【竹取物語2022】(11)富士

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富士。
 
かぐや姫が去ってしまった後、竹取翁・竹取媼は泣き伏して、体調も悪くなり、寝込んでしまいました。
 
帝はかぐや姫の手紙を読んでも悲しみが癒えず、目の前で昇天していったかぐや姫を止めることができなかっ無力感から、御飯も召し上がらないほどの嘆きようでした。
 
「不死の薬などもらっても、かぐや姫が居ないのに意味がない」
と言って飲もうとはされませんでした。
 
そしてかぐや姫に送るべき歌をお書きになる。
 
「逢ふことも涙に浮かぶわが身には死なぬ薬も何にかはせむ」(*194)
 
(*194) 「逢ふことも無み」と「涙」が掛けられている。「無み」は「無し」の語幹「無」に「〜ので」の意味の接尾辞“み”が付いたもので「逢うこともないので」。
 
「瀬を速み岩にせかるる滝川の」(瀬が速いので岩で分けられてしまう)
 
「涙に浮かぶ我が身」は涙でたくさん出て、その涙で私の身が浮いてしまうようだ、ということ。
 
「か・・・せむ」は反語を表す係り結び。「何にかはせむ」で何をするというのだ?いや、何の役にも立たない。
 

帝(アクア)は地理博士の賀茂橋麿(月城硯文)を呼びました。(*196)
 
「我が国で、最も天に近い山はどこか」
「駿河国(するがのくに)(*195)にとても高い山がございます。天にも届くかと思うほど高くそびえる山です」
 
「よし。そこでこの歌を焼いて、かぐや姫に届けよう」
 
(*195) 駿河(するが)国は現在の静岡県東部(伊豆を除く)。静岡県の西部は遠江(とおとうみ)国である。
 
(*196) 月城硯文は法学部の学生さんで雰囲気がアカデミックだったので博士という役柄にとても説得力があった。
 
「でも君女装もいけそうね」
「勘弁して下さい(期待する目)」
 
でも今回は男役が足りないので男役を演じてもらった。
 

それで帝は調岩暈(つきのいわかさ)(*197)という人を召して、駿河にあるという高い山で、壺の薬とかぐや姫への手紙を燃やし送るよう命じました。
 
「お預かりします。行って参ります」
と恭しく帝より直接預かり、多数の人を連れて駿河国の高い山の頂上まで行きました。
 
★音楽:常滑舞音『唱歌・ふじの山』
 
あたまを雲の上に出し、四方の山を見おろして、
雷様を下にきく、ふじは日本一の山
 
映像は帝が調岩暈(月城朝陽)(*200) に壺と手紙を託す所、調岩暈が多数の武人を連れて行進しているところ。富士山の風景(*198)、武人たちが多数の修験者と一緒に山に登る様子が映る。
 
語り手「この時、多数の武人がこの山に登ったので、この山を“ふしの山”と言うようになったとのことです」
 
語り手は「士で富む→富士」と書いたフリップボードを掲げている。
 

頂上で壺の薬と手紙を燃やす様子が映ります(*199).
 
ここに並んでいるのは調岩暈(月城朝陽)、赤石(新田金鯱)、白岩(タイガー沢村)、そして修験者の衣装を着けた徳都縦久・広沢摩那男の5人である。
 
(徳都・広沢は播磨工務店の中核メンバー。「本職の山伏さんかな?」という視聴者の声多数)
 
語り手「この山に登るのに帝の名前で地元の修験者たちに協力を求めました。それで武人400人と修験者50人で登り始めたものの頂上まで到達できたのはこの5人だけでした」
 
語り手「そしてこの山は、そこで不死の薬を焼いたから“ふしの山”というのだという説もあります。そしてこの時の煙が今も天まで立ち上っていると伝えられています」
 
そう語り手が語って目を瞑ったところで悲しい表情をして灰色の服を着た看板係の麻生ルミナは『終』と書かれたプラカードを掲げますが、すぐにそのプラカードをひっくり返します。すると『?』という表示があります。
 

(*197) 調(つき)一族も古くからの一族である。百済の王族の子孫と言われる。“月”と読みが同じなので起用したものと思われる。
 
関係は不明だが、埼玉県に調神社(つきじんじゃ)があり、狛犬ならぬ狛うさぎがいることで有名である。
 
(*198) 画像加工して側火山の宝永山(1707年の噴火で出来た)を消してある。
 
(*199)実際には千葉県内の学校の校庭を借り、高さ2mほどの山を築いてから、その上で燃やす所を撮影した。
 

(*200) そういう訳で今回の撮影に参加してくれた月城たみよの兄たちは↓である。本人も含めて書いておく。
 
●月城朝陽(調岩暈)本名松崎貴美たかよし(2001大3 184cm) 元野球部で体格が良い。
●月城硯文(地理博士)本名松崎元紀もとのり(2003大1 167cm) 法学生。元英語部で演技がわりとできる。
●月城利海(宅司)本名松崎真和まさかず(2006高1 166cm)コーラス部で実はアルトで歌っている!
●月城たみよ(雪兎)本名松崎典佳(2008中2 172cm)地元ではバレー部だった。
 
「男役が足りないんだけど、誰かお兄さんか弟のいる人で参加しくれそうな人居る?」
と訊いたら、松崎典佳(薩摩川内市出身)が「うち兄が3人いますが」と言ったので藺牟田飛行場までホンダジェットを迎えに行かせ連れてきた。夏休み中でもあるので兄たちはギャラに釣られて参加してくれた。プライベート飛行場を使いビジネスジェットに乗るのも魅力的だったようだ。
 
長男は体格がよくて男性的だが、次男・三男は妹より背が低く、少し女性的だったが取り敢えず男役をしてもらった。もうひとり弟さんがいるらしいが小学生なので母の許可が出なかったらしい。
 
兄たちの名前は全部女性名にも見える。貴美(たかみ)元紀(もとき)真和(まな)。それで、3人に暫定的な芸名を付けた川崎ゆりこは女性名としても読める名前を付けた!
 
朝陽(あさひ)はそのまま女性名でも行ける。但し彼が女役をすることはあり得ないと思う。硯文(すずふみ/すずみ)、利海(としうみ/としみ)。
 
「男5人の兄弟だから、元紀兄と真和兄が女の子的ポジションになったのかも」
などと典佳は言っていた(←自分を男に分類している)。自分が向こうの中学で着ていた制服は母の目の前で真和兄に「これ着て良いよ」と言ってあげたらしい!(母の見ている所であげないと、妹の服を勝手に着ていると思われるから)
 
川崎ゆりこは真和に「君信濃町ガールズに入らない?女子制服で高校に通わせてあげるよ」などと勧誘していた!
 
彼は地元の高校のコーラス部ではアルトなので今はアルトとテノールの境界線の所に立って歌っているらしい(どっちみち女子制服を着るまで秒読み段階?)。
 
 
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