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■春回(5)

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「え!?むじなってタヌキのことなんですか?」
と、その日編集部に来ていた男装の間島和栄(きっと今回の主役)は言った。
「私、のっぺらぼうのことかと思ってた」
と彼は男装でも女言葉である。
 
「ああ、小泉八雲の『むじな』読んで、時々そう誤解している人はある」
と妊娠判明したものの出てきている真珠。
 
「たぬき・むじな裁判というのがあったな」
と幸花が言う。
「なんですか?それ」
と和栄。
「はい、まこちゃん」
「この裁判は幾つかポイントがあるんですが、ひとつの争点になったのは(*6)、検察側が被告を、禁猟になっていたタヌキを狩猟したとして起訴したのに対して、被告側はタヌキが禁猟というのは知っていたが、自分が狩ったのはムジナであり、タヌキではないと主張したことなんだよ」
「へー」
 
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「あんたがたどこさ、肥後さ、肥後どこさ、熊本さ」
と明恵が歌を歌う。
「熊本どこさ、せんばさ(*2)。せんば山にはタヌキがおってさ」
「それを猟師が鉄砲で撃ってさ。煮てさ、焼いてさ、食ってさ」
「それを木の葉でちょいとかぶせ」
 
「スカート(*3)穿いてないとできない遊びだ」
と和栄。
「君もスカート穿こう」
と幸花。
 

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(*2) この“せんば”は通説では熊本の船場とするが、困ったことに船場には山が無い。異説に熊本県ではなく、埼玉県川越市の仙波山とする説がある。ここには仙波山東照宮があり、徳川家康が祭られているが、家康はよくタヌキと俗称される。
 
(*3) 戦後の子供たちは手鞠をスカートの中に入れたが(そのためにわざわざスカートを穿いて鞠撞きする男の子もいた)、戦前の子供たちは着物の裾の中に入れた。
 

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「でも・・・」
「持ってないの?」
「実は持ってます」
「だったら穿きなさい」
「だって上は紳士用スーツなのに」
「中味は女の子だからスカート穿くべき。ズボンなんか穿いてたら男と間違えられるよ」
と幸花
「それは大変だ」
と明恵。
 

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「男と間違えられると、毎日朝礼で射精させられるぞ」
「それどんな会社ですか!?」
 
{トイレも男子トイレ使えと言われるぞ。小便器でおしっこしないといけないぞ」
「小便器使う自信あまり無いかも」
 
和栄はアウターは男物でも下着は女物である。更にタックしているので、物理的に小便器が使用できない。
 
「だからスカート穿こう」
 

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ということで和栄は紳士服スーツのボトムに黒いジョーゼットのロングプリーツスカートを穿いた。ズボンは幸花が没収して自分のバッグに入れてしまった。これで和栄はスカートで帰宅しなければならなくなった。
「就職する会社には性別訂正届けを出しなさい」
「そんなあ」
「朝起きたら女になってましたと言えばいいんだよ」
「そういうこと起きてほしー」
 

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真珠は続ける。
 
「まそれで、大審院(最高裁判所の昔の名前)の判決は、タヌキとムジナが同じものであるというのは、かならずしも全ての人の認識ではないとして、被告の主張を認め無罪になった」
「でもタヌキを撃ったのは事実なんでしょ?」
「犯罪が成立するにはその人にそれがいけないことであるという認識(故意)が無ければならない。良くないことをする意志無しでおこなった行為は処罰できないんだよ。刑法第38条」
「だったら人を殺してはいけないと知らずに人を殺したら無罪ですか?」
「それは人を殺してはいけないと知らないというのは、許されないことであり、知ってて当然として処罰される」
「ですよね」
「だからタヌキ・ムジナ裁判とよく比較されるムササビ・モマ裁判というのがある。禁猟になっているムササビを捕獲したとして捕まった人が自分が捕獲したのはムササビではなくモマだと主張した。しかしモマというのはムササビを指す方言にすぎず、モマを標準語ではムササビと呼ぶことは知っているべきであったとして有罪になった」
「違いが分からない」
「物凄く微妙だという気はするよ」
 
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(*6) この裁判ではもうひとつ“狩猟の時期”も争点になった。被告は“むじな”を2月29日に、穴に追い詰めて出口を塞ぎ逃げられないようにし、3月3日に殺害した。タヌキは3月以降禁猟とされていた。検察は狩猟したのは殺害した3月3日であると主張したが、大審院は狩猟はムジナを占有した2月29日に完了しており、3月3日は捕獲済みの獲物を処分したにすぎないので、どっちみち狩猟法違反ではないとした。
 

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ちょうどその時、女装の希望が来た。
「あれ、和栄ちゃんか男みたいな格好してる」
「私も不本意なんだけどね」
「髪まで短くして」
「切りたくなかった」
と和栄。
「髪じゃなくて、ちんちん切れば良かったのに」
と幸花。
「美容院(びよういん)で髪を切ってもらうんじゃなくて、病院(びょういん)でちんちん切ってもらうのね」
「切ってもらいたーい」
「だから切りに行こう」
 
「希望(のぞみ)ちゃんはそのまま就職するの?」
と和栄が訊く。
 
「当然」
 
(ドイルさんに雇ってもらったことは話が面倒になるので今は言わない)
 
「勇気あるなあ」
「和栄ちゃんも女の子として就職すればいいのに」
「女で通す自信無い。あれ?希望ちゃん、声が女の子みたい」
「うん。こういう声が出るようになった」
「すこーい。でも声が何とかなれば女で通せるかも」
「パスできるかで声の要素は大きいからね。もっとも声が男でも和栄ちゃん話し方が女だから、男として就職したつもりでも女子社員と思われるかも」
「実は男としてやっていく自信もあまり無い。私男みたいな話し方できないし。お酒弱いから飲みニケーションもできないし」
 
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「男の話題も分からないでしょ」
「うん。野球とかにも興味ないし、女の子アイドルとかも分からないし」
 
「和栄ちゃんは取り敢えず今日中に性転換手術を受けよう」
と幸花が言う。
「今日中なんですか〜?」
「そうすればスカート穿いて会社に行っても何も言われない」
「そうかなあ」
 

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H南高校女子バスケット部は2023年のインターハイ富山県予選で優勝し、インターハイ本戦の出場を決めた。
 

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今回3回戦の後はマクドナルドを食べた。準々決勝の後はケンタッキー、準決勝の後はピザ、そして優勝の後はフラミンゴ(いつも練習している体育館)(*7)に戻ってから焼肉をした。校長先生が交雑牛のお肉をおごってくれた。(1人用ホットプレートを使う)
 
しかし春貴は、これ自分の後任の顧問は大変だぞと思った。春貴は宝くじの資金があるから何とかなってるけど!
 
「今年のインターハイどこでしたっけ?」
「北海道だよ」
「よし。ジンギスカンを食べよう」
「インターハイで優勝するぞ」
「おぉ!」
 

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6月5日(月)、学校の全体集会で女子バスケット部のインターハイ出場決定が報告されると大きな興奮と拍手・歓声があがった。
「インターハイって、どこかよその世界のできごとかと思ってた」
「うちの学校から出場する部が出るなんて」
「インターハイって県予選でベスト8を目標にするものかと」
 
北海道まで行くとなると費用も問題なので寄付を募ることにした。春貴は30万円の寄付をした。校長と教頭が10万、男子バスケ部顧問の横田先生も5万、出してくれた。OGの愛佳と舞花も「やったね!微力ながら」と言って2万ずつ、人形美術館さんが「去年の地震の時助けてもらったから」と言って10万、きつねうどんさんまで1万、ほか青葉が100万、邦生が10万、呉羽も1万、千里さんも100万円の寄付をしてくれた。部員たちも5000-10000円程度の寄付をしたが日和は「私お給料もらってるから」と言って10万寄付した。実際問題として、このあたりで寄付は300万を越え、必要な経費はだいたい揃った。余ったらウィンターカップ用に回すことにする。
 
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札幌には千里さんが経営する航空会社の支店があり、パイロットを泊めるための宿舎があるので、そこにカプセルベッドを並べて泊まっていいよということだったので、そうさせてもらうことにした。それで宿賃が不要になり、食費だけを考えればよい。練習場所も千里さんが管理する体育館が札幌市内にあるので、そこを使ってよいということであった。
 
「札幌にも体育館をお持ちですか」
と春貴が言うと、青葉は
「ちー姉は“体育館作りたい病”なんだよ」
と言っていた。
 
千里さんの体育館・プールは北海道・千葉・石川・兵庫・福岡など全国にたぶん30個くらいあると思うと青葉は言っていた(火牛北体育館のように近くに複数あるものはまとめてひとつで数えて)。海外にも何個かあるらしい。
 
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ところでH南高校女子バスケット部に今年春はいってきたのは、こういう子たちである。
 
13.水森彩(1.3) 161 バスケ経験者。美奈子の後輩
14.中沢優(1.3)162 バスケ経験者。美奈子の後輩
15.間鳥雅(1.2) 165 元バレー部。秋奈の後輩。
16.琵琶恵美(1.2) 167 元陸上部。弘絵の後輩。
17.金子百合(1.1) 169 元バレー部。秋奈の後輩。
18.竹下叶(かなえ)(1.1) 158
 
竹下は中学時代運動はしていなかったということで、マネージャー希望であったが、一応背番号は与え、ジョギングと筋トレはほかの子と一緒にやらせた。柔軟体操とか腹筋は、2年生の日和と組ませた。
 
ポジションは、背の高い百合はセンターにしたのだが、他の4人は最初暫定的にフォワードということにした。その内、バスケ経験者の彩と優はドリブルが上手いし、ミドルシュートを結構入れるのでSF(スモールフォワード)ということにしてミドルシュートをたくさん撃たせ、背丈がある雅と恵美はPF(パワーフォワード)ということにしてランニングシュートをたくさん練習させた。
 
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それにしても彩はミドルシュートをよく入れた。4m(フリースローの距離)から3〜4割入れる。
 
「君スリー撃ってみない?」
「あんな距離からとても届きません」
「筋力を付ければ届くよ。腕立て伏せ頑張ろう」
「あはは」
「腕立て伏せ頑張ると、おっぱいも大きくなるよ」
「おっ」
 
それで結構やる気を出したようで毎日腕立て伏せ50回とかやっていた。千里さんに頼んでフラミンゴのトレーニングルームに中古のローイングマシンも入れてもらい、これもたくさんやっていた。また足の筋肉を付けるためジョギングと水泳をさせた。一方で、ウサギ跳びとかスクワットは禁止した。またジョギングの後はマッサージをしてもらうようにした。(ジョギング→マッサージ→入浴→アンメルツ:フラミンゴにバスタブ付きシャワールームもある)
 
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すると6月になった頃、とうとうスリーが1度入ったのである。
 
(ブラジャーもひとつ大きいのにしたらしい。春貴はスポーツブラも作り直してやった)
 
入ると楽しくなったようで、そのあとたくさんスリーを撃っていた。彼女の場合、飛ぶ方向は良いのでやはりボールをゴールまで届かせる筋力の問題のようであった。彼女はフリースローは6〜7割入れるようになった。
 
「よし。アヤの登録は今度からシューティングガードにしよう」
「あはは」
 

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