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■春回(1)
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勾陳(山村マネージャー)は出羽の八乙女(H大神の眷属)の美鳳を八王寺のアクアの家に連れて来た。
「こんな所まで何の用じゃ?妾(わらわ)は忙しいんじゃぞ」
「すぐ終わりますから」
アクアが目を覚ます。
「こうちゃん何の騒ぎ?」
勾陳が言った。
「こいつのコピーを7体くらい作ってくれませんか?」
「人間のコピーなど安易に作ることはできん」
「千里のコピーはたくさん作ってるじゃないですか」
「あれは特殊な事情があるのじゃよ」
「1日持てばいいですから材料は安い紙か粘土でいいですから」
「ぼくは寝てるー」
と言ってアクアは寝てしまう。そして美鳳も
「こんなくだらない用事で妾を呼ぶのでない」
と言って帰ってしまった。
「くそー。これではアクアが7人揃ったビデオが撮れん。どうすっかなあ」
と言って勾陳はイタチの男の子を7匹集めた。
「喜べ。お前ら全員メスに変えてやるな」
「いやです」
「ちょっとメスが7人必要なんだよ」
「最初からメスを7人使えばいいじゃないですか」
「あいつら全然言うこときかんから。仕事が終わったらネズミをどっさりやるからさ」
「でもちんちん無くしたくない」
「メスのセックスの方がオスよりずっと気持ちいいぞ」
「嘘だあ」
「それにメスのイタチは禁猟動物だから人間に鉄砲で撃たれることもない」
「確かに鉄砲は怖いけど」
「だからってオスを廃業するのは」
「取り敢えずトビ、お前メスになれ」
「助けて〜」
『北陸霊界探訪』は2月にはグレイトスパイラルロードの謎と、特別編として、神田あきらの結婚式・新婚旅行の様子をレポートした。3月にはあらためて、北陸霊界探訪の関東支部、関東不思議探訪の北陸支部が開設されたことの報告、金沢ドイル(青葉)が千葉市に設立している花丘玉依姫神社のレポート、ドイルの出産、D製薬のドローン実験の取材、D製薬とムーランの共同事業“ウィングライナー”のレポートなどが行われた。ウィングライナーは正確には、D製薬・ムーラン・朱雀の共同事業だが、朱雀なんて会社は一般にはあまり知られてないので省かれた!
そして4月、幸花はうなっていた。
「ネダはね〜が〜?」
「定点観測で、菓子神社、人形美術館、ドイルさんの赤ちゃん、ムーランホール七尾、とかで15分くらいにはできますよ」
「30分くらいになるネタが欲しい」
「ドイルさん出産したばかりだからなぁ」
「仕方無い。あきちゃんとまこちゃんで、神社レポートでもしてきて」
「どこ行きますか?」
「白山ひめ神社、尾山神社、気多(けた)大社、菟橋神社、一言主神社」
「一言主神社は到達できませんって」
「無理か?」
「以前撮影できたのは神社さん側から特別に招待してもらったからです。あそこは行こうと思って行ける場所では無いです」
「まあそれ以外の所でもいいよ。適当に5〜6ヶ所」
「分かりました。行って来ます」
それでふたりで出て行った。
「初海ちゃんが東京に行っちゃったから戦力が足りんな」
と幸花は言ったが、もうすぐ更に戦力は少なくなる。
しかしそれで4月は定点観測のほか、水泳の津幡組の練習風景、建設が進む火牛アリーナのパイプオルガンの様子、神社レポート、ムーランホールでの信濃町ガールズ(津幡教室生)の公演とかもした。
青葉は3月9日(木)に紗織を産み、16日に退院したが、出産後1ヶ月は仕事したり運動することを朋子から禁止された。それで4月9日(日)でやっと布団から出るお許しが出た。
青葉は千里に言った。
「泳ぎたい」
千里は答えた。
「そう言うだろうと思って用意しておいた」
それで千里は紗織をコリンに見ておいてもらい、青葉を連れて秘密の地下室に降りる。ここは青葉と千里のみが知っている地下室で、青葉Rが来た時にLが隠れていたりするのに使っている。ここは千里の部屋の秘密のエレベータからのみアクセスできる。ここに“松本花子”システムのアーカイブなども置かれている。
その地下室に巨大な水槽が置かれていた。
「これ前使ってたね」
浦和の千里宅に本式のプールを作る前、青葉が水泳の練習をするのに使っていたもので、水槽自体は10mくらいしか無いが、水が流れるので、流れる速度と泳ぐ速度を同期させておくと永遠に泳いでいることができるものである。
「超滅菌水を入れているから、お産の傷にも響かないと思う」
「ありがとう!」
それでこの日は10分くらい泳いだ。まともに泳いだのは昨年7月以来9ヶ月ぶりなので全然スピードも出なかったが結構気持ちが良かった。
「でも何かあったらいけないから、私かまこちゃんとかに必ず付いててもらって」
「分かった」
2023年4月23日、青葉は本来まだ産休中なのたが、『ミュージシャンアルバム』の取材をおこなった。取材をしないと実は放送すべきものが無くなってしまうのである。産休前に取材したものは4月の放送で使い切ってしまう。
この日取材したのは先日結婚して石川県に移住した神田あきらで、ラピスラズリとケイを東京の調布飛行場からSR-22で氷見飛行場まで運んで取材をおこなった。この飛行機はパイロット2人のほか、乗客が3人乗れる、といっても通常はおとなが左右の席に乗ったら真ん中には子供くらいしか乗らない。
しかし町田朱美もケイもそう太くないし、東雲はるこは体重が40kgに満たない細さなので、この3人の組み合わせなら乗れたのである。
番組ではこのSR-22の映像から映したが
「可愛い飛行機だ」
という声が視聴者からあがっていた。
「遊園地の飛行機みたいだ」
「こんなんで東京から富山まで飛べるって凄いね」
町田朱美は
「皆様も通勤通学用に1個如何ですか?2000万円くらいで買えますよ」
と言っていた。
実際自家用機として買われることの多い機体である。§§ミュージックは2200万で買った。滑走路の短い調布飛行場や、緊急時以外ジェット機を離着陸させない約束をしている氷見飛行場が使えるのが大きい。入瀬コルネ(吉川日和)はこの飛行機の常連である。エキュレイユ(ヘリコプター)もよく使うが、SR-22の方が少し速い(SR-20だと大差無い)。
「2000万じゃ庶民には買えんな」
「2000円なら出せるが」
「2000円で飛行機売ってたら買う?」
「それは怖くて買いたくない」
「だいたい買っても置き場所が」
「自宅の中に滑走路を作れないし」
「会社にも滑走路無いし」
一方神田あきらはウィングライナーでやってきた。あきらの自宅そばにウィングライナー七尾小島駅があり、青葉の自宅近くにウィングライナー伏木駅がある。この間は乗換無しで到達できる。“だいたい”1時間に1本走っている。実際の運行は乗る人が来たら動かすという適当なものである。予約しておけばその時間に車両を回送しておいてくれる。
伏木駅から青葉宅へは番組でおなじみになったアラビアンな外装のアルハンブラ(千里の車)で運ぶ。
神田あきらのインタビュー。
デビュー以来の軌跡とか、(結婚に伴い脱退したが)桜貝の活動、姉妹のこと、近年アクア映画に多数出たこと、そして先日の結婚について色々語った。
「番組では、お母さん(白雪りんご)から『明日あんたの結婚式だから』と言われてましたけど、昔はわりとそうやって結婚した女性が多かったらしいですね」
「ええ。1960年代頃までって結婚相手は親が決めるものでしたからね」
「その頃は恋愛結婚なんて、ふしだらなものと考えられていたんですよね」
「それで事実上恋愛結婚であっても形だけのお見合いをして建前上お見合い結婚したことにした」
「昔は結婚するまではセックスしなかったしね」
「だから“婚前交渉”なんてことばがあった」
「今じゃ死語ですね」
「恋愛したらセックスするのが普通になりましたからね」
「1980年代頃までは高校生の恋愛のゴールはキスだったのに、今じゃ中学生だってセックスする」
このあたり、町田朱美はさりげなく自己弁護してると随分ファンには言われていた。朱美の彼氏のことはファンの間では“美談”としてよく知られている。
・朱美のクラスメイトの男子が病気でペニスを切除しなければならないことになった。
・落ち込んで自殺も考えていた彼に朱美は「ちんちんくらい無くなっても結婚してあげるから勇気出して手術受けなよ」と言った。それでふたりは結婚の約束をした。
・でもその後新しい治療法が見付かり、ペニスは切断せずに済んだ。
・手術は受けなかったし、朱美はアイドルデビューしたが結婚の約束は有効と朱美は言っている。
・当時は§§ミュージックの歌手・タレントは28歳まで結婚できない契約になっていたが、現在はこの規定は無くなっている。人権侵害だとする意見が強まってきた。しかし朱美はコスモス社長と24歳くらいまでは結婚しないと約束している。
・朱美とはるこはオーディションの見学に来ていた所を白鳥リズムに勧誘されて審査を受け優勝した。1位がはるこ、2位七尾ロマン、3位朱美だった。朱美は婚約していることは申告したが、歌は上手いものの心が弱い東雲はるこの心を支えるためペアを組むことになった。それで「婚約者の居るアイドル」が誕生した。
オーディションの応募条件は「未婚女子」であり、婚約者がいることは違反ではない!ゆりこ副社長の弁「オーディションには毎年男の子も応募してくるから、女でさえあれば婚約者くらい居ても大きな問題ではない!」。未婚に限っているのは妊娠で突然仕事を降板されては困るから。朱美は結婚するまではちゃんと避妊することを約束してくれたから契約した。ただしラピスラズリは朱美が結婚しても彼女の負担にならない範囲で活動継続する可能性はある。朱美の産休中は七尾ロマンや鹿野カリナ(オーディション4位)などに代役してもらう可能性もある。特に鹿野カリナにはいつも朱美のパートを練習させている。
朱美は神田あきらに言った。
「まあ『明日あんたの結婚式だから』と言われたというのは演出だけど結構無茶だったんでしょ?」
「そうなんですよ。『関東不思議探訪』で北陸支部を作るという話から始まったんですよね」
と神田あきらは説明した。
「北陸支部を作るから誰か金沢に行ってよと言って、最初は谷崎聡子ちゃんが行く話が出たんですよ。でも聡子ちゃんが『なんのために金沢まで行かなきゃいけないんです』と抵抗して、その時、私が『金沢の人の所にお嫁に行くとかは』と言っちゃったんです」
「ああ」
「言い出しっぺの法則、隗より始めよ、だ」
とケイ。
「隗より始めよってそんな話だったっけ?」
と青葉。
朱美が答えた。
「そうですよ。昔中国・燕の昭王にはなかなか良いお嫁さんが見付からなかった。それで大臣の隗が『まず隗より始めよ』と言った。それで隗は女になる手術を受けて昭王と盛大な結婚式を挙げた。可愛い服を着せて豪華な宝石を与え素敵な家に住まわせた。それで元は男だったような奴でもあんなにしてもらえるなら、といって美人の女性が何人も昭王の所にお嫁さんにしてくださいと言ってやってきた」
「うーん、そうだったのか。勉強になる」
「まそれで私がお嫁さんになることになっちゃって、相手として金沢ベースの人で年齢の近い人として歌音が浮上したんですよね」
「でもあの人性転換してるよね」
「私もそう思ってたんですけどね。確認すると、恋愛対象は女性だし、いづれ女の子になりたい気持ちはあるけど、今のところは、まだ男だと言って、私の母の前で裸になってみせたんです。それでちんちんあるなら何とかなるだろうといって母は結婚を認めたんですよ」
「セックスできた?」
「セックス自体は初夜に成功しました。膣内射精も3回目に成功しました」
「おめおめ」
「彼可愛いんですよ。彼、性格的には女の子だから可愛いお嫁さんもらっちゃった気分」
「ああ、やはり歌音がお嫁さんだよね」
「ええ。御飯とかも作ってくれるし」
「赤ちゃんも彼に産んでもらいなよ」
「それがいいですね」
歌音はいいママになりそう、という意見が多かった。(歌音の妊娠報道は近し?)
「ふたりとも可愛い服着て並んだ記念写真とか撮ってた」
「彼男物の服は持ってないし。でも私の服着せて遊んでます」
「あきらちゃん細いのによくはいるね」
「彼の服が私には入りません」
「あはは」
「彼57のスカートとか穿くんですよ」
「凄いね」
「だけど、新居は金沢ではなくて七尾にしたのね」
「ええ。私が駆け出しの頃、七尾小島のローソンで1日店長したことあったんですよ。その時、北陸のファンが集結してくれて、その時いちばん前で旗を振っていたのが歌音だったんですよ。その時進呈したサイン色紙をまだ持っててデートの時に見せてもらいました」
「元々あきらちゃんのファンだったんだ?」
「私のCD全部持ってると言ってました。一般発売はしなかった、ライブ会場で限定販売したCDとか女性雑誌の付録に付けた特別CDまで持ってたんですよ」
「熱心なファンだったんだ?」
「私と結婚できるなんて夢のようだと言ってました」
「やはりいい人と結婚したね」
「ええ」
「性別がちょっと怪しいだけ」
「性別なんて些細なことだし」
「そうそう。些細なこと」
「モナちゃんもルキアさんに妊娠してもらうとか言ってますよ」
「ああ、あのカップルもそうなりそうだ」
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