【竹取物語2022】(9)五節舞

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語り手「帝からはしばしば頭中将(とうのちゅうじょう)(*159)が文を持って来て、かぐや姫はお返事を書きます。ただし文が長かったりしてすぐにはお返事が書けない時は、女房頭の藤(花園裕紀)が宮中に参上して頭中将にかぐや姫の文を届けました」
 
映像は頭中将(薬王みなみ:男装)が馬で来て、かぐや姫の家の前で藤に文を渡す所、逆に藤(花園裕紀)がかぐや姫家の宅司・竹内晴昌(月城利海)(*160)に護衛してもらって宮中に参上し、頭中将に文を渡す所を映します。
 
竹内晴昌は村の竹細工工房を運営している竹内家の三男で、かぐや姫の乳母子(めのとご)である小夜(松梨詩恩)の弟です。かぐや姫家に来客が多く、字の読み書き程度はできる男手が必要になったので、都に呼び寄せて“宅司”ということにしたものです。
 
実態は雑用係ですが一応かぐや姫の親戚のようなものなので、貴人が来訪した時の応対や、宮中へのお使いとしてとても便利でした。彼は字や簡単な算術は習っていたものの、武術の心得などは無かったのですが、松と竹に指導されて剣術と弓矢を少し覚えました。元々は“三太”と呼ばれていましたが、都に出てくるにあたり“晴昌”という名前を姉の小夜に付けられました。
 
映像では、頭中将が藤に文を渡す所、藤が頭中将に文を渡す所が、8回繰り返される!(背景や文自体も交換して8回撮影している。かぐや姫の文は赤い表包み、帝からの文は黄色い表包みになっている:色染めした紙を使うのは防虫のため)
 

(*159) 源氏物語の登場人物としてあまりにも名が通っている“頭中将”(とうのちゅうじょう)とは、蔵人頭(くらうどのかしら/くらんどのかしら)と近衛中将(このえのちゅうじょう)を兼務した者の呼び名である。今の世でいえば大統領補佐官のような重職だが四位である。基本的に天皇の使いっ走り。源氏物語の頭中将は遊び過ぎである。現実にはあんなに暇は無いはず。
 
もっとも、蔵人というのは平安初期に平城上皇と嵯峨天皇の対立から生まれた“天皇に絶対忠実な手足”であり、奈良時代に蔵人は居ないので頭中将も存在しない!
 

(*160) 晴昌を演じている月城利海は“銀色の女”雪兎(ゆきえ)を演じている月城たみよの兄で、男役が足りないので兄3人まとめて鹿児島から出て来てもらったもの。
 
藤役の花園裕紀を見てドキドキした顔をしていたので
「ぼく男だよ」
と裕紀が言うと
「うそー!?」
と絶句していた。
 
一目惚れから失恋まで3秒・・・と思ったのだが、彼はとんでもない反応をした!
 
「すごーい!どうしたらそんなに女の子らしく装えるんですか?」
と憧れの目。
 
そっちの傾向か!
 
どうやら色々教わりたい雰囲気であった!
 

かぐや姫が帝と“成った”はずなのに姫が宮中に参上せず私邸に留まっているという不思議な状況の中、ますますかぐや姫邸に侵入を試みるものが増えたので、藤は草笛皇女にお願いしてて警備ができる確かな女房を2人増やすことにしました。柏という女房と、福という女房(?)です。
 
「あんた本当に女だっけ?」
と松(夕波もえこ)が訊くと
 
「ごめんなさい。私よく間違われるけど女です。何なら脱いでみましょぅか」
と柏(品川ありさ!)が言う。
 
「いや、あんたは間違いなく女だと思ったけど」
と松(夕波もえこ)。
 
(「事務所の大先輩を“あんた”と呼ぶ夕波もえこすげー」と視聴者の声。 「いや、この事務所には先輩・後輩というのは無い。アクアなんてみんなから呼び捨てされる」と事情通の声)
 

「あんた本当に女?」
と松はもうひとりの女房(?)に尋ねます。
 
「私本当は男だったんです(過去形!!)」
と福(山村勾美!)。
 
「やはり!」
と全員。
 
「私、高岡中納言の龍子様・虎子様に就いてた時、あんたに姫君たちの番をさせるのは、狼に羊の番をさせるみたいなものだと言われて、はぜを切られてしまったんです」
 
「ああ、それは賢明な処置」
 
(「“龍子と虎子”ってアクア姉妹のことでは?」と多くの視聴者の声。彼がアクアのメインマネージャーであることはファンの間では知られている)
 
「はぜが無いと尿筒(しとづつ)が使えないから、私、虎子(おおつぼ)を使うんです。でも男の服着て虎子使ってたら変態と思われるから女の服着てます」
 
「ああなるほどね」
 
「こいつどうする?縄で縛っとく?檻に入れとく?」
「うーん。誰か必ず見てればいいんじゃないかなあ」
 
ということで腕っ節は強そうなものの危険!な福も警備に加わることになったのでした。彼はさすが元・男だけあって強力に侵入者を外に放り出してくれました。
 
でも彼の部屋は晴昌の隣にした!また絶対に警備の女房が彼ひとりにはならないように注意することにした!
 

(*161) かぐや姫家の略図をこれまでの話とあまり矛盾しないように描いてみた。これは帝がしばしば行幸なさるので別宅を建てた後の図である。
 

 
昔の日本住宅は、長さはいくらでも長く出来るが幅は2間(約3.6m)しか取れないので、その外側に廂(ひさし)を伸ばして、その下に使用人の部屋などを設営した。それで翁・媼の部屋の外側、廂の下に藤と桐の部屋がある。その外側の細い廊下は廂から更に屋根を伸ばした孫廂(まごひさし)の下にある。
 
最初は藤と桐の部屋の隣が紫と桃の部屋で、その隣の三畳部屋に女童の桜と橘を寝せていた。が、桃は自分の部屋に戻らず昼夜いつもかぐや姫の傍に居るので、紫は女童たちと部屋を交換し、女童たちが藤・桐の隣になった。かぐや姫の部屋の隣が塗籠なのは、かぐや姫が結婚したら夫とそこで寝るだろうと翁が考えたから。しかしここは昇天の夜まで一度も使用されなかった。
 
上の図で“警”と書いたのは土蔵警護の者の休憩所。“松竹”と書いた部屋は実際には松・竹・柏の3人で使う。3人は交替で休み、昼夜誰かは姫に付いている。侵入者の多い夕方から夜更けに掛けては警備が福を含めて3人になる。
 
炊事場は別棟だが、廂を介して応接間とつながっている。炊事場の隣に下働きの者の居場所が設定されている。
 
玉の枝を持って来た時に旅村と坂口が仮眠していたのは、多分現在晴昌が使っている部屋。
 

またこの頃、竹取翁のお店は、美濃に和紙の製作所を設立しました。
 
この時代、紙というのはとても貴重なもので、竹取翁のお店で売られている竹紙もわりとよい値段で売れていました。当時は麻紙が多かったのですが、この頃、国産の紙をもっと増産しようという方針が定められ、製紙材料として楮(こうぞ)が注目されていました。
 
楮(こうぞ)から作る紙は麻紙に比べて美しさでは劣るものの、筆の走りが良く、麻紙に比べて1〜2割速く書くことができました。また生産の手間も麻紙より楽で量産に向いていたのです。
 
それで帝から直接竹取翁に指示があり、良い楮(こうぞ)を得やすい美濃に人をやり、楮紙の生産をすることになったのです。
 
この作業のため、村の竹細工工房で竹紙生産の指揮をしていた竹原という者を美濃に派遣することにしました。
 
映像は竹原(田倉耕児:本当の美濃紙の職人さん!)が現地の女性(酒田レモン・夏江フローラ・西浜ももこ・南里くりこ)に紙の作り方を指導しているところ、その4人の女性が紙漉きをしているところが映る。
 
(この撮影のために4人は田倉先生から本当に丸一日、紙漉きの指導を受けた)
 

また都から美濃に至る拠点として、熱田(名古屋)に中継所を作ることになり、竹原の息子をそこの責任者にしました。
 
映像は竹原の息子(水巻アバサ)(*162) が荷運びの人たちに指示している様、都の店の番頭・竹本、和紙製作所の竹原父、と打合せしている所が映る。
 

(*162) 水巻アバサは水巻イビザの兄。男役が足りないので兄弟のいる人良かったら出てほしいという川崎ゆりこの要請で、イビザが呼んだ。
 
でも出て来たのが遅かった!ので台詞の無い役しか残っていなかった。でもわりといい動きをしていたので、10月の大型時代劇撮影でもまた頼むと言われていた。
 
名前はイビザのお兄さんならということで“イビザ”から音をずらして“アバゴ”としたが“アバコ”に聞こえて女の子かと思われると言って“アバサ”にした。
 
「女の子役する?」
「ぼくが女装したら石投げられます」
「可愛い女の子になりそうだけどなあ」
 
でも“アバサ”も女名前に聞こえることは深く追及しなかった。彼は撮影中女子寮近くのゾン・ドゥラ・カデットに泊めた。
 
「食事無料っていいですね」と感心していた。
「性転換して信濃町ガールズに入る?ずっと無料だよ」
「(数秒考えてから)ぼくの実力じゃ無理だと思います」
と言った。性転換は別に構わないのかな?
 

五節舞。
 
語り手「かぐや姫と帝の交際は既に2年ほど続いていました。ある日、帝はかぐや姫の家に行幸し、また別邸(離宮)で、夜中まで楽しく語り合ったり笛や箏の合奏をしたりしました(“明るい男女交際”!)。そしてお帰りになる時、かぐや姫と竹取翁に言いました」
 
「今年の新嘗祭(にいなめさい)では、かぐや姫に五節舞(ごせちのまい)の舞姫を命ずるから頼むぞ」
 
「は?」
実は翁は五節舞が分かっていません!
 
宮中の物事に少しは知識がある藤が地面にひれ伏したまま言いました。
 
「大変恐れながら、五節舞に出るのは殿上人(てんじょうびと)(*163)の娘なのでは?そもそもさぬきの造(みやつこ)は無位ですし」(*164)
 
「うん。造麿(みやつこまろ)に与えた五位は有効。この機会に昇殿の勅許も出すから」
「は。はい。大変失礼しました」
 

(*163) 基本的に三位以上の者は清涼殿に昇ることが許されるが、四位・五位でも特に昇殿の勅許があれば清涼殿に昇ることができ、それを許されている人を殿上人(てんじょうびと)と言う。
 
本来は清涼殿に昇れる人全てが殿上人だが、三位以上は“上達部(かんだちめ)”又は“公卿(くぎょう)”と言うので、一般に“殿上人”というのは、四位五位で昇殿の勅許を受けている者をいう。
 
殿上人でない者、つまり清涼殿に上がれない者は地下(ちげ)と言う。
 

(*164) 五節舞(ごせちのまい)自体は奈良時代までは実は新嘗祭だけでなく様々な機会に奉納された。しかし新嘗祭における五節舞は特別なものである。
 
新嘗祭(にいなめさい)における五節舞の舞姫は、公卿の娘2人と殿上人の娘2人が選ばれる。舞姫を出す家はたいへんな名誉であったが、衣裳の準備などに莫大な費用がかかり、経済的な負担も極めて大きかった。むろん竹取翁は楽々とその費用を出せるであろう。
 
古くは大嘗祭(新天皇が即位した後最初の新嘗祭)の五節舞で、舞姫の中の1人が天皇に指名されて妻となるという風習もあったようだが、恐らく8世紀頃以降は廃れた。しかし逆に女御予定者が舞姫を務めることもあった。
 
かぐや姫が五節舞の舞姫を務めれば当然、その後、正式に天皇の妻になるのだろうと人々は思うであろう。
 

竹取翁は、五節舞の次第とか何にも分からないので、どうしたものかと思考停止していたので、かぐや姫が藤に指示して草笛皇女(姫路スピカ)の所に相談に行きました。すると皇女はかぐや姫の家にやってきて、必要な衣裳の手配などを指示してくれました。また舞自体の先生に来てもらってかぐや姫に指導してくれます。かぐや姫は元々舞が上手いので、すぐ舞えるようになりました。
 
「でもあんた帝の求婚まだ受け入れてないんでしょ?世間は既に帝と成っていると思ってるみたいだけど」
「そんな簡単に応じたら、車持皇子様にも、他の方々にも申し訳ないです」(*165)
「あんな馬鹿に義理立てることはないけどね。でもあんたもそろそろ結婚したほうがいい気がするよ」
「そのうち」
 
「ふーん。前よりは少し結婚に前向きになってきたかね。灰色の衣着るのもやめたみたいだし」
 
(*165) まさにこの台詞の通りで5人の求婚者に難題を出して死者まで出ているのに天皇になら簡単に靡いたら、現代の視聴者が納得しない。だから天皇と付き合う理由が必要なのである。これは当時と今の天皇の位置付けの違いもある。だから今回のドラマでは幼い頃のエピソードが用意された。
 

語り手「五節舞では、各々の舞姫に女童2名と女房2名が付き添います。これは桜と橘、桃と藤が務めることになりました。新嘗祭の前々日には、帝だけがご覧になる帳台試(ちょうだいのこころみ)が行なわれましたが、かぐや姫はしっかり右後ろの位置で舞を舞いました」
 
そして新嘗祭の当日になります」
 
新嘗祭の儀式の様子が数秒だけ流れます。
 
舞姫たちの控室。
 
本来は舞姫たちは何も話さないのですが、左大臣家の娘・春姫(小倉真弓@UFO)が右近大将の娘・秋姫(藤沢満奈実@UFO)に話しかけました。
 
(UFOは友情出演の扱い)
 
「舞姫に指名された時は帝にご指名されてそのまま宮へなんてことになったらどうしよう?と思ってたけど今年は安心ね」
 
「ほんと。帝と契ることになっている人は決まっているから気楽だわあ。帝と結婚とかいうことになったら素敵だけど、まだ奧さんになるとか少し怖いし」
 
「でも1〜2年以内に誰か適当な人と結婚させられるんだろうなあ」
「いい殿方と会えるといいね」
 
(「僕がオクちゃんと結婚したい」「僕がフーガちゃんと結婚したい」という男子の声多数)
 
もうひとりの舞姫・左大弁の娘・菖蒲姫(あやめひめ)(上中雅美@UFO)はかぐや姫に話しかけてきました。
 
「大勢の前で舞うなんてドキドキしない?」
「いえ。平常心ですよ」
と笑顔でかぐや姫は答えます。
「さっすがだなあ。でもあんた本当に美人ね。帝がお目を留める訳だわ」
「ありがとうございます」
 

今回のドラマで舞姫とその付き添いを演じたのは下記。
 
五節姫1(左大臣女)春姫:小倉真弓
五節姫2(右近大将女)秋姫:藤沢満奈実
五節姫3(左大弁女)菖蒲姫:上中雅美
五節姫4(さぬき造の孫娘)かぐや姫
 
 
1の従者:米田ショコラ・白雪なぎさ・大空由衣子・川内峰花
2の従者:春野わかな・花畑バニラ・今川ようこ・桜野レイア
3の従者:七石プリム・山口ヨルカ・左倉まみ・花咲ロンド
4の従者 橘(入瀬コルネ)桜(入瀬ホルン)桃(川泉パフェ)藤(花園裕紀)
 
女童2名と女房2名は着る服が異なっていますが、どちらもとても豪華です。そして舞姫が着る衣裳は超豪華です。これは確かに凄い費用が掛かるお務めだなあと、かぐや姫は思いました。
 

舞の本番は、新嘗祭の宴の最中、宮中の庭に設営された舞台(*166) の上で舞います。公卿の娘2人が主役なので前で舞い、殿上人の娘2人はその後ろで舞います。
 
舞台そばの控え場所のところで茵(しとね)に座って出番を待ちます。やがて楽人の合図で舞台に登り、楽人たちの演奏と大哥(おおうた:橋本風榮:本職さん!)の古典歌謡の歌唱で舞い始めます。
 
五節の舞の楽人 ColdFly5+4B (*168)
龍笛:米本愛心、琵琶:田倉友利恵、笙:栗原リア、篳篥:花咲鈴美、鞨鼓:木原扇歌、箏:鈴鹿あまめ、鉦鼓:松島ふうか、楽太鼓:古屋あらた、和琴:石条ぼたん
 
大哥で8分ほど舞ったあと、今度は小哥(こうた:白浜イズミ)が歌う今様(当世風)歌謡の歌唱で舞います。
 
(この今様歌謡は、雅楽の研究をしている音楽大学の先生に書いてもらったもの(*167)で、白浜イズミちゃんは発声法などから1ヶ月かけて練習している。この小哥が3分ほどの歌唱であった)
 
(撮影時には大哥8分・小哥3分演奏したのだが、放送では大哥2分・小哥1分に短縮されていた!これは年末に公開された劇場版では5分・2分になっていて、DVD版では全て収録された。劇場版やDVD版では舞台傍で控えている時の様子なども長めに収録されていた)
 

(*166) 平安時代になると、雨が降った時に備えて舞は室内で行われるようになるが、奈良時代までは庭に設営された舞台の上で舞っていた。
 
(*167) この今様風歌謡(奈良時代の流行歌)を書いて下さった先生も「奈良時代の流り歌なんて当時の録音とか楽譜とかも無いし、どんなものか分からないから僕のイメージで書くね」とおっしゃっていた。
 
ただ依頼に行った時、山村マネージャーが
「奈良時代ってこんなイメージですかね」
と言ってその場で歌った歌が
「それ凄く奈良っぽい!」
と先生はおっしゃって、その山村マネージャーの歌唱をベースに書いて下さった。
 
ひょっとしたらかなり正解に近いかも!?
 

(*168) 一昨年の『とりかへばや物語』で雅楽演奏をした時の"ColdFly5+3"の“+3”のメンツが揃わなかったので(*169) 今回AT5の中で別役(警備係の女房)で出た夕波もえこ以外の4人がこれに加わった。それで“+4B”と称した。
 
鈴鹿あまめは元々箏が弾けた。石条ボタンは春から和琴の練習をしていた。練習で使ったのは『とりかへばや物語』で使った和琴だが、このドラマの御前試しと新嘗祭当日の演奏で使用した和琴(わごん)は前半でかぐや姫が使用した蒔絵入りの豪華な和琴である。
 
ColdFly5 は暇!だがAT5はとても忙しいので、AT5の時間が取れる時間を使ってあけぼのテレビ内で練習を重ねている。
 
楽器は愛心の龍笛以外、§§ミュージック所有のものである。愛心は楽器コレクターなので、龍笛もかなり良いものを自己所有しており、結構な吹き手である。今回の雅楽の監修をしてくださった先生が「君上手いね」と感心していた。
 
(*169) 当時の"+3"は、坂出モナ(清原中将)・弘田ルキア(石作皇子→皇女)・神田あきら(“桜貝”のメンツで光の侍女)。つまり3人とも別役で出ていたので使えなかった。
 

しかしここで多くの人がかぐや姫の美貌を見て「これは破滅する男が出た訳だ」と思ったのでした。立場上出て来た阿倍右大臣(松田理史)は少し辛そうな顔をしています。大伴大納言(森原准太)は知らんぷりして、よそを見ていました。
 
(5人の内1人死亡・2人行方不明?でこの2人しか残っていない)
 

舞が終わった後、取次ぎの女房(大仙イリヤ)がかぐや姫に声を掛けます。
「かぐや殿、帝がお呼びですよ」
「はい」
 
他の3人の舞姫が視線を交わしています。
 
桃と藤がかぐや姫に付き添い、女童2人は待機していた松と竹の護衛で帰宅しました。
 

案内された部屋でしばらく待機していると、やがて帝が2人の侍女(甲斐波津子・水巻イビザ)を連れてお渡りになりました。
 
帝は言いました。
 
「やらせろ」
 
かぐや姫は笑顔で答えます。
「双六(すごろく:バックギャモン)で私に勝ったら」
 
「よし。囲碁ではどうしてもお前に勝てんが、双六ならサイコロの目次第では勝てるかもしれん」
「過去に2度、主上(おかみ)が勝ちましたね」
 
それで2人は双六を始めたのですが・・・
 
「負けたぁ!」
「残念でしたね。またお預けですね」
と、かぐや姫はおかしそうに言います。
 
「でもその内、ぼくの子供産んでよ」
「私に勝てたら」
「くそー。過去に双六で勝てた時に、契りを賭けておけば良かった」
「それも残念でしたね。じゃ帰りますね」
「あ、待って。護衛を付けるから」
 
それでかぐや姫と桃・藤は、護衛(本田覚・山本明)(*170) および世話役の女房(水巻イビザ)に守られて宮中から下がって帰宅したのでした。
 
かぐや姫の帰宅に媼が驚きます。
 
「なんでこんな早い時間にお前帰って来るの?」
「帝と双六をしていたので」
「双六?でも契ったんだよね?」
「まさか。お休みなさい」
と言って、かぐや姫は桃と一緒に部屋に引っ込んでしまいました。
 
(*170) 本田覚は白鳥リズムのマネージャー、山本明は西宮ネオン・立山煌のマネージャー。
 
 
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