[携帯Top] [文字サイズ]
■春回(7)
[*
前p 0
目次 #
次p]
明恵は津幡姫から電話で呼ばれたので行ってみると
「伏木の菓子神社にベンチか何か置いてくれない?」
と言われた。
「ベンチですか」
「境内で座って『どうぶつの森』とかするのに欲しいなと思って」
「ああ『どうぶつの森』」ですか」
ニンテンドウ・スイッチは真珠が渡したと言う。wi-fiの設定とかは花代さんにしてもらったらしい。でもゲームは1日3時間までと制限されているらしい!
「ゲームやるような若い人が座ってくれるように5〜6個。風除けや雨除けも付けて」
「佐藤さんに訊いてみます」
それで明恵がムーランの佐藤店長に相談したところ、若葉さんが指示して屋根・壁付きの休憩所が作られ、椅子とテーブルも設置された。ティーサーバーも設置した。携帯やゲーム機の充電ができるようにコンセントも設置する。むろん神社のwi-fiが届くようにする。パスワードは御札頒布所で教える。
すると姫様が望んだように中高生とかのたまり場になり、姫様も楽しく『どうぶつの森』をプレイしたのであった。
(ゲームに填まる神様)
また姫様は「おみくじを始めようか」と言った。それで姫様と斎藤種雄宮司の話し合いで、本式の、巫女さんが筒を振って引く方式のおみくじが導入されることになった。菓子神社ではしばしば小学1年生くらいの少女巫女さんが筒を振る姿が見られた。霊界探訪はこの様子も撮影した。なお小学校があっているような時間帯にはおとなの巫女の竹下さんや小島さんなどが振り、夜間は、おみくじの自動販売機を動かす。つーちゃんの担当は平日の16-18時くらいである。
(神はサイコロを振る!?筒だけど/テレビに出演する神様!)
なお少女巫女は斎藤種雄宮司や孫の花代禰宜から“コアラのマーチ”とか“じゃがりこ”とかもらっていた。(バイトに精出す神様)
産休が明けたので一応挨拶だけでもしておこうと青葉が「霊界探訪」の編集部に顔を出すと
「あ、ドイルさん、いい所へ」
と和栄、明恵に幸花が言う。
どうもきずい所に来たようだ、と青葉が思う。
和栄は就職のため男の子に戻るのだろうか。紳士用のスーツを着てネクタイをしている。髪も短く切っている。でもボトムがスカートなのはなぜだろう?と思った。男性のスカートを許容する会社??邦生の勤める銀行や夏樹の勤める楽器メーカーは男性のスカートが許容されている。大手制服メーカーの調査では、現在学校の制服に関しては3割ほどの学校で男子のスカートが許容されており、1割ほどの学校で実際にスカートを穿いている男子生徒が居るらしい。
留守番勢制の真珠が言った。
「幽霊コンビニとでもいうべき事件が何件か報告されてるんですよ」
「へー」
あまり関わりたくないなあと思いながら青葉は生返事した。
「夜中に産業道路を車で走っているとコンビニを見るらしいんですよ」
「産業道路ならコンビニは何軒かあるでしょ」
「見たことの無いコンビニらしいです。それで新しいコンビニができたのかなと思って車を駐めて取り敢えずトイレを借りてからおやつとか見るらしいんですよね」
「そのまま眠っちゃうとか」
「よく分かりますね」
ありがちな話だよな。
「結局中華まんとコーヒーとか買ってイートインコーナーで食べるんですが、なぜかそのまま眠っちゃって気が付くと朝なんですよ」
「そしてそこにはコンビニなんて無かった」
「よく分かりますね」
高校時代にも“幽霊ATM”って処理したよな、と青葉は思った。
「なんかムジナか何かのしわざっぽい」
とドイルが言うので、和栄は“タヌキ・ムジナ裁判”の話を思い出していた。どこかから
「僕は何もしてませんよ」
という声が聞こえた気がしたのは、きっと気のせい。
「とにかくそれで幽霊コンビニに出会えないか車で走ってみようということなんだよ。ドイルさん来てくれない?」
と幸花が言う。
「行ってもいいですが、私とか明恵ちゃんみたいな霊力の強い人が行くと現れないと思いますよ」
「現れなくてもいいから来て」
と幸花が言うので青葉は付いていった。だいたい明恵がいるだけで今更だし。
それで和栄が放送局の車(カムリ)を運転して、山環から加賀産業道路を走り小松市まで行ったが、怪しげなコンビニは見なかった。
「まあいいや。何も発見できませんでしたと報告しよう」
と幸花は言っていた。
小松市の本物のコンビニで中華まんとコーヒーを買って帰ることにした。それで車を駐めてコンビニに入る。
「帰りは高速を通って帰ろう」
と幸花が言う。
「幽霊コンビニはもういいんですか」
「もうひとつ巨大いもむしの怪というのがあるんだよ」
「何ですかそれ」
「夜中に北陸自動車道の下りを走っていたら前方に巨大な芋虫、モスラみたいなのが道路を横切るのを見たという報告が3件来ている」
「薬でもやっていたのでは」
「1件だけならそれも考えられるが、3件もとなるとなあ。しかもみんな下り(*10)だし」
(*10) 北陸自動車道は米原JCTから新潟方面に向かうのが下りである。
逆に国道8号(新潟→京都)は京都行きが下り。
そんなことを言いながらおやつとかパンとか見ていたら、
「あれ、お早うございます」
と声を掛けられる。
「コイルさん!」
ということで、千里姉がいたのである。
「ちー姉、何してんの?」
「新潟に仕事に来て、姫路に帰る所」
などと言っている。どうも“関西ベースの千里”千里4(“赤”)のようだと、明恵と青葉は認識する。
千里から訊かれて、幽霊コンビニの話をすると
「人選が悪い。青葉と明恵ちゃんは最低外さなきゃ、あやかしは現れるわけない」
と言う。やはりそうだよねー。
帰りは高速を走って“巨大芋虫の怪”を調べると言うと
「多分ゲシュタルト崩壊。一緒に帰りましょう。青葉たち先を走って。私が後ろから走って怪しい所でパッシングするよ」
「お願いします!」
それで放送局の車(カムリ)は和栄が運転し、幸花が助手席に座ってカメラでずっと前方を撮す。そして千里の車(ベンツCクラス)が後ろから追尾することにした。小松ICから高速に乗り、金沢方面に走る。
青葉は運転席の後ろに乗って前方を注意していたが、夜間は景色も見えないし、車のライトや標識だけが見えて刺激が少ない。確かに千里姉が言うようにゲシュタルト崩壊は起きやすいかも。特に疲れてくると脳の認識能力が落ちて、変なものが見えてしまうこともあるだろう。そういう時、幽霊や妖怪を見やすい。こういう精神状態で、壁のタイルに人の顔が見えたりする。“カード無しでタロットができる”状態であり、水晶占いや水盤占いする時の精神状態にも近い。
青葉はただ座っているだけなので少し眠くなってきた。その時千里姉がパッシングした。ハッとして前方を見たが、青葉には何も見えなかった。明恵も幸花も和栄も何も分からなかったと言ったが、明日局で映像をコマ送りして確認してみようということになった。
(千里は運転を眷属に任せて自分自身は半覚醒状態に導いていた)
和栄は目が覚めた時、自宅アパートに居ることは認識したが、自分がどうやって帰宅したのか分からなかった。幸花たちと一緒に夜間のドライブをしたことまでは覚えているが、小松市のコンビニで休んだ後のことは記憶がはっきりしない。
起きた時、近くに紳士物のジャケットとネクタイにスカートが落ちている。
「やだなあ。私紳士スーツにスカートって格好で帰宅したんだろうな。恥ずかしい!」
と思った。(それでコンビニにも入ってると思いますが)
テーブルの上にコンビニ弁当が載っている。そういえば朝御飯にとか言ってコイルさんに買ってもらった気がする。和栄はそれを電子レンジに入れて温めボタンを押した。そしてトイレ行っておこうと思いトイレに行く。便器に座っておしっこをするが「え!?」と思った。
翌日、北陸霊界探訪編集部。真珠が小学1年生くらいの小振袖姿の女の子を連れてきた。一緒にこの子にも見せたいと言う。
「君名前は」
「つーちゃんとでも呼んで」
と本人。
明恵もこの子を知っているようである。明恵が「この子は凄いですよ」と言うので一緒に見てもらうことにする。
この日は和栄は体調が悪いと言って休みだった。青葉もまだ本調子ではないと言って欠席していた。
それで映像をコマ送りしていったのだが、「ここだ」と“つーちゃん”が言った。
「まこもあきも分かるだろ?」
と彼女は言ったが、かなり時間を経て真珠が
「見えました」
と言い、それから少しして明恵も
「見えた。モスラだ」
と言った。幸花・希望・奈那にはまるで分からなかった!
しかし幸花はこの問題を道路管理会社に相談した。道路管理会社の人も10人らいで見たが、誰もモスラの姿を認識することはできなかった。
しかし課長さんが
「そういうものが見える人がいるのは問題だ。大事故につながる可能性がある」
と言い、現場にライトを増設したらどうでしょう?と提案した。
幸花が編集部の真珠に電話して訊いてみる。すると“つーちゃん”が
「うん。ライトの増設は効果がある」
と言った。それで幸花も
「霊能力の高い人が効果があると言っている」
と伝えた。それで管理会社は現場に取り敢えず仮設のライトを2本立ててみた。
それであらためて現場の写真を撮って真珠たちに見せたところ
「うん。モスラは消えた」
と言った。それで管理会社はそこに正規のライトを立てた。
こうして“高速に巨大芋虫の怪”の事件は解決したのである。
6月17-18日(土日)、高校バスケットの北信越大会が福井市でおこなわれた。福井・石川・富山・新潟・長野の5県から16校(各県3+開催県1)が出場する大会で、富山県からは、H南高校・富山B高校・高岡C高校の3校が出場する。
この大会は選手を15人登録できるので、春貴はインターハイ予選と同じメンツで登録した。インターハイ本戦では12名しか登録できないので背番号2桁の選手にとってはサバイバル戦になるのだが、たぶん該当の子たちはあまり意識していない。
2月の新人戦北信越大会同様、前泊するので、金曜日の夕方、練習が終わってから軽食を取って貸し切りバスで部員18名と春貴は福井まで移動する。今回軽食?としては鯨カツを食べた。
「2月は熊カツだったから、今度は鯨ね。でかいものにも勝つというダジャレ」
「くじらおいしいですね」
能登半島では地物のクジラが冬になるとスーパーに並ぶので、クジラを食べたことのある子は半数くらい居たが、食べたことのある子もない子も、美味しい美味しいと言って食べていた。但しこの日のクジラは数日前に北海道で獲れたものである。
(練習の後着替えた下着と練習用ユニフォームは保護者に持ち帰ってもらう)
福井までの行程では練習の後なのでみんな寝ていた。風邪を引かないようにみんなに毛布も配布しておいた。そして福井市内のホテルで一泊した。翌朝は福井県産ぶりの照り焼きの朝御飯を食べて会場に入る。
1回戦が行われる。富山県1位のH南高校は福井県4位の高校と当たった。試合開始前の練習を見ていて結構強い学校だなと思ったので春貴はベストメンバーで送り出した。
すると最初はけっこう対等な戦いだったが、2Qあたりから差が付き始める。それで、選手に疲れが溜まらないように適宜控え組と交代させながら試合を進めた。後半は1年生たちも短時間使った。結局は8点差で勝つことができた。
[*
前p 0
目次 #
次p]
春回(7)