃーん」
という歓声が掛かるので、彼女は客席に向かって手を振り、床に置いていたヴァイオリンを持って退場した。
 
これで残るは4人である。
 

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『四季の歌』を歌う。
 
最初、アクアスーツのアクアが前に出て、他の3人が後方に並び、歌自体は4人の2部唱(3度唱)で、1番・春を歌う。間奏の間にポジションを変え、ピンクスーツのアクアが前に出て2番・夏を歌う。更にポジションを変えて、黄色いドレスのアクアが前に出て3番・秋、そして最後にホワイトスーツのアクアが前に出て4番・冬を歌った。
 
歌い終わると最後に前面で歌っていたホワイトスーツのアクアが観客に向かって一礼すると、顔の端に手を掛け、フェイスマスクを剥がす。
 
するとそれが今井葉月であったことが分かる。
 
「はづきちゃーん」
という歓声が掛かるので、彼は客席に向かって手を振り、退場した。
 
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これで残るは3人、赤いドレス、ピンクスーツ、アクアスーツのアクアである。
 

『三毛猫のワルツ』を演奏する。
 
観客の手拍子が、タンタッタッ、タンタッタッ、というワルツの手拍子に変わる。
 
この曲のオリジナルはアクア、今井葉月、桜木ワルツの3人で歌ったものである。但し今回は既に葉月は退場している。観客たちは残り3人のうち2人の代役さんは誰だろう?と想像しながら聴いていた。
 
ところが歌い終わったところでステージ上にスモークが流れ込んでくる。
 
一瞬視界が消失するが、やがて扇風機が回されてスモークが晴れると、そこにはアクアスーツのアクアと、巨大な黄色い龍だけがいる。赤いドレスとピンクスーツのアクアは見当たらない。
 
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アクアスーツのアクアが空中浮揚し、龍の頭部の高さになる。
 
『龍と子供』を歌う。PPM (Peter Paul & Mary)の "Puff, the Magic Dragon"のカバーである。但し、オリジナルは西洋のドラゴンだが、今ステージ上に出現しているのは東洋の龍である。
 
カメラが映すアクアが涙ぐんで歌っているのが分かる。
 
観客は声を出せずに、ほとんどの人が静かに曲を聴いていた。
 

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歌が終わる。
 
空中浮揚していたアクアスーツのアクアがゆっくりと床の高さまで降りていく。
 
すると龍は一瞬にして白いドレスのアクアに変化する。
 
この白いドレスというのは後半のステージには登場していない。後半のドレスを着ていたアクアは、赤・黄・青であった。この白いドレスは前半のステージでアクアが着ていたものである。
 
そして白いドレスのアクアと、アクアスーツのアクアがハグする。
 
そして2人は横に並んで立つが、ふたりの距離が縮んでいくと、合体?して、1人のアクアになった。
 
(後に発売されたDVDでコマ送りして見ると、ふたりの身体が重なっていっているのが確認できるので、恐らくペッパーズ・ゴースト(**)だろうと言われた。龍の出現も同じ方法を使っっているのだろうと多くの人が想像した)
 
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(**)ハーフミラーを使用して虚像と実像を重ねて見せる手法で、東京ディズニーランドのホーンテッド・マンションで使用されているほか、Perfumeのライブで、空中で歌うPerfumeなどを出現させるのに使われたこともある。
 

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残っているのはアクアスーツのアクアのみである。
 
いつの間にかステージの奥にグランドピアノがおかれており、そこに白いドレスの葉月が入ってきて座り、伴奏を弾き始める。
 
(再放送の際に、スモークが晴れて龍が出現した時、既に置かれていたことを多くの視聴者が確認した)
 
アクアスーツのアクアが 『1人のアクア』を歌い始める。
 
オリジナル版でも、アクアはこの曲を葉月のピアノ伴奏で歌っていた。
 

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静かに終曲。
 
割れるような拍手がある。
 
アクアが深くお辞儀をする。伴奏していた葉月も立ち上がり、お辞儀をする。
 

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葉月が退場してアクアが1人ステージに残る。
 
「以上、2018年のミニアルバム『6人のアクア』の曲を全曲聴いて頂きました」
とアクアは語る。
 
そしてアクアが突然
「告白します」
と言うので、とうとう性転換のカムアウトか?と視聴者は緊張する。
 
「実はボクって7人居るんです」
とアクア。
 
「日曜アクア、月曜アクア、火曜アクア、水曜アクア、木曜アクア、金曜アクア、土曜アクアの7人で、実は『6人のカノン』を演奏したのが、月曜から土曜までの6人です」
 
とアクアが言うと観客は大爆笑となった。
 
「それで普段は毎日その曜日担当のアクアがお仕事に行っているんですけどね。今日は総出演になりました。ちなみに前半のステージで歌ったのは白いドレスを着ていた日曜アクアです。日曜アクアは女の子なのでドレスを着ていました。彼女は実は北里ナナの変装ではないかという説もあります」
 
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観客はまた笑っている。
 
「ボクは本当は土曜アクアなんですけど、1人で2時間歌うのはきついから後半代わってと日曜アクアから言われて、ボクが出て来ました。ちなみにボクは男の子なので、こういう男物の衣装を着ています。この後、まだ25分ほどボクのステージにお付き合いください」
 
アクアがMCをしている間に後方ではエレメントガードが機材を設置していた。それで準備ができたところで、アクアは彼女たちの伴奏にあわせて、『気球に乗って5日間』の挿入歌『風まかせ』、『ヒカルの碁2』の主題歌『361歩の迷宮(ラビリンス)』と歌い、昨年のアルバムから『Motorbike built for two』、春のアルバムから『頑張るリーアウ』、そして人気曲『ナースのパワー』と歌う。
 
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ここで『風まかせ』では、アクアが気球の操縦の練習をしている映像、『361歩の迷路』では小浜の碁盤公園の映像の上に重ねて碁石が打たれていく様子が背景に流れた。
 
更に『Motorbike built for two』は本当に“2人乗りバイク”をステージに持ち込み、葉月と2人で並んで乗って歌った。また『頑張るリーアウ』には、ステージ上に、大きな白い虎、大きな黒い亀、赤い巨大な怪鳥、そして青い龍が代わる代わる登場した。『ナースのパワー』ではナース衣装の信濃町ガールズがバックで踊った。
 
15:50になった所で、川崎ゆりこが「ここで本割は終了ですが、残り10分間はアンコール代わりのサービスステージです」と宣言。アクアは『エメラルドの太陽』、『旅人の休息』を歌ってステージを終えた。
 
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『旅人の休息』は葉月のピアノ伴奏のみで、静かに歌い上げた。
 
最後の音が減衰して行き、アクアと立ち上がった葉月が深くお辞儀をした所で16:00となり、この日のライブおよび番組は終了した。
 

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あけぼのテレビの接続回線は、ステージに龍が出現した所で698万9000回線ほどに到達し、則竹さんは万一700万を超えたら即フレームレート落としというのでスタンバイしていたものの、そのボタンを押さずに済んで、ホッとしていた。瞬間最高接続回線数は699万5000回線ほどで、則竹さんはマウスに手を掛け、緊張してモニターを見ていた。
 
★★チャンネルの方は最初あけぼのテレビと同じ29.97Hz (30000/1001)で配信していたもののすぐダウンしたので23.976Hz (劇場映画のフレームレート)に落としたが、何とかそのレートで最後まで持ちこたえたので、あまり苦情は出なかった。
 
単純計算では29.97Hz で100万回線に配信できるなら、23.976Hz (= 29.97×0.8)なら100万÷0.8=125万回線まで配信できる。実際には124万7000回線くらいまで行き、★★チャンネルの技術者はヒヤヒヤであった。
 
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17:00-19:00, 20:00-22:00 23:00-25:00 の再配信はさすがにここまでは行かず、あけぼのテレビはだいたい500万回線前後、★★チャンネルも80万回線前後で推移した。しかし結局本放送と3回の再放送を全部見た人が両者合計で200万人くらい居たようである。
 
タイムシフトで見る人も多く、あけぼのTV・★★チャンネルともに1ヶ月間、接続数が普段よりかなり高めで推移した。
 

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「しかし今日は結局、性転換して女の子になったことは公表しなかったんだね」
「それやっていたら、あけぼのテレビも★★チャンネルもダウンしてたろうな」
 
などと、ある場所とある場所では会話が交わされた。
 

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なおステージ前半の女装?についてアクアは
「演出上のもので、“女の子アクア”に扮しただけです。ボクは男の子ですよ」
とコメントしたが
 
「絶対嘘だ!あれが本来の姿では?」
と他局の番組などでも、またネットでも言われた。
 

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「結局、アクアの代理をしていた残り2人は誰だったんだろう?」
というのがネットでは話題になる。
 
「幕間にも出て来た、白鳥リズムと姫路スピカじゃないの?」
「うん。その2人は過去にアクアのボディダブルとかリハーサル歌手も務めているし、あれだけのために出て来たというのもおかしいもん。2人とも忙しいのに」
 
「身長もアクアとあまり変わらないよね」
 
「ラピスラズリのほうは?」
「時間的に着替えが間にあわなかったと思う」
 
「信濃町ガールズの誰かを使ったとかは?」
「今年のビデオガールコンテストの上位入賞者を使った可能性はあるよね」
 

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今回のネットライブは再放送で見た人も含めると1000万契約数に到達し、特別視聴料収入は135億円である。しかしトリプルスターに追加回線使用料を120億円支払ったので粗利は15億円に留まる。
 
しかし私とコスモスは
「巨額赤字が出なくて助かったぁ」
と安堵したのであった。視聴者がもし半分の500万人しか出なかったら50億円ほどの赤字が出ていた所であった。しかしもし500万回線までしか借りていなかったら配信サーバーがダウンして非難轟轟だっただろう。
 
そのどちらが起きても、私とコスモスは経営責任を問われていた。
 
本当に巨大な博打である。
 

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私とコスモスは事前のアンケートなどを元に、千里と丸山アイにも意見を聞いて700万回線という数字を決めたが、ギリギリで的中した。本当に今回は運が良かった。
 
「でもこれ、野外イベントの10倍規模の売上と費用だね」
「うん。恐ろしい。コケたら即倒産コースだった」
 
などと私とコスモスは言い合った。
 
「私なんか翌日東京湾に死体が浮かんでいるかも」
「死に逃げは許さん」
「やはり一生奴隷奉公だろうか」
「私はAV女優転身かなぁ」
などと川崎ゆりこ。
 
「アクアが声変わりした時が怖いよ、やはり」
「やはりあの子、拉致して有無を言わさず、玉抜いちゃおうよ」
「マジでそれ考えたくなる」
「一応長野支香さんにも、田代さん夫妻にも承諾は取ってる」
「そうなんだ!」
 
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今回のアクアのライブ録画は9月下旬にDVD, Blurayでも発売される予定である(無論ダウンロードでも購入可能)。
 
§§ミュージックでは今後も下記の日程で所属アーティストのライブを実施することを発表した。
 
2020.10.25(日) 品川ありさライブ from 織姫
2020.11.23(月祝) 高崎ひろかライブ from 牽牛
2020.12.06(日) 姫路スピカライブ from 小浜
2021.01.24(日) ラピスラズリライブ from 火牛
2021.02.14(日) 白鳥リズムライブ from 織姫
2021.03.14(日) 西宮ネオンライブ from 牽牛
 

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アクアのネットライブの成功を見て、∞∞プロの鈴木社長が私に電話してきて
 
「ケイちゃんさ、うちのアーティストのライブもそちらでさせてくれない?」
 
と言った。私は空いている日程をお伝えし、また必要な費用などについても簡単に説明したのだが、その後、○○プロの丸花社長、ζζプロの観世社長、ΘΘプロの春吉社長からも照会があり、休日の夕方の放送日程がどんどん埋まっていくことになった。
 
そして結果的にはこれが、あけぼのテレビの大きな収入源となっていく。
 
 
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夏の日の想い出・龍たちの伝説(4)

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