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■春春(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-11-04
 
ところで3月1日に高校を卒業した竹下リルであるが、当然大学に進学する気など無い(あちこちの大学からお誘いはあった)。大学の勉強などする時間があったら、その間に泳ぎたい所だ。
 
しかし大学に行かないと無職ということになり、世間体が・・・と気にする両親に言われて、リルは3月2日付けで、ムーランの社員になった。卒業してすぐに入社させたのは、この日から「国際大会日本代表選手選考会」が行われるので、健康保険を使えるようにしたためである。本人は1日朝の卒業式が終わったら、ホンダジェットとヘリコプターで東京に移動したのだが、保険証はムーラン東京を通して、2日のお昼には本人に渡した。
 
そして大会が終わって津幡に戻ってきたら、金堂多江と同様にムーランのセントラルキッチンで働いてもらうことにした。
 
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また、リルの妹ハネ(4月から高校2年)は、これまでも姉に付いてきてよくプライベートプールで泳いでいたのだが、4月1日付けで正式のクラブメンバーとして登録した。4月の日本選手権には参戦予定である。
 
(2人の名前は、リルケ・ハイネに由来する。その下の弟は椎良(しいら)で、これはむろんシラーである!残念ながら彼は水泳はしない。せっかく美少年なのに残念ながら女装の趣味も無い!現在はサッカー部に所属している:バレンタインを持ち帰るのに、親に車で迎えに来てもらったらしい!)
 

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3月30日(水)の夕方に唐突に転勤を告げられた夏樹であるが、まずはその日の内に不動産屋さんに連絡を入れた。すると転勤のためということであれば(これ大事:正当な理由が無く、単に引っ越したいということなら違約金を取られる場合がある)、一応3月中の告知になるので4月分の家賃まで払ってもらえばいいというこどであった。但し実際には敷金から引かれるだけなので、4月の引落しは発生しないらしい。
 
続いて夏樹は優子に電話を入れる。優子は大喜びで
「これで親子3人、一緒に暮らせる!」
と嬉しそうに言っていた。
 
その後、夏樹は自分の両親に連絡を入れる。両親は
 
「せっかく、かなでちゃん、こちらに来てくれるかと思ったのに!」
と残念がった。夏樹は
 
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「時々千葉にも連れてくるから」
と言っておいた。
 
更に夏樹は季里子に電話した。
 
「良かったね!これで娘さんと一緒に暮らせるね」
と季里子も喜んでくれた。
 

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そこまで連絡した所で、引越の準備のために、すべき作業のリストアップをしていたら、優子から連絡がある。
 
「ねぇ、なっちゃんが高岡に引っ越したら、私たちのパートナーシップ宣言はどうなるの?」
「あっ・・・」
 
夏樹もそのことをきれいに忘れていた。日本の法律に基づく婚姻届と違い、パートナーシップ宣言は自治体単位である。
 
「高岡にはパートナーシップ宣言制度は無いの?」
「確認する」
 
それで10分後に優子から連絡がある。
 
「高岡を含めて、富山県にはパートナーシップ制度のある地域無いんだけど、金沢市と白山市にはあるみたい」
と優子は調べた結果を報告する。
 
夏樹は即言った。
「だったら、私もゆうちゃんも、奏音も全員金沢に住民票を移そうよ(*15)。それでパートナーシップは金沢市のものに書き替えてもらうか、移行が難しそうだったら、金沢市であらためて宣言すればいい」
 
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(*15) 現在3人の住民票・戸籍はこうなっている。
 
戸籍:夏樹は千葉市、優子と奏音は高岡市で奏音は優子の娘として同じ戸籍に入っている。
 
住民票:夏樹と優子は千葉市の住民になっおり、優子は夏樹の同居人として同じ住民票になっている。奏音は単独の住民票で高岡に置いている。
 
奏音を夏樹の養子にしたいのだが、そのためには奏音の住民票を千葉に移す必要があり、それに優子の両親が抵抗していた。
 

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「でも住民票を金沢のどこの住所に置くの?」
「うーん・・・1Kのアパートでも借りて、そこに置こうか」
「それなら、普通に3人で暮らせるアパート借りて、最初からそこに引っ越したほうがいいと思う。住民票置くだけのアパートとかもったいないよ」
「確かにそうだ」
 
夏樹は小さなアパートでも借りといて、仕事が遅くなった時は高岡まで戻らずに、そこで寝ればいいやと思ったのだが、優子に言われてみれば、確かに普通に優子・奏音と3人で暮らせる2DK程度のアパートを借りた方がいい気がする。
 

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「じゃ、そちらで適当なアパート探しといてくれない?」
「いいよ。そちらの引越作業は?」
「たぶん1人で何とかなるんじゃないのかなあ」
 
「でもお仕事しながらなんでしょ?私、そちらに行こうか。アパート探すのはお母ちゃんに頼む。そしてなっちゃんが仕事に行ってる間に私、荷造りするよ」
 
「そのほうがいいかな。でもどうやってこちらに来る?」
「ムラーノ運転して行くかも」
「分かった」
 
それで優子が引越の手伝いに千葉に行くことになったのである。
 
優子はこのことを両親に話した。すると、夏樹が金沢支店に転勤になったというのは、歓迎してくれたものの、金沢に優子・奏音と一緒に引っ越すというのには反対した。
 
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「高岡じゃダメなの?金沢のどの付近?」
「会社はF町、イオン金沢というか昔のサティの近くなんだよ」
「だったらここから車で30分で行けるはず(*16)」
 
(*16) 父はかなり短い時間を言っている。後述するが、朝の通勤時間帯にその時間で到達するのは、少なくとも四輪の車では困難(雪の日以外はバイクを使う手はあるが)。
 

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「でも高岡市にはパートナーシップ宣言の制度が無いんだよ」
「へ!?」
 
それで優子は、パートナーシップ宣言は自治体レベルで定められた制度なのでできる自治体とできない自治体があるというのを説明する。
 
「なんて不便な。全国統一すればいいのに」
「全くそう思う」
 

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すると、優子の父・宮春は言った。
 
「よし。全員で金沢市に引っ越そう」
「え〜〜〜!?」
 
「そしたら、お父ちゃんの通勤は?」
と母が訊く。
 
「サティの付近からなら福岡(*17)までは車で30分ちょっとで行けるよ」
 
(↑今の家からサティ付近までは30分で無理なことを認めてる!!)
 
(*17) “福岡”は高岡市西部の地域名(旧福岡町:2005年に高岡市に合併)。JR福岡駅、能越自動車道・福岡PA/ICがある。優子の父は現在の自宅
(高岡市南部)から車で15分ほどかけて福岡地区の会社に通勤している。
 
北福岡駅→上福岡駅→福岡駅→南福岡駅というルートは大移動、というネタがあった。南福岡駅は福岡県で博多駅の近く、福岡駅は富山県、上福岡駅は埼玉県、北福岡駅は岩手県。但し北福岡駅はその後“二戸(にのへ)駅”に改名した。
 
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それ以外に伊那福岡駅(長野県/飯田線)もあるし、また昔は加賀福岡駅(石川県/北陸鉄道)、美濃福岡駅(岐阜県/北恵那鉄道)もあった。
 
福岡という地名は多い。
 

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「5人で暮らすとなると3LDKくらい必要だよ。借り賃も高いよ」
と優子は言う。金沢市内で3LDKなら8万から10万しそうである。
 
「マンションとかだと階段の登り降りが大変だよ。一戸建てを買おう」
「お金は?」
「この家を売ればいい」
「え〜〜〜!?」
 
「だってまだローンが残っているのに」
 
住宅ローンはまだ200万くらい残っている筈である。更には、7年前に父が叔父の保証かぶりをして負った負債を銀行から借りて払った分のローンも少しずつ返していたのが、残り100万ほどある。うちには全くお金が無い。
 
「新しい家を建てるのにお金を借りたらそのお金の一部でこちらの残ローンは返済すればいい」
 
「それほとんど詐欺だし、そもそもローン審査が降りないと思う。だいたい夏樹の引越には間に合わない」
と優子は言った。
 
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ところが! 思いも寄らないことが起きたのである。
 
夏樹から金沢転勤の報せを受けた翌日、3月31日(木)の午前中、父の弟(優子の叔父)が、訪問してきたのである。
 
叔父は小さな会社を経営していたが、2015年7月、取引先の大企業が倒産したのの連鎖倒産に巻き込まれ、会社は倒産、本人も破産に追い込まれた。そしてその借金の中で優子の父が保証人になっていた800万円が父にかかってきたのである。この800万を工面するのに、父は全ての資産を失い、優子も
40万ほど支援している。
 
(優子の務めていた会社が倒産し、買ったばかりの車を手放す羽目になったので、その売却差額を送金した。その時売った車(アテンザ)を偶然千里が買った)
 
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父は不機嫌そうな顔をしていたが、一応兄弟なので居間にあげる。すると、叔父は、床に頭を着けて「あの時は済まなかった」と改めて謝った上で、日本銀行の封がされている札束を8つカバンから出して積み上げた。父が目を丸くしている。
 
「7年前は本当に申し訳無かった。あの時、迷惑を掛けた800万円を返しにきた。これは元金だけど、利子はいくら必要か言って欲しい。来週くらいにも用意して振り込むから」
 
「利子など要らんけど、この金はとうしたの?」
 
叔父は破産後は会社の経営をすることは諦め、会社勤めをしている。あまり大した給料ではないようで、これまで保証かぶりのお金の返却の話をしたことは無かったはずである。
 
「実は宝くじに当たったんだよ」
「宝くじか!」
 
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「2000万円当って。高額だから受け取るのに時間が掛かったんだけど、昨日取り敢えず浩光兄さんのところに行って900万返してきた。それで今日は宮春兄さんのところに来た」
 

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「それじゃ300万しか残らないじゃないか」
と父はひとの心配をしている。
 
「信販会社とかの借金はいいけど、兄さんたちから借りたのは法的に免責になっているといっても放っておけない気がして。残った分は子供の学資に使わせてもらうつもり」
 
叔父の子供さんは・・・今大学生くらいかな??
 
父は考えていた。
 
「偏頗(へんぱ)弁済になると思う」
と父は硬いことを言う。
 
「だからこっそりと返すということで。それで現金で持って来た」
 
「まあいいか」
と父は言い、受け取りだけ書いて署名捺印し、叔父に渡した。
 
叔父は何度もお辞儀をして帰って行った。
 

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「お父さん」
と母が言う。
 
「うん。借金が返せる」
と父が初めて嬉しそうに言った。
 
「優子、ちょっと付いてきてくれ」
「うん」
 
それで父は優子と一緒に出かけ、まずは500万円を北陸銀行に入金した。
 
それから、住宅ローンを借りている富山銀行に行き、200万円を入金した上で窓口に行き、住宅ローンの残高を一括返済したいと言った。金額を計算して引き落としてもらう。そして精算書を受け取った。抵当権解除の委任状は自宅宛てに郵送するということだった。
 
次に、保証かぶりのお金を払うためにローンを借りた富山第一銀行に行き、100万円を入金した上で、ここでも窓口で、ローンの残高を一括返済したいと伝える。計算して引き落としてもらい精算書を発行してもらった。
 
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これで大きなローンは全て完済した。いったん家に戻る。
 
父は母に言った。
 
「お前ローンとか抱えてないか。そういうのがあったら、まずはそれを完済しよう」
 
すると母は「実は・・・」と言ってカードローンに50万の残高があることを告白した。「すぐATMに行って返済しよう」と言って、今度は父と母で一緒に出掛けて行き、30分ほどで戻って来た。
 
「優子、お前は借金は?」
「無職の人にお金を貸してくれる人は居ない」
「確かに」
 

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「これで480万円残っている。これで金沢市内の土地を買って家を建てよう」
「そのお金では土地を買うので精一杯という気がする」
 
「こちらの土地・建物を担保にお金を借りる」
「大して担保価値無いと思うけど」
「取り敢えず良さそうな所を探そう」
「まあ探すだけなら」
 
そんな話を3月31日にしたのである。
 
優子は唐突に思い出した。
 
「ねえ、今私が使っているムラーノだけど、これ千里さんからタダでもらったのよね」
「タダだったんだ!」
「それも車検切れで廃車にする予定だったのをわざわざ車検を通してから渡してくれたんだよ。お金に余裕ができたら、あの時の車検代だけでも渡せないかと思ってたのよね」
 
「あの車の車検って、その後こちらで通した時はいくら払った?」
「12万払った」
 
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2019.06 千里がムラーノの車検を通してから優子に譲渡
2021.06 優子が車検を通す
 
「だったらそれも含めて30-40万くらいあげたら」
と母が言う(気が大きくなってる:とても危険な兆候)。
 
「ちょっと連絡取ってみる」
 

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