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■福引き(6)

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「あと、これがいちばん大事だと思うんだけど。雰囲気を女にしないとダメ」
「雰囲気!? それどうしたら変わるんだろう」
 
「自分が女であることを自分の心で受け入れること。そして自分が女であると信じること」
 
それでやってみようとするのだが・・・・
 
「どうすればいいのか分からん」
「まあ、一朝一夕には無理かもね。女の子は生まれた頃から。オカマさんとかもたいてい小学生頃から、自分でもそう思い、周囲からもそう思われて、女としてのセルフ・アイデンティティを作ってきているから。女になって1ヶ月ではまだなかなか自分が女と思い込めないかも」
 
「そうかもね」
「いつまで会社休むの?」
 
「9月いっぱいまで休職させてもらうことになってる。10月から出社する」
「それまでには、少しは女の雰囲気出るかもよ。私もさとちゃんを女として扱ってあげるからさ」
「うん」
 
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「毎日朝起きた時と、寝る前に『自分は女、自分は女、自分は女』と言い聞かせるんだよ」
「自己暗示か」
 
「そうそう。これまでさとちゃんは『自分は男』という自己暗示を掛けてたんだね。
 

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それで紀恵は里子が持っている服をチェックしていたが
 
「女気が無さ過ぎる」
と言われる。
 
「これはもう女であることを辞めたおばちゃんが着るような服だよ。若いんだから、もっと女の子らしいものを着ようよ」
「どういうの選んだらいいか分からない」
 
それで一緒に買物に出ることにする。
 
先日退院してすぐの時は里子はスーパーの婦人服売場に行き、主として《980円》とか書いてあるコーナーとか、ワゴンに乗っている商品を買ったのだが、その買い方がそもそも間違っていると言われた。
 
紀恵は里子をショッピングセンターの中に入っている若い人向けのレディス・ショップに連れて行く。
 
「何か中に入るのが恥ずかしい」
「慣れたら普通になる」
ということで手を引いて連れ込まれる。
 
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「こんなの可愛くないかなあ」
などとボートネックのカットソーで、赤とピンクのボーダーなのだが、そのボーダーが肩より下の部分だけに入っているものを選んで、里子の身体に当ててみる。
 
「こんなの着るの〜?」
「あまり赤とか着たことないでしょ?」
「赤なんて女の服だって父親に言われてたから着たことない」
「赤が女の服だという意識があるなら、その赤を着ることで自分の意識を変えていけるね」
 
紀恵は他にもフリルの付いた服とか、センスの良いロゴ入りの上品な雰囲気の服とかを選ぶ。里子はそんな服を着るところを想像すると自分を破壊されるような気分だと思ったが、紀恵は実際に自分を一度破壊しないと女の意識にはなれないと言った。スカートも、どこの娘さんが穿くんだ?という感じのを3点選んだ。
 
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そしてトリンプショップに行く。先日買ったブラやショーツはスーパーの自主ブランドのだとか、聞いたこともないメーカーのとかだったが、さすがトリンプだと、何だかデザインが格好良い! ついでにお値段も格好良い!!
 
「たかがブラ1枚で5000円もするの!?」
などと里子は小声で言うが、紀恵は
「だってそれ可愛いもん。私が今付けてるブラとか8000円したよ。まあこれはお仕事用だけど」
などと言う。
「ひぇー、女は大変だ」
「男物の下着でも高いのはあるよ」
「わたし、3枚1000円のシャツとかしか買ったことない」
 
部屋の中では自分のことを「俺」と言っていたのだが、女の子が俺なんて言ってはいけません、と言われて矯正中である。しかし「わたし」という言葉を使う度に自分のことじゃないみたいで、物凄い心理的抵抗がある。
 
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「まあそういう人が多いだろうね。私もオフの時は、しまむらで上下セット500円とかのをつけてたりもするし」
「その値段、いいな」
 
結局、天国のブラだか、愛するブラだか、そんな感じの名前のものを上下セットで3つ買った(と思っていたら、天使のブラに恋するブラだ、と後で紀恵に修正された)。試着させてもらって買ったのだが、何だか凄くしっかりした感じで、安物とは違うというのは良く分かった。
 

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その後、ファンシーショップに行く。
 
「ここで何を・・・・」
「こういう所に来る練習」
 
と言って、紀恵は「あ、これ可愛い」とか「これも可愛いな」などと言っていろんなグッズを見ている。しかし里子には、それがそもそも何なのかが分からないものも多かった。
 
結局、女物の傘を持ってないでしょ?と言われて、ピンクのハート模様の傘を買う。持ち手の所も何だか可愛いキャラの形になっている。
 
「会社にも似たような感じの傘持ってる子が居た」
「かぶっちゃう?」
「ううん。向こうは確か水玉柄でライトブルーだった気がする」
「ぶつからなきゃ大丈夫だね。似たようなのなら、このお店で買ったのかもね」
「ああ」
 

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そしておやつを洋菓子屋さんで取る。
 
「挑戦してみよう」
と言われてフルーツパフェを頼む。紀恵はプリンパフェにした。
 
「これ、何だか美味しい」
「お医者さんから血糖値は何か言われた?」
「ううん。手術前に色々血液検査とかされた時も特に何も言われなかったけど」
 
「女性ホルモンを摂取すると、それが血糖値を上げるから、性転換者はカロリーには気をつけないといけないんだよ。下手すると糖尿やるからね」
「ふーん」
 
「・・・・女性ホルモンはどんな製剤を渡されたの?」
「女性ホルモンって取らないといけないの?」
「まさか何も渡されてない?」
「聞いてない」
「うそ」
 
「必要なの?もしかして」
「当然。睾丸を除去したけど、卵巣は無い訳だから、男女どちらかのホルモンを取ってないと、ホルモンニュートラルになって、色々問題が起きる。まさか男性ホルモンを補充しようとは思わないよね?」
 
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「女になったのに男性ホルモン取るというのは有り得ないと思う」
「だったら女性ホルモンを補充しなくちゃ」
「それって薬屋さんで買えるの?」
「処方箋があれば。電話して処方箋出してもらったら?」
「うん」
 

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それで里子が手術をした病院に電話してみると、先生が出て
「あ、自分で調達してたのかと思った。いいよ。処方箋出すよ」
と言ってくれたので、紀恵と一緒に取りに行った。
 
念のため簡単な診察をした上で
「順調に回復してるね」
と言って、処方箋を出してくれたので、それを持って近くの製剤薬局に寄り、取りあえず3ヶ月分のエストロゲンとプロゲステロンの製剤を受け取った。
 
「でも、あの病院ちゃんと実在したんだな」
などと里子は言う。
 
「なんで?」
「なんかあのこと自体が夢か幻じゃないかという気もしてさ」
「幻だったら、今さとちゃんが女の身体になってる訳無いね」
「そうだねー」
 

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買物でいろいろ荷物が増えたので、いったん自宅アパートに戻り、荷物を置いてから、またふたりで町に出た。里子が、お化粧がさっぱり分からないなどと言うので、一緒に化粧品を選ぶ。
 
「さとちゃんは汗掻き体質だから、汗掻いても崩れにくいマックスファクターが良いよ」
と言って、マックスファクターのコンパクト、口紅、アイカラー、チークなどを選ぶ。それから化粧水と乳液はソフィーナにして、デジャヴュのマスカラを買い、他にアイブロウ・アイライナー、眉切りハサミ、ビューラー、チークブラシなども買う。
 
「化粧品高い!ほんとに女の人は大変」
「だね。でもさとちゃんもこれからは大変だよ」
「うん」
 
「練習しなくちゃね」
「色々教えてよ」
と里子が言うと
 
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「毎日レッスンしてあげる」
と紀恵は言う。
 
毎日レッスンするって、それつまり毎日会うということなのかな?と漠然と里子は思った。
 

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その日は取りあえず早めの夕食を一緒にリーズナブルな日本料理店で取り、それから紀恵はクラブに出勤して行った(紀恵は里太郎との交際を始めてから同伴出勤をしなくなった)。里子は何となくそのまま帰宅するのは寂しい気がして本屋さんで、いくつか女性向けファッション雑誌を眺めて、結局MOREとnon-noを買って帰った。
 
それでお茶を飲んだ後、ネグリジェに着替えて寝ていたら、夜中ドアが開く音で目を覚ます。
 
ん?と思って布団から起き上がると、紀恵である。
 
「お疲れ様。どうしたの?」
「うん。明日の朝、里子ちゃんの朝のお化粧を教えないといけないから、ここに帰って来た」
「あ、えっと・・・・」
 
「ここで寝せてねー」
と言うと紀恵は通勤用の服を脱いで下着姿になり、
「おやすみー」
と言って里子の布団の中に潜り込むと、そのまま眠ってしまった!
 
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これってもしかしてセックスのお誘い?とは思ったものの、紀恵は本当に眠ってしまった雰囲気だし、そもそもセックスしたくても、チンコは取っちゃったし!ということで、結局里子は紀恵の唇にキスをして、自分も寝た。
 

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朝起きると、そばに寝たまま携帯をいじっていた風の紀恵が
「お早う、マイハニー」
と言ってキスをしてくれた。
 
それでふたりで一緒に朝御飯を作って食べた。
 
「私、取りあえず一週間お店は休むことにしたから」
「へ?」
「それで一週間、ここに泊まり込んで、さとちゃんの女の子レッスンをしてあげるよ」
「ははは」
 
「貯金少しあるから、一週間くらいは何とかなるし」
と紀恵。
「いや、その間の生活費は私が出すよ」
と里子。
 
翌日は一緒に町に出てまたいろんな所を廻ったが、その間細々としたことを紀恵は指導した。
 
物を落としたとき、里子が身体を折り曲げて取ろうとしたら「それダメ」と言って、腰を落として取る《模範演技》を見せる。
 
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「身体を折り曲げて取ると、短いスカート穿いてたらパンツ見せることになっちゃうから」
「なるほど」
「そもそも美しくないよ」
「確かに、のんちゃんが腰を落として拾う動作は可愛いと思った」
 
電車で座った時、里子が足を広げて座ったら「膝頭をちゃんとくっつける」と注意される。
 
「これ、けっこう力が要るよぉ」
「慣れたら眠ってしまっても膝頭は離れないようになるよ」
「ひぇー。そうなるまで、どのくらい掛かるだろ?」
「そうだねぇ。2−3年掛かるかもね」
「女修行は大変だ」
 
これはマジで女修業ではなく女修行の気分である。
 
道で人とお見合いになった時は素早く譲るとか、エレベータに乗った時は進んでボタンの所に立ち、他の人の行く階を聞いたりなどというのも、言われる。
 
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「私も女の子レッスンなんてしたことないからさ。思いつくままに言ってるから、不効率なのはごめんね」
「ううん。こういう実践的なもの、ほんとに役立つ」
 
「でもだいぶ女の子らしい視線が使えるようになってきてるよ。さとちゃん、ほんとに飲み込みが良い」
「そうかな?」
 
そう褒められると、里子はちょっと嬉しい気がした。
 

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