【竹取物語2022】(13)銀も金も玉も

前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 
 
銀(しろがも)も金(くがね)も玉(たまも)も。
 
かぐや姫たちの姿が消えたあと、桃は突然気がつきました。
 
「この子のお乳、どうしよう?都(みやこ)あるいはせめて和紙製作所のある美濃か中継所のある熱田(名古屋)まで戻れば誰か乳母(めのと)を頼めるけど」
と桃。
 
「こんな知らない土地では頼みようが無いね」
と竹。
 
すると雪兎(ゆきえ)が現れて言いました。
「都あるいは美濃か熱田までお連れします。どこがいいですか?」
 
「どうせなら都!」
「では、この扉を開けたら都です」
 

それで桃が扉を開けると、そこは以前かぐや姫が住んでいた家の前でした。乗って来た馬も“3頭”そばに居ます。
 
「あれ?菘鳥様は?」
 
松と竹は居ますが、菘鳥が居ません。
 
「御自宅にいらっしゃったようです。各々自分の思いが強い所に行くので。では私は菘鳥様のところに行ってきます」
と言って雪兎は姿を消します。
 
ここの家は現在は翁と媼に、桐と夫の竹内晴昌が住んでいます。隣の別宅側には小夜の一家が住んでいます。
 
その小夜(松梨詩恩)がちょうど桐(箱崎マイコ)を連れて別宅の玄関から表に出て来ました。桐が手を振るので松と竹も手を振ります。桃は手がふさがっているので会釈しました。
 
「あら、こんにちは、桃さん。その子供は?」
と小夜。
 
「えへへ。私の子供なのです」
「いつの間に!」
と2人は驚きます。
 
「でもこの子可愛いね。なんかちょっとかぐや姫に似てない?」
と小夜。
「私も思った」
と桐。
 
「私ずっとかぐや姫様のおそばに居たからそれで感応してかぐや姫様に似たのかも」
「ああ、あんたほんとにいつも姫にピッタリ付いてたもんね。沐浴や風呂(*208)に入るのも一緒だったし」
 
語り手「小夜は、女同士で子供ができることもあるんだっけ?と一瞬考えたものの、あまり気にしないことにしました!」
 
(視聴者の声「松梨詩恩は物事を深く考える人ではない」)
 

(*208)沐浴というのは、日常的な身体の“よごれ”“けがれ”を落とすもので、貴族なら2〜3日に1度はおこなう。沐浴場(湯殿/湯小屋)には比較的小さな沐槽と少し大きめの浴槽が並んでいる。沐槽のお湯を汲んで身体を洗った上で、最後に浴槽に入る。
 
もっと簡単な小沐というのもあり、貴族は沐浴しない日は小沐する。沐浴・小沐するのは朝出勤前である。寝て汗を掻いた後すっきりして仕事に出掛けるのは合理的。
 
かぐや姫はずっと平民ではあったが、湯小屋程度の設備はあって、かぐや姫ならきっと毎日沐浴して身体を清めていたものと思われる。姫様の沐浴には補助する女房や女童が3名程度は必要である。桜・橘・桃の3人で補助していたのだろう。
 
風呂というのは蒸し風呂で、風呂殿/風呂小屋で石を熱く焼いて、その上に水を掛け大量の蒸気を発生させるもの(枕草子に記載がある)。とても贅沢な設備であり、上級貴族の家にしかなかった。これを使用するのは上級貴族でも月に1回程度である。風呂小屋を持たない中級貴族は、関わりのある上級貴族の家の風呂殿/風呂小屋を借りたりした。これもかぐや姫の家には装備されていたであろう。やはりかぐや姫が風呂に入る時は桜・橘・桃が補助したものと思われる。
 

現在のかぐや姫邸(再掲)

 
桃は言いました。
 
「翁と媼にこの子をお見せしようかなと思って連れてきたの」
「うん。見せてあげて。うちの子供たちともよく遊んでるし」
 
それで本宅に入り、翁・媼に見せると
 
「可愛いね!」
と言って、翁と媼は嬉しそうに見ています。
 
「抱いていいですよ」
と桃が言うので媼が抱きますが、翁は怖がってただ見ているだけです。
 
「ねえ、この子かぐや姫に少し似てない?」
「美人ですから。鳶が鷹を産んだって感じの美人ですよね。美人ってお互い似るものなんですよ」
 
「ああ、そうかもね」
 

語り手「桃は石上菘鳥殿のツテで確かな乳母を頼み、かぐや姫が託した娘・雪子を育て始めました」
 
映像は乳母(桜木ワルツ)が雪子に授乳している姿。
 
「養育費に関しては、かぐや姫の侍女で銀色の羽衣を着た“雪兎”(月城たみよ)が時々桃の前に現れて黄金を渡したので何の不自由もありませんでした。昔の竹取翁の場合と違って、桃は石上菘鳥の妻で、かぐや姫の元侍女という立場なので黄金を持っていても誰も怪しみません」
 
「翁と媼は小夜の子供たちともよく遊びましたが、時々輿で運んでもらい藤や紫、桃の家まで行き、各々の子供と遊んでいました。特に雪子の所には歩いても行けるので毎日顔を出していました。そうこうしている内に2人は随分元気になりました」
 
(撮影に使用した赤ちゃんは『とりかへばや物語』でも使用した赤ちゃんロボット。特に雪子の個体はアクアの赤ちゃんの時の写真を元に顔を作った!スペシャル版)
 

帝(アクア)が出産したばかりの光(アクア)を見舞っています。光は布団に寝ています(*211)。赤ちゃんは隣の小さな布団に寝せられています。
 
「でかした。また男の子だったな」
「今の所、男、女、男と交互ですね」
「女の子も可愛くてよい」
 
傍に3歳(*210)の女の子を抱いた女房(神田いづみ)、5歳(*210)の男の子を抱いた女房(日野ソナタ)が控えています。
 
(視聴者の声「アクアとアクアで生殖したらアクアが生まれる気がする」「どこかに自分と結婚して自分を産む話があったな(*209)」)
 

(*209) きっとハインライン『輪廻の蛇』。究極の自己完結物語。
 
(*210) いづれも数え年。以下同様。
 
5歳の男の子を演じたの唐本あやめ、3歳の女の子を演じたのは小山内弘晴である。あやめはマリの子供、小山内弘晴はケイの姉・萌依の子供。リアルの性別と逆なのは、子供の役を年齢で割り振った結果でゆりこの差し金ではない。
 
生まれたての子供はロボット。
 
(*211) 当時は掛け布団が無いので、敷き布団の上に寝て、身体の上には上着を掛けている。
 

山の中、川縁に建つお邸。
 
★音楽:常滑舞音『素敵な山の秘密基地』
 
子供が4人走り回っています。元々鬼ごっこをしていたようですが、小さい子はルールがよく分かっておらず、結果的に単なる駆けっこになってしまったようです。でもみんな楽しそうです。女房の鯛(木下宏紀)が
 
「そんなに走ったら転びますよ」
と注意しています。
 
乳母たちは笑っています。
 
★音楽:常滑舞音『しろがねも、くがねも、たまも、*んたまも』(*212)
 
乳母:璃久 菜美 音々 依帆 (乙女地区)
 
(乙女地区は姫路スピカのバックバンド)
 
(*212) 山上憶良のあまりにも有名な歌『銀(しろがね)も金(くがね)も玉(たま)も何せむに。勝(まさ)れる宝、子にしかめやも』をベースにして未来居住が歌詞を書いた。
 
CDの歌詞カードには『しろがねも、くがねも、たまも、めんたまも』と書いてある。でも「絶対これ“きんたま”と歌っている」と多くの声。
 

車持皇子(くらもちのみこ:キャロル前田)が頭を抱えて悩んでいます。
 
「皇子様、何を悩んでいるんですか?」
と女房装束の旅村(鈴原さくら)が訊きます。
 
「なぜ子供ができたのだろう」
「そりゃ結婚したら子供ができますよ。コウノトリが子供を運んでくるんですよ」
「そうなのか?」
 
(「今どきそんな話信じる子供は居ないぞ」と視聴者の声)
 
「だってこんなに産まれましたし」
と坂口(夢島きらら)。
 

ここに出演した子供:
 
篠田京平、高園早月、川島由美、吉野浪織、桂木来稀。
 
篠田京平・高園早月・川島由美は苗字はバラバラだが、現在浦和の家で千里が育てている子供である。
 
吉野浪織は吉野美来(XANFUSの光帆)の娘、桂木来稀は桂木織絵(XANFUSの音羽)の娘で、2人は同父異母の双子の姉妹である。
 

「ところでここに居る者の中で玉のある者は?」
「1人もいませんね」
と坂口。
 
「だよなあ。なぜ子供ができたんだろう」
と皇子はまだ悩んでいました。
 

2秒間だけ女房の鯛(木下宏紀)の顔が映り
「ぼくまだ玉があるけど“犯人”じゃないよ」
と言った。
 
(視聴者の声「木下君が女の子とセックスするとは思えない」「木下君のちんちんが立つとは思えない」「やはり犯人はキャロルだろ?」「キャロルなら玉くらい無くても女を妊娠させそうだ」)
 
3秒間だけ雪兎(月城たみよ)が映る。雪兎は“金の銅鑼珠・銀の銅鑼珠”を須恵器の皿に載せてニヤニヤしているが、カメラに気付くと驚いたような顔をして
「ぼく何もしてないよ」
と焦ったように言った。
 
(視聴者から「凄く怪しい!」という声!)
 

語り手「車持皇子が玉を既に取っているのに子供を作ったのはきっと匠たちを招いて玉を作らせたからだろうと人々は噂し、これを“玉つくる”と言っていたのが訛って「玉つける」→「玉ける」となったのが「たまげる」という言葉の始まりだそうです」
 
(視聴者の声「無理がある」「だいたいどうやって作るんだ?」「金(きん)で作ったんだろ?」「誰うま」)
 

語り手「その後、かぐや姫は雪子の2年後に今度は月子を産み、再び桃に託しました。一方、桃自身も石上菘鳥と正式に結婚して子供を産みました。その結果、桃の家には子供があふれます。桃の狭い家にはとても収容できなくなり、竹取の翁・媼の家からあまり遠くない場所に広い土地を求め、そこに部屋が10個ほど取れる館を建てました」
 
映像は桃の家の中を4人の子供が走り回る様。
 
★音楽:常滑舞音『しろがねも、くがねも、たまも、*んたまも』
 
出演している子供は下記。
 
かぐや姫の子供
(雪子)白雪めぐみ (月子)大林月花
桃の子供
(朝子)細川緩菜 (夜子)唐本大輝
 
細川緩菜は千里と夫の細川貴司さんとの子。唐本大輝は、政子と大林亮平の間の子供。大林月花は大林亮平と原野妃登美の間の子である。
 

子供たちが走り回るのを乳母たちが追いかけますが捕まりません。その内乳母のほうが転びました。(本当に転んだ映像を活かした)
 
松と竹も子供たちを見て微笑んでいます。
 
乳母:桜木ワルツ、十勝萌子、五和真希、四谷恵美、三嶋道代、二見睦子 (白雪1200km)
 
子供の人数より乳母が多いのは多分近々子供が増えるため(それでも多いぞ)。
 
(白雪1200kmは菘鳥を演じている白鳥リズムのバックバンド。10×5×4×3×2=1200)
 

「来月はまた富士に行ってきます」
と桃が言うと
「うん。今年はぼくは新嘗祭の準備で行けないけど、かぐや姫様と兄貴によろしく」
と菘鳥(白鳥リズム)は答えます。
「うん」
 

それで桃は護衛の松と竹、今年5歳になる雪子、3歳になる月子を連れて旅に出ました。雪子は今回が3度目ですが、月子は初めての富士行きとなります。
 
3頭の馬で向かいます。月子を桃がおんぶして、雪子は竹の馬に一緒に乗りました。
 
子供連れなのでゆっくりとした歩みです。
 
語り手「桃は年に1度は富士まで行き、かぐや姫に会いました。それで、たまにかぐや姫に会うことを“たまかぐや”と言い、それが訛って、“たまかや”→“たまはや”→“たまはた”→“たなはた”と変化して、“たなばた”という言葉が生まれたそうです」
 
(視聴者の声「そろそろネタが尽きてきたか」「かなり苦しかった」)
 

映像は、馬を降りた桃たちが、“休処”と書かれた建物に入って行く様子を映す。案内係(早幡そら)が「いらっしゃーい」と歓迎する。
 
(アクアのボディダブルとして7月頭から1ヶ月、目の回るような忙しさだったのにどこにも自分の顔は映っていなかった早幡そらがここだけ顔出しした)
 
語り手「その頃までは旅は基本的に野宿だったのですが、女子供にとって野宿は辛いので、かぐや姫からもらう黄金を使って、都から富士までの途中、だいたい20里から40里、つまり 10-20km (*213) おきに、休める場所を作り管理人を各々の土地で雇いました」
 
(*213) 当時の里(り)は現在の約500m.
 

「竹細工・紙・お菓子や果物を売るお店、更に飲食店も併設しています。筆記具貸出しサービスもします。字が読み書きできない人のために口述筆記もします。実は旅人には紙が結構売れ筆記具の貸出し・口述筆記も人気でした。手紙を運ぶサービスもしました。更にぼろ布の買い取りもしています。麻紙の材料になるのです。この買取りがまた繁盛しました」
 
「ここは一般の人でも代金さえ払えば、屋根の下で夜を過ごすことができて、寒い時期は藁くらいもらえて、御飯も食べられる場所です。泊まらずに食事だけすることもできます。これを最初“やすみどころ(休処)”と言っていたのを略して“やど”というようになったそうです」
 
(視聴者の声「今一瞬信じそうになった」(*214))
 

(*214) “やど”とは“屋の処(と)”が語源で、“家屋のある場所”という意味。自分の家も仮の宿泊場所も等しく“やど”と言った。そこから派生して“屋戸”と書いて家の戸を意味したり、“屋前”と書いて家の庭を意味したりした。一方“やどる”は“屋取る”であり、“やど”とは直接関係ない!
 
“やど”の“ど”は甲類(dwo)
“やどる”の“ど”は乙類(do)
 
現在ではどちらも“お”の母音だが、奈良時代頃は発音も異なっていた。
 
しかし後に日本語の発音から甲類・乙類の区別が消え、それに伴い両者は発音が似ていることから混用されるようになった。
 
“休み処”から“やど”というのは、前半は間違っているが後半は正解。
 

吉原の休処で1泊した後、5人が馬で富士に向かいますと、いつものように銀色の女性“雪兎”(ゆきえ)が現れて、桃たちを案内します。どうもあの小屋は雪兎が案内しない限り辿り着けない場所、恐らくはこの世と月世界の中間にあるものと思われました。
 
そして山小屋で、1年振りにかぐや姫と会いました。
 
かぐや姫も石上麻呂も雪子・月子を抱きしめます。そして桃もかぐや姫に抱きしめてもらいます。
 
「ごめんね。ずっとそばに居られなくて」
と言って、かぐや姫が泣いているので、桃も涙を誘われます。
 
「桃にもたくさん苦労を掛けてごめんね」
「大丈夫ですよ。この子たち病気ひとつしないで丈夫だし」
 

「それで今度はこの子をお願い」
と言って、かぐや姫が赤ちゃんを渡すので桃は受け取ります。
「可愛い子ですね」
「名前は花子で」
「分かりました」
 
語り手「かぐや姫の子供が上から雪子、月子、花子だったので、そこから“雪月花”ということばが生まれたのだそうです」(*215)
 
(*215) 本当は白居易の漢詩から生まれた言葉。
 
五歳優遊同過日
一朝消散似浮雲
琴詩酒伴皆抛我
“雪月花”時最憶君
幾度聽鶏歌白日
亦曾騎馬詠紅裙
呉娘暮雨蕭蕭曲
自別江南更不聞
 
- 白居易、寄殷協律
(白居易が協律の殷に寄す)
 
5年の間、君と過ごした日々は
あの朝、突然浮雲のように消散した。
琴を弾き詩を詠み酒を交わした友も皆去って行った。
雪・月・花を見る時、特に君のことを思っていた。
何度、黄鶏の歌を聴き、白日の曲を歌い、
馬に乗って、赤い衣の美女を詠じたろうか。
でも呉娘の「暮雨蕭々」の曲は
江南で君と別れて以来一度も聞いていない。
 
西洋の詩人は異性との再会を歌い、中国の詩人は同性の友人との再会を歌う!協律というのは部署の名前で、友人の名前が殷である。この詩が読まれたのは825年で、かぐや姫より後の時代だったりして。
 
日本では雪月花に“風”を加えて、春=花、夏=風、秋=月、冬=雪、とする考えもある。宝塚の組は元々は雪月花にあわせて雪組・月組・花組の3つだった。
 

語り手「そういう訳で桃が昇天の時かぐや姫に言ったように、彼女はかぐや姫の子供の成長を見守っていくことになったのです」
 
(男子視聴者の声「要するにかぐや姫って産み捨ての育児放棄女では?」)
(女子視聴者の声「私がアクアちゃんが産んだ赤ちゃん育ててあげたい」)
 
看板係(麻生ルミナ)が黄金の服を着て「完」と書かれたプラカードを掲げる。そしてエンドロールになる。出演した人はクレジットした人だけでも200人を越えた。本当に映画並みの大作だった。実際普通の映画の倍の尺がある。
 
エンドロールのバックにアクアが歌う『竹取物語』が流れる(*216)。
 

視聴者の声
「かぐや姫は地上に残る結末かなと思ったがこのエンドもありと思う」
「かぐや姫の相手になり得たのは、阿倍右大臣か石上麻呂だけだった。この2人だけが最後までマジメにやった」
「松田理史君が演じた阿倍御主人(みうし)とくっつくかと思ったのに」
「こういう結末だから石上麻呂が宇菜ちゃんだったのか」
「アクアとラブシーンしてもファンから殺されそうにない数少ない人物」
 
「かぐや姫が桃に赤ちゃん渡すシーンでは泣いたけど、その後は蛇足だったな」
「蛇足に更に羽根描いて火炎放射までさせた感じだ」
 
鳥山プロデューサーのコメント
「昨年の『浦島太郎』が涙の感動シーンで終わったので今年は笑いで終えたかったんですよね。蛇足というご批判はその通りだと思います」
 
視聴者の声
「たぶん10月に制作する長編時代劇のテスト出演というのもあったんだろうけど、信濃町ガールズ総出演だったね」
「特に新人をどんどん重要な所に使ってた」
「桃を演じた川泉パフェちゃんって、可愛いし上手かったね。エピローグはパフェ主演って感じだった」(*217)
「今年のビデオガールコンテストの優勝者らしいよ」
「凄い。だったら1月にはCDデビューかな」
「歌も凄くうまいらしい。今年は舞音ちゃん効果で凄いレベル高かったのに圧倒的1位だったというし。今回歌は歌わせなかったけど」
「こんな強力な子が出て来たら、本当に§§ミュージック戦国時代だ」
 

(*216) アクアの日程が詰まっていてこの曲の音源制作は放送当日、放送1時間前に完了した!万一間に合わなかった場合に備えてラピスラズリ版も用意していた。
 
でも翌日の昼からオンライン・ストアで公開された!!
 
CDは1週間後(8/31)、サウンドトラックは半月後(9/7)にリリースされた。
 
そもそも放送のビデオが完成したのが(アクアの歌部分を除いて)放送前日だった。編集スタッフは尺に収めるのに物凄く苦労した。結果的にクレジットされているのに全く映ってない人が結構出た。
 
七尾ロマンなども顔が全く映ってなくて(清涼殿の庭でひれ伏しているだけ)、思わず「ひっどーい!」と叫んだ。再放送版で1秒だけ映った!再放送版ではアクアの歌が更新されているのも報告されていた。シングルとして発売したバージョンに差し替えられた。
 

その他、再放送版で変更されていた主な箇所:
 
・車持皇子が旅村をレイプしようとする所→カット
・玉姫が車持皇子に玉取りを勧めるシーン→カット
・Pumpkin Coachのメンバーが海の底から真珠を採ってくるシーン→復活
・車持皇子が鬼ヶ島を探検するシーン→復活
(犬・猿・雉を演じる常滑舞音と水谷姉妹の熱演が復活!)
 
この番組は8月28日の再放送が、8月20日の本放送以上の視聴率となった。
 
なお再放送でカットされた場面は映画版・DVD完全版では復活した。クレジットされていた人全員の出演シーンが含まれている。
 

(*217) 川泉パフェがエピローグの主役のようになったのは偶然の産物である。
 
最初に書かれたシナリオでは、竹取翁が富士まで行って、かぐや姫から赤ちゃんを託される展開だった。しかし台本を読んだ一部の出演者からこんな感想が出た。
 
「月の世界に帰ったって実質死んだのと同じですもんね。結婚目前の娘が死んだら精神的な回復に1年掛かるでしょうね」
 
それをたまたま耳にした美高助監督が河村監督(美高さんの夫)に相談する。
 
「そもそも当時、ホテルも車も無かったのに70歳って今なら80か90くらいに相当する高齢でしょ?しかも翁はかぐや姫の昇天で酷くやつれている。その状態で遙か静岡まで野宿の旅をして、更に富士登山できる?」
 
監督も疑問を感じたので監督・助監督・プロデューサー・脚本家で話し合った。それで確かにこの展開は無理があるということになった。そして誰か代理で受け取ってきて翁・媼に見せる案が浮上した。
 
代理ができるのは結局かぐや姫に仕えていた女房の誰かだろうということになった。この時点でもう制作は始まっていて、時間的にも出演者の気持ちを考えても、今更女房役の変更はできない。スタッフが最初に考えたのは、夕波もえこ演じる松である。彼女は§§ミュージックの"New Wave" のひとりで演技力も期待できる。しかし彼女は警護役の女房であり、サポート役にはなるが中心にはなれない。女童2人も除外される。すると下記の4人の中の誰かがこの役をすることになる。
 
藤:花園裕紀
桐:箱崎マイコ
紫:広瀬みづほ
桃:川泉パフェ
 
演技力の問題でまず箱崎マイコが除外される。 残り3人でスタッフの意見は割れた。経験の長い花園裕紀、『陽気なフィドル』『黄金の流星』『お気に召すまま』と3本のドラマ・映画で端役と看板係を務めた広瀬みづほ、未知数の大器・川泉パフェ。藤はこの家の女房頭で翁の代理者として適格である。紫はかぐや姫の取り次ぎ。そして桃はかぐや姫に最も身近で仕えていた女房であり、かぐや姫に最も精神的に近距離であった者である。
 

なかなか結論が出ない中鳥山プロデューサーは言った。
 
「ここは経験云々より演技力で選ぶべきと思うんです。みなさん、ここまでの撮影を見てきた中で最も演技力のあるのは誰だと思いますか?」
 
「だったら結論は明らか」
 
ということで、未知数の新人・川泉パフェに賭けてみることにした。
 
そしてパフェは鳥山さんの期待に応え、物凄い熱演をしてくれた。彼女の演技はほんの半月前に事務所と契約したばかりで、テレビドラマ初出演とは思えない実に堂々としたものであった。このドラマのクライマックスである昇天場面と、付け加えられた新章“朝霞”がとても美しく撮れたのは彼女の熱演に依る部分が大きい。
 
桃が石川麻呂の“弟”と結婚することになったのは、リズムが“妹”役ではなく性転換して?“弟”役になったためであるが、それできれいにまとまってしまった。これも偶然の産物であるが、脚本家は放送前日まで必死にシナリオを書き直していた。
 
最後のお笑いはキャロル前田の存在感でうまく行った。彼は完璧に良きトリックスターになった。あの役もキャロル以外の人物には演じられなかった。かえってお笑い芸人などにはできない役である。
 
(あれ?“彼”でいいんだっけ?まだちんちん付いてるみたいだし)
 

サウンドトラック(34曲・2枚組)
 
常滑舞音『竹の中に見ぃ付けた!』
ラピスラズリ『プロポーズ・ラプソディ』
キャロル前田とアドベンチャー『愛しいかぐやちゃん』
松田理史『愛の振動』(龍笛。歌無し)
アクア『菅原の市(いち)(スカーバラ・フェア)』(未来居住超訳版)
坂出モナ『八個目の鉢に蜂が来た』
坂出モナ『ぼくお嫁さんになっちゃった』
キャロル前田とアドベンチャー『山の鍛冶屋』(『村の鍛冶屋』の替え歌)
薬王みなみ『西海の真珠』
キャロル前田とアドベンチャー『金銀パールをプレゼント』
WADO『荒波を越えて』
WADO『ぼくたち女の子』
パシフィック『蓬莱』
常滑舞音『素敵な山の秘密基地』(『山のワルツ』の替え歌)
常滑舞音『ねずみの火遊び火事の元』
サウザンズ『航海して行こうかい』
サウザンズ『航海して後悔した!』(↑の歌詞違い版)
常滑舞音『つばめのお宿』(『すずめのお宿』の替え歌)
XETIMA『あなたの心が見付からない』
アクア『ごめんね』
薬王みなみ『姫狩り』
橋本風榮『五節舞大哥』
白浜イズミ『平城京恋歌』
品川ありさ『Two thousand warriors』
UFO『千人乗っても大丈V(ヴイ)』
ラピスラズリ『月よりの使者』
高崎ひろか『昇天』
姫路スピカ『君去りし後』
アクア『朝霞』
坂出モナ『再会』
常滑舞音『唱歌・ふじの山』
ビンゴアキ『邂逅』
常滑舞音『しろがねも、くがねも、たまも、*んたまも』
アクア『竹取物語』
 
 
前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 
【竹取物語2022】(13)銀も金も玉も