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■春回(2)
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坂出モナは神田あきらと同じ事務所である。モナとルキアも18歳で結婚した。そしてルキアの方が“奧さん”している。御飯は全部ルキアが作っているし、洗濯などもルキアがしている。ルキアは常時女装である。少し持っていた男物はモナが全部捨ててしまったらしい。
ルキアは女性ホルモンを飲んでいた時期があり、バストも少し膨らんでいるが現在は中断しているらしい。その副作用で勃起しないが、モナは気にしない。
歌音はホルモンは飲んだことないと本人は言っている。あきらは女性ホルモン飲んでもいいんだよと唆しているが、子供ができるまでは飲まないと言っている。念のため精液の冷凍は作ったらしい。
視聴者の声:去勢せずホルモンも飲んでなくて18歳で声変わりしてないのはあり得ない。
あきらが冷凍精液の話をした時、一瞬千里を見たので、青葉は「ちー姉、何かしたな」と思った。ちなみにこの青葉はグラナダの青葉R。出産したLはまだ霊力が回復してない。
しかし歌音は生理があるらしい!?やはり赤ちゃん産むのは歌音?
インタビューは青葉邸のサンルームでおこない、ピアノルームであきらが東雲はるこのピアノ伴奏で『七色の海』を歌った。あきらと歌音の思い出の曲らしい。
インタビュー終了後はリビングで焼肉をしたか、あきらが変わったものを食べたいと言ったので、千里が熊肉・鹿肉・猪肉を持ち込んだ。あきらは猪肉・鹿肉は「美味しい美味しい」と言って食べていた。熊肉については「これで話のタネができた」と言っていた!
勾陳は再度イタチの男の子を7人集めた。
「今度は何ですか」
「女になる手術とかは勘弁してくださいよ」
「手術は受けなくていいから女の服を着てくれ」
「まあそのくらいならいいですよ」
それで7人は色違いのセーラー服を受け取った。
「この服メスの匂いがする」
「一度メスに着てもらったからな」
「臭いけど、チンコ切られるよりはマシだ」
「俺手術台に縛り付けられた時はこの世の終わりかと思った」
「上手い具合に停電があって良かったな」
「真っ暗闇じゃ手術できないからな」
「雷様に感謝しなきゃ」
4月下旬、真珠は桜坂奈那が『おじいさんの時計』の新しい訳詞を書いたことから青葉の家のピアノルームを使い、真珠自身がピアノを弾き奈那にその歌を歌わせたものを動画サイトにアップした。するとこれが物凄い回数再生された。
5月頭、奈那は§§ミュージックのコスモス社長からメールをもらった。
「東京で§§ミュージックという音楽事務所を経営しております伊藤宏美と申します。youtubeに掲載された『おじいさんの時計』の動画を拝見しました。素敵な歌詞ですね。うちの所属歌手のラピスラズリという女子高生デュオにカバーさせていただけないでしょうか?そちらの歌詞はJASRACには登録が無いようですが、それに準じた使用料をお支払いします」
奈那は自分ではどう返事していいか分からなかったので、青葉に相談した。青葉はコスモスに電話し、ふたりの話し合いでこのような取り決めがなされた。
・奈那の歌詞はJASRACに登録し、使用料はJASRAC経由で支払う。
・むろんラピスラズリがカバーするのはOK。青葉がラピス用に編曲したスコアを提供する。
コスモス『大宮先生、出産した直後なのにパワフルだな』
青葉『コスモスさん、妊娠中なのに頑張るな』
実はどちらも妊娠してなかったりして!
真珠は3月30日に生理があった。そして4月13日に邦生と生セックスした。そして4月下旬に生理は来なかった。また4月後半はずっと身体がだるくて、熊本取材(後述)は双葉に代わってもらった。
「もしかして・・・・・」
真珠は妊娠検査薬を使ってみた。
窓に「−」が表示される。
「あはは」
真珠は邦生に「ちょっと一緒に来て」と言って産婦人科に行った。
「おめでとうございます。妊娠しています。予定日は1月4日です。ところで今日は御主人はいらっしゃらなかったんですか?」
邦生は見た目が女に見えるので真珠の姉か何かと思われたのである。
そういう訳で『北陸霊界探訪』の編集部からまた一人離脱した。
幸花は取り敢えず、邦生と双葉(初海の妹)、それに明恵の高校の後輩・水野希望を霊界探訪の正式編集部員に任命した。(希望と同学年の和栄はもう就職先が決まっていたので使えなかった)〒〒テレビADという名刺を幸花は邦生・双葉・希望に渡した。邦生は夕方まで銀行で勤務し、その後編集部に来る。
「でも無給なんでしょ?」
「ローカル放送はボランティアによって支えられてるのだよ。ドイルさんだって無給なんだから」
「開き直ってるな」
最近出演頻度の高かった遙佳は富山大学に進学して来年の3月まで1年間富山市に住んでいるので使えない。双葉には四輪とバイクの免許を取ってもらうことにし、双葉は自動車学校に入った。
奈那や、遙佳の妹・歩夢は珠洲市に住んでいて金沢に出てくるのに3時間掛かり、毎日は使えない。しかし幸花は千里に頼んで歩夢がウィングライナーに乗れるようにパスを発行してもらった。
また奈那は父から「出演料代わり」と言って総銀フルートを買ってもらった。
真珠が妊娠したので、しばらく(津幡辺来の里神社の御祭神)津幡姫からの電話は明恵が受けてリクエストがあれば、色々ご用事をすることになった。(真珠が姫にスマホを渡した)
取り敢えずオセロの相手をだいぶやらされた。津幡に行く時はケーキを持って行く。(ムーランからも毎日ケーキをもらってるのに!)
5月5日、珠洲市を震源とする最大震度6の地震があり、同市では大きな被害があった。遙佳の父が経営するレストラン・フレグランスは怪我人こそ出なかったものの店舗が崩れてしまった。同レストランは人形美術館の中に移転することになった。
人形美術館は免震なので全く被害は無かった。
奈那の父が経営するお弁当屋さん琥珀も店が潰れたが、千里は播磨工務店を動かし、土地を整地した上で移動店舗のユニット(ムーランの店舗とほぼ同等のもの)をそこにポンと置いて営業再開した。
遙佳の家は新しいので、物が落ちたり本棚が倒れたりはしたものの、建物自体には被害が無かった。
一方奈那の家は1960年代に建てた家なので壁板が剥がれたり、押し入れの天井が落ちたり、窓ガラスが割れたりの被害があった。しかし父は「住むのには支障は無い」と言っていた。窓ガラスの割れた所はホームセンターで透明アクリル板を買ってきて、貼り付けた。ヒビのはいったガラスはテープを貼っておいた。
北陸霊界探訪ではこの地震について15分ほどのレポートをまとめた。
ゴールデンウィーク直前、千里は霊界探訪の編集部に顔を出すと言った。
「北陸じゃないんだけどさ、夏休みに公開予定のアクア映画のロケを熊本でしたんだよ。そこ見学に行ったりする?」
「行きます行きます」
それで真珠は体調が良くないということだったので、明恵と双葉(初海の妹)が行くことにした。千里の車CX-5に乗って能登空港に行く。このCX-5は姫路ナンバーで、関西ベースの千里(ロビン)だと明恵には分かる。ふたりはどうせならと言って、紳士スーツとお嬢様っぽいドレスに着替えた。明恵が紳士物、双葉がドレスを着た。靴も紳士靴とローファーにする。明恵は黒いシルクハットもかぶった。
能登空港から黒いホンダジェットに乗って熊本空港まで飛ぶ。アクアをロケ地に連れて行く時もこの機体を使ったらしい。
「これ通常アクアちゃんが使う機体じゃないですよね」
と明恵。
「そうそう。通常はアクアは赤、ラピスラズリが青、舞音がオレンジ。この黒は私の専用機」
「へー」
熊本空港で予約していたレンタカーに乗り、高速を走って、宇城氷川(うきひかわ)SICを降りてから山道に入っていく。
「細い道ですね。能登の道みたいだ」
「これでも国道だよ。でも映画では南フランス、プロバンス地方の道という設定」
「かなりギャップがあるな」
「まあ日本で日本人使って撮影するから仕方無い」
「そこに最初から無理がありますね」
「原作は『緑の目の令嬢』というんだけどそもそも日本人には緑色の目の人がいない」
「根本的に無茶してる」
「緑の目の女性と青い目の女性が出てくるけどふたりはどちらも美事なブロンドだったので人違いされるという所から物語は始まる」
「根本的な枠組みを変える必要がありますね」
「だから緑の首飾りの女性ということにした」
「なるほどー」
「でも脚本はその“首飾り”という設定を上手に使ったものになったね」
「へー、偉い」
「お母さんの形見の首飾りということにしたんだよ」
「うまい」
「あ、馬刺し食べる?」
「は?」
「食べます食べます」
「じゃ後で」
車はやがて停まる。
「まずこの景色を見てほしい」
と千里が言う。
「へー湖が2つ並んでる」
「湖が2つ並んだ場所が物語のクライマックスの舞台。たまたま私がこういう場所を知っていたんで、ここでロケすることにしたんだよ」
「へー」
ここは手摺り付きの展望台になっており、駐車場もある。映画の撮影場所は公開しないつもりたったが、県が観光客を呼びたいというので千里の眷属達に展望台と駐車場を作らせた。
「ヒロインがいつも着けている首飾りは宝石が二連になっててさ。それがお母さんが彼女にこの湖を思い出させるためだったというシナリオになってるんだよ」
「うまーい」
車に戻りまた少し走って、やがてまた停まる。
「さあこの階段を登るよー」
「ひゃあ」
それで車は階段そばの広場に駐めて3人で石段を登る。明恵は石段を下から見上げた構図なども撮影していた。登っている最中の様子も明恵と双葉の交替で撮影していた。千里に撮らせないのはよく分かっている。千里はカメラとリコーダーについては全く進歩が無い。
「小杉ちゃん、居る?」
と言って明恵はいつもロビンのお供をしているおキツネさんを呼ぶ。
「はいはーい」
と言って小杉が出てくる。
「私たち3人が登っている所を撮影して」
と言ってカメラを渡す。
「はい」
それで3人が登っている様はおキツネの小杉によって撮影された。
ちなみに、この石段は熊本の弥兵衛沼のそばに、千里が造らせたものである。高低差は約18m. 造ったのは九州組の“大船(だいせん)”という子。「一晩で百段作ったら一斗樽をあげる」と言われて頑張ったものの、99段まで作って「あと1段で一斗樽」と思って休んでいて眠ってしまったので、一斗樽をもらいそこねた。
でも一升瓶を5本もらい仲間と宴会した。豚も一頭もらって丸焼きにした。
階段は九重たちの手で乱れているところを修正し、また3段追加され102段になった。
大船にはその後で階段の上の丸太小屋も造ってもらった。
この石段と小屋は映画制作の間だけとして国の許可を取ったものだが、制作後もそのままにしててよいことになった。それで観光客が来そうということで県と話し合い、駐車場を作った。
明恵たちは石段を登り切ると、そこにある丸太小屋で休み、熊本県産のワインを飲んだ。
「映画の中ではアクアたちはボルドーのワインという設定のぶどうジュースを飲んだ」
「フランスってワインが水代わりですよね」
「そそ。だから子供でもワインを飲む。フランスには飲むのに適した水が無いからね」
「千里さん、フランスにおうちがありますよね。水はどうしてるんですか?」
「水道の水を自主的に軟水化して使ってるよ。世界水泳の日本代表泊めた時もその水を飲んでもらった」
「ああ、外国じゃ水道の水なんか飲んだらお腹こわしますよね」
「ヨーロッパはたいてい硬水だし、インドとかは雑菌が多い。清潔な軟水の豊かな国に住んでるとそのあたりの感覚が無いよね」
一休みしてから森の小径を歩いて湖に出る。モーターボートに乗り、湖水を渡る。
「手漕ぎボートの予定だったんだけど、アクアの腕力ではボートが漕げなかったからモーターボートにした」
「アクアちゃんには無理っぽい」
「この映画の企画最初は七浜宇菜で撮る話で始まったんだけど宇菜ちゃんなら漕げたろうけどね」
「ああ“彼”なら大丈夫です」
「もっともアクアの映画になったから、この湖が使われることになった。予算が5倍になったからね。最初は模型で撮影する計画だった」
「ああ観客動員の期待値が違うでしょうね」
「宇菜ちゃんでも人気ではあるけどね」
ボートは細い水道を通ってもうひとつの湖の側に出る。
「ここはダム湖で湖の底には俵村という村が眠っている。でも映画ではローマの町が眠っていることになっている」
「熊本の山奥の村とはかなりイメージが」
「まあ日本で撮影するから」
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