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■春動(6)
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1月1日朝、千里(千里2?4?)に“アクアのアクア”で熊谷まで送ってもらい、ケイ・詩津紅・上野美津穂、三千花・七美花の姉妹と一緒にHonda-Jet
Blueで郷愁飛行場から小浜のミューズ飛行場に移動した。
青葉たちを見送った千里は転送で小浜に戻った(ということにしておこう、と誰かが呟いた気がした)。
一方この日の朝6時、勾陳(山村マネージャー)が操縦するヘリコプター(エキュレイユ2)が、八王子のアクア宅の庭!から飛び立った。乗っていたのは、アクアMF、今井葉月、千里3?6?であった。
この日はお昼過ぎから、国立代々木第2体育館で、Wリーグ・レッドインパルスの試合があったが、出場したのは、寝ている桃香を放置して東京に転送してきた千里1であった(ことにしているが、青葉を熊谷まで送っていった4だったりして)。
そしてそれと重なる時間で小浜のミューズシアターではローズ+リリーのニューイヤーライブが行われたが、これに青葉、北陸組の3人、早月、翠、そして千里2が出演している。アクアもゲスト出演したが、アクアは忙しいので、自分の出番が終わると、再び山村マネージャーの操縦するヘリコプターで、葉月・千里3(6?)とともに東京に戻った。アクアのヘリコプターに千里が同乗するのは、もちろんアクアの貞操を守るためである!!
(結局この日は、千里が最低3人稼働している)
千里1は試合が終わると、高岡に転送で移動して、お腹をすかせている桃香に御飯を食べさせた(ということにしておく)。
1月2日に、阿倍子(京平の法律上の実母で親権者)は桃香の携帯に掛けてきて、京平に代わってもらい、言った。
「京平、ランドセルを買って送ってあげるけど、色は何がいい?」
「そうだなあ。ピンクとかも可愛くていいかなあ」
「ピンクなの!?」
ピンクまずいのかなあ・・・・などと京平は思う。可愛いのに。
「じゃ赤にしようかな」
「うーん。あんたが赤がいいというのなら、じゃ赤を買って送ってあげるよ」
「うん。ありがとう」
なお来紗は「赤は嫌だ」と言って、青いランドセルを夏樹の父に買ってもらいそれをしょって通学している。
1月2日に、青山家では白山ひめ神社まで初詣に出掛けた。
数台の車に分乗し、渋滞に耐えて、何とか白山ひめ神社の広大な駐車場まで辿り着いたが、空いている場所を見付けるのが大変だった。またそこまで行く途中、雪道なので、いつものように、脇に突っ込んでスタックしている車を何台も見た。
この初詣に、歩は紋付き袴、広紀は振袖で出掛けた(でも足は雪道を歩けるようにスニーカー)。実はこの振袖は歩が成人式で着たものである(着付けは1ヶ月前に予約していた美容室で早朝!してもらった:早朝しか空いてなかった)。
昇殿して祈祷してもらったが、お正月なので昇殿する人も多く、ここでも結構待ち時間があった。
トイレに行く時、広紀はもちろん女子トイレを使うが、歩は堂々と男子トイレを使った。歩が袴姿のまま小便器を使うので
「よく袴で出来るね」
と広紀の兄が感心していた。
「慣れですよ」
と歩は言っていたが、つまり歩にはちんちんがあるのだろうな、と兄は思った。やはり赤ちゃん産むのは、広紀の方か??
小浜でのライブに出た千里2は1月3日の夕方、セレナに、下記のメンツを乗せると、金沢方面に向かった。
助手席:吉田邦生
2列目:日高久美子・田中世梨奈
3列目:高園早月・落合翠
実は北陸組を運ぶために、来る時もわざわざ大きなセレナを使ったのである。
千里2は、金沢で邦生を降ろし、宇ノ気で翠を降ろしてから、高岡に向かって、久美子・世梨奈を各々の自宅で降ろした上で、早月と一緒に青葉家に戻った。
1月3日の夜12時近く、高岡の青葉家に、小浜のライブに早月を連れて行っていた千里がセレナで戻って来た。早月はもうぐっすり寝ているので、千里が抱いて子供部屋の布団に寝せた。
そして千里は今度は黒いインプレッサに桃香を乗せて、青葉家を出たのである。
「じゃ千里さん、よろしく」
と季里子が見送る。
「OKOK。じゃ子供たちをよろしくー」
と言って、千里は車を出した。
桃香は塾の講師なので、この時期物凄く忙しく、長く休むことはできない。それで4日から塾に出る必要があった。それで千里の車で送ってもらうことにしたのである。
季里子としては、桃香と千里を2人っきりにはしたくないのだが、千里は
「決して桃香には手を付けない」
と約束した。それで季里子も千里に頼むことにした。
桃香に運転させる訳にはいかないし!!
それに季里子としては、桃香よりは千里の方を信用できる気分だったのである。
(桃香は色々な意味で信用が無い)
1月4日(火).
藤尾歩と青山広紀が(実は一緒に)出社すると、男の娘社員・恵利香のまわりに人が集まっている。
「どうしたの?」
「恵利香ちゃん、とうとう去勢手術したんだって」
「おお、それはおめでとう!」
「ちょっと悩んだりもしたけど、取って良かったと思った」
「まああんな邪魔な物付けておく意味は無いよね」
と昨年性転換してして女性社員になったルーシーが言っている。
「男の子は10歳の誕生日が来たら全員去勢したほうがいいよ」
ま、過激ね!
「でもこれでうちの事業部から睾丸が消滅したね」
「うん。もう医学的な男性は消滅した」
と歩も言っていた。
日高久美子は高岡T高校で、青葉たちより1つ下の学年だった。青葉たちと同じ合唱軽音部で合唱ではソプラノ、楽器ではテナーサックスの担当だった。むろんアルトサックスも吹ける。彼女は親にアルトサックスを買ってもらい、自宅ではそちらで練習していた。
青葉人脈で、ローズ+リリーのライブに、2016年以来サックス奏者として参加していたので、今回のアクアのトリビュートアルバムの制作でも声を掛けて、参加してもらった。
彼女は2021年春に地元の私立大学を卒業した後、入った会社がコロナの影響で倒産。取り敢えずつなぎのバイトと思ってやったコンビニのバイトがあまりにハードで体調を崩して退職。ちょうどその療養明けに、トリビュートアルバムに参加した。奨学金の返済ができない!と叫んでいたが、アルバム制作のギャラは高いので「助かったぁ」と言っていた:多分親が「助かった」と思っている。
彼女がこの後の仕事が無いなどと言っていたら、若葉が声を掛けた。
「うちのレストランでも良かったら、仕事する?」
「やりますやります」
ということで、久美子はムーランに勤めることになった。
それで今回のニューイヤーライブが終わって北陸に戻った後、あらためて、(1/4は午前中寝て夕方から美容室に行った上で) 1月5日、ムーラン高岡店に出向き、正式に採用される。そして同店で配膳スタッフとして働き始めた。ムーランは日によって和洋中+軽食で4種類の制服があるので面白がっていた。
ムーランはトレーラーレストランなので、トレーラー自体は、津幡・羽咋・高岡の3ヶ所を巡回し、調理スタッフはそのトレーラーと一緒に毎日違う場所で仕事をするものの、配膳スタッフは“現地採用”なので、高岡店で採用された場合は毎日高岡のトレーラー駐め場所に行って仕事をすればいい。しかしそこに駐めるトレーラーは毎日違うので、それに合わせて、和食用・洋食用・中華用・軽食用の制服を着るのである。(軽食はレンチン料理中心なので、調理スタッフはおらず配膳スタッフが温めをおこなう。コーヒーくらいはペーパーフィルターで入れる)
ムーランは若葉が「お金が余って困っているので少しでも減らしたい」と言ってやっている商売なので、飲食店にしては、わりと給料が良い。あまりに給料が良いので、風俗営業店と間違って応募してくるお姉様方もいるが、さすがに丁重にお断りしている。
もっともムーランは、コロナ流行によりテイクアウト・デリバリー部門が大きく伸び、若葉に莫大な利益をもたらしている。おかげで若葉の資産は既に1兆円を越えている(2017年3月にムーランを始めた時の資産は3000億円程度)。
「でもデリバリー担当の人たちって体格のいい女性が多いですね」
「スポーツやってる女子のほか、男の娘を積極的に採用してるからね」
「すごーい!」
「お客さんと1対1になった時、性被害に遭わないようにという選考基準なんだよ」
「なるほどー」
「男の娘さんにとっては、女子制服を着て仕事できて、同僚とあまり会話しなくても済んで声バレしにくいから天国らしいよ」
「確かに!」
「着替えも男の娘更衣室があるから、まだ身体を直してない人にも気楽だし」
(男の娘でも(物理的または化学的に)去勢済みでAカップ程度以上の生胸があり、下着姿が女子にしか見えない人には審査の上、女子更衣室に入れるIDカードを渡している。トイレについては良識に任せている)
「うむむ。私、背も高いし、男の娘更衣室に行けと言われたらどうしよう?」
「久美子ちゃんのおっぱいサイズあれば、ぎりぎり女に分類されるのでは」
「やはり、ぎりぎりくらい!?」
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春動(6)