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■春想(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-09-08
 
青葉は遠刈田温泉に1月1日は滞在し、2日に冬子たちと一緒に新千歳に移動。札幌市内に泊まって1月3日の公演に出る。3日は札幌に泊まり、4日午前中に冬子たちと一緒に羽田に飛んで、そのまま大宮の彪志のアパートに入る。
 
ここに朋子も高岡から出てきているし、桃香まで転がり込んでいる。
 
「明けましておめでとうございます」
と言って、青葉はこの日やっと、お正月という気分になった。
 
今年のおせち料理は、朋子がこちらに出てきてから作った。桃香にも手伝わせようとしたのだが、途中で朋子が「あんたはいい。座ってなさい」と言って結局ほとんどひとりで作った。
 
朋子は年末年始に誰も帰ってこないので、仕事納めの後、東京に出てきて、桃香のアパートで過ごしていた。そして今日桃香を連れて彪志の所に移動してきたのである。朋子は6日金曜日まで休暇を取っており、8日日曜日の新幹線で高岡に戻る予定である。
 
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彪志は12月31日から1月3日まで会社に当直で詰めていたので、4-6日と9日が代休になっている。つまり4日から9日まで6連休である。
 

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「千里も来れたら良かったのだが、千里はここの所、物凄く忙しいようなのだ」
と桃香が言っている。
 
「まあ8日まではとても時間取れないだろうね。来週も凄く忙しいはず」
と青葉が言うと
「ああ、そんなこと言っていた」
と桃香は言った。
 
8日まではオールジャパンだし、来週末の14日には今度はオールスターがある。
 

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次のローズ+リリーのライブは7日宮城なのだが、青葉は前日の6日昼過ぎ、楽器を持って新幹線で仙台に移動した。そして和実の自宅を訪れる。
 
「きれいにできあがったね〜」
と青葉は言う。
 
前回ここに来たのは11月26日で、建物の外観が完成間近の時期であった。年末のカウントダウンの時は、仙台からそのままM市方面に行き、M市からは他の出演者と一緒に遠刈田温泉に移動している。
 
「結局3月オープンになったのね」
「うん。でもそれまででも、予約があれば適宜対応する」
と言って和実はパンフレットを見せてくれた。
 
「オールスタンディングでmax 470人か。確かにここは500-600人入るよ」
と青葉はできあがっている客席空間を見て言った。
 
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「消防法の規定を純粋に適用すると実は850人入る」
と和実は言う。
 
「確かに入るかも!」
 
「最初の予定でも680人入る面積だったんだけど、冬子が音響面のことで色々言ってきてさ。それで結局、設計を変更して、この広さになった。冬子は設計に口出ししたお詫びにといって、無利子でお金を貸してくれたんだよ」
 
「そういう《言い訳》をちゃんと用意してくれるのが冬子さんのいい所だね」
「うん。何も無しでお金貸すと言われても、こちらとしては申し訳無いもん」
「それでこういう客席の形になった訳か」
 
ここの客席はまるでホールのように、末広がりの形で、床も後ろの方が高くなるスロープが付けられている。後ろの席の客がステージを見やすくなる配慮である。
 
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「でもあまり密集するのは危険だし、飲食物を配れないから470人と公称している。一応消防署の許可は850人で取っているから、イベントの内容によっては相談に応じる」
「そのくらいのゆとりがあった方がいいかもね」
 
「そうだ。冬子さんが、今年の震災復興支援イベントが終わった後、ここで打ち上げさせてくれないかって言ってたよ」
と青葉は冬子からの伝言を伝える。
 
「それいつ?」
「3月12日日曜日宮城ハイパーアリーナ。実は昨夜決まったばかりなんだけど」
 
「もしかしたらその時期は内装工事とぶつかるかも知れない」
「ああ」
「ちょっと後で冬子と話してみよう。今日は無理だよね?」
「ライブ前だから。急用以外は避けた方がいいかも。1月9日でツアー終了だから、10日の午前中くらいがいいかも」
「OK。その日に電話してみる」
 
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青葉は和実といっしょにいったん外に出ると、お店の駐車場側へ歩いて行く。
 
「ベルトコンベヤ?」
 
店舗と自宅玄関の間にベルトコンベヤが設置されているのである。
 
「椅子を並べたり、撤去したりを頻繁にやっているもんだから、スタッフから付けてくれと言われて付けた。100万円で買えた。意外に安いもんだね」
 
100万円が安い!?和実って、大きな取引を大量にやって、どうも金銭感覚が崩壊しているみたいだなと思い、青葉は少し心配になった。
 
「あのベルトコンベヤの上に作ってる屋根って、建築許可取って作った?」
 
「あの屋根は実は細長いテントなんだよ。10分で立てられて10分で撤収できる。建築物ではないから問題無い」
 
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「すごーい」
 

青葉は、千里がいつの間にか作ってしまっていた結界を利用して《姫様》の力を借りてここに財運が溜まるように調整した。いわば朱雀の効果を強めるものである。
 
『姫様、この結界ってこんな広いエリアをわずか4ヶ所のキーポイントだけで維持していて、人間業とは思えないんですけど、姉はどうやって作ったんでしょうね?』
 
『そんなの千里に直接訊けば良かろう?』
『姉が答えるわけ無いです!結界って何?私素人だから分からなーい、とか言われますよ』
 
『あはは』
 

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青葉が和実と店舗内に入って話している内に、ジーンズ姿の25-26歳かなという感じの女性が入ってくる。
 
「おはようございます」
「おはよう、マキコちゃん。こちら、大晦日の時も会ったよね」
「おはようございます、大宮万葉先生」
 
「すごーい!ちゃんと覚えてるとは」
「私、一度会った人の顔は覚えますよ」
「客商売向きだね」
 
「さてここで問題です」
と和実は言う。
 
「マキコちゃん、大宮万葉さんの年齢を当ててみて」
「うーん。。。。鴨乃清見先生より年上に見えるけど、実は大宮先生の方が妹さんということだったから・・・・25歳?」
 
「ブッブー。さて大宮万葉さん、このマキコちゃんの年齢を当ててみよう」
 
「うーん。。。。凄く落ち着いた雰囲気だけど・・・・意外に若いような気もする。24歳?」
 
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「ブッブー。正解は、大宮万葉は19歳、マキコちゃんも19歳」
 
「うっそー!?」
と青葉もマキコも声を挙げた。
 

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「ついでに2人とも戸籍上は男だ」
と和実は言ったが
 
「あ、それは見た瞬間分かった」
とどちらも言うので、それには和実の方が驚いていた。
 
「私は来年誕生日が来たら、すぐ戸籍の性別を変更申請するつもり」
と青葉は言う。
 
「ああ、手術は終わっているんですね」
「うん。マキコちゃんもでしょ?」
「私は取り敢えず去勢したいんですけどね〜」
「まさかまだどちらも付いてるの?」
「ええ。おっぱいは大きくした、というか大きくなっちゃったけど」
「信じられなーい!」
 
と言ってから青葉は和実に言った。
 
「ね、この子ってここのチーフさんでしょ?」
「サブチーフなんだけどね」
「でもチーフのライムさんが今東京で研修中だから、今月は私が中心になってオペレーションしないといけないんですよ」
とマキコは言っている。
 
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「ねえ、この子の去勢手術代、和実、出してあげたら?」
と青葉は言った。
「なんか最近、私、凄く気が大きくなっている気がして。こないだから若葉にだいぶ叱られた」
と和実。
 
うん。確かに確かに、と青葉は思う。
 
「大丈夫ですよ。頑張ってここでバイトしてお金貯めてから手術受けますから」
と当人のマキコは言っている。
 
「でもこの子、主力メイドでしょ?グランドオープン前にやってもらっていた方が助からない?」
 
と青葉は言う。
 
「そんな気はする」
と和実も言う。
 
「マキコちゃん、手術代、前貸ししようか?」
「マジですか?」
「それで来週の平日に手術してこない?」
「来週ですか!?」
 

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青葉は早めの夕食を和実の自宅でマキコと一緒にごちそうになった。明日、この店でカウントダウンの前座としても出演していたボニアート・アサドのライブをするので、その準備でマキコは出てきたらしい。
 
「こけら落とし?」
 
「こけら落としは1月2日にやったんだよ。やはりボニアート・アサド。1ドリンク制の立見で365人入った」
「それ凄いと思う」
「うん。彼女達もお客さんがこんなに居る!って、はしゃいでいたよ」
「微笑ましいね」
「急に決めたし、宣伝もツイッターに書いただけだったんだけどね」
 
「いや、彼女たちのファン層ならネットがいちばん反応がいい。TVにCM流すより、ネットに流した方が効果がある」
「うんうん。そうだと思う」
 
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青葉は5時半頃お店を出て、明日ローズ+リリーのライブが行われる宮城ハイパーアリーナを下見して来ようと思ったのだが、
 
「良かったら私が送って行きましょうか?」
とマキコが言う。
 
「あ、いいのかな?」
「マキコちゃん、送って行きたいんでしょ?」
と和実が笑って言っている。
 
それでお願いした。青葉は車かと思ったのだが、バイクなのでびっくりする。
 
「バイクは渋滞関係無いですから、こういう時間帯に威力を発揮するんですよ」
「確かに確かに。でもいつ免許取ったの?」
 
「自動二輪は高3の夏休みです。だからもう2人乗りできるんですよ。大型二輪はこの春に取りましたが」
 
「まあこんなマシンに乗っている人なら大丈夫だろうね」
「原付時代から通算すると走行距離はもう5万km越えてるから安心してください」
 
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「凄い凄い。でもニンジャか!私の友だちでニンジャ大好きな子がいるんだよ。彼は250Rに乗っているんだけどね」
 
「私も最初は250R買ったんですよ。でも大型二輪免許取ったから、これに乗り換えたんです」
「すごーい」
 
それで彼女のバイクの後ろに乗ったが、すぐに指摘される。
 
「青葉さんも、バイクに乗るんですね?」
「うん。よく分かったね」
 
「だってちゃんと一緒に体重移動してくれるもん。すごく走りやすい」
「ああ。バイク乗る人同士だとそのあたりの感覚が分かりますよね〜」
「今何に乗っておられるんですか?」
「今、ヤマハのYZF-R25」
「ああ。いい感じですね」
「でも実はFJR1300ASをノリで買っちゃったから、春休みに教習所に行って大型免許取らないと」
「わあ。頑張って下さい」
「うん。ありがとう」
 
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彼女は安全運転であったが、渋滞と無関係に進行できることもあり、25分ほどで着いてしまった。
 
「ありがとう。助かった」
と言って青葉はバイクを降りる。
 
「いえ。こちらもヒーリングして頂いてありがとうございました」
とマキコは言っている。
 
「あ、分かった?」
「凄く気持ちいい波動を感じました」
 
「なんか炎症起こして痛そうだなあと思ったから、ついやっちゃった。勝手にやってごめんね〜」
 
「たぶん、説明すると面倒だからかな」
「うん。実はそう。マキコちゃん、霊感が思ったより強そう」
「あまり霊感があるとは言われたことないんですけどね」
「うん。マキコちゃんの霊感は見えにくいんだよ」
 
ある意味、千里姉に近いタイプだよなあと青葉は思った。
 
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