【竹取物語2022】(7)石上麻呂の場合

前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 
 
石上麻呂の場合。
 
看板係(麻生ルミナ)が青い服を着て「かぐや姫が5人の貴公子に難題を与えた直後」と書かれたプラカードを掲げる。
 
語り手「石上(いそのかみ)中納言は、燕が持っているという子安貝を所望されました」
 
石上中納言(七浜宇菜)は、男の家人(けにん)たちを集めました。
 
(家人役をしたのはXETIMAで、撮影には22人のメンバーが参加してくれた。彼らの分の撮影は1日で終了している)
 
中納言は言いました。
 
「お前たち、ツパメが巣を作っていたら報せるように」
 
家人のひとり男1(米山光男)が訊きます
「燕の巣など見付けてどうするんです?」
 
「燕の巣があったら、そこから子安貝を取るのだ」
と中納言はおっしゃります。
 
他の家人・男2(高橋昇太)が言います。
「燕を捕って食ったことはありますが、そんなもの見たことないですよ」
 
「卵を産む時に現れると聞いたことはあります」
「でも人が見てたら消えてしまうのだとか」
「だったら燕が卵を産む瞬間なら手に入るかも」
 
などと男たちは適当なことを言っています。
 

ひとりの家人・男3(正田貴海)が言いました。
「大炊寮(おおいづかさ)の御飯を炊く棟の軒下には(*133)、たくさん燕が巣を作ります。その巣ごとに足場を組んで、男たちに監視させておいては如何でしょう」
 
全員から睨まれる!
 
「おお、それはよい考えだ。さっそくやってみよう」
と中納言(七浜宇菜)は張り切っています。
 
(*133) 原文「つくの穴ごとに」。意味不明!
 
あるいは「つかの穴ごとに」の誤写か?“つか”であれぱ“束柱”の意味かも。束柱というのは梁(はり)と棟(むね)の間の短い柱のことで、もしかしたらその横には(蒸気が出ていけるように)壁が無いのかも。そこに燕が巣を作る?
 
棟というのは家の一番高い所にある横木のこと。この上に瓦などが載っている。
 

語り手「それで中納言は男たちを連れて大炊寮まで行きました。大炊寮の責任者に話を付けて、燕の巣を見張る足場を組んで、男たちに見張らせました」
 
★音楽:常滑舞音『つばめのお宿』
(唱歌「すずめのお宿」の替え歌。未来居住作詞)
 
つばめ、つばめ、お宿はどこだ?
ちゅぴちゅん、ちゅんちゅんちゅん、こちらでござる
 

ところが人が見張っていると、つばめたちは巣に近付きません。
 
(当然)
 
その時、大炊寮の官人・倉津麿(マツ也)が言いました。
 
「こんなに大勢の男で見張っていたら、燕も怖くて近寄りませんよ、足場など取り払って、梁に縄を掛け籠を吊るし、その中に男を1人いれておくのです。そして燕が卵を産もうとする時に急いで吊り上げて、巣の中を探らせるのがよいでしょう」
 
「なるほど、それはうまいやり方ですね。でも燕が卵を産む時ってどうやったら分かるのです?」
 
「燕は卵を産む時は、尾を高くあげて七回まわってから卵を産み落とすと申します。それを目印にするのがよいでしょう」
 
「分かりました。ありがとうございます」
 
中納言は倉津麿に褒美を取らせました。
 
「よし梁に縄を掛けて籠を結びつけろ。それから足場は全部崩してしまえ」
と中納言は命じます。
 
男たちは梁に綱を掛け、片側の端に籠を結び付けました。その上で足場は崩しました(*134).
 
(*134) 足場も籠も1個だけ実際に作った。あとそれを映像的に合成して多数並んでいるように見せている。XETIMAのメンバーは全員1m四方の板をブルーのフロアに直接置いたものの上に座りその映像と“増殖した”足場の映像を合成した。
 

「では、燕が尾を高くあげて回り出したら、その巣の所に誰か入って、みんなで引き上げろ」
と中納言は言います。
 
「誰が籠に入るんですか〜?」
「我と思わん者はおらぬか」
 
全員が男3(正田貴海)を見ます。
 
「え〜?ぼくがやるの〜?」
「言い出しっぺ」
「成功したらご褒美に女の子になる手術」
「悩むな」(*135)
 

(*135) 正田君は美形で身体付きが華奢。背も162cmしかないのでバラエティでよく女装させられている。とても可愛くなる。セーラー服もまだ充分行ける。本当に女子中生に見える。本人も結構女装が好きなのでは?などとファンの間で噂されている。
 
「あんた家の中でもスカート穿いてない?」
と訊かれて
「スカートたくさんファンの方から送られてくるけど穿きませんよ」
と発言して
「いやスカートがたくさんあったら、きっと穿いてる」
と言われていた。
 
この発言以来、ますますたくさんスカートが送られてくるようになったらしい。彼はW63のスカートが穿けることがファンの間の情報交換で知られている。女性用下着も多数送られてくるらしい。ショーツはMサイズ、ブラジャーはB75で適合するらしい(凄い細い!)。
 
WADOが性転換した時は事務所に呼ばれて「君は性転換しないよね?」と確認されたらしい!
 
彼は深夜番組でローザ+リリンのケイナから
「別にちんちん無くてもいいんやろ?」
と訊かれて
「無いと困ります」
と答えるまで3秒くらい掛かったので
 
「やはり無くてもいいんだな」
と視聴者から言われていた。
 

★音楽:常滑舞音『つばめのお宿』
(唱歌「すずめのお宿」の替え歌。未来居住作詞)
 
つばめ、つばめ、お宿はどこだ?
ちゅぴちゅん、ちゅんちゅんちゅん、こちらでござる
たまごを産む時は、尻尾を上げて
七回ぐーるぐる、回って産むよ。
 
それで待機していた所、ひとつの巣で燕が尾を高く上げて回り始めます(CG)。男たちはそこに走り寄り、男3が籠に入ってみんなで引き上げます。そして巣の中に手を入れたのですが、
「何もありませんでした」
という報告です。
 
(籠に乗る所までは本人。吊り上げる時はロボット(自分のバランスを取る機能があり、落ちにくい)、巣に手を入れる所は低い場所で撮影している)
 
しばらく待機しているとまた別の巣で燕が回り始めたので、そこに行って籠を吊り上げますが、やはり成果はありませんでした。
 
(映像は使い回しせずに2度撮影している)
 

ついに中納言は言いました。
 
「お前たちやり方が悪いのだ。私がやる」
と言って、中納言自身が籠に乗ることにします。
 
「危ないですから気をつけてくださいね」
「しっかり綱を握っていてくださいね」
と家人(けにん)たちは言いました。
 
それで待機していると、燕が尾を高く上げて回り始めます。中納言(七浜宇菜)が駆け付けて籠に乗り、男たちが引き上げます。燕が卵を産みます。その瞬間中納言は巣に手を入れました。手に何か平べったいものが触りました。
 
「取ったぞ。降ろせ」
というので、家人たちか籠を降ろします。ところがその途中で中納言は身体のバランスを崩し、籠から転落。鉄の鼎(かなえ)の上に落ちてしまいました(*136)
 
「中納言様!」
と声を掛けて家人(けにん)たちが傍に寄ります。
 

(*136) 転落するところは高さ1mほどの台に載せた籠の上で宇菜自身がバランスを崩した振りをして籠から転落するようにしてみせた。床には走り高飛びに使うクッションを敷いている。
 
鼎に叩き付けられたのは人形。落ちる所も人形でやる予定が、宇菜が
 
「人形では落ち方が不自然になる。ぼくが本当に落ちる」
 
と言うので、宇菜の運動神経を信じて、本当に転落した。むろん無傷である。この撮影には事務所の要求で高額の保険を掛けた。更に宇菜がやる前に放送局のアメフト部出身の男性ADがやらされた!その上でロープを念のため新しいものに交換してから宇菜が落ちた。
 
キャロル前田ならきっと無保険で高さ3mくらいの所から落とされている!
 
なお原作では綱が切れて転落しているが、そういう落ち方はとても危険なので宇菜自身がバランスを崩した振りをして自分で落ちた。
 

鉄鼎の上に落ちた中納言は気を失っています。家人(けにん)たちが水を飲ませますと息を吹き返しました。
 
「中納言様、立てますか?」
「だめだ。腰をやられたようだ」
「みんなで抱えてそっと降ろせ」
と言って、家人4人が手足を持ち、ひとりが腰を支えて何とか下に降ろしました。
 
「しかし私は子安貝を取ったぞ」
と言って、中納言が掌を開きますと、そこにあったのは燕の古糞でした。
 
語り手「それでこれより後、成果が得られないことを“かひなし”(甲斐無し/貝無し)と言うようになったということです」
 

★音楽:XETIMA『あなたの心が見付からない』
 
中納言は腰の骨が折れているようでした。家人たちは輿を用意し、中納言を載せて、家に連れ帰りました。
 
(本当にXETIMAの筋力のあるメンバー4人で輿を持った)
 
語り手「それでしばらく養生していることにしたのですが、骨が折れているので激痛があります(*137)。更に、自分はなんて子供じみたことをしたのだろうと後悔する気持ち、更には世間の人が自分をあざ笑っているのではと恥ずかしがる気持ちなどもあり、中納言は怪我自体より精神的に鬱になってしまいました。それで随分長いこと、伏せっていました」
 
(*137) 腰の骨が折れると、現代でも生命の危険がある。
 

かぐや姫はこの話を聞き心配して紫(広瀬みづほ)に歌を届けさせました。
 
「年を經て浪立ち寄らぬ住之江の松かひ無しと聞くはまことか」
 
(松に波が掛からない/ずっと待っていた、の掛詞。甲斐無し/(子安)貝無し、の掛詞。見舞いの歌にしては、ふざけすぎているが重症とは思わなかったのだろう。前半は最近あなたは私の家にあまり来てない、あるいは女性があまり立ち寄っていないという意味に解するものもある)
 
これに対して中納言は、人に紙を持たせて病床の中からこう書きました。
 
「かひはかくありけるものをわびはてゝ死ぬる命をすくひやはせぬ」
 
(あなたから御見舞いが頂けるとは頑張った甲斐があった、という意味と匙(かい:さじ)で掬(すく)う/命を救う、という掛け言葉である。美事な技巧が使われている)
 
そして書き終えるとともに亡くなってしまいました。
 

「中納言様!」
と人々が中納言(七浜宇菜)の身体にとりすがります。臨席していた紫(広瀬みづほ)も青ざめました。
 
従者(米山光男)が中納言が書いた文を薄様(うすよう)の紙で包み、扇子と一緒に紫に渡しました。
 
「この扇は?」
と紫が尋ねます。
 
「かぐや姫様と結婚する日にこれを渡すんだと麻呂様が申しておられました」
と従者。
「分かりました。お預かりします」
と紫。
 
それで紫が帰って報告しますと
「ああ、なんてこと!」
と言って、かぐや姫は嘆いて涙を流しました。
 
★音楽:アクア『ごめんね』
 

かぐや姫は竹取翁に頼んで、葬儀に出てもらいました。
 
参列者がジロッと翁を冷たい視線で見ている中、翁は神前に金の延べ棒(1本1両:約40万円)を数本入れた箱を供え、忍び手(*138) で拝礼します。
 
「ありがとうございました」
と石上麻呂の弟君!・菘鳥(すずとり:白鳥リズム:友情出演)(*140) が挨拶します。
 
「この度は本当にお気の毒なことになりまして」
と翁は言うが、弟君は
「あまりお気になさらないでください。兄が馬鹿すぎただけですから」
と言っていた。
 
(葬儀の出席者はXETIMAの後輩グループYamee!のメンバー)
 

(*138) “忍び手”というのは、神式の葬儀で行われる特殊な拍手(*139) で、手と手が当たる直前で停めて音が出ないようにするものである。
 
某自称占い師がテレビで「神社では女性は音が出ないように手を打つのが正式の作法」などと発言して「それは葬式の時の打ち方だ。物を知らないにもほどがある」と批判された。むろん神社の神前でこんなことしたらあまりにも失礼である。
 
(*139) 度々書いているが“柏手”というのは俗称で正しくは“拍手”。
 
(*140) 白鳥リズムは常々七浜宇菜を“兄貴”と言って慕っているのでその弟を演じることになった。つまり“友情出演”はアクアとのつながりというより、七浜宇菜からのつながりである!
 
制作陣は“妹”のつもりだったのだが、女衣裳を渡されて
「まさか女装するんですか?」
などと言うので
 
「確かにリズムちゃんなら男キャラで問題無い」
ということになり、“妹”あらため“弟”となり、脚本を急ぎ修正した(結果ラストが大きく変わることになる)。
 
菘鳥(すずとり)という役名はリズム自身の発案による。「読めん!」という多数の声。リアルの石上麻呂に兄弟が居たかどうかは不明。藤原不比等と同時代の人で、不比等の上司ではあるが実権は不比等にあったと言われる。
 
石上麻呂は壬申の乱では大友皇子側に付き、大友皇子が自決するまで付き従ったごく少数の供のひとりである。敵方の人物を天武天皇が重用したのは「最後まで付き従ったのは忠義の臣で、あっぱれである」と彼を褒めたから。天武天皇の器量の大きさが分かる話である。
 

「周囲の視線が凄く痛かったけど、御悔やみを申し上げてきたよ」
と帰ってきた翁(藤原中臣)はかぐや姫に言った。
 
「ごめんなさい。私自身が出なければいけない所なのに」
とかぐや姫(アクア)。
 
「かぐや、お前がいつまでも結婚しないからこんな犠牲も出る」
 
かぐや姫は中納言の側近から託された扇子を広げ、そこに書かれた歌を見ながら少し考えていました。
 
「しばらくは石上麻呂様の喪に服します。それから考えます」(*141)
「うん」
 
語り手「これより後、苦労して少しは成果があったことを“かひあり”(かいあり:甲斐あり/匙あり)と言うようになったとのことです」
 

(*141) この点について、語り手の元原マミが解説した。
 
「石上麻呂(いそのかみのまろ)が亡くなったのは、かぐや姫が5人の貴公子に課題を与えてからそんなに月日は経ってない時期と思われます。たぶん1ヶ月もしない内に転落し、それから1年くらい療養していたものの、亡くなったのではないかと思われます」
 
「それから多分2年近くして石作皇子(いしづくりのみこ)が仏の鉢を持ってきて、それから少しして車持皇子(くらもちのみこ)が玉の枝を持って来て、その半年か1年くらい後に阿倍御主人(あべのみうし)が火鼠の皮衣を持って来ました。だから石作皇子・車持皇子が来たのはかぐや姫がまだ服喪していた時期です。それでよけい結婚したくなかったのです」
 
「かぐや姫がずっと灰色の服を着ていたのは、石上麻呂の服喪をしていたからです。阿倍御主人(あべのみうし)が来た時はもう服喪期間は終わっていて、明るい服装をしていました。彼はチャンスでしたが失敗しました。それで帝(みかど)の求婚には、これまでより積極的になったとも考えられます」
 
 
前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 
【竹取物語2022】(7)石上麻呂の場合